レオナルド派『レダと白鳥』1505・・・絶世の美女
大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』より
レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452-1519)は、晩年「レダ」下絵を多数製作した。1505年ころ作品を制作した。女性の受胎能力の研究と関わりがあると推定される。最晩年、アンボワーズ城の手元に残された三作品「モナ・リザ」(1503-1505)「聖アンナと聖母子」(1508-1510)「洗礼者ヨハネ」(1513-1516)には含まれていない。
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『レダと白鳥』Leda and swanの16世紀のレオナルド派による模写は、1、Leonardo,Leda,Uffizzi,1508ウフィッツィ美術館(パラッツォ・ヴェッキオ所蔵 フィレンツェ)、2、Leonardo,Leda,Wiltonhouse,1505-1510ウィルトン・ハウス(ソールズベリー、イギリス)所蔵、3、Leonardo,Leda, Borghese,1505ボルゲーゼ美術館(ローマ)の作品が有名である。
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スパルタ王妃、絶世の美女レダ
スパルタ王テュンダレオスの王妃レダは、絶世の美女として知られていた。ゼウスがそのレダを見初めた。ゼウスは一計を案じ、愛と美の女神アプロディーテに手伝ってもらう。アフロディテの化けた鷲に白鳥に化けた大神ゼウスが追われ、レダの膝元に逃げてくる。
迫真の演技は成功を収め、美しいレダは鷲に追い詰められた白鳥を抱き寄せて、匿った。この時、神の子を妊娠した。ゼウスの化身の白鳥が飛び去ると、レダは大きな2つの卵を生み落とした。
2つの卵からは、それぞれ双子が生まれた。一方の卵からは、双子座のカストルとポリュデウケス(ポルクス)の男の双子が、もう一方の卵からは、トロイア戦争の原因となった美女ヘレンとクリュタイメストラという女の双子が生まれた。ヘレンとポリュデウケスはゼウスの子で不死身。カストルとクリュタイメストラはレダと人間のテュンダレオスとの子で、やがて死すべき人間の運命を持っていた。
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★「レオナルド・ダ・ヴィンチ美の理想」展 ほつれ髪の女
Bunkamuraザ・ミュージアム2012年3月31日~6月10日
http://www.bunkamura.co.jp/museum/
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