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2012年3月

2012年3月30日 (金)

ユベール・ロベール・・・永遠の憧憬の地イタリア

20120306_2大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』より
恋するような甘美なイタリア。永遠の憧憬の地イタリアは、藝術家たちを魅了しつづける。イタリアは美の王国、アモーレの国である。糸杉の丘、黄金色の葡萄畑、迷路に囲まれた広場。風景は思想である。
ゲーテは1786-88年にイタリア旅行をした。『イタリア紀行』(1816-17、29)、スタンダール『イタリア紀行 1817年のローマ、ナポリ、フィレンツェ』、リルケ『フィレンツェだより』『ヴェネツィアの女性への手紙』。イタリアへの憧れは、数限りない作品を生み出し続けた。
クロード・ロラン(1604/5~1682)他、画家たちは、イタリアの景観画(ヴェドゥータ)、空想的風景画(カプリッチョ)、廃墟画を描き、古代帝国の偉容のイメージを掻き立てた。古代との出会い。地下に梯子を降ろし古代遺跡に降り立つ画家。永遠の都ローマの町を歩き回る若き画家のまなざし。コンスタンティヌス帝の凱旋門。16世紀のヴィラ。クロード・ロランたちは、風景の美的基準を構築した。
クロード・ロランの初期作品「笛を吹く人物のいる牧歌的風景」1635-39は、夕暮れの水辺に三人の羊飼いが集い、笛を楽しんでいる。聳える大木の間には深い空間が開け、その深奥には橋と山々が現れる。夕暮れの静けさとやすらぎ。クロード・ロランは、フランスで生まれローマで生涯を終えた。牧歌的風景画、海港画、後世の風景画家へ絶大な影響力を残した。
18世紀の画家ユベール・ロベールは、11年間イタリアに住み、イタリアを描き廃墟の画家と呼ばれた。ベルサイユやプティ・トリアノンの庭園の庭園デザイナーとなった。
展示作品
クロード・ロラン「笛を吹く人物のいる牧歌的風景」1635-39静岡県立美術館
ジョセフ・ヴェルネ「夏の夕べ イタリア風景」1773国立西洋美術館
ユベール・ロベール「パラティーノの丘の素描家たち」1761-62年、サンギーヌ・紙、ヴァランス美術館Musée de Valence
ジャン・オノレ・フラゴナール「ティヴォリのヴィラ・デステ」素描、ヴァランス美術館
ジョバンニ・バティスタ・ピラネージ「ローマの景観」1758-59国立西洋美術館
★構成
1イタリアと画家たち
2古代ローマと教皇たちのローマ
3モティーフを求めて
4故郷の風景と18世紀のサロン文化
5奇想の風景
6庭園からアルカディアへ
――――――――――
ポンペイやヘルクラネウムの遺跡発掘に沸いた18世紀、フランスの風景画家ユベール・ロベール(Hubert Robert 1733-1808)は「廃墟のロベール」として名声を築きます。イタリア留学で得た古代のモティーフと、画家の自由な想像力とを糧に描き出されたその風景では、はるかな時をこえて古代の建築や彫像が立ち現われる一方、あふれる木々の緑や流れる水、日々の生活を営む人々がコントラストを成しています。古代への新たな関心を時代と共有しつつ、独自の詩情をたたえたロベールの芸術は多くの人々をひきつけ、時の流れや自然、そして芸術の力をめぐる思索と夢想へ誘ってきました。
こうして描かれた奇想の風景は、「国王の庭園デザイナー」の称号を持つロベールが数々の名高い風景式庭園のデザインも手がけ、現実の風景のなかに古代風建築や人工の滝・洞窟などを配していたことを知れば、さらに生きた魅力を持ちはじめることでしょう。
本展では、世界有数のロベール・コレクションを誇るヴァランス美術館が所蔵する貴重なサンギーヌ(赤チョーク)素描を中心として、初期から晩年まで、ロベールの芸術を日本で初めてまとめて紹介します。ピラネージからフラゴナール、ブーシェまで師や仲間の作品もあわせ、ヴァランスの素描作品約80点を中心に約130点にのぼる油彩画・素描・版画・家具から構成されます。
自然と人工、空想と現実、あるいは想像上の未来と幸福な記憶を混淆させ、画家が絵画と庭園の中に作り上げたアルカディアの秘密に迫ります。
――――――――――
★ユベール・ロベール-時間の庭-
国立西洋美術館2012年3月6日(火)~5月20日(日)
福岡市美術館2012年6月19日(火)~7月29日(日)
静岡県立美術館2012年8月9日(木)~9月30日(日)
http://www.tokyo-np.co.jp/event/bi/robert/

