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2008年7月13日 (日)

「コロー 光と追憶の変奏曲」(2)・・夕暮れの光から銀灰色の靄に包まれた思い出の森へ

Corot2008Corot_mortfontene_2大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』より
コローの絵画は、夕暮れの光に包まれるイタリアの風景から銀灰色の靄に変貌する。
コローの絵画は、4期に分かれる。イタリアの風景の時代、フランスの風景の時代、ミューズと女性たちの時代、銀灰色の森の風景の時代。
ジャン・バチスト・カミーユ・コロー(Jean-Baptiste Camille Corot, 1796-1875)は、20世紀初め古典回帰の流れの中で、
17世紀の巨匠ニコラ・プッサン(Nicolas Poussin, 1594-1665)、
クロード・ロラン(Claude Lorrain, 1600-1682)らとともにフランス美術の伝統の正統なる後継者とみなされた。パリの裕福なブルジョワの生まれで、26歳の時、父の許しを得て画家を志し、1825年から三度イタリアへ旅した。
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ノルマンディーやオーヴェルニュ、ブルターニュ、フランス各地を訪れ、パリ近郊のヴィル=ダヴレーの別荘にしばしば滞在、野外で写生した。旅を愛し、旅に生きた画家は、旅することができなくなった時、人間を描いた。そして、思い出の中に閉じこもり、思い出の風景を描いた。それは思い出の森である。ある意味で不幸なことであったかもしれない。だが、銀灰色の靄に包まれた思い出の森の風景によって、独創的な世界を作り上げた。
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展示作品の一部
「ティヴォリ、ヴィラ・デステの庭園」1843年ルーヴル美術館
「真珠の女」1858-68年ルーヴル美術館
「青い服の婦人」1874年ルーヴル美術館
「傾いた木」1855-60年、ロンドン・ナショナル・ギャラリー
「モルトフォンテーヌの想い出」1864年ルーヴル美術館
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《展示構成》
第1章 イタリアへの旅
第2章 フランス各地の田園とアトリエ
第3章 パノラマ風景と遠近法的風景
第4章 樹木のカーテン、舞台の幕
第5章 ミューズたちとニンフたち
第6章 「想い出(スヴニール)」と変奏
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19世紀フランスの画家カミーユ・コロー(1796-1875)が生み出した数々の詩情あふれる風景画や人物画は、これまで世界中の芸術家や美術愛好家たちを魅了してきました。しかし意外なことに、その名声と人気にもかかわらず、コローを中心にすえた本格的な展覧会はわが国はもちろん、海外においてもごく稀にしか開催されていません。本展は、ルーヴル美術館所蔵のコローの代表作群を中心に、初期のロマン主義的風景からイタリア留学をへて真摯なレアリスムの時代、独特の煙るような詩的表現で、しだいに思い出や夢のようなヴィジョンを語りだす後期の画面、そして折々に手がけられた繊細な人物画の数々を集大成し、コロー芸術の魅力と秘密を再検証するものです。さらに国際的にも初の試みとして、印象派からキュビストまで、コローの芸術に深い影響を受けた画家たちの作品をあわせて展示いたします。
美術史上におけるその存在の大きさとは裏腹に、決して声高に自己の芸術の革新性を主張することはなかったコロー。ルノワールやシスレー、ブラックなどの作品もまじえ、油彩画・版画110余点が一堂に会する貴重なこの機会にひととき耳を澄まし、彼の作品が持つ本質的な「近代性(モデルニテ)」の響きをお聴きいただければ幸いです。
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★ 「コロー 光と追憶の変奏曲」国立西洋美術館
2008年6月14日(土)~8月31日(日)
https://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/past/2008_212.html

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コメント

コローの銀灰色の森の風景、好きです。
銀灰色、燻った色と思っていましたが、全然違って素晴らしいです。
本物の絵を見たいと思いました。

女性像のお顔はレオナルド・ダ・ビンチの描くお顔に似てますね。
レオナルドさんの好みのお顔なんですね。

投稿: | 2008年7月17日 (木) 00時45分

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