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2008年5月

2008年5月30日 (金)

美人薄命

225475818350669717 アナウンサー川田亜子さんが自殺しました。享年29才。
『朝日新聞』2008年05月26日*
美人は若くして死に、醜悪なものが命長く生き残る。
古代中国では「美丈夫」な男子のことを美人と言っていた。
■佳人薄命
「佳人薄命」という言葉は、北宋の文人蘇軾(蘇東坡1036~1101)、の詩にある。
自古佳人多薄命  いにしえより佳人は多く命薄し
閉門春尽楊花落  門を閉じ 春尽き 楊花落つ
いにしえから、佳人は多く薄命である。
門を閉じて、外に出ぬ間に、春は尽きて、楊花も落ちてしまうだろう。 出典、蘇軾「薄命佳人」
「美人は夭折する」のみならず、「優れたる人物は夭逝する」を意味する。
■競争が激しいと、優れた才能は残らない
 「競争が激しいと、優れた才能が残る」と思っている人が多い。だが、競争が激しいと、優れた才能は残らない。競争が激しいと、全面戦争になり、地位と名譽を手に入れるために、ありとあらゆる手段が用いられる。この結果、権力欲が強い、ずるい人間が生き残る。歴史上、この例は枚挙にいとまがない。
 権力欲の強いスターリンは、革命家知識人トロツキーを追放し、地の果てまで刺客を送って、暗殺した。
 桓武天皇は、無能な自分の息子を皇位につけるために、有能な皇族を多数、殺戮した。この結果、無能なわが子、平城天皇が即位した。
美人は若くして死に、醜悪なものが命長く生き残る。
権力欲が強い、狡猾な人間が生き残る。醜悪にして、傲慢、高慢な生きものは生命力が強いからである。
古今東西、今も変わらぬ真理である。

Those whom the gods love die young.
神々に愛される人は若く死ぬ。

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2008年5月24日 (土)

アン・リー『ラスト、コーション』・・・禁断の愛にあこがれるあなたに

Lust_caution_2008_0大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』より
禁断の快楽、禁断の愛。禁じられれば禁じられるほど、欲望は激しくなる。禁じられた恋は、激しく燃えさかるように。
だが、禁じられるものがない今、真実の愛は存在しない。なんでもありの現代、すべては利益のためだけに為される。人間は利用されるだけの手段である。人間は人間の敵である。愛はどこにも存在しない。
――
『ラスト、コーション』・・・禁断の愛に溺れたいあなたに
禁断の愛、禁断の快楽。
薄倖の女、過激なラブシーン、歴史の激流。禁断の愛の名作の条件を備えている。タン・ウェイ主演。
「色仕掛」で敵を陥れるという典型的なパターンである。美女が過酷な運命に会う姿を見ているだけで楽しめる。美女が過酷な運命に会う姿は、美しい。
これに対して、「飽食で、傲慢で、高慢な女」は醜い。見ているだけで不快である。タン・ウェイ(湯唯)は翳りのある美人。『美女図鑑』に収集しておくべき美女である。
■禁断の愛は、魅力的である
たとえば、リリアーナ・カヴァーニ『愛の嵐』1973年
デビッド・セルツァー『嵐の中で輝いて』1992年
いずれも第2次世界大戦下、敵味方にわかれる状況下で禁じられた愛の行方である。
『愛の嵐』は女優シャーロット・ランプリングの代表作、退廃的で自暴自棄な禁断の愛、倒錯の愛の名作。
禁じられれば禁じられるほど、魅きつけられるのが、恋愛の誘惑である。
心理学用語で「ロミオとジュリエット」効果である。
だが、すべてが許された現代、真の愛は成立しにくい。
――
アン・リー監督『ラスト、コーション』(Lust, Caution色|戒)、2007
 1942年、日本占領下の上海。抗日運動に身を投じる香港大学の女子大生ワンは、スパイを命じられる。美しき女スパイ、ワン(タン・ウェイ)は、敵対する政府高官、特務機関の首魁イー(トニー・レオン)暗殺の命を受ける。やがてその魅力でイーを誘惑することに成功したワンは、彼と危険な逢瀬を重ねる。死と隣り合わせの日常から逃れるように、暴力的な愛欲に激しく互いを求め合う二人。しかし、運命の時は刻々と迫る。『ブロークバック・マウンテン』のアン・リー監督が贈る、禁断のラブストーリー。第64回ヴェネチア国際映画祭にて金獅子賞受賞。
2008年2月2日よりシャンテ シネ、Bunkamuraル・シネマほか全国にて公開、2007、中国
アン・リー監督、タン・ウェイ(湯唯)、トニー・レオン、王力宏(ワン・リーホン)、
予告編 http://www.wisepolicy.com/lust_caution/
★あなたの好きな美人女優はだれですか?
☆例えば、伊太利女優モニカ・ベルッチ(29)
Lustcaution_sub3

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2008年5月18日 (日)