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2012年3月11日 (日)

大久保 正雄 著作目録 3都市論、国家論編

Botticelli_magnificat2015_3大久保 正雄 著作目録 3都市論、国家論編

1 「国家は滅びても、都市は滅びない ―美しい都市の条件―」『AMENITY』第25号
  2007年
2 「国家は滅びても、都市は滅びない 第2章 地中海のほとりで考える国家の形」
  『AMENITY』第26号 2008年
3 「国家は滅びても、都市は滅びない 第3章 都市の美学」
  『AMENITY』第27号 2009年
4 「国家は滅びても、都市は滅びない 第4章 国家権力と都市」
  『AMENITY』第28号 2010年
5 「美しい都市環境の条件 地中海のほとりで考える」『AMENITY』第24号、2006年
6 「地中海のほとりで考える 都市と人間」『AMENITY』第23号、2005年
7 「地中海のほとりで静寂について考える」『AMENITY』第22号、2004年 AMENITYの会

  中島義道、加賀野井秀一、他と共著。
8 「都市環境と音」座談会
  『AMENITY』第24号、2006年
9 「理想の都市を求めて」座談会
  『AMENITY』第25号、2007年
10「都市のあるべき姿 環境と景観を考える」座談会
  『AMENITY』第26号、2008年

☆ボッティチェリ『マニフィカートの聖母』

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2012年3月10日 (土)

大久保正雄 著作目録 2地中海編

Botticelli_primavera_detail 大久保正雄 著作目録 2地中海編

『地中海紀行』
Web Magazine「サードアベニュー倶楽部」連載(2000年-)
http://homepage3.nifty.com/odyssey/00c8c001.html

