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2008年1月20日 (日)

雪舟『秋冬山水図』東京国立博物館、国宝室・・・日本の至高なる画家

Sesshushuutoutou 東京国立博物館には年に12回ほど行く。この庭に好きな木があり、とくに、枝垂れ八重桜がこんもりと美しい。愛する木である。それを見るためだけに行くことがある。春のうららかな日、友人と、その木の前で重箱を広げて食べるのが楽しみである。

ヴァティカン博物館、ルーヴルなどとは比ぶくもないが、日本最高の博物館である。夜になると、隠し部屋には魔物が潜んでいる。ヴァティカンには本物の魔物がいるが。
東京国立博物館「国宝室」は、平日ほとんど人がいない。静かに作品と対話できる。ひっそりとした空間は寂しいほどである。

■雪舟
ヴァザーリ『イタリアの至高なる藝術家列伝』には、レオナルド・ダ・ヴィンチの名があるが、日本の至高の画家は雪舟である。と私は思う。長谷川等伯より好みである。雪舟に並び立つのは北斎だけである。

史上空前の展覧会「没後500年特別展『雪舟』」東京国立博物館(2002)、
このとき、日本各地、海外から雪舟が集められ、ほとんど全ての作品が網羅されて展示された。これは歴史的な展覧会である。
2002年五月『雪舟展』をみてから、ヴェネツィアに旅したが、ヴェネツィアの風景が、『四季山水図巻』(山水長巻)のように見えた。林立する船の帆、ならぶ美しい家並み。時代を超えて港町の風景が蘇ってくる。

雪舟は、十五世紀の画家である(1420-1506?)。十五世紀は、いうまでもなくイタリア・ルネサンスの盛期である。レオナルド・ダ・ヴィンチ(Leonardo da Vinci:1452年4月15日-1519年5月2日)とほぼ同時代人である。
レオナルドの絵の背景にある「遠景図」が何かは、不明とされている。ある研究者は水墨画の影響があるといっている。が、この時代に中国の水墨画がイタリアに輸入されたという証拠は未だない。

■雪舟『秋冬山水図』
雪舟『秋冬山水図』のうち、とくに「冬景図」が好きである。「国宝室」で年に一度は展示されるので何度も見ているが、時々みたくなる。遠近法の空間の中に「遠近法を超えた世界」が画かれている、と私は思う。
雪舟は、山水画だけでなく人物画や花鳥画もよくした。大胆な構図と力強い筆線は非常に個性的な画風を作り出している。日常性の奥にある深遠な世界、幽玄な世界を描いている、と私は思う。必見。
「ナポリをみて死ね」という言葉があるが。死ぬまでに、一度は実物をみて欲しい。

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雪舟等楊筆「秋冬山水図」二幅
東京国立博物館、本館2室 国宝室にて、2008年1月16日(水)から27日(日)まで
東京国立博物館、年間パスポートあり。
http://www.tnm.jp/jp/guide/tomonokai/index.html
「雪舟展」図録
https://premo.mainichi.co.jp/premo/shop/detail/007.html

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コメント

以下について拝見しました。
レオナルドの絵の背景にある「遠景図」が何かは、不明とされている。ある研究者は水墨画の影響があるといっている。が、この時代に中国の水墨画がイタリアに輸入されたという証拠は未だない。

水墨画の時系列の順序と交流状況から見ますと、レオナルドの空気遠近法や背景の自然描写、山河の姿から水墨画からの影響があったことは帰納できるように思うのですが、証拠を探されている方は、どのような方なのでしょうか。当方は素人ですが、大変興味がありますのでお教えいただければ幸いです。

投稿: 石山みずか | 2009年1月24日 (土) 16時42分

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