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2008年10月 1日 (水)

「ジョン・エヴァレット・ミレイ展」・・・極美の世界、人間の儚さと死

John_everett_millais_9c ジョン・エヴァレット・ミレイ(1829-1896年)の代表作を80点網羅した画期的な美術展。これだけミレイの作品をみる機会は2度とないだろう。千歳一遇の展覧会である。
■自然と女性美の詩的表現、人間の儚さと死
ミレイは、自然と女性美の詩的表現、人間の儚さと死を、生涯にわたって追求した藝術家である。
描かれるのは「早すぎる死」「美しいが、不幸な女」である。
私が最も美しく感じ好きなのは、「オフィーリア」「マリアナ」「姉妹」「名残りの薔薇」の4点である。
■美しくて不幸な女
考えてみると、「飽食で、傲慢で、幸福な女は、醜い」ということを身をもって実感する絵画である。
名画は「美しい女が、不幸で、逆境に会うこと」を描くものである。藝術は、「美しくて不幸な女」を描く。文学でも、絵画でも、映画でもそうである。
■画中に詩あり
シェイクスピア「マリアナ」「オフィーリア」、トマス・ムーア「名残りの薔薇」他、詩を絵にしている作品が多い。絵画となった詩である。
■美女の絵に埋め尽くされている
美術マニアは、美人マニアである。これだけ美女の絵に満ちている絵画展は、めずらしい。
「ラファエル前派 Pre-Raphaelitism」「ファンシー・ピクチャー Fancy Pictures」のセクションには、美女の絵に埋め尽くされている。
だが、晩年の「スコットランド風景 Scottish Landscapes」の部も、無常観にみちていて美しい。
初期、中期の繊細で緻密な筆致の作品から、後期のヴェラスケス、レンブラント風の荒い筆使いまで、全生涯にわたる傑作を集めた展覧会。必見。
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■「英国ヴィクトリア朝絵画の巨匠、ジョン・エヴァレット・ミレイ展」
2008年8月30日(土)-10月26日(日)Bunkamuraザ・ミュージアム
オフィーリアよ永遠に
 19世紀の英国を代表する画家、ジョン・エヴァレット・ミレイ(1829~96年)の10代から晩年までの広い範囲の作品により、 画業の全容を紹介する本格的な回顧展。ロンドンのテート・ブリテンで2007年9月から始まった本展は、イギリスでも1898年に開催された回顧展以来、初めてのミレイの大規模回顧展である。今春、アムステルダムのゴッホ美術館で開催された後、日本に巡回。
 ミレイは、早くから天才の誉れが高く、1840年には11歳という史上最年少でロイヤル・アカデミーの美術学校への入学を許可された。 しかし、美術学校の授業や古い慣習に不満を抱き、1848年秋にダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ、ウィリアム・ホルマン・ハントらと「ラファエル前派兄弟団」を結成。革新的芸術運動の中心的役割を担い、注目を浴びる。 67歳で亡くなるまで、唯美主義的作品、子供を主題とした作品、肖像画、風景画など、新たな技法を探求しながら、幅広いジャンルの作品を手がけたミレイは、当時のヨーロッパで最も人気のある画家の一人となった。そして、1896年、亡くなる直前にはロイヤル・アカデミーの会長に選ばれた。
 本展は、今年が日英修好通商条約調印150年にあたるUK-Japan2008の公認イベントであり、代表作「オフィーリア」、「両親の家のキリスト」、「マリアナ」など、テート・ブリテンをはじめ、英国内外の主要コレクションから、油彩、素描など約80点を展示。シェイクスピアの「ハムレット」のヒロインを題材にした『オフィーリア』は、テート・ブリテンでも最も人気の高い作品の一つ。
構成
Ⅰ ラファエル前派 Pre-Raphaelitism
Ⅱ 物語と新しい風俗 Romance and Modern Genre
Ⅲ 唯美主義 Aestheticism
Ⅳ 大いなる伝統 The Grand Tradition
Ⅴ ファンシー・ピクチャー Fancy Pictures
Ⅵ 上流階級の肖像 Society Portraits
Ⅶ スコットランド風景 Scottish Landscapes
http://www.asahi.com/millais/

★あなたなら、美しくて不幸な女か、幸福な醜い女か、どちらを選びますか?
John_everett_millais_20080830Millet_ga_05_2

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イギリス美術」カテゴリの記事

コメント

TBありがとうございました。
このような素晴らしい展覧会をまた見たいものだと思っています。
こちらからもTBさせていただこうとしたのですが、
何故か上手く行きませんでした。
今後とも、よろしくお願いいたします。

投稿: lapis | 2008年12月30日 (火) 20時31分

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受信: 2008年10月 5日 (日) 23時08分

» ジョン・エヴァレット・ミレイ展 @BUNKAMURA [Art & Bell by Tora]
 ジョン・エヴァレット・ミレイ (1829-96、自画像↓) は、ロセッティやハントとともに「ラファエル前派兄弟団」の創立メンバーであるため、展覧会ではラファエル前派の一員として登場することが多い。  手元にある1993年の「珠玉の英国絵画展ーマンチェスター市立美術館所蔵」、1998年の「テート・ギャラリー展」や2000年の「ラファエル前派展」の図録はもとより、「Tate Gallery-an illustrated companion(日本語版)」でもそのように扱われている。  しかし、ミ... [続きを読む]

受信: 2008年10月21日 (火) 19時47分

» ジョン・エヴァレット・ミレイ展 [カイエ]
ミレーのオフェリヤも、こう観察するとだいぶ美しくなる。何であんな不愉快な所を択(えら)んだものかと今まで不審に思っていたが、あれはやはり画(え)になるのだ。                                          (夏目漱石『草枕』) 「ジョン・エヴァレット・ミレイ展」にようやく行くことが出来た。ミレイの『オフィーリア』は、最も好きな絵の一つなので、彼女との再会はとてもうれしい。この展覧会は、以下のような構成となっている。 Ⅰ ラファエル前派 Pre-Raphaeli... [続きを読む]

受信: 2008年10月22日 (水) 09時13分

» 「ジョン・エヴァレット・ミレイ展」 [弐代目・青い日記帳 ]
Bunkamuraザ・ミュージアムで開催中の 英国ヴィクトリア朝絵画の巨匠「 ジョン・エヴァレット・ミレイ展」プレスプレビュー及び内覧会にお邪魔して来ました。 掲載している写真は主催者の許可を得て撮影したものです。 数あるUK-JAPAN 2008公認イベントの中で最も楽しみにしていたのが「ミレイ展」。「オフィーリア」にまた会えるだけでもドキドキし空を歩むような毎日。「対決展」に「フェルメール展」「源氏物語展」そしてこの「ミレイ展」息つく暇なく超一級作品群を携えた展覧会が立て続... [続きを読む]

受信: 2008年10月26日 (日) 13時44分

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