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2012年4月

2012年4月23日 (月)

レオナルド・ダ・ヴィンチ美の理想・・・『ほつれ髪の女』

20120331001 『ほつれ髪の女』は、憂いを秘めた輝くような美貌。レオナルドらしい神秘の微笑み。伏し目がちにうつむく女は限りなく美しい。レオナルドの女性像の中でも最も美しい。乱れ髪もレオナルドによるものとする説がある。「レダ」または「マリア」像の下絵である。
レオナルド最晩年、手元に残された3作品「モナ・リザ」(1503-1505)「聖アンナと聖母子」(1508-1510)「洗礼者ヨハネ」(1513-1516)がある。これと「岩窟の聖母」(1483-1486)「レダ」。この5つの作品が、レオナルドの本質を解く鍵である。
ダヴィンチが描いたオリジナルの『レダと白鳥』は現存しておらず、フランス王室によって破棄されたと考えられる。現在はそれを模写したものが9点残っている。
『レダと白鳥』のレオナルド派による模写は、ボルゲーゼ美術館、ウフィッツィ美術館、ウィルトン・ハウス(ソールズベリー)所蔵の作品が有名である。
■レオナルド伝 ヴァザーリ『芸術家列伝』
レオナルド・ダ・ヴィンチは実に快く会話をし、人の心を惹きつけた。また、何も所有しておらず、無一物というべきで、ほとんど働かなかったが、常に従者を雇い馬を飼っていた。馬をたいへん愛し、他の動物も全てこの上なく愛し、忍耐強く飼い慣らしていた。ヴァザーリ『芸術家列伝』
この天才レオナルド・ダ・ヴィンチの内には神から賦与された非常な優美さと恐るべき表現力が煎じ詰られており、それは彼の知性や記憶力とよく結合していた。彼は自分の着想を自らの手で素描に表現する術を知っていた。またどんな精力的な才人をも議論によって屠り、理路整然と相手を打ち負かした。ヴァザーリ『芸術家列伝』
■展示作品
レオナルド・ダ・ヴィンチ『ほつれ髪の女』1506-08年頃 褐色土、緑色アンバー、鉛白、ポプラの板 パルマ国立美術館蔵 Leonardo da Vinci,La scapigliata.Parma
レオナルド派『レダ』ボルゲーゼ美術館
模作『アイルワースのモナリザ』レオナルドの1503年作説がある。
レオナルド・ダ・ヴィンチと弟子(カルロ・ペドレッティ説)『岩窟の聖母』1495-97年頃 個人蔵
■参考文献
池上英洋『レオナルド・ダ・ヴィンチ』(西洋絵画の巨匠 8)小学館2007
メレシコーフスキイ『レオナルド 神々の復活』ドミートリイ・セルゲーエヴィチ・メレシコーフスキイ著 米川正夫訳河出書房新社1987
ヴァザーリ『芸術家列伝』白水社
マキァヴェッリ『フィレンツェ史(上)』『フィレンツェ史(下)』岩波文庫2012
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《モナ・リザ》や《最後の晩餐》など世界の宝と言われる名画を残したレオナルド・ダ・ヴィンチ(1452-1519)の誕生から、来年で560年を迎えます。ダ・ヴィンチはイタリアのヴィンチ村に生まれ、フィレンツェで修業時代を過ごし、ミラノで絶頂期を迎えました。その後、さまざまな都市を転々とし、最後はフランス国王フランソワ1世に招かれ、アンボワーズ郊外で67年の生涯を閉じました。膨大な手稿を残す一方、現存する絵画はわずか十数点と限られています。しかし、その「美の世界」は彼の生きたルネサンス期の芸術家はもとより、現代にいたるまで多くの芸術家たちに多大な影響を及ぼしてきました。
 その美はなぜルネサンス期の人々を引きつけ、現代の私たちまでも魅了するのでしょうか。本展では、ダ・ヴィンチ研究の世界的権威であるカルロ・ペドレッティ氏の名誉監修、ダ・ヴィンチ研究の第一人者であるアレッサンドロ・ヴェッツォージ氏の監修により、木島俊介氏を日本側監修に迎え、ダ・ヴィンチの創造した「美の理想」に迫ります。
 世界各地から集めた日本初公開となるダ・ヴィンチの作品、ダ・ヴィンチと弟子による共作、弟子やレオナルド派と呼ばれる画家たちの作品、ダ・ヴィンチと同時代の画家たちの作品、書籍や資料など約80点を展示し、「万能の天才」の美の系譜を、日本で初めてご紹介します。
http://davinci2012.jp/about.html
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★「レオナルド・ダ・ヴィンチ美の理想」展
Bunkamuraザ・ミュージアム2012年3月31日~6月10日
http://www.bunkamura.co.jp/museum/
静岡市美術館2011年11月3日~12月25日
福岡市美術館2012年1月5日~3月4日

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2012年4月11日 (水)

