ツタンカーメン展、黄金の秘宝と少年王の真実・・・少年王の愛と苦悩


18歳のファラオの死と悲劇の王妃アンケセナーメン。アマルナ美術を生み出したアクエンアテン王の改革と美しき王妃ネフェルティティの王宮の謎。
ツタンカーメンは、9歳で即位し、権力の頂点に立った。アクエンアテンとネフェルティティの3女であるアンケセナーメンと結婚した。だが18歳で急死した。
父王、偉大なアクエンアテン王は、神官団と戦い宗教改革、官僚制改革を実行した。そしてアマルナ芸術を残した。だが、ツタンカーメンは、なぜ太陽神アテン神から多神教アメン・ラー神へ復帰したのか。なぜテル・エル・アマルナからテーベへ遷都したのか。謎である。
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★王妃アンケセナーメン、枯れた矢車菊の花束
3300年の時を超えて、ツタンカーメンの墓は1922年11月4日イギリスのエジプト学者ハワード・カーターによって発見された。この中に2000点以上の宝物が眠っていた。ツタンカーメンは3重の人型棺の中に収められていた。枯れた矢車菊が、棺のそばに置かれていた。王妃アンケセナーメンが、葬儀が終わって埋葬するときに野に咲いている矢車菊を入れたらしい。発見者のハワード・カーターは心に残った出土品はこの矢車菊だと言っている。カーターは『ツタンカーメンの呪い』を受けることなく65歳まで生きた。[王妃が手向けた矢車菊の花束(カイロ・エジプト考古学博物館蔵)](cf.ハワード・カーター『ツタンカーメン発掘記』)
「黄金の玉座」(カイロ・エジプト考古学博物館)には、ツタンカーメン王と王妃アンケセナーメンの姿が描かれている。王は右腕を椅子の背に乗せてくつろいで腰かけ、王妃は右手を王の身体に当てて香油を塗る、若い2人の親密な場面が描かれている。
★ネフェルティティ、美しき者きたりぬ
ネフェルティティ(BC1396-1359 NeFeRTiTi、紀元前14世紀)は、エジプト新王国時代の第18王朝のファラオであったアクエンアテン(aKH-eN-aToN, イクナートン、アメンホテプ4世)の王妃。ファラオ、トゥト・アンク・アメン(Tutankhamun「アメンの生ける似姿」の意味 BC1342年頃 - BC 1324年頃)の義母である。
彼女の名の意味は、NeFeR-T-(美しい・者)が iTi(訪れた)。ネフェルティティは、謎を秘めた未完成の美しい胸像が著名であり、古代エジプトの美女の一人と考えられている。「ネフェルティティの胸像」(ベルリン、エジプト博物館所蔵)
★参考文献
ハワード・カーター『ツタンカーメン発掘記』筑摩叢書1971
鈴木八司『沈黙の世界史 王と神とナイル エジプト』新潮社1970年
鈴木まどか『エジプト美術の謎』1992
展示作品の一部
「アテン神を礼拝するアクエンアテン王一家のレリーフ」(Relief of King Akhenaten family to worship God Aten)、新王国 第18王朝 前1365年頃 テル・エル・アマルナ出土 アラバスター 浮彫り、テル・エル・アマルナ大王宮大広間、欄干。
アテン神を象徴する太陽球から発せられる光線は、アテン神からの祝福を表し、それを受けるアクエンアテン一家が描かれている。太陽光線の先端は掌の形をしており、生命を象徴する「アンク」を王の鼻先にかざしている。王と共に祝福を受けているのは、王妃ネフェルティティと王女メリトアテン。
「アクエンアテン王の巨像頭部」砂岩:ルクソール東岸 東カルナック、アテン神殿、柱廊。アメンヘテプ4世は、太陽神アテンを唯一神とする宗教改革を行い、自らの名をアクエンアテン「(アテンに有益なもの)の意」に改めた。高さ5m以上の巨大なオシリス柱として、治世2~5年にかけてつくられ、カルナックのアテン神殿に設置された。特徴は、逆三角形の長い頭、細い目、厚い唇、尖った顎。
「ネフェルティティ王妃の頭部像」ミラ・ラヒーナ(メンフィス)、メルエンプタハ王宮
「王女の頭部像」
「下エジプト王冠を被ったツタンカーメンの像」「上エジプト王冠を被ったツタンカーメンの像」ルクソール(テーベ)王家の谷、ツタンカーメン王墓
「ツタンカーメンの棺形カノポス容器」ルクソール(テーベ)王家の谷、ツタンカーメン王墓
「チュウヤの人形棺」ルクソール(テーベ)王家の谷、チュウヤ墓
「アクエンアテン王のシャブティ」テル・エル・アマルナ、王家の溺れ谷
「ネフェルティティ王妃レリーフ」テル・エル・アマルナ、アテン大神殿
「ツタンカーメンの胸飾り」ルクソール(テーベ)王家の谷、ツタンカーメン王墓
「有翼スカラベ付き胸飾り」ルクソール(テーベ)王家の谷、ツタンカーメン王墓。
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ツタンカーメン展~黄金の秘宝と少年王の真実~
3300年の時を超えて、今なお人々を魅了し続ける古代エジプトの秘宝。中でも人気が高いツタンカーメン王にゆかりの品々が展示される『ツタンカーメン展』が開催。今回は、ツタンカーメンの王墓から見つかった副葬品約50点など、日本未公開の展示品を含むエジプト考古学博物館(カイロ博物館)所蔵の122点を展示。さらに、世界最高峰のエジプト考古学者ザヒ・ハワス博士の研究成果にも注目したい。
この貴重な機会に、謎に包まれたツタンカーメンの秘密に触れてみてはいかがだろうか。
http://kingtut.jp/
http://www.fujitv.co.jp/events/kingtut/top.html
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★ツタンカーメン展~黄金の秘宝と少年王の真実~、上野の森美術館
2012.8/4[土]~12/9[日] 開催時間 10:00~18:00 ※最終入場は17:00まで

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