「三瀬夏之介展~冬の夏~」佐藤美術館・・・現代の奇想派
画家三瀬夏之介さんと山本冬彦さんのギャラリートークがあり、佐藤美術館に行く。対談の内容は「作家とコレクター」である。
山本さん「画家は、売れなくても自分が作りたい作品を作っていくか、売れる作品を作る富裕な藝術家になるか、そのどちらかである。」
三瀬さん「画家だけでは不安なので、教員の仕事をしているが、仕事をしているそこから学ぶものがある。生活の資をそこから得ているので、時代に合わせずに何とかやって行ける」
画家は、孤高の画家を貫いて生きるか、村上隆のように流行画家になるか、いずれか二者択一だという山本冬彦さんの結論はその通りである。作家とコレクター、画廊を、藝術家とパトロン、哲学者と支持者、と考えると、さまざまな文化に応用可能である。
■画家との対話
「山本冬彦コレクション展」ギャラリー椿に移動して、ここで三瀬夏之介さんと話した。
私は速水御舟が好きなので、好きな画家はだれですか。と聞くと、
「速水御舟は好きではなく、蕭白が好きです。曽我蕭白、伊藤若冲、川鍋暁斎、ほか京都の画家が好きです。」
日本画の技法は、鉱物を画面に膠で定着するので、フレスコ画、フェルメールのラピスラズリなど、西洋の古典的絵画の技法と似ていますね、と聞く。
「日本画は、日本画という名前ですが、今、顔料は日本で産出せずアフガニスタンなど海外から輸入しているのです。」
曽我蕭白『群仙図屏風』に話が及んだ。そういえば、三瀬夏之介氏の絵は、曽我蕭白に似ている。私の『地中海紀行』の資料を渡すと、フィレンツェが好きだ、と言っていた。三瀬夏之介は、現代の奇想派である。
「歴史を知らなければ何の文化も生み出せない。」三瀬夏之介
★【アートソムリエ 山本冬彦氏とトーク&ギャラリークルーズ!】
1月31日(土)13‐16時、佐藤美術館、ギャラリー椿
「ぼくの神さま」2008年4.25、250cm×545cm
「日本画滅亡論」2007年
「日本画復活論」2007年
「奇景」2003年-2008年、三十四曲一隻屏風
3階、4階合わせて出品総点数は130点以上。
★佐藤美術館、立島惠氏にお世話になりました。
シナプスの小人
http://www.natsunosuke.com/index.html
三瀬夏之介
http://blog.livedoor.jp/kikei1973/
「三瀬夏之介展~冬の夏~」佐藤美術館2009年1月15日(木)~2月22日(日)
http://homepage3.nifty.com/sato-museum/index.html
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70年代生まれの日本画作家のなかで現在最も注目されている三瀬夏之介の個展を佐藤美術館において開催します。
三瀬は、奈良に生まれ奈良で育ちそして京都市立芸術大学及び大学院で学びました。2002年トリエンナーレ豊橋で大賞を受賞、その後は文化庁作品買上や国内外多数の展覧会への出品等、今や日本画の世界だけでなく美術界全体から注目される存在となりつつあります。そして一昨年は、一年間イタリア、フィレンツェに渡り、また昨年は大原美術館のアーティストインレジデンスに参加するなどその活動はますます幅を広げ且つ精力的になっています。
三瀬の作品の変遷は大きく分けて3つの段階を経て今日に至っています。先ず、錆(緑青)を表現素材として用いた作品、箔(金箔)を多用した風景(山など)。そして現在取り組んでいるのは墨を主に用いたモノクロームの大作です。和紙に描くということ、箔や墨を用いるということだけ取って見れば日本画と言えないことはありませんが、三瀬の作品はいわゆる既存の日本画のイメージとは大きくかけ離れています。
作品のモチーフは、日本の山々、聖堂などの西洋建築物からネッシー、大魔神、円盤に至るまでありとあらゆるものが対象となり更には描くだけにとどまらずコラージュを施されている作品もあります。また、大作は膨大な量のスケッチの切れ端を繋ぎ合わせるという作業の積み重ねからつくられます。それは、まさに自らの記憶の断片をひとつひとつ繋ぎ合わせ再構築するかのような精神作業を伴い、まさに圧巻としか言いようのない迫力で訴え見るものを魅了します。
本展は、三瀬のイタリアでの多くの思索そして帰国後の表現の蓄積からなる最近作を一挙に展示公開いたします。
いままで見たこともないような日本画、三瀬夏之介の表現世界をどうぞこの機会に是非ご覧下さい。
★画像は、佐藤美術館の許可を得て使用しています。
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コメント
はじめまして
TBをありがとうございました。
このトークショーも行きたかったのですが、
時間が合わずに断念しました。
こちらの記事で雰囲気が感じられました。
ありがとうございます。
投稿: lysander | 2009年2月 3日 (火) 23時49分
こんばんは。
「現代の奇想派」になるほどと思いました。
三瀬さんが曽我蕭白がお好きというのも
深く頷けます。
私は初めて知る作家さんだったのですが、
本当にインパクトのある個展でした。
投稿: YC | 2009年2月19日 (木) 23時17分