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2012年7月

2012年7月30日 (月)

寒河江智果『愛逢月』・・・愛は蘇る

20120707medeaiduki

大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』より
愛には様々な形がある。真実の愛、偽りの愛。肉体の愛、魂の愛。深い愛。
愛する二人は、満天の星の中で再会する。愛は再会する。愛は蘇る。七月七日、再会する牽牛と織女。古代の悲恋物語。禁じられた宮中の恋が暗示されている。
恋には、出会いと別れがあり、再会がある。
柿本人麿には「七夕の歌」が三八首ある。
大空ゆ 通ふ吾すら 汝がゆゑに 天の川道を なづみてぞ来し 『万葉集』巻一〇、柿本人麻呂歌集二〇〇一)
寒河江智果さんは、友人の画家です。美人画の名人です。
大久保正雄
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★寒河江智果『愛逢月』
★寒河江智果『美人を描く日々』
http://tomokasagae.blog122.fc2.com/
http://members.jcom.home.ne.jp/tomokasagae/page/

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2012年7月24日 (火)

マウリッツハイス美術館展、フェルメール『真珠の耳飾りの少女』・・・ヤン・ステーン「牡蠣を食べる娘」

Mauritshuis2012大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』より
ふり向く少女、真珠の耳飾り、青いターバン、みつめる目のまなざし、濡れた唇、振りむく一瞬、唇からことばを言いかけているようである。すべては謎である。意味不明である。ラピスラズリを原料とするウルトラマリンが美しい。
『真珠の耳飾りの少女』(Het meisje met de parel, Girl with a Pearl Earring)『青いターバンの少女』は、1665年~1666年、フェルメール33歳から34歳の頃の作品。
フェルメール(1632年-1675年)は、妻と11人の子供を残して、42または43歳で没した。カレル・ファブリティウスの弟子という説がある。ピーテル・デ・ホーホとともにデルフト派と呼ばれる。
フェルメールの絵画は、緻密な室内空間の描写、物質の質感、窓から差し込む光が、特質である。意味を失った寓意画、室内画が、冷たい写実によって生み出されている。『真珠の耳飾りの少女』は、グイド・レーニ『ベアトリーチェ・チェンチの肖像』(1599年)に似ているといわれる。
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物欲に溺れる女、食欲に溺れる女、性欲に溺れる女。フェルメールのテーマは、欲望に溺れる女である。ヤン・ステーン「牡蠣を食べる娘」の若い娘の世界である。
■展示作品の一部
ヤーコプ・ファン・ライスダール「漂白場のあるハールレムの風景」
メインデルト・ホッペマ「農家のある森」
ヤン・ボト「イタリア風の風景」
ペーテル・パウル・ルーベンス「聖母被昇天」(下絵)
フランス・ハルス「笑う少年」1625年頃
レンブラント・ファン・レイン「自画像」1669年頃
レンブラント「スザンヌ」
レンブラント「シメオンの賛歌」
ヤン・ブリューゲル(父)「四季の精から贈り物を受け取るキュベレと、それを取り巻く果実の花輪」
アーレント・デ・ヘルデルの「シメオンの賛歌」
ヘラルト・テル・ボルフ「手紙を書く女」1655年頃
ピーテル・クラースゾーン「ヴァニタスの静物」
ファブリティウスの「ごしきひわ」
ヤン・ステーン「親に倣って子も歌う」1668-1670年頃
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ヤン・ステーン「牡蠣を食べる娘」Jan Steen: Oestereetstertje 1656-1660年頃 マウリッツハイス美術館
牡蠣は媚薬
牡蠣を食べる若い娘。艶めかしく蠱惑的で挑発的な視線をみる者に向ける。若い娘が手に取りへ運ぼうとする<牡蠣>は、17世紀、精力剤(媚薬)として好まれた食材。娘の魅惑的な表情や娘の背後の寝台は艶かしい。観る者にエロティックな連想を抱かせる。ヤン・ステーンは、女性画、女性の愛の絵画を、得意としている。
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17世紀のオランダやフランドルは、西洋美術史に大きな影響を及ぼした巨匠たちを、数多く輩出しました。本展では、17世紀オランダ・フランドル絵画の世界的コレクションで知られるオランダ・ハーグのマウリッツハイス美術館から、名品48点を選りすぐって紹介します。最晩年の「自画像」をはじめ一挙に6点が並ぶレンブラントは壮観です。そのほか、フランス・ハルス、ルーベンス、ヤン・ブリューゲル(父)ら、巨匠たちの息もつかせぬ傑作の数々を堪能する格好の機会です。
17世紀オランダ・フランドル絵画
17世紀初頭、オランダは新教国としてスペインから独立し、世界的な海洋貿易を背景に未曽有の繁栄を謳歌します。新興の市民階級は絵画の新たな買い手となり、鑑賞に教養を要する宗教画や歴史画よりも、親しみやすい風俗画、風景画、静物画などを好みました。この時代は、レンブラントやフェルメールら多数の巨匠が輩出し、オランダ絵画の黄金時代と呼ばれています。
一方、現在のベルギーを中心とするフランドル地方でも、バロックの巨匠ルーベンスやヴァン・ダイクが活躍しました。オランダとは異なり、カトリック勢力の最前線であったことから、祭壇画など大規模な宗教画も多数残されました。
オランダの政治的中枢を担う第3の都市ハーグの中心地に位置し、所蔵作品は約800点と小規模ながら、選りすぐりの名品を所蔵し、「王立絵画館」の呼称で親しまれています。なかでも、世界にわずか三十数点しか現存しないフェルメール作品を3点所有するなど、17世紀オランダ・フランドル絵画の質の高さは比類のないものです。
「マウリッツ」の名は、代々オランダ総督を務め、のちに王室となるオラニエ家の傍系、ナッサウ伯ヨーハン・マウリッツ(1604-79)に由来します。ヨーハン・マウリッツは、当時植民地だったオランダ領ブラジル総督を務めた人物で、その邸宅が1822年から美術館として使われています。火災に遭いながらも、外観は17世紀に建設された当時の面影を残しています。優美な古典主義様式と個人邸宅の親しみやすさとが相まって、コレクションと見事な調和を果たしているのが特徴です。
マウリッツハイス美術館では、本展を開催する2012年から大規模な増改築工事がスタートします。リニューアルオープンは、2014年ごろを予定しています。
http://www.asahi.com/mauritshuis2012/
http://www.tobikan.jp/museum/2012/mauritshuis2012.html
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■マウリッツハイス美術館展 オランダ・フランドル絵画の至宝 東京都美術館
Masterpieces from the Royal Picture Gallery Mauritshuis
2012(平成24)年6月30日(土)~9月17日(月)

