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2008年7月

2008年7月31日 (木)

川口聖加ソプラノコンサート・・・きみは星に火を灯す、天使の輝き

1_3 7月26日 灼熱の夏の午後、川口聖加ソプラノコンサート、三菱電線本社、新国際ビルに行く。
試聴室の一列目で聴く。川口聖加さんは、歌い始めるまで大きな間をとり、コンセントレーションしている。歌手のすぐ近く、目のまえで聴くと、ソプラニスタの肉声の集中力、内心の悩みが聴こえる。荒々しい潮騒のようである。
歌手の1m以内の至近距離で聴くのは、稀なる体験で、猛夏の午後、美しい歌声に時のたつのを忘れる。
Roseさんにはじめて、コンサートで会う。コンサートのあと、移動して、炭火焼「射虎留」、中華料理「歓迎」にて、宴会である。中華料理店にて、Roseさん、有加さんと話に花が咲き、楽しいひと時でした。有加さんと美術部の活動について話す。
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出演:川口聖加=ソプラノ 古屋かおり=ピアノ
コンサートと同時にその音を生録音し、ライブと再生音の違いや共通点を楽しむ会。
1部: 川口聖加ソプラノコンサート。
2部: 川口聖加さんの解説による「声楽の楽しみ方」
3部: 生録音CDRによる再生音を楽しむ。
曲目
1.カントルーブ作曲 『オーベルニュの歌』より「バイレロ」
2.サティ作曲 「ジュ・トゥ・ヴ」
3.アーン作曲 「クローリスへ」
4.プッチーニ作曲 オペラ『ラ・ボエーム』より「私がひとりで街を行くと(ムゼッタのワルツ)」
5.ホルスト作曲 「ジュピター」英語歌詞版
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川口聖加さんの解説による試聴で聴いた歌では、「All the things you are」にとくに酔いしれる。
★シルヴィア・マクネアーSylvia Mcnair(歌)、アンドレ・プレヴィン(ピアノ)
Jerome Kern作曲「オール・ザシングス・ユー・アー」All the things you are

君こそ、約束の春のキス、
それは、孤独な冬を長く感じさせる。
君は、息つかぬ夕暮れの静寂、
それは、美しい歌の淵に震える。
きみは星に火を灯す、天使の輝き
わたしが知る最も大切なものは、君という存在なのだ。
いつの日か、わが幸せな腕は君を抱き、
そして、何時か、ぼくは素晴らしき時を知る、
それは君の総てが、ぼくのものになる時。
*All The Things You Are (Oscar Hammerstein/Jerome Kern)1939
You are the promised kiss of Springtime
That makes the lonely winter seem long
You are the breathless hush of evening
That trembles on the brink of a lovely song
You are the angel-glow that lights a star
The dearest things that I know are what you are
Some day my happy arms will hold you
And some day I'll know that moment divine
When all the things you are, are mine!
★CD:Sylvia Mcnair『Sure Thing (The Jerome Kern Songbook)』1993録音。
★あなたの好きなスタンダード・ナンバーは何ですか?
 例、ムーン・リバー、A列車で行こう、サマータイム、オン・ザ・サニー・サイド・オブ・ザ・ストリート
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川口聖加さんの許可を得て、画像掲載しています。 http://www.seikakawaguchi.com/index

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2008年7月26日 (土)

