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2008年12月17日 (水)

「琳派から日本画へ」山種美術館・・・宗達と御舟の饗宴

Rinpa200811_3Kayama_matazou_senbazuruMeijuchiritubaki大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』より
秋深まる夕暮れ、錦秋の千鳥ヶ淵公園を歩いて、山種美術館に行く。
俵屋宗達「槇楓図屏風」(17世紀)と速水御舟「名樹散椿」が並べられている。御舟は宗達に優るとも劣らない。改めて仔細にみると、椿は細密画で描かれていて緻密である。平塚美術館の御舟の展覧会を思い出した。艶やかな五色の椿の花、幹と枝ぶり、花開く前の蕾、散った花びら、緻密な写実にもとづく細密画である。象徴と写実の美しい融合である。三百年の時を隔ててならぶ名画は美しい。速水御舟(1894-1935)、35歳の作である。向かいに下村観山「老松白藤」がある。星のごとく煌めく数々の名画にうっとりとする。美の極致である。華やかなオーラに包まれる展覧会である。
――
★展示作品の一部
俵屋宗達(絵)・本阿弥光悦(書)「新古今集鹿下絵和歌巻断簡」
俵屋宗達(絵)・本阿弥光悦(書)「四季草花下絵和歌短冊帖」17点、
本阿弥光甫「白藤図」「牡丹図」、
酒井抱一「飛雪白鷺」「菊小禽」、鈴木其一「四季花鳥図」、
下村観山「老松白藤」、前田青邨「大物浦」、
速水御舟「名樹散椿」、1929(昭和4)紙本金地・彩色・屏風(二曲一双)、「白芙蓉」
菱田春草「月四題」4幅、
奥村土牛「犢)」、福田平八郎「彩秋」、荒木十畝「四季花鳥」(春夏秋冬)、
東山魁夷「満ち来る潮」(壁画)
ほか約40点。
来年は、「加山又造展」2009年1月21日(水)~3月2日(月)国立新美術館、「速水御舟展」2009年10月1日(木)~11月29日(日)山種美術館、楽しみである。
――
近年、「琳派」に関連した展覧会が各地で開催され、日本美術を代表する芸術として一般にも広く知られ、親しまれるようになりました。その絢爛豪華な様式美、斬新な意匠美、そしておおらかな水墨画は多くの鑑賞者を惹きつけています。
「琳派」は、17世紀の俵屋宗達(たわらやそうたつ)、本阿弥光悦(ほんあみこうえつ)にはじまり、やがて尾形光琳(おがたこうりん)や乾山(けんざん)へ、そして、江戸後期には酒井抱一(さかいほういつ)、鈴木其一(すずききいつ)らが先達の技法を倣う「私淑」という形で受け継がれてきました。20世紀に入って、宗達の再発見と研究の深化により、さらに高く評価されるようになりました。明治、大正、昭和の何度かのブームを経た後、1970年代以降に光琳の「琳」を冠した「琳派」という名称が一般的に定着しました。
琳派の作風や画法は、近代の研究熱心な画家たちに多くの影響を与えています。今回出品される下村観山(しもむらかんざん)《老松白藤》、速水御舟(はやみぎょしゅう)《名樹散椿》の華麗で装飾的な作風の屏風は鈴木其一《四季花鳥図》に通じるものがあり、前田青邨(まえだせいそん)《蓮台寺の松陰》、奥村土牛(おくむらとぎゅう)《犢》などに見られる「たらし込み」の技法は、琳派の画家たちが好んで使用した、宗達が創案した水墨画の技法です。このように、近代の画家が琳派をどのように作品に活かしているか、という視点で鑑賞するのも楽しいでしょう。本展では、脈々と続く日本画の伝統の中に見出される美を堪能していただけたら幸いです。
――
★ 「琳派から日本画へ-宗達・抱一・御舟・観山-」山種美術館2008年11月8日(土)~12月25日(木) http://www.yamatane-museum.or.jp/index.html 

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コメント

こんばんは。TBありがとうございました。
宗達と御舟の並びは迫力ありましたね。
平塚の回顧展では確か下絵も出ていたかと思いますが、
久々に本画を見られてまた感銘しました。

投稿: はろるど | 2008年12月17日 (水) 22時03分

こんばんは。
通いなれた山種美術館も、終わりに
近づき、ますます充実して、ため息が
出そうな。素晴しい絵がいっぱい!

宗達と御舟、その前に下村観山
豪華でした。

投稿: すぴか | 2008年12月18日 (木) 22時08分

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