1  『地中海紀行』哲学の迷宮―その光と影 第1回『魅惑の地中海』
    サードアベニュー倶楽部2000年9月27日
2  『地中海紀行』第2回『黄昏のフィレンツェ』
    サードアベニュー倶楽部2000年10月25日
3  『地中海紀行』第3回『黄昏のフィレンツェ ルネサンスの奇人変人』
    サードアベニュー倶楽部2000年11月29日
4  『地中海紀行』第4回『黄昏のフィレンツェ ルネサンスの奇人変人2』
    サードアベニュー倶楽部2000年12月27日
5  『地中海紀行』第5回『西方の眞珠 コルドバ』
    サードアベニュー倶楽部2001年1月31日
6  『地中海紀行』第6回『アンダルシアの光と影 西方の眞珠 コルドバ』
    サードアベニュー倶楽部2001年2月28日
7  『地中海紀行』第7回『アンダルシアの光と影 アンダルシアの哲學者』
    サードアベニュー倶楽部楽部 2001年3月28日
8  『地中海紀行』第8回『グラナダ アルハンブラの殘照』
    サードアベニュー倶楽部2001年4月25日
9  『地中海紀行』第9回『トレド 時が歩みを止めた町』
    サードアベニュー倶楽部2001年5月30日
10  『地中海紀行』第10回『トレド エル・グレコ終焉の地』
    サードアベニュー倶楽部2001年6月27日
11  『地中海紀行』第11回『イスタンブール 二千年の都』
    サードアベニュー倶楽部2001年7月25日
12  『地中海紀行』第12回『イスタンブール 幻影の帝國ビザンティン』
     サードアベニュー倶楽部2001年8月29日
13  『地中海紀行』第13回『地中海 魅惑の海のほとりにて』
     サードアベニュー倶楽部2001年9月26日
14  『地中海紀行』第14回『イスタンブール オスマン帝國の都』
     サードアベニュー倶楽部2001年10月25日
15  『地中海紀行』第15回『イスタンブール 時を超える旅』
    サードアベニュー倶楽部2001年11月28日
16  『地中海紀行』第16回『黄昏のエーゲ海』
    サードアベニュー倶楽部2001年12月26日
17  『地中海紀行』第17回『エーゲ海の瞑想』
    サードアベニュー倶楽部2002年1月30日
18  『地中海紀行』第18回『エーゲ海の薔薇 ロドス島』
    サードアベニュー倶楽部2002年2月27日
19  『地中海紀行』第19回『アテネ アクロポリスの光と影』
    サードアベニュー倶楽部2002年3月27日
20  『地中海紀行』第20回『アテネ アクロポリスをめぐる戰い』
    サードアベニュー倶楽部2002年4月24日
21  『地中海紀行』第21回『アテネ ギリシアの偉大と退廃』
    サードアベニュー倶楽部2002年5月22日
22  『地中海紀行』第22回『アテネ 蜜のように甘く、毒のように劇しく』
    サードアベニュー倶楽部2002年7月3日
23  『地中海紀行』第23回『アテネ 黄昏の帝国』
    サードアベニュー倶楽部2002年7月31日
24  『地中海紀行』第24回『ギリシア 哲學者の魂』
    サードアベニュー倶楽部2002年8月28日
25  『地中海紀行』第25回『デルフィ アポロンの聖域』
    サードアベニュー倶楽部2002年9月25日
26  『地中海紀行』第26回『地中海のほとり 美と知恵を求めて』
    サードアベニュー倶楽部2002年10月30日
27  『地中海紀行』第27回『愛と復讐の大地 ギリシア』
    サードアベニュー倶楽部2002年11月27日
28  『地中海紀行』第28回『アレクサンドロス大王 世界の果てへの旅』
    サードアベニュー倶楽部2002年12月25日
29  『地中海紀行』第29回『ローマ 幻の帝国』
    サードアベニュー倶楽部2003年1月29日
30  『地中海紀行』第30回『変人皇帝たちの宴 ローマ』
    サードアベニュー倶楽部2003年2月28日
31  『地中海紀行』第31回『クレオパトラの死』
    サードアベニュー倶楽部2003年3月26日

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2012年3月 8日 (木)

大久保正雄 著作目録 1哲学編

Om-yama201503

Magosakiookubo_01-2018_20241216212101
Ookubo-masao-caravaggio-2016
Firenze-1998-11
大久保正雄 著作目録 1哲学編                     
                                 
