« 2008年1月 | トップページ | 2008年3月 »

2008年2月

2008年2月14日 (木)

イタリア、ルネサンス絵画は国外持ち出し禁止・・・その理由とは?

Botticellibirthvenus 20年ほど前、『朝日新聞』で読んだ記事によると、ボッティチェリ『ヴィーナスの誕生』はアメリカに貸し出された。ところが第2次世界大戦が勃発。大西洋、地中海を船または飛行機で渡ると爆撃に遭う。『ヴィーナスの誕生』は帰国できなくなった。『ヴィーナスの誕生』は、アメリカ中の各地の美術館を巡回した。
 イタリア共和国は、これに懲りて、ルネサンス絵画は国外持ち出し禁止の法律を作った。
 ルネサンス絵画は、雪舟の国宝のようなものであり、これを海外の美術館で展示するのは確かに問題である。雪舟の時代は15世紀ルネサンスと同時代である。世界中の美術館がイタリア・ルネサンスの絵画を欲しがっている。
■ルネサンス絵画、なぜ日本にくるのか?
 それなのに、日本にはイタリアから、ルネサンス絵画が、沢山くる。
 レオナルド・ダ・ヴィンチ『受胎告知』2007、『聖ヒエロニムス』(ヴァティカン)1993、
 ラファエロ『ヴェールの女』2000、
 ボッティチェリ『受胎告知』2000、
 パルミジャニーノ『聖カタリナの神秘の結婚』2007
 ティツィアーノ『ウルビーノのヴィーナス』2008
 2007年、レオナルド『受胎告知』が日本にくるときはイタリアで反対運動が起きた。映画監督フランコ・ゼフィレッリ(Franco Zeffirelli, 1923~)は反対運動の先頭に立った。
 フランコ・ゼフィレッリは『ロミオとジュリエット』『トラヴィアータ-椿姫』『ブラザー・サン シスター・ムーン』の巨匠である。
 イタリアから日本にくるのは、法律の例外的措置である。
 フィレンツェ、ヴェネツィア、すべてのイタリアの街にはブランド通りがある。ブランド通りで最もよく買う客は日本人観光客である。
 私の知人(大学の先輩)はLVMHグループのある高級香水ブランド★の日本支社の社長である。彼はパリでひらかれるLVMHグループの国際会議に出て経営報告書をみる。日本支社の売り上げは、世界的にみても大きい。
■経済大国日本の没落 最後のきらめき
 私がイタリア、地中海によく旅した時、日本は1人当たりGDP世界第2位(1993年)の経済大国であった。
 いま、日本は1人当たりGDP世界第18位、沈みゆく経済国家。(cf.『国民経済計算』2006年度)「国際貿易投資研究所」http://www.iti.or.jp/stat/4-004.pdf
今年は、ティツィアーノ『ウルビーノのヴィーナス』がくる。
2009年、またルネサンス絵画がイタリアから日本にくる。
だが、沈みゆく経済大国日本の没落とともに、ルネサンス絵画はこなくなる。
沈みゆく経済国家日本、最後のきらめき。
ティツィアーノ『ウルビーノのヴィーナス』、是非、ご覧ください。
★『ウルビーノのヴィーナス 古代からルネサンス、美の女神の系譜』国立西洋美術館、2008年3月4日~5月18日
ウフィッツィ美術館が世界に誇る至宝の一つ、ティツィアーノ「ウルビーノのヴィーナス」。
ヴィーナスの艶かしい姿態、魅惑のまなざしに酔いしれて下さい。
ウフィッツィ美術館で見ると、淡い光の中で乾いていて、色彩が感じられない気がします。
イタリアで見たときより、艶やかに見えるか。
http://www.venus2008.jp/

★あなたの好きなルネサンスの藝術家はだれですか?
  好きな作品は?

[*レオナルド「最後の晩餐」、ボッティチェリ「ヴィーナスの誕生」「春」、ラファエロ「小椅子の聖母」、他]

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年2月 6日 (水)

「没後50年 横山大観」国立新美術館・・・天心と憂愁の詩人

東京美術学校を追われた師・岡倉天心に従って、横山大観ら14人は辞職する。美のイデアと古典の理想を追求する天心の弟子たち。
岡倉天心のもとで、菱田春草、下村観山らとともに日本画の革新を目指し、東洋の精神に西洋画の手法を取り込み、新しい表現様式を追求した。
輪郭線を使わず、色彩の面的な広がりにより空気を描く技法を用いて、「朦朧体」と誹謗中傷された。
■1898年
岡倉天心は、東京美術学校を辞任。橋本雅邦、大観ら14人が辞職。その後、岡倉天心は日本美術院を設立。そして観山、広業、春草、武山、等々がこれにしたがって、私財を投入して設立運営に奔走する。
■横山大観「屈原」厳島神社蔵 明治31年(1898)
屈原は、中国戦国時代の楚の詩人。『楚辞』の筆者とされている。『楚辞』のなかに収められた「漁父の辞」は代表作である。
荒れ狂う風は屈原の悲愴な内面を、風にざわめく叢の陰に隠れる鴆には讒佞を、背後から屈原を上目づかいにみる燕雀には小心を象徴させた。
屈原は右手に蘭を持つが、蘭はほかならぬ屈原自身が『楚辞』のなかで高潔な君子の誓えとして詠み、以来、蘭は屈原の高潔な気性をあらわす象徴とされた。
■『漁父辞』
「屈原、すでに放たれて 江潭にあそび ゆくゆく沢畔に吟ず 顔色憔悴し 形容枯槁せり」
追放され、やつれてもなお憤然と逆風に立ち向かう屈原。
大観は荒れ野に佇む屈原の姿を、東京美術学校を追われた恩師岡倉天心に重ねた。
■火曜日、休館日だが、特別入館した。ゆっくりとみる。横山大観は『無我』『生々流転』が有名、見えざる観念を見える形に構築して絵画に表現することを得意とする。
「横山大観展」は過去に何度かみたが、今回は最大級である。
巻物が3巻展示。2巻は全巻展示。『生々流転』は40M、横たわる姿は壮観である。

