ギレルモ・デルトロ『パンズ・ラビリンス』“Pan's Labyrinth”・・・3つの試練、残酷な美

大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』より 『パンズ・ラビリンス』“Pan's Labyrinth”ギレルモ・デル・トロ監督。冬の午後、恵比寿ガーデンシネマにて見る。マニアな人たちの秘密集会のようである。
1944年、内戦終決後のスペイン。父を亡くした少女オフェリアは、身重の母と共にゲリラが潜む山奥で暮らし始める。そこは母が再婚したフランコ軍のビダル大尉の駐屯地だった。体調の芳しくない母を労りながらも、残酷な義父にどうしても馴染めない。オフェリアの前に妖精が現れ、森の中の迷宮へと導く。そこではパン(牧羊神)が王女の帰還を待っていた。オフェリアは魔法の王国に戻るために3つの試練を与えられる。
少女が出会った牧羊神パンは、彼女に囁く「あなたは、本当は魔法の王国の王女の生まれ変わりです。満月の夜までに、3つの試練を乗り越えれば、本当の両親が待つ魔法の国に帰れます」。
第1の試練は、森の死にかけている巨木を救うこと。巨木を枯らす蟇蛙から黄金の鍵をとってくる。第2の試練は、壁の向こう側の世界で、豪華な料理に目を眩まされることなく一つも食べず、第1の試練の森で手に入れた鍵を使って剣を持ち帰ってくること。第3の試練は、弟を連れて迷宮に帰ってくる。聖なる者の血を流すこと。
聖なるものの血とは何か。それは、自分の血である。
心を深く捉える映像の魔力と、物語が見事に融合。幻想的な迷宮世界と現実世界を行き来する。苦悩を深めるオフェリア。苦境に立ち向かうオフェリアの姿を通して、いかなる邪悪な力も無垢な魂を滅ぼすことは出来ないというメッセージが伝わる。命懸けの映像に胸締めつけられる作品。残酷で美しい幻想映画。傑作。
残酷な美しさが胸を締めつける。
★ギレルモ・デル・トロ監督『パンズ・ラビリンス』:Guillermo del Toro, “Pan's Labyrinth”2006
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