「大琳派展―継承と変奏」東京国立博物館・・・絢爛たる装飾藝術、16世紀から18世紀
大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』より
木犀の香り漂う森、ゆりの木の下で友人と待ち合わせて、満開の金木犀香る庭を歩き、博物館へ行く。
光琳「燕子花図屏風」等、琳派の傑作群を、観る。「尾形光琳生誕350周年記念大琳派展」である。
宗達・光悦から、光琳・乾山、抱一・其一にいたる、三世代、6人の作品を比較展示して、琳派の絢爛たる日本美の世界観を展観する。
門外不出の傑作の数々で華麗な琳派の世界を楽しめる。
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三つの世代の間には互いに100年の歳月の隔たりがある。
★琳派
琳派は、光琳が宗達、光悦を私淑し、抱一が光琳を私淑し、憧れの時代の文化に影響を受けている。琳派に師弟関係はない。
「俵屋宗達・本阿弥光悦」16世紀
「尾形光琳・尾形乾山」17世紀
「酒井抱一・鈴木其一」18世紀
三世代、百年ずつ時代を隔て継承された琳派の特徴は、装飾藝術である。
背景に金銀箔を用い、大胆な構図、型紙を用いた繰り返し、卓越したデザイン、たらしこみ等の技術が有名である。
富裕層の富裕層による富裕層のための藝術世界である。琳派の限界は何か。琳派の藝術は美しいが、装飾藝術ゆえの普遍性と限界が存在する、と思う。
三島由紀夫は宗達「舞楽図」について「剛毅な魂と繊細な心とが、対立し、相争うたまま、一つの調和に達してゐる。装飾主義をもう一歩といふところで免かれた危険な作品。芸術品といふものは、実はこんな危険な領域にしか、本来成立しないものだ」と、評している。
★華麗なる日本美の世界
2004年に東京国立近代美術館「琳派 RIMPA」、今年夏は「対決、巨匠たちの日本美術展」で「宗達vs光琳」を見た。
「大琳派展」は、史上最大の「琳派展」である。
「対決、巨匠たちの日本美術展」2008で展示された、雪舟、永徳、
「北斎展」東京国立博物館」、2005年
「ボストン美術館、肉筆浮世絵展 江戸の誘惑」江戸東京博物館、2006年
「日本美術院100年展」1998年、
これを見ると、日本美術の偉大な歴史が、展観できる。
★宗達、光琳、抱一、其一「風神雷神図屏風」勢ぞろい
宗達が原画、宗達の最高傑作といわれ、三島由紀夫は「奇抜な構図」と絶賛した。
2008年10月28日以降、宗達、光琳、抱一、其一が描いた4つの『風神雷神図屏風』が勢揃いする。
2006年、出光美術館で三人の絵師による「風神雷神図屏風」が同時に展示公開されたことはあるが、琳派を代表する絵師四人がそれぞれ手掛けた「風神雷神」が一堂に会するのは史上初。
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★展示作品の一部、門外不出の名作、必見。
宗達「白象図、唐獅子図杉戸」「唐獅子図、波に犀図杉戸」京都・養源院、
本阿弥光悦作「赤楽茶碗 銘 峯雲」「黒楽茶碗 銘 雨雲」
光琳「燕子花図屏風」六曲二隻屏風、10月19日まで。
光琳「波図屏風」二曲一隻屏風、メトロポリタン美術館Metropolitan Museum、2本の筆を同時に持って描いた。必見。
光悦「八橋蒔絵螺鈿硯箱」
宗達「槇楓図屏風」、光琳「槇楓図屏風」
乾山「吉野山透かし彫り反鉢」
其一「三十六歌仙図」
抱一「波図屏風」六曲一隻屏風、静嘉堂文庫
抱一「夏秋草図屏風」、抱一が「風神雷神以上に心血を注いだ。
抱一「紅白梅図屏風」、
抱一「青楓赤楓図屏風」、個人蔵、滅多に見られない逸品。必見。
其一「群鶴図屏風」Feinberg Collection。必見。
其一「夏秋渓流図屏風」(11/5~)
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★「大琳派展 ―継承と変奏―」尾形光琳生誕350周年」東京国立博物館 2008年10月7日-11月16日
国宝を含む絵画、工芸、書跡約200点が出品。
http://www.rinpa2008.jp/
http://info.yomiuri.co.jp/event/01001/200805026307-1.htm
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