レンピッカ展・・・アール・デコの美と退廃
大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』より
四月の桜吹雪の夕暮れ、Bunkamuraに行く。
「アール・デコ展」でときどきみるが、彼女の作品を集中的にみることはまれな美術展である。アール・デコの時代に凝縮された彼女の絵画には異様な輝きがある。
娘キゼット、自分自身の分身である女たちを描いた肖像画の迫力は圧倒的である。
鋭く挑む目、官能的な眼差し、優雅と退廃、アール・デコの華麗と滅び。タマラ・ド・レンピッカの藝術の頂点は、1926年~33年まで7年間である。
みじかくも美しく燃えた7年の歳月。その後、彼女は、苦悩にみちた時代、最晩年の自己模倣の時代に到る。美しき女性画家の、美と苦悩の生涯をたどる展覧会。
美人画の展覧会に集まる女性は、美人が多い。
■展示作品
タマラ・ド・レンピッカ「初めて聖体を拝領する少女」1928年、ルーベ・アンドレ・ディリジャン芸術・工芸美術館
タマラ・ド・レンピッカ「ピンクの服を着たキゼット」1926年、ナント美術館
タマラ・ド・レンピッカ「摩天楼を背にした裸婦」1930年、NY、キャロライン・ヒルシュ
タマラ・ド・レンピッカ「緑の服の女」1930年、油彩・合板、ポンピドゥーセンター蔵
タマラ・ド・レンピッカ「タデウシュ・ド・レンピッキの肖像」1928年、油彩・キャンヴァス、1930年代美術館蔵
タマラ・ド・レンピッカ「マルジョリー・フェリーの肖像」1932年、油彩・キャンヴァス、個人蔵
タマラ・ド・レンピッカ「カラーの花束」1931年頃、油彩・板、個人蔵
■展示構成
プロローグ ルーツと修行
第1章:狂乱の時代(レ・ザネ・フォル)
第2章:危機の時代
第3章:新大陸
エピローグ 復活
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1920年代~30年代にかけてヨーロッパを席巻したアール・デコの時代を代表する女性画家タマラ・ド・レンピッカ(1898~1980年)。レンピッカは、ワルシャワの良家に生まれ、ロシアとスイスで思春期を過ごし、18歳で若い弁護士と結婚。しかし、翌年のロシア革命を機にパリへ亡命、時代に翻弄されながらも女性の自由な生き方を実践し、狂気の時代とも呼ばれた1920年代のパリで独特の作風により、画家として一躍注目されました。やがて第二次世界大戦の脅威の中、アメリカに逃れ、その後時代とともに次第に忘れられていきました。そして70年代に再評価され、1980年に 82歳でその劇的な人生を終えました。
本展はタマラ・ド・レンピッカの個性的な作品と、その波乱万丈な人生を、その時代背景とともに辿る。 Bunkamura HPより
――――――――――――
美しき挑発 レンピッカ展 本能に生きた伝説の画家
Bunkamura ザ・ミュージアム、2010年3月6日から5月9日まで
兵庫県立美術館、2010年5月18日(火)から7月25日(日)まで
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コメント
レンピッカ展良かったです。
宣伝が少なかったのでしょうか?僕が観に行ったときはとても空いていました。
作品からは多くの刺激を受けました。
投稿: 榎俊幸 | 2010年5月10日 (月) 02時04分
行ってきました。
心なしか、人が少なかったような・・。
初期のころは、あまり好きではないですが、
後期の作品には、魅力的なものがありましたね。
作品より、人物に惹かれる人が多いような
気がします。美女ですからね。
投稿: ゆり ねこ | 2010年5月29日 (土) 19時25分