« ルーヴル美術館展 美の宮殿の子どもたち 国立新美術館・・・愛の神、エロス | トップページ | 国立トレチャコフ美術館展 忘れえぬロシア・・・帝政末期、移動派の画家、イワン・クラムスコイ『忘れえぬ女』 »

2009年5月24日 (日)

ルーヴル美術館展 17世紀ヨーロッパ絵画・・・バロックの世紀、17世紀

Louvre2009大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』より 
緑深い五月、森の緑陰を歩いて、美術館に行く。17世紀ヨーロッパ絵画は、イタリア・バロック、カラヴァッジョの影響の下に展開した。
イタリアは、カラヴァッジョ、カラッチの時代である。
■17世紀ヨーロッパの巨匠は、スペイン:ベラスケス、フランドル:ルーベンス、ヴァン・ダイク、ロレーヌ:ラ・トゥール、オランダ:レンブラント、フェルメール、ハルス、ロイスダール、フランス:プッサン、クロード・ロラン。オランダ絵画の黄金時代を迎えた。
■カラヴァッジョ(Michelangelo Merisi da Caravaggio:1571-1610)、カラヴァッジョ派の特徴は明暗の対比、闇の様式である。その影響が、ジョルジュ・ド・ラ・トゥール、レンブラント、初期フェルメールに濃厚に存在する。クロード・ロランは、イタリア・バロック古典主義アンニバーレ・カラッチ(Annibale Carracci:1560-1609)の風景画に影響を受けた。
フェルメール「レースを編む女」は、静かな室内で手紙を読み、物思いに耽る女性を描いたフェルメールの一連の作品、17世紀オランダ風俗画の代表作。右手下に置かれた小さな書物は聖書であり、レース編みが女性の勤勉さを象徴する。光のある空間、一瞬の中の永遠を表現している。
ジョルジュ・ド・ラ・トゥール「大工ヨセフ」幼子キリストがもつ蝋燭がただ一つの光源である。炎の光はキリストの顔を照らし出し幼子の左手を透かして観る者に届く。光と闇の空間が、一本の蝋燭によって照らされる。静寂と神秘にみちた世界である。
カルロ・ドルチ「受胎告知 天使」は天使の甘美な美しさを湛えている。閉館後の美術館、時のたつのを忘れて若い女性がうっとりと見惚れている。魂を魅せられている。
■展示作品
Ⅰ.「黄金の世紀」とその陰の領域
フランス・ハルス「リュートを持つ道化師」1624年頃
ル・ナン兄弟「農民の家族」
フェルメール「レースを編む女」1669年−1670年頃、油彩・カンヴァス(板に貼付)24cm × 21cm
フランス・プルビュス(子)「マリー・ド・メディシスの肖像」1610年
Ⅱ.旅行と「科学革命」
クロード・ロラン「グリュセイスを父親のもとに返すオデュッセウス」1644年
ディエゴ・ベラスケスとその工房「王女マルガリータの肖像」1654年
ペーター・パウエル・ルーベンス「ユノに欺かれるイクシオン」1615年頃
ヨアヒム・ウテワール「アンドロメダを救うパルセウス」1611年
Ⅲ.「聖人の世紀」、古代の継承者
シモン・ヴェーエ「エスランの聖母」1640-50年頃
カルロ・ドルチ「受胎告知 天使」1653-55年頃
カルロ・ドルチ「受胎告知 聖母」1653-55年頃
ジョルジュ・ド・ラ・トゥール「大工ヨセフ」1642年頃
バルトロメ・エステバン・ムリーリョ「6人の人物の前に現れる無原罪の聖母」1662-65年頃
ウィレム・ドロスト「バテシバ」1654年
ヤーコプ・ヨルダーンス「4人の福音書記者」1625-30年頃
グェルチーノ「ペテロの涙」1647年
■17世紀は、肖像画、風俗画、静物画、風景画、あらゆる分野の絵画が豊饒に実る黄金の世紀である。
とらさんの「Art & Bell by Tora」によると「黄金の世紀は、革命の時代であり、経済の革命、芸術の革命、信仰の革命(キリスト教内部)が同時に進行し、ヨーロッパに均衡と調和を齎した古典時代であったが、20世紀以降の現代は、変動・紛争・対立の時代である。その両者を比較し、考察することがこの展覧会の目的」である。
http://cardiac.exblog.jp/10424751/
――――――――――
「黄金の世紀」と呼ばれる17世紀ヨーロッパは、レンブラント、ベラスケス、フェルメール、ルーベンス、プッサン、ラ・トゥールといった優れた画家を、綺羅星のごとく輩出しました。本展ではこれらの画家の作品をはじめ、ルーヴル美術館が誇る17世紀絵画の傑作を展示いたします。
華やかな宮延文化が栄えた17世紀は、貧困や飢餓といった陰の領域、大航海時代、科学革命と富裕な市民階級の台頭、かつてないほどの高まりをみせた聖人信仰など実に多様な側面をもっています。それらは画家たちの傑出した才能と結びつき、数々の名作を生みました。本展は17世紀の絵画を通じ、様々な顔をもつこの時代のヨーロッパの姿を浮かび上がらせようという意欲的な試みでもあります。フェルメールの名作《レースを編む女》をはじめ、出品される71点のうち、およそ60点が目本初公開。さらに30点あまりは初めてルーヴル美術館を出る名品です。まさに「これぞルーヴル」、「これぞヨーロッパ絵画の王道」といえる作品群を堪能していただく貴重な機会となることでしょう。
★「ルーヴル美術館展 17世紀ヨーロッパ絵画」国立西洋美術館
2月28日(土)~6月14日(日)
http://www.ntv.co.jp/louvre/
★★★★★★★★★★

