運慶、中世密教と鎌倉幕府・・・日本のバロック

紅梅、白梅の咲く道を歩いて、称名寺、金沢文庫に行く。称名寺の庭は浄土式庭園である。太鼓橋を渡ると白梅の木が満開である。運慶の密教彫刻を見る。
運慶(生年不詳、貞応2年12月11日1224年1月3日)は平安末期、鎌倉初期の仏師。戦乱の時代、『新古今和歌集』『平家物語』の時代である。運慶彫刻は、興福寺の天平彫刻を学び古典美を復興した日本のルネサンス、バロックである。運慶の最古作は円成寺の大日如来像(安元2年1176年)。金剛界の大日如来で智拳印を結んでいる。
平家の兵火(治承4年1180年)により奈良の東大寺、興福寺が焼亡。興福寺再興は円派院派の京都仏師と康慶・運慶の奈良仏師とが分担した。東大寺南大門金剛力士(仁王)は像内納入文書から運慶、快慶、定覚、湛慶(運慶の子)が小仏師多数を率いて2か月で造立(建仁3年1203年造立)。慶派一門の仏師を率いて、興福寺北円堂の本尊弥勒仏坐像と無著・世親像を造立(承元2年1208年から建暦2年1212年)。無著・世親像は肖像彫刻として日本彫刻史上屈指の名作と呼ばれる。
【主要展示作品】
国宝 大日如来坐像 運慶作 安元二年(1176) 奈良・円成寺所蔵
重文 毘沙門天立像 運慶作 文治五年(1189) 神奈川・浄楽寺所蔵
重文 不動明王立像 運慶作 文治五年(1189) 神奈川・浄楽寺所蔵
重文 帝釈天立像 伝運慶・湛慶作 正治三年(1201)頃 愛知・滝山寺所蔵
重文 厨子入大日如来坐像 鎌倉時代初期 栃木・光得寺所蔵
重文 大日如来坐像 鎌倉時代初期 真如苑所蔵
国宝 金剛力士立像 像内納入品 建仁三年(1203) 奈良・東大寺所蔵
重文 東大寺続要録 室町時代 奈良・東大寺所蔵
重文 舞楽面(陵王、抜頭) 鎌倉時代初期 神奈川・瀬戸神社所蔵
重文 大威徳明王坐像 運慶作 建保四年(1216) 神奈川・光明院所蔵(神奈川県立金沢文庫保管)
重文 東寺講堂御仏所被籠御舎利員数(称名寺聖教のうち) 鎌倉時代 神奈川・称名寺所蔵(神奈川県立金沢文庫保管)ほか
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■運慶-中世密教と鎌倉幕府-
神奈川県立金沢文庫80年 特別展
2011年1月21日(金)~3月6日(日)
仏師運慶は、最もよく知られる日本の芸術家の一人です。その卓越した技量による力強い作風は、鎌倉という新時代に相応しいものとしてよく知られています。しかし、その高名さとは対照的に、運慶の真作は数えるほどしか残っていません。本展覧会では、その数少ない運慶の仏像を一堂に会します。そして「中世密教」と鎌倉幕府の関係から、運慶作品の制作背景の秘密に迫ります。
全点展示期間2月8日(火)~2月27日(日)
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