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2009年10月

2009年10月20日 (火)

古代カルタゴとローマ展 きらめく地中海文明の至宝・・・地中海の多様な文化の様式

Cartago_venus_2009 秋の夕暮、美術館に行く。有翼日輪、スフィンクス、愛と美の女神アフロディーテ、エロスとプシュケ、戦いの女神ミネルヴァ、水浴するヴィーナス、化粧するヴィーナス。地中海の多彩な図像がある。カルタゴはエジプト、ギリシア、ローマ帝国、地中海の多様な様式が融合する文化空間である。カルタゴは紀元前9世紀に建国、名将ハンニバルが戦った第2次ポエニ戦争をへて紀元前146年滅亡する。紀元前1世紀ローマ帝国により復興、ローマ、アレクサンドリアに次ぐローマ帝国第三の都市となり繁栄する。ローマ建築の床と壁を彩るモザイクに、古代カルタゴの追憶が蘇る。フェリーニ監督『サテリコン』のローマ貴族の庭を思い出す。
■展示作品
第一章 地中海の女王カルタゴ
有翼女性神官の石棺BC3世紀:カルタゴのネクロポリスから出土した大理石製の石棺。棺の形式はエジプト型、傾斜の鋭い屋根形をした蓋はギリシア様式。
第二章 ローマに生きるカルタゴ
ヴィーナス像頭部2-3世紀
ライオン像2世紀
バラのつぼみを撒く女性5世紀、縦190cm横140cm
メドゥーサ3世紀
エロスとプシュケ4世紀、カルタゴ博物館
地中海の島々と都市3-4世紀、モザイク、縦533‐536cm横492cm1995年、チュニジア西部・ハイドラ遺跡の一般家屋跡。キプロス、クニドス、ロドスなど古代地中海の12の都市や島々が描かれている。
――――――
 地中海沿岸の白い街並みからサハラ砂漠まで多彩な顔を持つチュニジアは、古くから積み重なる歴史と民族、そして文化が溶け合い独自の文化を育んできました。
 紀元前800年フェニキア人によってこの地に建国された都市国家カルタゴは、東西地中海の貿易中継地として栄華を極めました。地中海を巡っての宿敵ローマとのポエニ戦争、名将ハンニバルの活躍、その悲劇的な結末は今日まで伝説として語り継がれています。
 本展では、カルタゴ遺跡群からの出土品と世界一のモザイクコレクションを誇るチュニジア国立博物館群の名品160点余を通して、ギリシア、ローマ、カルタゴによって繰り広げられた古代地中海世界の壮大なドラマとカルタゴで花開いた優美な芸術・モザイクを紹介します。
★チュニジア世界遺産 古代カルタゴとローマ展 -きらめく地中海文明の至宝-
大丸ミュージアム・東京(大丸東京店10階)
2009年10月3日-10月25日(日)
http://www.karutago-roma.jp/top.html

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2009年10月16日 (金)

皇室の名宝‐日本美の華、伊藤若冲『動植綵絵』・・・嵐のまえの博物館

34531072_2324774483 10月6日夕方、嵐のまえの森を歩いて、東京国立博物館に行く。夕方、人影がない空間で、永徳『唐獅子図屏風』、若冲室に見入る。若冲は圧巻。「1期1章近世絵画の名品」第2室、若冲の絵は、31点展示されている。
『旭日鳳凰図』伊藤若冲筆 1幅 江戸時代・宝暦5年(1755) 三の丸尚蔵館
伊藤若冲『動植綵絵』三十幅一挙展示は、圧巻である。
伊藤若冲は大典禅師の人格、学識に傾倒して禅の修行に励み、修行僧のごとく絵画三昧に没頭、相国寺に「釈迦如来像」「文殊菩薩像」「普賢菩薩像」の仏画三幅対と三十幅の動植綵絵を描き、明和七年(1770)十月、寄進した。
1:芍薬群蝶図(しゃくやくぐんちょうず)宝歴8年(1758)
2:梅花小禽図(ばいかしょうきんず)
3:雪中鴛鴦図(せっちゅうえんおうず)
4:秋塘群雀図(しゅうとうぐんじゃくず)
5:向日葵雄鶏図(ひまわりゆうけいず)
6:大鶏雌雄図(たいけいしゆうず)
7:梅花皓月図(ばいかこうげつず)
8:芙蓉双鶏図(ふようそうけいず)
9:老松白鶏図(ろうしょうはっけいず)
10:老松鸚鵡図(ろうしょうおうむず)
11:芦鵞図(ろがず)
12:南天雄鶏図(なんてんゆうけいず)
13:梅花群鶴図(ばいかぐんかくず)
14:棕櫚雄鶏図(しゅろゆうけいず)
15:蓮池遊魚図(れんちゆうぎょず)
16:桃花小禽図(ばいかしょうきんず)
17:群鶏図(ぐんけいず)
18:老松孔雀図(ろうしょうくじゃくず)
19:老松白鳳図(ろうしょうはくほうず)
20:紫陽花双鶏図(あじさいそうけいず)
21:雪中錦鶏図(せっちゅうきんけいず)
22:薔薇小禽図(ばらしょうきんず)
23:牡丹小禽図(ぼたんしょうきんず)
24:池辺群虫図(ちへんぐんちゅうず)
25:貝甲図(ばいこうず)
26:芦雁図(ろがんず)
27:諸魚図(しょぎょず)
28:群魚図(ぐんぎょず)
29:菊花流水図(きっかりゅうすいず)
30:紅葉小禽図(こうようしょうきんず)
『動植綵絵』伊藤若冲筆 30幅 江戸時代・宝暦7年頃~明和3年頃(1757-66) 三の丸尚蔵館所蔵
■伊藤若冲『老松孔雀図』・・・濃密な空間と生きものの輝き
老いた緑の松と白い孔雀が不思議な対比を生みだす。孔雀は毒蛇をも食する悪食、災いを退ける霊鳥として仏教で尊重される。牡丹は百花の王として富貴の象徴、不老の象徴である松を加え、不老長寿の画面構成。暗い背景から浮き出る孔雀の白い羽は輝き、異様に美しい。富裕な画家、若冲は四十二才、画業三昧に耽り、あり余る財力と時間を使い、絹本に裏彩色、極めて高価な顔料と墨を使って制作した。濃密な写実は、狂気を感じさせる。老松と白い鳥の構図は、老人と美女の構図のようである。
■老いた松と白い鳥
老いた緑の松と白い鳥の構図は、『動植綵絵』に4枚ある。これはみな傑作である。『老松孔雀図』『老松白鳳図』『老松白鶏図』『老松鸚鵡図』。
『老松白鳳図』鳥の目は女の目であり、『動植綵絵』は生きもののエロスを描いている。
写実と幻想の「奇想の画家」伊藤若冲 (一七一六—一八〇〇年)、若冲42才から51才の作。
★「皇室の名宝-日本美の華」1期:永徳、若冲から大観、松園まで。東京国立博物館
1期:2009年10月6日(火)~11月3日(火・祝)
2期:2009年11月12日(木)~11月29日(日)
http://www.tnm.jp/jp/
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2009年10月13日 (火)

