ピーター・グリーナウェイ 『レンブラントの夜警』・・・レンブラント破滅の謎
大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』より
テアトル・タイムズスクエアにて、2月1日見た。
レンブラント(1606-1669)は35歳だった。「絵筆は画家の武器だ。何でも可能だ。侮辱も告発も」自信に満ちて悪を告発したレンブラント。レンブラントと人生を変えた3人の女たち。経営者としての妻、愛欲の召使、天使のような最後の女。愛に去られ、愛に滅び、愛に救われる。何故、富と名声をえたレンブラントは破滅したのか?謎を解く鍵は『夜警』(1642)である。
『英国式庭園殺人事件』1982『コックと泥棒、その妻と愛人』(1989)の名匠、ピーター・グリーナウェイ監督。マニアな人々、必見。
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17世紀オランダ・バロック絵画、最高の名作『夜警』(1642)の謎。
なぜ、莫大な富と名声を極めた画家が、転落の人生を歩んだのか?
家の書庫で資料を調べたらグリーナウェイ監督のいうとおり、『夜警』(1642)以後、レンブラント(Rembrandt Harmensz. van Rijn 1606-1669)は没落した。
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マニアの集まる映画館・・・テアトル・タイムズスクエア、2008.2/29まで 新宿高島屋タイムズスクエア12階
★日本で、一館だけ上映している。マニアな人が集まる映画館である。中高年層、若い女性が多い。だが普通の人々ではない、三菱電線視聴室に集まる<究極の音マニア>のように。知識があるけど変な人々、マニアな人々。映画館のなかに美容室がある。絶景のみえる美容室。*絶景美容室 Jacques Moisant[ジャックモアザン]新宿店 タイムズスクエア12階から望む絶景は圧巻。昼間は都内を一望できる景色、夜は新宿高層ビルの夜景を楽しめる。
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★ ピーター・グリーナウェイ 『レンブラントの夜警』2007
1641年、オランダのアムステルダムで35歳のレンブラント(マーティン・フリーマン)は、画家としての成功と大いなる富を手にしていた。妻(エヴァ・バーシッスル)は無事男の子を出産し、彼の人生は順調に進むかに見えた。だが、アムステルダム市警団から集団肖像画を依頼され、渋々その仕事を引き受けたことで彼の運命は大きく変化する。シネマトゥデイ
Yahoo映画 https://bit.ly/2F0ZoYS
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「レンブラントの夜警」レンブラントが生きた時代のオランダを絵画的/演劇的な空間に再現(大場正明)
画家として不動の地位を築き上げたレンブラントは、なぜ失墜し、破産宣告を余儀なくされることになったのか。
シャルル・マトンは「レンブラントへの贈り物」(99)で、「トゥルプ博士の解剖学講義」に着目し、トゥルプという権力者がレンブラントを経済的に追い詰めるドラマを作った。グリーナウェイはこの新作で、「夜警」に着目する。この大作を通して、絵のモデルとなった権力者たちの悪行の数々を告発したレンブラントは、陰湿な報復にさらされていく。
だが、この映画の魅力は、名画をめぐる謎解きだけではない。近代資本主義の出発点は、レンブラントが生きた時代のオランダにある。グリーナウェイは、そんな社会を、歴史を踏まえてリアルに視覚化するのではなく、すべてを徹底して「夜警」から読み取り、絵画的/演劇的な空間に再現する。そしてそこからは、現代にも通じる勝者と弱者の関係、欲望や孤独が浮かび上がってくる。
かつて「コックと泥棒、その妻と愛人」(1989)でサッチャー時代のイギリスの光と影を描き出したグリーナウェイが、「夜警」の謎解きを繰り広げながら見つめているのは、現代社会の光と影でもあるのだ。2008年1月10日映画.com
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★予告編「レンブラントの夜警」
http://eiga.com/official/nightwatching/introduction.html
★『夜警』(3.63メートル×4.37メートル)実物大複製が、タイムズスクエア13階に飾られている。
★オランダ、あなたは何を連想しますか?
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コメント
こんにちは!
小生、二十代の時に四年ほどフィリップスの日本事務所(買い付け)に勤めていました。
そこで、オランダと言えば;
1.背が高い・・・<事業部長が来日するから、迎えに行け!>と言われ、「身長は?」と訊くと<ミディアム・サイズ>との答え。
羽田(当時は成田はナシ)で名前の書いた紙を振りかざしていますと、大男(1.9mほど)が近づいて来たのです!!
ちなみに、小生の上司は2mを超えていました。
2.英、独、仏、伊、西語、等々、語学の堪能な人が多い。
3.国土が海抜0米以下の所が多く、山を見せると喜んでいました・・・滝(華厳の滝など)に案内すると大興奮しました。
4.理由(多分ケチ)は判りませんが、何故か他国から嫌われている(?)・・Dutch Account, xxxxx wife, etc.
当時、海外事業部の連中は5カ国くらいの通帳を持ち、為替のレートによってセコセコと移し換えていました。
5.ゴッホやルーベンスなど結構有名な画家が居るのに、何故か<レンブラント>は別格扱いですね?
6.大日本帝国が<オランダ王の首飾り>インドネシアに攻め入ったからか、日本人は余り好きでないようです・・・日本人は片思いの感があります!!
投稿: しゅんちゃん、ソフィア | 2008年5月20日 (火) 15時43分
しゅんちゃん
> 海外事業部の連中は5カ国くらいの通帳を持ち、為替のレートによってセコセコと移し換えていました。
これは、オランダ人らしいですね。
フランドルのルーベンス、イタリアのカラヴァッジョ、スペインのベラスケス、オランダのレンブラントの4人は、光の画家と呼ばれます。
17世紀後半オランダの画家、フェルメールが今は人気があります。
投稿: leonardo | 2008年5月22日 (木) 02時14分