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2011年8月

2011年8月16日 (火)

展覧会スケジュール2011年8月~2012年3月・・・美術館に行こう

2011800pxgoya_maja_ubrana2大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』より
夏の闇の中で、密教美術と古代ギリシア美術が輝いている。何度みても深い。
秋の美術展は「プラド美術館所蔵 ゴヤ 光と影」国立西洋美術館がある。プラド美術館で「着衣のマハ」(1801~05)「裸のマハ」(1795)を見たのは12年前。2点の「マハMaja」とアルバ公爵夫人とゴヤの謎は今も解かれていない。ロマン主義美術の宮廷画家フランシスコ・デ・ゴヤ・イ・ルシエンテス(Francisco José de Goya y Lucientes1746年-1828年)は革命と独立戦争の嵐に巻き込まれた。フランス革命の画家ジャック・ルイ・ダヴィッド(Jacques-Louis David1748年-1825年)と同年代を生きた。
「フェルメールからのラブレター展」「フェルメール《地理学者》とオランダ・フランドル絵画展」につづいて、「フェルメール『真珠の耳飾りの少女』」2012がある。フェルメール・ファンにおすすめ。琳派展は「生誕250年記念 酒井抱一と江戸琳派の全貌」、浮世絵展は「北斎生誕250年記念 ホノルル美術館北斎名品展」がある。
せみ時雨のなかでNovalisの言葉を思い浮かべる。「まことの君主は芸術家のなかの芸術家、即ち、芸術家の総監督である。」
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★主要美術館、特別展。
■東京国立博物館、特別展
「空海と密教美術展」2011年7月20日~09月25日★★★★★
「法然上人800回忌・親鸞聖人750回忌 特別展「法然と親鸞 ゆかりの名宝」2011年10月25日~ 2011年12月4日★
特別展「ボストン美術館 日本美術の至宝」2012年3月20日~2012年6月10日★★★★★
■国立西洋美術館、特別展
「大英博物館 古代ギリシャ展-究極の身体、完全なる美」2011年7月5日(火)~9月25日(日)★★★★★
「プラド美術館所蔵 ゴヤ 光と影」2011年10月22日~2012年1月29日★★★
「ユベール・ロベール-時間の庭」2012年3月6日~5月20日★★
■東京国立近代美術館、企画展
「イケムラレイコ うつりゆくものLeiko Ikemura: Transfiguration」2011年8月23~10月23日
「日本の裸体(仮称)Japanese Nudes」2011年11月15日~2012年1月15日
■国立新美術館、特別展
「ワシントン・ナショナルギャラリー印象派展」6月8日~9月5日★
「モダン・アート・アメリカン ―珠玉のフィリップス・コレクション―」展2011年9月28日~12月12日
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★主要なもののみ記載します。美術館別。
■Bunkamuraザ・ミュージアム、企画展
「フェルメールからのラブレター展」2011年12月23日~2012年3月14日まで。★★★
■サントリー美術館
「開館50周年記念「美を結ぶ。美をひらく。」Ⅲコーニング・ガラス美術館特別協力 あこがれのヴェネチアン・グラス―時を超え、海を越えて」8月10日(水)~10月10日(月・祝)
「開館50周年記念「美に挑む」IV南蛮美術の光と影 泰西王侯騎馬図屏風の謎に迫る」10月26日(水)~12月4日(日)★★★
■横浜美術館、企画展
「松井冬子展― 世界中の子と友達になれる ―」Fuyuko MATSUI− Becoming Friends with All the Children in the World −
2011年12月17日~ 2012年3月18日★
■根津美術館、企画展
「開館70周年記念特別展2 春日の風景 -麗しき聖地のイメージ」10月8日(土)~11月6日(日)
「受贈記念特別展 中国の陶磁・漆・青銅」11月16日~12月25日
■山種美術館
「日本画どうぶつえん―栖鳳《班猫》御舟《炎舞》」7月30日(土)~9月11日(日)
「山種美術館創立45周年記念特別展 ザ・ベスト・オブ・山種コレクション★★★
前期: 11月12日(土)~12月25日(日)、後期:2012年1月3日(火)~2月5日(日)*12/29~1/3まで休館(作品は一部展示替えあり)
■出光美術館
「明・清陶磁の名品―官窯の洗練、民窯の創造」2011年6月28日(火)~9月4日(日)
「日本の美・発見VI長谷川等伯と狩野派」2011年10月29日(土)~12月18日(日)
■三菱一号館美術館
「三菱一号館美術館コレクション<Ⅱ>「トゥールーズ=ロートレック」展、2011年10月13日(木)~12月25日(日)
岐阜県美術館所蔵「ルドンとその周辺―夢見る世紀末」展、2012年1月17日(火)~3月4日(日)
■三井記念美術館
「華麗なる<京蒔絵>」2011年9月17日~11月13日
「ホノルル美術館北斎名品展 北斎生誕250年記念」2012年4月19日~6月19日★★★★★
■世田谷美術館
休館 (分館は通常どおり開館)2011年7月1日~2012年3月末
■石橋美術館、福岡県久留米市
「特別展 高島野十郎・里帰り展」★★★★★
2011年07月01日~2011年08月21日
この展覧会では、福岡県立美術館の全面的な協力のもと、同館所蔵の作品を中心に個人所蔵の作品も含め、初期から晩年にいたる代表作約120点によって、この画家の絵の魅力と生きざまに迫ります。