ピーター・グリーナウェイ 『レンブラントの夜警』・・・レンブラント破滅の謎

Peter_greenaway_nightwatchingRembrandt_nightwatch大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』より  
テアトル・タイムズスクエアにて、2月1日見た。
レンブラント(1606-1669)は35歳だった。「絵筆は画家の武器だ。何でも可能だ。侮辱も告発も」自信に満ちて悪を告発したレンブラント。レンブラントと人生を変えた3人の女たち。経営者としての妻、愛欲の召使、天使のような最後の女。愛に去られ、愛に滅び、愛に救われる。何故、富と名声をえたレンブラントは破滅したのか?謎を解く鍵は『夜警』(1642)である。
『英国式庭園殺人事件』1982『コックと泥棒、その妻と愛人』(1989)の名匠、ピーター・グリーナウェイ監督。マニアな人々、必見。
――
17世紀オランダ・バロック絵画、最高の名作『夜警』(1642)の謎。
なぜ、莫大な富と名声を極めた画家が、転落の人生を歩んだのか?
家の書庫で資料を調べたらグリーナウェイ監督のいうとおり、『夜警』(1642)以後、レンブラント(Rembrandt Harmensz. van Rijn 1606-1669)は没落した。
――
マニアの集まる映画館・・・テアトル・タイムズスクエア、2008.2/29まで 新宿高島屋タイムズスクエア12階
★日本で、一館だけ上映している。マニアな人が集まる映画館である。中高年層、若い女性が多い。だが普通の人々ではない、三菱電線視聴室に集まる<究極の音マニア>のように。知識があるけど変な人々、マニアな人々。映画館のなかに美容室がある。絶景のみえる美容室。*絶景美容室 Jacques Moisant[ジャックモアザン]新宿店 タイムズスクエア12階から望む絶景は圧巻。昼間は都内を一望できる景色、夜は新宿高層ビルの夜景を楽しめる。
――
★ ピーター・グリーナウェイ 『レンブラントの夜警』2007
1641年、オランダのアムステルダムで35歳のレンブラント(マーティン・フリーマン)は、画家としての成功と大いなる富を手にしていた。妻(エヴァ・バーシッスル)は無事男の子を出産し、彼の人生は順調に進むかに見えた。だが、アムステルダム市警団から集団肖像画を依頼され、渋々その仕事を引き受けたことで彼の運命は大きく変化する。シネマトゥデイ
Yahoo映画   https://bit.ly/2F0ZoYS
――
「レンブラントの夜警」レンブラントが生きた時代のオランダを絵画的/演劇的な空間に再現(大場正明)
 画家として不動の地位を築き上げたレンブラントは、なぜ失墜し、破産宣告を余儀なくされることになったのか。
 シャルル・マトンは「レンブラントへの贈り物」(99)で、「トゥルプ博士の解剖学講義」に着目し、トゥルプという権力者がレンブラントを経済的に追い詰めるドラマを作った。グリーナウェイはこの新作で、「夜警」に着目する。この大作を通して、絵のモデルとなった権力者たちの悪行の数々を告発したレンブラントは、陰湿な報復にさらされていく。
 だが、この映画の魅力は、名画をめぐる謎解きだけではない。近代資本主義の出発点は、レンブラントが生きた時代のオランダにある。グリーナウェイは、そんな社会を、歴史を踏まえてリアルに視覚化するのではなく、すべてを徹底して「夜警」から読み取り、絵画的/演劇的な空間に再現する。そしてそこからは、現代にも通じる勝者と弱者の関係、欲望や孤独が浮かび上がってくる。
 かつて「コックと泥棒、その妻と愛人」(1989)でサッチャー時代のイギリスの光と影を描き出したグリーナウェイが、「夜警」の謎解きを繰り広げながら見つめているのは、現代社会の光と影でもあるのだ。2008年1月10日映画.com
――

★予告編「レンブラントの夜警」
http://eiga.com/official/nightwatching/introduction.html
★『夜警』(3.63メートル×4.37メートル)実物大複製が、タイムズスクエア13階に飾られている。
★オランダ、あなたは何を連想しますか?

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2008年5月12日 (月)