☆横山大観「屈原」 2月13日より3月3日まで展示
☆「没後50年 横山大観」国立新美術館、2008年1月23日より3月3日まで
http://www.asahi.com/taikan/

★あなたの好きな中国の詩人はだれですか? 好きな詩は?
 
 [例 李白「山中幽人對酌」、李賀「蘇小小歌」、白楽天「長恨歌」]

| | コメント (1) | トラックバック (1)

2008年2月 2日 (土)

歴史的な展覧会・・・思い出に蘇る「幻の美術展」

2005 歴史的な展覧会が時にある。だが滅多にない。近年の例では「北斎展」東京国立博物館2005。史上空前の規模の展覧会。展示替があるので、3回みに行った。
この時にも友人にメールを出してすすめたのだが、行く人は少ない。だが機会を逸すると二度と見られない幻の美術展。

★美の迷宮
歴史上の傑作、世にも美しい藝術作品が数百点満ち満ちている美術館に行くと、うっとりとして興奮してくる。感動のあまり自我の殻を超える。至高体験(supreme experience)である。美は、この世と異界の狭間にある。藝術の扉を通して、自然と超自然の間にある世界に人は足を踏み入れる。
個の殻を破り、普遍的な精神に到達する方法の一つが藝術である。個の競争心を競うことに終始するのは、藝術の死である。
たとえば、フィレンツェのピッティ宮殿にある、ピッティ美術館、ボッティチェリ、ラファエロの作品が満ち満ちている。まるで夢のなかの世界である。

★偉大な美術展
「日本美術院創立100周年記念近代日本美術の軌跡」1998は、史上空前の規模の展覧会である。傑作が汗牛充棟。ギャラリーを歩いているだけで感動した。狩野芳崖、下村観山、菱田春草、速水御舟ら巨匠の傑作が全作品、結集していた。
☆☆さんから招待券の束を1冊もらって、毎週金曜日の夕方、5回みに行った。☆☆さんは菱田春草を数点所蔵、出品している。図録をみても、恍惚としてあの時の感動を思い出す。
「日展100年展」2007には失望した。
次のような美術展に比べると、傑作が少ない。
生誕120年、没後500年、1200年、創立100周年のように、記念すべき年に開催される。
私がみた「歴史的な展覧会」。ここ10年を思いつくままにしるすと次のものがある。

■幻の美術展・・・「日本美術編」
「生誕120年藤田嗣治展」東京国立近代美術館2006
「仏像 一木にこめられた祈り展」東京国立博物館2006
「北斎展」東京国立博物館2005
 弘法大師入唐1200年記念「空海と高野山」東京国立博物館2004
 没後500年「雪舟展」東京国立博物館2002
「ボストン美術館所蔵肉筆浮世絵展「江戸の誘惑」」江戸東京博物館2006
「日本美術院創立100周年記念 近代日本美術の軌跡」東京国立博物館1998

*「北斎展」2005年 北斎は、その生涯の七十年間制作活動したが、6期にわたって作風が変遷した。変幻自在、あらゆるテーマを画き尽くした。「北斎展」2005年は、その6期すべての時期にわたって、世界中から集められた五百点の作品を展示した。地方巡回はない。全国から美術マニアが集まって、美しさに溜め息をついた。
北斎は原画、肉筆が素晴らしいが、数少ない。北斎の直筆が感じられる。北斎の肉筆の真筆が展示された、ボストン美術館所蔵肉筆浮世絵展「江戸の誘惑」江戸東京博物館2006年、は素晴らしかった。
幻の美術展。図録は電話帳の厚さである!図録を入手されたし。

☆幻の美術展、失われた時間の痕跡、消滅しないうちに、ご覧下さい。
「生誕120年藤田嗣治展」東京国立近代美術館2006
http://www.momat.go.jp/Honkan/Foujita/index.html
「北斎展」東京国立博物館
http://www.tnm.go.jp/jp/servlet/Con?pageId=A01&processId=02&event_id=2040
「空海と高野山」
http://www.tnm.jp/jp/servlet/Con?pageId=A01&processId=02&event_id=3
「仏像 一木にこめられた祈り展」
http://www.tnm.jp/jp/servlet/Con?pageId=A01&processId=02&event_id=3460
ボストン美術館所蔵肉筆浮世絵展「江戸の誘惑」江戸東京博物館2006年
http://www.asahi.com/boston/index.html
☆幻の美術展「西洋美術編」につづく。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2008年1月 | トップページ | 2008年3月 »