著書
  『理性の微笑み ことばによる戦いの歴史としての哲學史』
  理想社1993、4月
論文
15 「美の奥義 プラトン哲学におけるエロス(愛)とタナトス(死)」
      詩誌『酒乱』第6号 2013
14 「プラトン哲学と空海の密教 ―書かれざる教説(agrapha dogmata)と詩のことば―」
   詩誌『酒乱』第5号2011
13 「ギリシア悲劇とプラトン哲学の迷宮 ―ことばの迷宮―」
   詩誌『酒乱』第4号2010
12 「プラトンと詩と哲学 ―詩的直観と哲学的直観―」
   詩誌『酒乱』第3号2009
11  「闇の中にただよう香り 新古今和歌集の美學 第二章」
   大久保正雄『魂の目』無盡藏刊、所収 1997、10月
10 「斷崖の美學 美をめぐる戦い 新古今和歌集の美學」
   「法科論集」第4号、1990
9 「ことばによる戦いの歴史としての哲學史 哲學史講義第一章」
  「法科論集」第5号、1991
8 「魂の卓越性の探究 想起説の構造と難問の仕組み (Plato“Meno”81a10-86c2)」
    「法科論集」第5号、1991
7 「知と愛 (Plato“Apologia Socratis”28d10-30c1)」
    「法科論集」第4号、1990
6 「彷徨えるソクラテス 根拠の探究(Plato“Phaedo”95e7-100b3)」
    「法科論集」第3号、1989
5 「存在をめぐる論争 (Plato“Sophista”245e6-251a7)」
    「法科論集」第2号、1988
4 「理念のかたち かたちとかたちを超えるもの」
  『理想』659号、理想社、1994、12月
3 「魂の美學 プラトンの対話編に於ける美の探究」
  「上智大学哲学論集」第22号、1993、6月
2 「イデアと魂 (Plato“Phaedo”100b3-107b9)」
  北海道大学哲学会「哲学」第20・21号 1985
1 「Phaedo 100b3-107b9 イデアと魂」修士論文
  上智大学大学院博士前期課程、1983、3月

世界遺産
「イタリア・ルネサンスの美と世界遺産」「世界遺産アカデミーWHAMR 第11号」世界遺産アカデミー(WHA)2011.4月
http://mediterranean.cocolog-nifty.com/blog/2016/12/whmr-1146.html

――
【対談、質疑応答】死生学、比較宗教学、藝術学 2016~2019
【質疑応答】島薗進先生に、死生学、比較宗教学の観点を踏まえて、質疑応答しました。内容を記録します。島薗進「死生学 ファンタジーと魂の物語」2019年5月26日、上智大学6号館203教室にて。
1、宮澤賢治『雁の童子』、『インドラの網』、2、天正、織田信長、改元の目的、3、密教真言、藝術と魔術、5、学問の不可欠な要素。
島薗進×大久保正雄『死生学 ファンタジーと魂の物語』
6、3つの時間論。自分が生きたい時間論を選ぶならば、何を選びますか。
大久保正雄
3つの世界観の時間論。時間には、回帰的時間と終末観的時間と進化的時間がある。(渡辺慧『時』第3章、時間の起源と機能)(回帰的時間は、エンペドクレス、ニーチェ『ツァラトゥストラ』。終末観的時間はキリスト教。進化的時間は、ベルクソン『創造的進化』)1974、初刊1948年。*エンペドクレスの宇宙円環(Cosmic Cycle)、ヘラクレイトスの回帰的宇宙、ニーチェの永劫回帰(Ewig Wiederkehren)、ピュタゴラスの輪廻転生。
島薗進×大久保正雄『死生学 宗教の名著』2018.5.27
【質疑応答】宗教学者、島薗進先生に死生学、比較宗教学について質疑応答しました。2018.5. 27、上智大学にて。
1、宗教とは何か、2、宗教が生まれる原因は何か、3、世界観の選択、4、藝術家と宗教、5、天から降りてきた魂、6、 織田信長と天の思想、7.秘密曼陀羅十住心論、8、父殺しのテーマ、9、人の痛みを知ること、10、理念の崩壊は『純粋理性批判』から始まった。
島薗進×大久保正雄『死生学 ファンタジーと宗教』2017.5.28
島薗進×大久保正雄『死生学 人の心の痛み』2016.5.29
孤高の思想家と藝術家の苦悩、孫崎享×大久保正雄『藝術対談、美と復讐』2019年1月 7日 (月)

――
大久保正雄 著作目録1 哲学編 
http://bit.ly/2AgBWnr

大久保正雄 著作目録2 美学・美術史
http://bit.ly/2vz6Gcd

大久保 正雄『ことばによる戦いの歴史としての哲学史 理性の微笑み』 理想社

☆ボッティチェリ『ヴィーナスの誕生』1485

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