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2008年6月 8日 (日)

「岡鹿之助展」ブリヂストン美術館・・・昼餐の対話、海と廃墟と古城

Oka2008
1951
1948
大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』より
6月某日、梅雨晴れのある日、美術倶楽部の菱川愛さんが、湘南からお見えになるので、午後3時から、渋谷のレストランつばめグリルにて、彼女と赤ワインを飲みながら昼餐を食した。赤ワインはガスコーニュ。仕事と論文のことなど語り合う。わたしの専攻は、存在論(ontology)、美の形而上学(metaphysics of beauty)、プラトン哲学、哲学史、美術評論、権力の歴史、地中海文明の歴史、地中海の美術史(Art history of the Mediterrabean)、等である。彼女の大学での専攻はフランス語で、サン・テグ・ジュペリのことなど話した。「人が本当に見ることができるのは心によってだけである。大切なものは、目で見えない」『星の王子さま』 。「愛とは、互いに見つめ合うことではなく、二人が同じ方向を見つめることである」『人間の大地』 。など、とめどなく語り合う。
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日本の教育の現状は悲惨である。人文科学 (哲学・文学・歴史) 教育は崩壊した。プラトン哲学は、対話の形で書かれており、それはあらゆる学問の基本構造を構築している。レオナルドとミケランジェロとラファエッロ、ルネサンスの三大藝術家は、不運な人生を生きた。印度ヨーロッパ語族の古代言語がわからなければ、近代西洋語の言葉の真の意味はわからない。日本社会は、河合隼雄「母性社会日本の病理」、斎藤由香「シリーズ・オヤジ被害」「シリーズ・女の敵は女」が描くような世界である。激しい競争社会の中で、知性のない管理職が知識人を虐げ、組織と国家は滅亡に向かいつつある。上智と下愚は移らず。『論語』。聖なる弑逆が行われ、正義が実現されることを、天に祈る。 
その他、話題の内容は省略する。
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■岡鹿之助 ・・・海と廃墟と古城
夕刻、一緒に美術館に向かう。
「薬師寺展」にもう一度見に行くことを考えたが、「岡鹿之助展」ブリヂストン美術館に行く。美しい館内に人の気配はなく、静かな時間と空間を楽しむことができた。
海と廃墟と古城と献花を描いた画家である。
静謐な空間、黄昏の色調を帯びた建築、郷愁を感じさせる世界、美しい画面が心を捉えて離さない。
「献花」は、すべて亡くなった人に捧げられた絵画である。
彼の絵は、今はなくなった世界に捧げられた絵画であるように思われてならない。
岡鹿之助の世界は「失われた世界に捧げられた供物」である。
緻密な点描画は、記憶の果てに降り積もる、記憶の粉雪のようである。
展覧会は9つのテーマで、9つの部屋に展示されている。
1章:海
2章:堀割
3章:献花
4章:雪
5章:燈台
6章:発電所
7章:群落と廃墟
8章:城館と礼拝堂
9章:融合
「今日の入館者は77人」と書かれていたと彼女が教えてくれた。美術館を出た後、東京駅八重洲口13階にある「XEX TOKYO」にて、愛さんはドライ・マティーニ、わたしはストロベリー・バジル・マティーニを飲み、東京駅の広大な夜景を見下ろしながら、深更まで語り合い、東京駅で別れた。
■ジョルジュ・スーラ
点描画の祖は、ジョルジュ・スーラ(1859-1891)。岡鹿之助は、ジョルジュ・スーラ『グランド・ジャット島の日曜日の午後』(1884-1886)の筆触分割の手法とどのようにかかわるのか。岡鹿之助の世界はジョルジュ・スーラ『サーカスの客寄せ』(1887-1888)にどこか似ている。
ジョルジュ・スーラの光彩主義は、印象主義に危機をもたらし、モネを追い詰めた。
■「岡鹿之助展」
初期から晩年までの代表作品70点で構成する10年ぶりの大回顧展。
岡鹿之助は劇評家で劇作家でもあった岡鬼太郎の息子である。
2008年4月26日(土)―7月6日(日)
ブリヂストン美術館
http://www.bridgestone-museum.gr.jp/exhibit/index.php?id=71
http://www.bijutsukann.com/toku/bri_oka/oka_shikanosuke.html
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