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2012年7月14日 (土)

大久保正雄 著作目録 4言語編

Leo_thevirginwiththeinfantstjohnado■「海外カルチュアでよむ英語」シリーズ    『大学院フラッシュ』教育開発センター
1 「オペラ座の怪人Phantom of the Opera」2005年5月
2 「アビエイター Aviator 」2005年7月
3 「海辺のカフカの奇妙な旅 ことばを話す猫と空から降る魚“Kafka on the Shore” : A great novel with talking cats and fish raining from the sky」2005年9月
4 「シュールリアルな復活 サルヴァドール・ダリA Surreal Revival : Salvador Dali」2005年11月
5 「野球への愛のために: For the love of yakyu」2006年5月
6 「『ダ・ヴィンチ・コード』の謎 Beyond “The Da Vinci Code” : The Mystery of Mary Magdalene」2006年7月
7  「『ナルニア国物語』ライオンと魔女、衣装だんすThe Chronicles of Narnia : “The Lion, The witch and The wardrobe”」2006年9月
8 「モーツアルトの魔法 The Magic of Mozart : On the 250th anniversary of his birth」2006年11月
9 「『硫黄島からの手紙』“Letters from Iwo Jima”」2007年5月
10 「巨匠の素描レオナルド・ダ・ヴィンチThe Drawings of a Master」2007年7月
11 「ジェームズ・ラヴロック『ガイアの復讐』James Lovelock“The Revenge of Gaia”」2007年9月
12 「内なるフロイトFreud in Our Midst」2007年11月