ボストン美術館 日本美術の至宝、東京国立博物館・・・美の宴

2012032001 花ざかりの森は桜満開の花の宴、博物館は藝術の宴である。吉野しだれ桜が妖艶な美しさを咲き誇っている。日本美術史の至高の傑作が満ち、美に酔いしれる。
快慶「弥勒菩薩立像」は、師の運慶のような端正な顔立ち、腰のくねりが艶麗である。「平治物語絵巻」三条殿夜討巻は戦闘、騒乱の劇的な場面。尾形光琳筆「松島図屏風」は波濤と磐と松、金と緑の調和が美しい。俵屋宗達「松島図屏風」を越える傑作である。
「雲龍図」曽我蕭白筆、壮大な龍の迫力は美術史上に残る名作。失われた四曲一双の龍の下半身が偲ばれる。「風仙図屏風」曽我蕭白筆、綺想にみちた絵画。「吉備大臣入唐絵巻」は吉備真備が唐で超能力を発揮して難問を解決する奇想天外な冒険談。
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展示作品
■第一章 仏のかたち 神のすがた
「法華堂根本曼荼羅図」奈良時代・8世紀 ボストン美術館蔵
 霊鷲山で釈迦が諸尊や衆生に囲まれ法華経を説く光景。
「馬頭観音菩薩像」平安時代・12世紀中頃
 馬頭観音は、六観音のうちの一つで、畜生道におちた衆生を救済する仏。
「弥勒菩薩立像」快慶作 鎌倉時代・文治5年(1189) ボストン美術館蔵
 作者が快慶、像内に納められた経典の奥書きより、文治5年(1189)に制作されたことが判明。
「普賢延命菩薩像」平安時代・12世紀中頃
 普賢菩薩は、病を消し生命力を増す菩薩。二臂の普賢延命像は天台密教。

■第二章 海を渡った二大絵巻
「吉備大臣入唐絵巻」平安時代・12世紀後半
 遣唐使として唐へ渡った奈良時代の学者・吉備真備(695~775)が、唐人の難問に不思議な力で立ち向かうという物語を絵画化した作品。後白河法皇 (1127~1192)が制作させた絵巻コレクションの1つ、当時の絵所預であった常盤光長の筆と伝えられる。
「平治物語絵巻」三条殿夜討巻、鎌倉時代・13世紀後半
 平治元年(1159)に勃発した平治の乱は、その3年前に起きた保元の乱とともに、武士の台頭を示す大きな変革の1つであり、源平争乱の幕開けとなる戦い。「平治物語絵巻」はその約100年後に制作された絵巻、もとは十五巻近い大作。
 
■第三章 静寂と輝き-中世水墨画と初期狩野派
「山水図」祥啓筆、室町時代・15世紀末~16世紀初

■第四章 華ひらく近世絵画
「龍虎図屏風」長谷川等伯筆 江戸時代・慶長11年(1606)
 中国南宋の画家牧谿の「龍虎図」に学んで描かれた。長谷川等伯(1539~1610)晩年の作風。68歳の年記がある。
「十雪図屏風」狩野山雪 江戸時代・17世紀前半
「四季花鳥図屏風」狩野永納筆 江戸時代・17世紀後半
江戸時代に、安土桃山時代の豪壮な狩野派の画風を継承した京狩野家の三代目狩野永納 (1631~97)が、父狩野山雪の画風を継承して水平、垂直、斜めの方向性を強調して描いた金地濃彩。狩野永納は『本町画史』の著者、日本のヴァザーリである。
「松島図屏風」尾形光琳筆 江戸時代・18世紀前半
 波に洗われる荒磯に島を配した「松島図」は、俵屋宗達をはじめ琳派の主要テーマ。尾形光琳(1658~1716)は宗達にならって4度描いた。

■第五章 奇才 曽我蕭白
「雲龍図」曽我蕭白筆 江戸時代・宝暦13年(1763)
「虎渓三笑図屏風」曽我蕭白筆 江戸時代・18世紀後
 廬山に隠棲した東晋の僧慧遠のもとを訪れた陶淵明と陸修静。話に夢中になって俗世に通ずるとして渡らぬと決めた橋を越えたことに気付いて、三人で大笑した場面。
「風仙図屏風」曽我蕭白筆 江戸時代・18世紀後半
 一陣の風の中で剣を持つ中国の仙人陳楠が、池に潜む龍を追い出して天の水門を開かせ、旱魃を救う場面
「楼閣山水図屏風」曽我蕭白筆 江戸時代・18世紀後半
「龐居士・霊昭女図屏風」曽我蕭白筆 江戸時代・18世紀後半
「山水図屏風」曽我蕭白筆 江戸時代・18世紀後半
「酔李白図屏風」曽我蕭白筆 江戸時代・18世紀後半

■第六章 アメリカ人を魅了した日本のわざ -刀剣と染織
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アメリカのボストン美術館は、"東洋美術の殿堂"と称されます。100年以上にわたる日本美術の収集は、アーネスト・フェノロサや岡倉天心に始まり、今や10万点を超えます。海外にある日本美術コレクションとしては、世界随一の規模と質の高さを誇ります。
本展は、その中から厳選された仏像・仏画に絵巻、中世水墨画から近世絵画まで、約90点を紹介します。
修復を終え、日本初公開となる曽我蕭白(そがしょうはく)の最高傑作『雲龍図』をはじめ、長谷川等伯(はせがわとうはく)、尾形光琳(おがたこうりん)、伊藤若冲(いとうじゃくちゅう)などの手による、かつて海を渡った"まぼろしの国宝"とも呼べる日本美術の至宝が一堂に里帰りします。
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★ボストン美術館 日本美術の至宝、東京国立博物館
3月20日(火)~6月10日(日)
http://www.tnm.jp/

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