「鳳凰図」の画家、榎俊幸・・・「不空」展にて
大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』より
1月23日夕暮れの街を歩いて、香染美術、「不空」展レセプションに行く。山本冬彦さんが迎えてくれた。榎俊幸「翔竜」中堀慎治「吼」、二つの屏風が展示されている。榎俊幸さんと哲学、美術史、ギリシア、グリム童話とユング心理学、ニーチェなどについて語り合い尽きることのない、楽しい夕べである。中堀慎治さんと藝術と学問のプロデュースについて、京都の怪僧について語る。赤ワインを飲みながら、深更に及ぶまで藝術談議に耽る歓楽を極める宴である。
榎俊幸さんには、幻獣、聖獣をえがく作品群がある。「鳳凰図」2005年、「麒麟図」「昇龍図」2006年、「秋鳳図」2007年。幻獣、瑞獣をえがく画家は、東洋の象徴的イメージ、美の理念を探求している。二条城で展示された「龍門の瀧」2009年は、聖なる価値の探求の系譜にある。鳳凰、龍は、不屈の意志、死と再生の象徴である。
「鳳凰図」は、白い烏骨鶏を飼っていて観察して、伊藤若冲「鳳凰図」を研究して描いている。
榎俊幸は、西洋絵画の理論・技法から出発し「世界中の古今東西の美術の要素を取り入れた地球美術」を目ざして絵画を描いている。象徴派の絵画から始めて、日本美術の古典、琳派の装飾藝術の要素を組み込み、西洋絵画の人物画と日本絵画の形象の美しい融合を実現している。現代は価値基準が崩壊した時代である。現代藝術において、美を追求する絵画は少ない。美的価値の崩壊した現代において、榎俊幸は、象徴的な美の世界を構築している。
■「不空」榎俊幸・中堀慎治 二人展
Gellery 香染美術 2010年1月21日(木)~2月20日(土)
http://www.kouzome.com/index.html
http://kan-hikari.blogspot.com/
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榎俊幸『榎俊幸 作品集 1986-2002』(彩鳳堂画廊 発行)
村上春樹「東京奇譚集」新潮文庫表紙
画家 榎俊幸の日常 http://kumozaru.blog.ocn.ne.jp/blog/
★榎俊幸「秋鳳図」2007、「鳳凰図」2005
★画像は榎俊幸さんの許可を得て掲載しています。Copyright榎俊幸
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