パエリア、サフランの香りとプラトニック・ラブ・・・美術倶楽部の宴

20080504s

20080504s_3 風薫る五月晴れの日。私が代表をしている美術倶楽部で、パエリア・パーティーをひらいた。5月4日、神奈川県K氏邸にて。

■サフランの香り
K氏はスペイン留学中にバレンシア・パエリアの料理法を身につけ、ときどき披露する。食材に凝りまくる男の料理である。
今回は、ブルゴーニュ・ワインを飲みながら、バレンシアのパエリアを食す宴である。
ヘンデル「ハープ協奏曲」、サラ・ブライトマンなどを聞き、
スペアリブの前菜を食し、サングリアとブルゴーニュ・ワインを飲みながら、パエリアの完成を待つ。サングリアには苺、オレンジなど豊富な果実が使われていて、スペインのコルドバで飲んだサングリアより甘美である。
パエリアを皿に盛ると、サフランと海老の香りが立ち昇る。
■アルハンブラの思い出
私の指導教授の一人は、グラナダ生まれのアンダルシア人である。グラナダ生まれの先生から、プラトン哲学を学んだ。
ポルトガル、スペインを旅したのは1999年である。
この時、「エル・グレコ展」をマドリッドでみたのを思い出す。
■ル・ブーランジェ・ドミニク・サブロン
わん太夫さんは、マキシム・ド・パリのパン「ル・ブーランジェ・ドミニク・サブロン(Le Boulanger Dominique SAIBRON)」のパンを多量に購入して参集。
これまで食した最高のパンである。
デザート
わん太夫さんElliさんが、デザートを用意。
洋菓子20個、「ニコラス」、「ダリオルール」。和菓子柏餅。
■最高級のダージリン紅茶
紅茶は、私が持参して入れた。
ダージリンFTGFOP1、1stフラッシュ、2ndフラッシュ、セイロン・ヌワラエリアNuwala Eliya、3種を用意して、皆さまにお飲み頂いた。庭園の名はここには書かない。
その後、奥様が用意したルピシアのフレーバーティーを入れる。
「香り、味、色ともに最高に美味であるのはダージリン、セカンド・フラッシュである」と意見が一致する。
私の筋書通りである。
最もまずいのは、ルピシアのフレーバーティーである。
「とって付けたような匂いがするが、味がない」
「まずい」
「ブタがくさい香水を付けて、厚化粧した様な紅茶だ」という意見に一致した。私の筋書通りの展開である。
フォション、マリアージュ・フレール、フォートナム・メイソン、トワイニング、フレーバーティなどは、品質が低い。
ダージリン紅茶の歴史、庭園、グレード、について、私がミニ講義した。
■プラトニック・ラブの意味
たとえば、「無原罪の御宿り」の意味について、美術史家の解釈とキリスト教教義との間に齟齬があることについて、語り合う。
「プラトニック・ラブ」の意味について、プラトン哲学には精神的愛の追求のみを教える思想はない。フィチーノ『饗宴注解』が始まりだが、プラトニック・ラブという思想の起源はルネサンスのどこにあるのか。この語はどこから始まり、ケンブリッジ・プラトン学派に影響を与えたのか。など考える。フィチーノは『愛について』De Amore(『饗宴』注釈)の中で、アモール・プラトニクス (amor platonicus) という言葉を使ったようである。
斉藤由香『いつも会社はてんやわんや』、『トホホな朝ウフフな夜』(週刊新潮連載)のシリーズ「オヤジ被害」、「女の敵は女」について、
「マダムの館」の事、わん太夫さんの「マダム対策法」、などについて、とめどなく、語り合う。
その他、ここには書けない、あんな事、こんな事、むふふな事、うふふな事について、話題が盛り上がった。だが、各方面に差し障りがあるので、ここには書かない。

6時間に亘ってくり広げた饗宴は、心を自由に飛翔させて、五月の微風のように爽やかである。
★あなたが開きたいパーティは何ですか?

(写真提供:わん太夫さん)
20080504s_4

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2008年5月 4日 (日)

『ジェイン・オースティンの読書会』・・・交錯する書物と人生

Jane_austen_book_club_22_2 ブッククラブは、食事と上質なワイン、紅茶を楽しみながら、本について語り合う読書会である。
■離婚歴6回、独り者のバーナデット。彼女は常々「恋愛、結婚、友情・・・、いつの時代も変わらない人々の悩みを解決してくれるのはジェイン・オースティンしかない」と考えている。
ある日、愛犬が死に、悲しみに暮れる友人ジョスリンを元気づけようと読書会を計画する。離婚寸前のもう一人の友人シルヴィア。夫がいるにも関わらず教え子の高校生に恋をしてしまったプルーディー。シルヴィアの娘で恋多きアレグラ。そして唯一の男性で、ジョスリンと出会ったグリッグが加わり、6人のメンバーで、各人1冊担当、6ヶ月間オースティンの6冊の本を語り合う読書会が幕を開ける。第1回はスターバックスで会合。一人ひとりの家で、海辺で、甘美なワインを飲み、尽きない議論が始まる。
■書物と人生を重ね、口角泡を飛ばして、議論する人々。
人は人と結びつき、人と離れ、本のページの上を通っていく。
私は図書館でブッククラブをひらき、講師をしている。「読書の方法」について、講義することも多い。書物と人生が交錯する場面に出会うことがある。
■書評家から絶賛され、2004年のニューヨークタイムズのベストセラー・リストに載った小説を映画化。
『ジェイン・オースティンの読書会』
The Jane Austen Book Club
監督:ロビン・スウィコード
原作:「ジェイン・オースティンの読書会」白水社刊
出演:キャシー・ベイカー、マリア・ベロ、エミリー・ブラント、エイミー・ブレネマン、ヒュー・ダンシー
2007年/アメリカ/105分
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
http://www.sonypictures.jp/movies/janeaustenbookclub/
http://www.sonyclassics.com/thejaneaustenbookclub/
★あなたが読書会を開きたい本は何ですか?

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