「対決 巨匠たちの日本美術」東京国立博物館(1)・・・雪舟の残照の下に

Sesshushuutoutou 7月14日休館日、特別入館した。
対決という趣向だが、巨匠たちの勝負に囚われずに、日本文化史を彩る名作を人のいない博物館でみる。雪舟、永徳、日本文化を作った二大巨匠の絵画を同一の空間で眺めることができるのは稀有な体験である。人のいない博物館で雪舟と永徳をみる時、歴史の彼方から人の息づかいが蘇ってくる。曇りない眼で、藝術そのものが語る真実をみることが大切である。この展覧会で、雪舟と対決させられているのは雪村であるが、雪舟と永徳の対比のほうが重要であろう。
雪舟の幽玄に対して永徳の派手という印象は、実物を眼にすると感じない。雪舟と永徳を比べてみると、類似している要素を感じるのは私だけだろうか。
雪舟『慧可断臂図』(国宝1496年、斉年寺)
雪舟『四季花鳥図屏風』(京都国立博物館)
雪舟『秋冬山水図』(国宝 東京国立博物館)
狩野永徳『聚光院障壁画』(国宝 京都、聚光院)
狩野永徳『檜図屏風』(国宝 東京国立博物館)
■雪舟の残照の下に
雪舟は、十五世紀の画家である(1420-1506)。十五世紀は、イタリア・ルネサンスの盛期である。レオナルド・ダ・ヴィンチ(Leonardo da Vinci:1452年-1519年)とほぼ同時代人である。
雪舟は、四十八才で中国(明)に渡って画を極め、晩年、不滅の傑作を残した。
雪舟は、日本の絵画を一変させ、後世の画家に多大な影響をおよぼした。狩野派が江戸時代、画壇を支配していたが、雪舟を師と仰ぎ、諸大名が雪舟の作品を求めたため、日本最高の画家となった。「涙で描いた鼠」の伝説は名高い。狩野永納『本朝画史』(1693)
雪舟『四季花鳥図屏風』と、永徳『聚光院障壁画』はどこか似ている。狩野永徳が、雪舟の影響を受けたという論証は、探したが、見当たらないようである。
狩野永徳(1543-1590)は、マニエリスムの画家である。時代を圧した狩野永徳の真作は、十作品のみ現存する。桃山前期画壇の頂点に君臨しながらも、描いた作品のほとんどが灰燼に帰した、狩野永徳。
戦乱の中で、織田信長、秀吉、権力者たちの注文を受けて、「怪怪奇奇」(狩野永納『本朝画史』1693)な作品を奔流のごとく生み出した巨人である。大胆な構図、うねるような巨木。日本の一つの美の形を、構築した。
人生の頂点の四十八才で若死にしたのは、権力者の狭間で制作に没頭し、過労であるといわれている。
2名招待されていたので、美術倶楽部のわん太夫さんと一緒に、人の少ない空間で、日本美術史の累々たる名作をみる。
展示替えがあるので、これからまた2回みにいく予定である。
★「対決 巨匠たちの日本美術」2、につづく。
■「対決 巨匠たちの日本美術」東京国立博物館
創刊記念『國華』120周年・朝日新聞130周年
2008年7月8日(火)~8月17日(日)
http://www.asahi.com/kokka/
展示品リスト
http://www.tnm.go.jp/jp/exhibition/special/200807kokka_list.html
雪舟『秋冬山水図』
東京国立博物館「裏庭と池」写真:わん太夫さん

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2008年7月13日 (日)

