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2009年12月15日 (火)

詩人・吉増剛造・・・詩人との出会い

Botticelli_magnificat_2009大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』より 
12月9日夕方「詩人・吉増剛造と写真家・港千尋の対談」をきくために、日本経済新聞社、本社2階に行く。詩人伊藤浩子さんが「シビレるおやじ」という吉増剛造である。
予定より前に到着し、「活字ルネサンス」の展示を見るが時間が余り、困った。文化事業局の女性に聞き、会場に入る。室内には、詩人らしい老人が一人で本を読んでいる。* そこで、名刺交換する。詩人に、私の専門は哲学、美学、ギリシア、地中海であることを話す。
■『わたしは燃え立つ蜃気楼』
吉増剛造『わたしは燃え立つ蜃気楼』(1978小沢書店)を学生時代に読んだことを話すと、
「雑誌『理想』からギリシア哲学について書くようにという依頼があり、パルメニデスについて書き、井上忠に会ったんだ。人との出会いが作品になるんだ。」と詩人は言った。
哲学詩人パルメニデス、ギリシア哲学、西脇順三郎、村野四郎「鹿」、塚本邦雄、現代詩の凋落、について、語り合う。
「西脇順三郎は、ギリシアだね。現代詩の没落は、詩人のレベルが下がったからだよ。大学の教育の崩壊が一因だと思う」と詩人は言った。
「人文科学教育、哲学、文学、歴史、古典の教育が崩壊したから、大学教育は水準が低くなったのだと思う」と私は言った。
「今もわたしはハイデガーやヘルダーリンを読みますよ。またどこかで会いましょう。」と詩人は最後に言った。
孤高な修行僧のように、銅版に文字を刻む詩人をみると、18世紀の言葉を思い出す。
孤独は優れた精神の持ち主の運命である。(ショウペンハウエル)
青春の夢に忠実であれ。(フリードリヒ・フォン・シラー)
■「いま、朝焼けにむかって、ギリシャ彫刻のよくにあう、宇宙を想像しながら、黒曜石の丘を登る」(「海の恒星」吉増剛造『黄金詩篇』1970)を思い出した。
■「吉増剛造×港千尋」トークセッション12月9日
日時:12月9日(水)18:30-20:00場所:SPACE NIO
活字ルネサンス「タイポロジック―文字で遊ぶ、探る、創る展覧会」
http://www.typologic.net/
2009年10月16日(金)‐12月18日(金)平日10:00-18:00
SPACE NIO(東京・大手町 日本経済新聞社2F)
監修:港千尋アートディレクション:永原康史
■*港千尋『洞窟へ』せりか書房2001
★ボッティチェリ「マニフィカートの聖母」(Botticelli,Madonna del Magnificat)1483-85

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コメント

よく言われるのは、詩人はご飯が
食べられない、ということですね。

男なら、働かねば・・。という
ことが、詩人の世界をせまくして
いるのかもしれません。

投稿: ゆり ねこ | 2009年12月23日 (水) 21時29分

ゆりねこさん
詩人は、イデアリズムを追求しなければなりません。この世ならぬ美、崇高な理念です。

投稿: leonardo | 2009年12月25日 (金) 12時32分

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