■江戸東京博物館
「世界遺産 ヴェネツィア展~魅惑の芸術-千年の都~」9月23日(金・祝)~12月11日(日)
「絵で楽しむ忠臣蔵」12月3日(土)~2012年1月29日(日)
「歴史のなかの龍」12月3日(土)~2012年1月29日(日)
「平清盛」2012年1月2日(月)~2月5日(日)
「塔の展覧会」2012年2月21日(火)~5月6日(日)
■東京都美術館
「マウリッツハイス美術館展」フェルメール『真珠の耳飾りの少女』東京都美術館2012年7月~9月
マウリッツハイス美術館作品50点が展示される。2010年6月22日朝日新聞
■千葉市美術館
「生誕250年記念 酒井抱一と江戸琳派の全貌」10月10日~11月13日★★★★★
「瀧口修造とマルセル・デュシャン2011年11月22日(火)~2012年1月29日(日)
■東京藝術大学美術館
「国宝 源氏物語絵巻に挑む―東京藝術大学 現状模写―」2011年9月9日(金)~9月25日(日)
「彫刻の時間—継承と展開—」2011年10月7日(金)~11月6日(日)
■ブリヂストン美術館
「没後100年 青木繁展 よみがえる神話と芸術」2011年07月17日(日)~2011年09月04日(日)
「くらべてわかる-印象派誕生から20世紀美術まで」2011年9月14日(水)~2011年10月18日(火)
■太田記念美術館
「歌川芳艶~知られざる国芳の門弟」2011年8月2日(火)~8月26日(金)
■石橋美術館、福岡県久留米市
「蝋燭の画家、高島野十郎展」2011年7月1日~8月21日。初期から晩年まで約120点を揃えた回顧展。★★★
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■「プラド美術館所蔵 ゴヤ 光と影」国立西洋美術館
雅宴から動乱へ――画家ゴヤが見つめた、人間の光と影。
 スペイン美術の巨匠フランシスコ・デ・ゴヤ(1746-1828)の作品は、西欧社会の一大変革期の証言であるとともに、時代を超えて私たちの心に響く今日性を備えています。彼は成功への野心に駆られて国王カルロス4世の主席宮廷画家に上りつめ、王侯貴族や廷臣たちの優雅な肖像画によって名声を得ました。しかしナポレオンの侵略により戦争と混乱に見舞われたスペイン社会の悲惨な現実や、心の奥にひそむ不条理な幻想世界への関心は、彼の後半生の芸術に大きな展開をもたらします。社会と人間の諸相を光と影の交錯のもとに捉えるゴヤの創造力は、82年の生涯の最後まで衰えることを知りませんでした。
鋭い洞察力と批判精神に基づく作品で、近代絵画の先駆者とも呼ばれる巨匠フランシスコ・デ・ゴヤ(1746-1828)。その比類なきコレクションで知られる国立プラド美術館の全面的な協力を得て、日本では40年ぶりとなる本格的な「ゴヤ展」を開催します。プラド美術館から出品される傑作«着衣のマハ»を含む25点と、素描40点、版画6点、資料(書簡)1点に、国立西洋美術館などが所蔵する版画51点を加えた計123点で、激動の時代をたくましく生き抜いたゴヤの独創的な芸術世界を紹介します。
国立西洋美術館
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■フェルメールからのラブレター展
17世紀オランダ絵画を代表する 巨匠ヨハネス・フェルメール
緻密な空間構成と独特な光の質感で描かれた作品達は、300年の時を経て今もなお私達を魅了し続けています。そして、現存作品数が三十数点とごく少ないことが、より一層人々の興味をかき立てているのでしょう。
2011年、未だかつて観ることのできなかったフェルメール作品が初めて来日。現在、アムステルダム国立美術館で修復作業が行われている≪手紙を書く青衣の女≫が修復後 本国オランダより先駆けてこの日本で世界初公開。
フェルメール・ブルーとも言われる、当時としても大変貴重なラピスラズリを砕いた顔料ウルトラマリンの青の輝きが、フェルメールのこだわった当時の光と色彩の世界とともに、長い時を経て蘇り・・・私達の前に姿をあらわします。
またとないこの歴史的来日にご期待ください。
更に、日常描写を美しく描きとることを得意としたフェルメール作品の中で、とりわけ重要なモチーフとなっている「手紙」作品の中から、ワシントン・ナショナル・ギャラリー所蔵≪手紙を書く女≫と、アイルランド・ナショナル・ギャラリー所蔵 ≪手紙を書く女と召使い≫の2作品が満を持して再来日。
三十数点の数少ない作品の中で、フェルメールは「手紙」をテーマにした作品を数多く残しています。彼自身がこだわりを持ったこの「手紙」というモチーフに隠されたメッセージを、是非会場で感じて頂ければと思います。
このフェルメールの3作品と共に、「手紙」をはじめとする17世紀オランダのコミュニケーションの様々なあり方に焦点をあて、同時代に活躍したピーテル・デ・ホーホ、ヘラルト・テル・ボルフ、ハブリエル・メツーといった巨匠たちの手による作品を展開します。                                                 
京都市美術館2011年6月25日~10月16日、宮城県美術館10月27日~12月12日、Bunkamuraザ・ミュージアム2011年12月23日~2012年3月14日 http://www.vermeer-message.com/
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★注 情報は美術館公表資料による。美術館HPご参照下さい。星は個人的な好みによります。
★ゴヤ「着衣のマハ」(Francisco de Goya:Maja1801~05)