「コロー 光と追憶の変奏曲」(2)・・夕暮れの光から銀灰色の靄に包まれた思い出の森へ

Corot2008Corot_mortfontene_2大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』より
コローの絵画は、夕暮れの光に包まれるイタリアの風景から銀灰色の靄に変貌する。
コローの絵画は、4期に分かれる。イタリアの風景の時代、フランスの風景の時代、ミューズと女性たちの時代、銀灰色の森の風景の時代。
ジャン・バチスト・カミーユ・コロー(Jean-Baptiste Camille Corot, 1796-1875)は、20世紀初め古典回帰の流れの中で、
17世紀の巨匠ニコラ・プッサン(Nicolas Poussin, 1594-1665)、
クロード・ロラン(Claude Lorrain, 1600-1682)らとともにフランス美術の伝統の正統なる後継者とみなされた。パリの裕福なブルジョワの生まれで、26歳の時、父の許しを得て画家を志し、1825年から三度イタリアへ旅した。
――
ノルマンディーやオーヴェルニュ、ブルターニュ、フランス各地を訪れ、パリ近郊のヴィル=ダヴレーの別荘にしばしば滞在、野外で写生した。旅を愛し、旅に生きた画家は、旅することができなくなった時、人間を描いた。そして、思い出の中に閉じこもり、思い出の風景を描いた。それは思い出の森である。ある意味で不幸なことであったかもしれない。だが、銀灰色の靄に包まれた思い出の森の風景によって、独創的な世界を作り上げた。
――
展示作品の一部
「ティヴォリ、ヴィラ・デステの庭園」1843年ルーヴル美術館
「真珠の女」1858-68年ルーヴル美術館
「青い服の婦人」1874年ルーヴル美術館
「傾いた木」1855-60年、ロンドン・ナショナル・ギャラリー
「モルトフォンテーヌの想い出」1864年ルーヴル美術館
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《展示構成》
第1章 イタリアへの旅
第2章 フランス各地の田園とアトリエ
第3章 パノラマ風景と遠近法的風景
第4章 樹木のカーテン、舞台の幕
第5章 ミューズたちとニンフたち
第6章 「想い出(スヴニール)」と変奏
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19世紀フランスの画家カミーユ・コロー(1796-1875)が生み出した数々の詩情あふれる風景画や人物画は、これまで世界中の芸術家や美術愛好家たちを魅了してきました。しかし意外なことに、その名声と人気にもかかわらず、コローを中心にすえた本格的な展覧会はわが国はもちろん、海外においてもごく稀にしか開催されていません。本展は、ルーヴル美術館所蔵のコローの代表作群を中心に、初期のロマン主義的風景からイタリア留学をへて真摯なレアリスムの時代、独特の煙るような詩的表現で、しだいに思い出や夢のようなヴィジョンを語りだす後期の画面、そして折々に手がけられた繊細な人物画の数々を集大成し、コロー芸術の魅力と秘密を再検証するものです。さらに国際的にも初の試みとして、印象派からキュビストまで、コローの芸術に深い影響を受けた画家たちの作品をあわせて展示いたします。
美術史上におけるその存在の大きさとは裏腹に、決して声高に自己の芸術の革新性を主張することはなかったコロー。ルノワールやシスレー、ブラックなどの作品もまじえ、油彩画・版画110余点が一堂に会する貴重なこの機会にひととき耳を澄まし、彼の作品が持つ本質的な「近代性(モデルニテ)」の響きをお聴きいただければ幸いです。
――
★ 「コロー 光と追憶の変奏曲」国立西洋美術館
2008年6月14日(土)~8月31日(日)
https://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/past/2008_212.html

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2008年7月12日 (土)

「コロー 光と追憶の変奏曲」・・・夕暮れの光に包まれるイタリアの風景

Corot_villa_deste_0Corot_mortfontene大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』より
夕暮れの光に包まれたイタリアの風景が美しい。ジャン・バティスト・カミーユ・コロー(1796-1875)は、三度、イタリアに旅した。地中海の光に満ちたイタリアの風景に魅了された。旅する画家コローは、旅の風景の中に、なつかしい光景を描いた。夕暮れの光に包まれた美しいイタリアの風景は、ノスタルジアを感じる。この時期のコローは、クロード・ロランの絵に似ている。クロード・ロランは、イタリアの夕暮れの風景をえがき、イタリアで生涯を終えた。
プッサン、クロード・ロラン、コロー。イタリアの美に魅せられた画家である。
糸杉に囲まれた丘、午後の光を浴びるバルコニー、夕暮れの光に包まれるイタリア。魂を魅了する美の国。
――
コロー「ティヴォリ、ヴィラ・デステの庭園」1843年ルーヴル美術館。
★「コロー 光と追憶の変奏曲」国立西洋美術館
http://www.corot2008.jp/
★あなたの好きなイタリアの風景は何ですか?

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2008年7月 8日 (火)

友人がイタリアで個展・・・ミラノ、モンテナポレオーニ通りにて

Invito2bmostra2bmilano_2 友人がイタリアで個展をひらきます。ミラノ、モンテナポレオーニ通り、Angelo Fuscoにて。
岩崎祐子。現在、ブエノス・アイレス在住。大学の後輩です。仏文卒。以前はイタリアに住んでいました。 モンテナポレオーニ通りは、有名な高級ブランド街です。
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聖なる森Sacred Grove
Viva fuy in Sylvis;
sum dura occisa securi;
Dum vixi, tacui,
mortua dulce cano
わたしは森に静かに住んでいたが
ある日、残酷な斧で殺されてしまった
生きているあいだは口がきけなかった
死んでからは美しい歌をうたい続ける
   ガスパール・ティーフェンブルッカー
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彼女のブログは、ここです。
http://yukoiwasaki.blogspot.com/
★ミラノに行かれる方は、ギャラリーをご訪問下さい。
私にメッセージを下さい。彼女にメール送ります。
presso Angelo Fusco
Via Montenapoleone 25 Milano
dal 12 al 31 luglio 2008
orario
11:00~13:30
16:00~19:00
画像は、ご本人の許可を得て掲載しています。

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