ティム・バートン『アリス・イン・ワンダーランド』・・・映像の魔術師
大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』より
五月の晴れた午後、IMAX3D劇場でみるため、109シネマズ川崎に行く。
最愛の父親を亡くしたアリス・キングスレーはパーティに出席する。19歳の娘に成長したアリスは、退屈な男から求婚され困惑して逃げ出す。懐中時計を持った不思議な白うさぎを追って、うさぎ穴に落ち、アンダーランドに迷いこむ。不思議の国の奇妙な住人たちは、独裁者、赤の女王に支配され、恐怖政治の暗黒時代に苦しんでいる。アリスは伝説の救世主である。子供の頃にこの世界で冒険を繰り広げたことを忘れているアリスは、いつの間にかワンダーランドの運命を賭けた戦いに巻き込まれる。白の女王のために、戦う羽目になる。
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『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』のアリスは6才だった。その13年後の後日譚である。ルイス・キャロルが1865年に発表した『不思議の国のアリス』と『鏡の国のアリス』(1871)のヒロイン、アリスの新たな冒険を、ティム・バートン監督が想像力あふれる世界観で描くオリジナル。きちがい帽子屋、トウィードルダムとトウィードルディー、チェシャ猫、不思議の国の住人たちが勢揃いして、赤の女王と白の女王の戦いに、集まってくる。
■映像の魔術師、ティム・バートン
ティム・バートン(Tim Burton1958-)の作品としては『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』(2007)『スリーピー・ホロウ』(1999)の世界のほうがより深く暗澹として奇想にみちている。一ひねり毒がある作品が魔術的世界を堪能できる。
帽子屋ジョニー・デップ、赤の女王ヘレナ・ボナム・カーターが怪演している。白の女王アン・ハサウェイは異様な美を放ち、アリスのミア・ワシコウスカは病的な美しさである。極彩色の映像の魔術は必見。
『アリス・イン・ワンダーランド』(Tim Burton:Alice in Wonderland)2010
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コメント
いつも、ありがとうございます。
明日は、父の日ですね。
レオナルドさんは、芸術の眼をみがく
師であり、父のような存在です。
こういう有名な作品の映画化には、
イメージにぴたっとあてはまる
女優さんを探さねばなりませんし、
出演者がかなり重要ですから。
投稿: ゆり ねこ | 2010年6月19日 (土) 20時17分
ジョニー・ディップがますます怪優になっていそうですね。もしかしてジャック・ニコルソンの道を走っている?笑
ご紹介ありがとうございました。
観てみます。
投稿: naosophie | 2010年6月23日 (水) 16時32分