■大学院研究計画書の書き方
「研究計画書」『日経 大学・大学院ガイド04春号』日経BP出版センター、2004年3/5
「研究計画書」『日経 大学・大学院ガイド04秋号』日経BP出版センター、2004年9/5
「研究計画書」『日経 大学・大学院ガイド05春号』日経BP出版センター、2005年3/5
「研究計画書」『日経 大学・大学院ガイド06秋号』日経BP出版センター、2006年9/5
「大学院面接編」『日経 大学・大学院ガイド07秋号』日経BP出版センター、2007年9/5
「大学院面接編」『日経 大学・大学院ガイド08秋号』日経BP出版センター、2008年9/5
「大学院面接編」『日経 大学・大学院ガイド09秋号』日経BP出版センター、2009年9/5
「大学院面接編」『日経 大学・大学院ガイド10春号』日経BP出版センター、2010年3/5

★レオナルド・ダ・ヴィンチ『岩窟の聖母』ロンドン、ナショナル・ギャラリー

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2012年7月 2日 (月)

大久保 正雄『ギリシア神話 愛と美の女神たち』

Amor_et_psyche_francoise_pascal_sim大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』より
あるピアニストから『ギリシア神話』の講義をしてほしいという依頼があり講義します。
輝ける紺碧の海、エーゲ海でくり広げられる、神々の世界。
複雑多彩を極めるギリシア神話の迷宮。ギリシア神話は、綺羅星のように輝くラブロマンスの宝庫である。美をめぐる女神の争い。愛と美の女神アプロディーテ。知恵の女神アテナ。ヘラの嫉妬。
アポロンの悲恋。エロスの黄金の矢。ディオニュソスの苦難。絶世の美女レダ、傾国の美女ヘレネー。トロイアの最も美しい王女カッサンドラの悲劇。
愛の歓び。愛と憎しみ。怒りと恨みと復讐。運命と逆襲。苦難を超える知恵の輝き。生と死の秘密。あらゆる思考と感情が込められている。
「エロスと魂の愛」は、至高の愛である。魂の愛は不滅である。真の愛は、無償の愛である。
ホメロスからオヴィディウス、アプレイウスまで、千年に亙って書きつづけられた物語の迷宮。藝術の道は悠久の時を超える終わりなき旅路。学問も永遠の旅である。
二千年の時の流れを超える不朽の叡智がギリシアにある。黄昏の梟とともに、哲学は飛び立つ。ギリシア神話の愛と美の女神たち、その魅力と知恵の意味を探求する。大久保正雄
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■講座『ギリシア神話とルネサンス美術 愛と美の女神たち』大久保正雄(講師)
ドラード・ギャラリーにて
8月29日(水)、午後6時から8時。ワインパーティ8時から。
定員10名。受講料3000円。パーティ1000円。参加ご希望の方、ご予約下さい。
★162-0041東京都早稲田鶴巻町517ドラード早稲田103
ドラードギャラリー TEL03-6809-3808 MAIL dorado@oldtimes.jp
http://dreamgallery.oldtimes.jp/
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★参考資料
レオナルド派『レダ』
http://mediterranean.cocolog-nifty.com/blog/2012/05/post-4497.html
大久保正雄『地中海紀行』ギリシア 愛と復讐の大地
http://homepage3.nifty.com/odyssey/27c8c001.html
http://homepage3.nifty.com/odyssey/27c8c002.html
★「日本のガウディ」と呼ばれた梵寿綱のマンション「ドラード早稲田」
http://suumo.jp/journal/2012/06/25/22494/
建築家、梵寿綱http://www.vonjourcaux.com/
★フランソワ・ジェラール「エロスとプシューケー」1798
François Gérard, Francois Gerard, L'Amour et Psyché, 1798 Louvre

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