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2011年8月 7日 (日)

空海と密教美術・・・「胎蔵曼荼羅」「金剛界曼荼羅」

Kongokai2016Taizokai大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』より
雷鳴の鳴る夏の夕暮れ、森の中を歩いて、博物館に行く。
両界曼荼羅は、何度みても魅了される。密教美術の秘宝である。
両界(両部)曼荼羅図には、胎蔵曼荼羅、金剛界曼荼羅がある。胎蔵曼荼羅は、正しくは「大悲胎蔵生曼荼羅」(maha‐karuna‐garbhodbhava‐mandala)と呼ばれ『大日経』(善無畏訳『大毘廬遮那成仏神変加持経』)の所説を図像化したものとされる。『金剛頂経』(不空訳『金剛頂一切如来真実摂大乗現証大教王経』)をもとにして描かれている。だが仏典の所説と図像化された曼荼羅は一致しないことが研究者によって指摘されている。
国宝「両界曼荼羅(西院曼荼羅)」が東京で展示されるのは、16年ぶり。寺院でもみることが稀有な至高の秘宝。
金剛界曼荼羅と胎蔵曼荼羅が意味するものは何か。両界曼荼羅の象徴の意味は、いまだ解明されていない。美と形に秘められた、象徴とその哲学的意味を考えねばならない。
■高雄曼荼羅、西院曼荼羅、血曼荼羅
1、国宝「両界曼荼羅図(高雄曼荼羅)」平安時代9世紀初め 京都・神護寺 (胎蔵界:2011.7/20~7/31)、(金剛界:8/2~8/15)空海が灌頂に用いたと伝えられる。
2、国宝「両界曼荼羅図(西院曼荼羅)伝真言院曼荼羅」平安時代9世紀後半 京都・東寺 (胎蔵界:7/20~8/21)、(金剛界:8/23~9/25)
この世に伝わる最も美しい極彩色の曼荼羅。国宝。
3、重文「両界曼荼羅図」(血曼荼羅)平安時代12世紀、高野山・金剛峯寺。
久安5年(1149)の火災で焼失した金剛峯寺金堂の東西両壁用に、平清盛の寄進によって制作されたと伝えられる。清盛が胎蔵界の大日如来の宝冠に自らの頭の血を混ぜて彩色したとの伝えある「血曼荼羅」。胎蔵界 (8/16~9/4)、金剛界(9/6~9/25)
■西院曼荼羅(『伝真言院曼荼羅』)九世紀後半、東寺
空海の師・恵果は、宮廷画家の李真などに曼荼羅を描かせ、五鈷杵、五鈷鈴、金剛盤という密教法具、経典、犍陀穀糸袈裟、仏舎利八十粒などを弘法大師空海に授けた。
空海が中国から持ち帰った曼荼羅は損傷し複製が作られたと推定される。『伝真言院曼荼羅』〈西院本〉。宮中の真言院で用いられたと伝えられ、金剛界、胎蔵界からなる曼荼羅。東寺に現存する曼荼羅のなかでもっとも古く、極彩色の曼荼羅の最高傑作である。九世紀の作と推定される。
顕教と異なり密教は法身説法である。「金剛界曼荼羅」は大日如来を中心に、千四百六十一の尊像を秩序のもとに配置している。密教の世界観を象徴的に表現している。
■「金剛界曼荼羅」は、成身会を中心に、三昧耶会、微細会、供養会、四印会、一印会、理趣会、降三世会、降三世三昧耶会の九会からなる。
■「胎蔵曼荼羅」は、中台八葉院を中心に、周囲に、遍知院、持明院、釈迦院、虚空蔵院、文殊院、蘇悉地院、蓮華部院、地蔵院、金剛手院、除蓋障院が、同心円状にめぐり、すべてを囲む外周に外金剛部院(最外院)からなる。
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参考文献
石田尚豊『曼荼羅の研究 研究篇・図版編』1975東京美術
石田尚豊『両界曼荼羅の智慧』東京美術1979
田中公明『曼荼羅イコノロジー』平河出版社1987
宮坂宥勝『密教思想論』筑摩書房1984
大久保正雄『プラトン哲学と空海の密教―書かれざる教説(agrapha dogmata)と詩の言葉―』「象徴とその哲学的意味」「酒乱第5号」2011
■空海と密教美術展 東京国立博物館
会期:2011年7月20日(水)-9月25日(日)
★西院曼荼羅(『伝真言院曼荼羅』)九世紀、東寺

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