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2007年12月24日 (月)

一枚の絵 三岸好太郎「雲の上を飛ぶ蝶」東京国立近代美術館

人のいない美術館で、一枚の絵が心を捉えることがあります。
この絵をみると、一編の詩を思い出します。
てふてふが一匹、韃靼海峡を渡っていった。(「春」安西冬衛、詩集『軍艦茉莉』1929)
海峡を渡って、北海道からユーラシア大陸へ、蝶が飛ぶ構図である。
しかし、この詩と絵とは関係がなく、画家自身はつぎの詩を書いている。

三岸好太郎「海洋を渡る蝶」1934
「美シイ海洋ヲ渡ル蝶
 ソレハ習性デハナイ
 海ノエロチシズムハ
 開放的デアル
 幾万ノ蝶ガ海洋ヲ渡ル」

三岸好太郎(1903-1934)は、この絵を描いた年に死んだ。
享年31才、死因は胃潰瘍による心臓発作。
天衣無縫、孤独と憂愁。凝縮した人生が、絵から滴り落ちる。
画家のいのちの最後の燃焼を暗示しているようである。
この絵には、はるか遠くに飛んでいく意志といのちの儚さを感じる。Migishi_koutarou_1934

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