ルーヴル美術館展、17世紀ヨーロッパ絵画・・・図像学の講義。クリュセイスを探す

|

« ルーヴル美術館展 美の宮殿の子どもたち 国立新美術館・・・愛の神、エロス | トップページ | 国立トレチャコフ美術館展 忘れえぬロシア・・・帝政末期、移動派の画家、イワン・クラムスコイ『忘れえぬ女』 »

バロック」カテゴリの記事

コメント

突然のコメント失礼致します。
失礼ながら、相互リンクしていただきたくて、コメントさせていただきました。
http://sirube-note.com/painter/

もしよろしければ、こちらのページから相互リンク登録していただけましたら幸いです。
http://sirube-note.com/painter/link/register/
今後ともよろしくお願い致します。
dMpZRbSU

投稿: sirube | 2009年5月24日 (日) 08時50分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ルーヴル美術館展 17世紀ヨーロッパ絵画・・・バロックの世紀、17世紀:

» 渡鬼の野村真美のヌード [渡鬼の野村真美のヌード]
渡鬼の野村真美のヌード [続きを読む]

受信: 2009年5月24日 (日) 06時35分

» ルーヴル美術館展 国立西洋美術館 (その1) [すぴか逍遥]
ルーヴル美術館展ー17世紀ヨーロッパ絵画― に行ってきました。 (2009/3/6) 金曜日それも朝からの雨、それでも友人3人で連れ立って上野へ、着いたら人の波どこへ? もちろん西洋美術館でした。まだ10時前、続々とつめかけて、中はもうかなりの人で混雑、 それで音声ガイドを借りて、もうゆっくりと見ることにしました。       チラシ差し替えました。 この絵はレンブラントの《縁なし帽をかぶり、金の鎖をつけた自画像》です。 ?.「黄金の世紀」とその陰の領域 ?.旅行と「科学革命」 ?.「聖人の世紀... [続きを読む]

受信: 2009年5月24日 (日) 16時25分

» 「ルーヴル美術館展」 [弐代目・青い日記帳 ]
国立西洋美術館で開催される 「ルーヴル美術館展 17世紀ヨーロッパ絵画」の報道内覧会にお邪魔して来ました。 ルーヴル美術館展 公式サイト (展覧会会場内の様子を撮影した画像はこの記事の一番下にあります) (またこちらの記事に展覧会出展全作品画像付きリストがあります) 展覧会を観終えた後、普段であれば気分が高揚し「凄い、凄い」と念仏を唱えるかのようにつぶやいている自分ですが、今回はどうも様子がおかしい。 日本初公開となる、大好きなヨハネス・フェルメールの「レースを編む女... [続きを読む]

受信: 2009年5月24日 (日) 20時54分

» 「ルーヴル美術館展 17世紀ヨーロッパ絵画」 国立西洋美術館 [はろるど・わーど]
国立西洋美術館(台東区上野公園7-7) 「ルーヴル美術館展 17世紀ヨーロッパ絵画」 2/28-6/14 感想が遅くなりましたが、珍しくも初日に参戦してきました。国立西洋美術館で開催中の「ルーヴル美術館展 17世紀ヨーロッパ絵画」へ行ってきました。 副題の通り、ルーヴル所蔵の17世紀絵画(約70点)を俯瞰する展覧会です。うち60点が日本初公開とのことで、毎年の如く開催されるルーヴル展に食傷気味な方も、また新鮮であったのではないでしょうか。以下、惹かれた10点を挙げてみました。 アンブロシ... [続きを読む]

受信: 2009年5月25日 (月) 21時27分

» ルーブル美術館展--17世紀ヨーロッパ絵画 [こすもす]
金曜日の夜間開館だと言うのに人の波が続く。 夕方6時だというのに「60分待ち」・ [続きを読む]

受信: 2009年6月 7日 (日) 17時54分

« ルーヴル美術館展 美の宮殿の子どもたち 国立新美術館・・・愛の神、エロス | トップページ | 国立トレチャコフ美術館展 忘れえぬロシア・・・帝政末期、移動派の画家、イワン・クラムスコイ『忘れえぬ女』 »