ベルギー幻想美術館 クノップフからデルヴォー、マグリットまで・・・金木犀の香る夜

34531072_816840086 嵐の後、晴れた夕方、美術館に行く。10月9日、金曜日の夜はナイトミュージアム。夜、世界がポール・デルヴォーの幻想世界に溶けていく。幻想美術館、素晴らしい。
■幻想美術館、フランドル絵画の奇想の系譜
世紀末の神秘主義的な幻想絵画、象徴主義の絵画、薔薇十字会、二十人会(レ・ヴァン)、シュルレアリスム。
ありえない超現実世界をの系譜を追求した画家たち。リアリズムに反旗を翻して難解な神秘主義を追究した。
幻の女、世紀末の魔性の女、ファム・ファタル(運命の女)。現実の影に潜む美しい女たち。官能的な幻影の情景。優雅にして甘美な女。絵画の中の桃源郷である。
幻想の港町。海の彼方に幻影の国がある。人間は現実だけでは生きられない。
現代画家・榎俊幸は、ベルギー象徴派に似ていると感じていたが、ジャン・デルヴィルに似ている。
■展示作品
ジャン・デルヴィル「レテ河の水をのむダンテ」「茨の冠」「ジャン・デルヴィル夫人の肖像」
レオン・フレデリック「春の寓意」「アッシジの聖フランチェスコ」
ルネ・マグリット「囚われの美女」
ポール・デルヴォー「水のニンフ」「海は近い」「世界の果て」「よそ行きのドレス」「最後の美しい日々」「ささやき」「ヴァナデ女神への廃墟の神殿の建設」
■姫路市立美術館
姫路市立美術館、ベルギー美術コレクションを350点所蔵。恐るべし、姫路市立美術館。
ジャン・デルヴィル、レオン・フレデリック、ルネ・マグリット、ポール・デルヴォーの膨大な作品を所蔵する。
―――――
 19世紀後半から20世紀前半にかけてのベルギーは、本国の何十倍もある植民地からの富が産業革命を加速させ、飛躍的な発展を遂げました。その恩恵は芸術の分野にも及び、多くの優れた画家が輩出し、勢い付いたリベラルな若い実業家たちは新しい芸術を支えました。
 しかしながら皮肉にもその芸術の中身は、発展する近代社会における人間の疎外を背景にしたものでした。ある芸術家は空想の世界に、あるいは黄昏の薄暗がりの中に逃げ場を求め、またあるものは過去の世界に心の平安を見出しました。この時代に最も強いメッセージを放っていたのは、象徴主義、シュルレアリスム、表現主義にまたがるこうした内向的な芸術家たちの作品群、つまり「ベルギー幻想美術」だったのです。
 ここで特徴的なのは、女性の圧倒的な存在感です。多くは優雅な貴婦人として、あるいは世紀末の魔性の女として、ときには中性的な不思議な魅力を持つ少女として描かれる女性たちは、いわば画家自身の分身として、その目で、あるいは体で、何かを訴えかけ、観る者を彼方へと誘っていきます。一連の作品が醸し出す雰囲気が似ているのは、このような背景を共有しているからなのです。
  かくも優れた作品群が日本にまとまって存在していることに敬意を表し、「ベルギー幻想美術館」という名のもとに開催される本展は、ベルギー近代美術の精華を堪能する絶好の機会となることでしょう。
 本展は、油彩・水彩・素描・版画など約150点で構成されます。なかでも、100点に及ぶ版画のコレクションは大変見ごたえがあります。
★「ベルギー幻想美術館 クノップフからデルヴォー、マグリットまで」展、Bunkamuraザ・ミュージアム、9月3日(木)より10月25日(日)まで、姫路市立美術館所蔵ベルギー美術コレクション。
http://www.bunkamura.co.jp/museum/lineup/09_belgium/index.html

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