高島野十郎と同時代の作家展・・・蝋燭の画家
大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』より
灼熱の九月、友人とコンサート(オペラシティにて)を聴いた後、紅染める夕方、銀座美術館に行く。高島野十郎は蝋燭の画家とよばれる。
高島野十郎(1890明治23~1975)は、福岡県御井郡合川村(現、久留米市)に生まれた、本名を弥寿(やじゅ)。東京帝国大学農学部水産学科を首席で卒業するが、恩賜の銀時計の拝受を辞退し、念願であった画家の道に進む。
85才で孤独死するまで、貧困と孤独を極めた人生を歩く。
なぜ、貧窮に生きる、孤独な画家の道を歩いたのか、謎である。
■高島野十郎の細密画、濃密な写実主義には、寂幕を極めた崇高な美しさがある。
「けし」1925、「ひまわり」1926、「青いりんご」、他、高島野十郎の細密画には速水御舟のような凄絶な美がある。
「早春」1950、「林辺太陽」1967、「夕日」1961、「朝日」、春秋を画いた風景画には、いいしれぬ寂寥感が漂い、孤絶な精神性を感じる。
超現実的な写実は、凄絶な美がある。
「没後30年高島野十郎展」2006年三鷹市美術ギャラリーに続き、没後35年、埋もれた画家に日の目が当たりつつある。
高島野十郎は、孤独死した孤高の画家である。蝋燭の焔が孤独な画家の人生を象徴する。
★「高島野十郎と同時代の作家展、銀座美術館」
「生きている間に、もう一度展覧会をみてみたい」という、ひとりの髙島野十郎ファンの願いがこの企画展を実現した。高島野十郎30点展示。
和光の裏手、シネスイッチ銀座の向い、ビル8F
http://ginza-museum.org/after.html
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コメント
ろうそくの炎は、自分の生命か
それとも、才能か・・。
いずれにしろ、もう時間がない、
そのせつなさを思わせる気が
しませんか?
投稿: ゆり ねこ | 2010年9月 9日 (木) 18時10分