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2008年3月12日 (水)

『ウルビーノのヴィーナス 古代からルネサンス、美の女神の系譜』・・・愛と美の女神の歴史

Tiziano_venere_di_urbino_1535_uff_2古代ギリシアから、ローマ、ルネサンス、マニエリスム、バロックにいたる、2000年に及ぶ愛と美の女神をめぐる展覧会。
初日に見る。『ウルビーノのヴィーナス』の前には、一人も人がいない。イタリアの美術館のように、一人で時間を楽しむことができる。フィレンツェで3度『ウルビーノのヴィーナス』をみた、見る価値がある。イタリア各地の美術館から美術品が集められている。
■ティツィアーノ・・・幸運な画家
16世紀ヴェネツィア派の最盛期、最大の画家。フィレンツェ派とヴェネツィア派の対立は、「レオナルド、ミケランジェロの素描」と「ティツィアーノの色彩」の対立であった。
美術史上最も長寿な藝術家の一人。人生のそれぞれの段階を経て変化しながら成長しつづけ、晩年に頂点を極める。まれにみる幸運な画家である。若くして死んだジョルジョーネの後をつぎ、絵を描きつづける。
ジョルジョーネの後半生を生きた。未完のジョルジョーネの作品『眠れるヴィーナス』(1510)を完成させる過程で、詩情を身につけた。
1540年代、神聖ローマ帝国カール5世がパトロンになり、スペイン王フェリペ二世が顧客となった。
バロック時代のルーベンス、ベラスケス、レンブラントに影響を与え、ロマン派のドラクロワ、ゴヤ、印象派、マネに影響を与えた、近代絵画の先駆者である。
■ルネサンスの巨匠たち・・・不運な人生
これに対して、ルネサンスの偉大な藝術家たちは、不運な人生を生きた。レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエッロ。
運命と戦い、運命と対峙し、運命に彷徨い、運命に死んだ藝術家である。
私は、運命と戦い対峙した藝術家に、深く共感する。
■ティツィアーノ『ウルビーノのヴィーナス』1538
ティツィアーノ48才ころ、円熟期の作品。ティツィアーノの最高傑作。
えがかれたのは「女か、女神か」をめぐって諸説ある。蠱惑的な、誘惑するまなざしは、ヴェネツィアの高級娼婦を思わせるが、人をひきつけ魅惑する迫力は、ルネサンス藝術の一つの頂点である。
古代ギリシアから、アプロディーテは、人を魅惑し誘惑する、美と愛の女神である。
古代から、ラテン語で、ウェヌスには、女性性器の意味がある。アフロディシアは性行為の意味。
■展示作品の一部 紀元前5世紀、古代ギリシアから、17世紀バロックまで
「有翼のエロス」赤像式アプリア 紀元前5世紀
「ドイダルサスのアプロディーテ」 ローマ時代の模刻 1世紀
「メディチ家のアプロディーテ」
ティツィアーノ『ウルビーノのヴィーナス』1538
「眠るエロス」 2世紀
――
本展では、古代、ルネサンス、そしてバロック初めに至るまでの、ヴィーナスを主題とする諸作品を展示します。ヴィーナスの神話が、いかに古代の芸術家の霊感を刺激したのか、そして古代文化が再生したルネサンスにおいて、どのようにヴィーナスの図像が復活、発展したのかを、約70点の絵画、彫刻、工芸品等によって辿ります。特に今回は、フィレンツェ美術館特別監督局の全面的な協力により、ヴェネツィア派を代表する画家ティツィアーノの名品《ウルビーノのヴィーナス》をウフィツィ美術館よりお借りすることが可能となりました。フィレンツェ以外からも、イタリア各地からヴィーナスを表わした選りすぐりの作品が貸し出される予定です。
愛と美の女神であるヴィーナスは、もとは古代の女神でした。多くの神話において主要な登場人物であった彼女は、神話の一場面として他の神々と共に表わされることもあれば、単独で表わされることもありました。そして彼女の傍らには、しばしばその息子キューピッドも登場します。
彼女はルネサンスの時期にほかの神々とともに美術のモティーフとして復活します。古典文学の復興と相まって、彼女は多くの美術作品に登場するようになりました。フィレンツェでは哲学的な議論を背景として、ヴィーナスは慎み深く表現されましたが、ヴェネツィアでは官能的なヴィーナスの表現が発達します。その代表が《ウルビーノのヴィーナス》です。本展では、ティツィアーノ、ブロンズィーノ、ポントルモらによる、ヴィーナスのさまざまな現れようをご鑑賞ください。国立西洋美術館
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★『ウルビーノのヴィーナス 古代からルネサンス、美の女神の系譜』
国立西洋美術館、2008年3月4日~5月18日
http://www.venus2008.jp/

★ギリシア神話についての問題
1、アプロディーテとは何ですか?
2、エロスとは何ですか?
3、パリスの審判とは何ですか?
4、3美神とは何ですか?
5、アモールとプシュケーの物語とは何ですか?

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コメント

ボッティチェリの春 プリマベーラ の謎解きですが、お願いできますでしょうか。
この絵はこれまで謎とされて、色々とされた謎解きも今一しっくりしません。しかし、ギリシャ神話を 特にエロスとプシュケー から見ますと明快にわかるように思うのですが。
画面には キューピッドとヴィーナス 春の女神フローラが花を振り撒き、そしてゼフィロスが、今まさにプシュケーを運んできたところのように見えます。
画面の中ではエロスは幼児ですがそれでも プシュケーは、あらゆる困難の末に結ばれ女神になります。ローマからギリシャ神話・・・
そして、今、この絵の前に来た男女は、ヴィーナスの指示でキューピットが炎の矢を放つと、それは男の心臓を貫きその結果一緒に来た女をこの後限りなく愛してしまう・・・・。
という形でいかなる男女でも、神話的な結婚に至ることを祝福する絵画として、ボッティチェリが描いたではと思われるのですが。
なお、ギリシャ神話は、西ローマの滅亡で、それまで失われてしまっており、ルネサンスの頃に東ローマの滅亡とかイスラム圏のアラビア語訳から翻訳することで、初めてフィレンツェの人々? は知り、ギリシャ文化に感動したというように聞いています。数学では、アルジェブラとアラビア語をそのまま使用しているのは、彼らには当時対応させる言葉がなくて翻訳できず、そのまま使ってしまった ということのようです。

投稿: 石山みずか | 2009年1月16日 (金) 13時09分

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