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2012年8月19日 (日)

大英博物館 古代エジプト展・・・永遠の生命とは何か

20120707大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』より
エジプトのファラオ、秦の始皇帝。階級社会の頂点に立つ者は、永遠の生命をのぞんだ。永遠の生命をのぞむのは何故か。永遠の生命とは何か。皇帝、ファラオたちが求めたのは、地上の権力、地位と金の永続であったのだろう。人は、肉体を失えば、魂のみである。永遠の生命とは何か。
魂は不滅であり、輪廻転生するならば、魂はどこへ行くのか。永遠の生命とは何か。冥界の旅を導く『死者の書』はいかなる意味をもつのか。
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■魂のピラミッド
この世には、階級社会による、富のピラミッドが存在する。地位と金と権力による人間界の支配である。人は、肉体を失えば、魂のみである。
魂のピラミッドも存在する。魂のレベルによる、魂の階級である。知性と品性と愛のレベルによって、魂のピラミッドは構築される。レベルの低い魂が存在する。財産と地位を積み重ねても、レベルの高い魂にはならない。レベルの低い魂には、真実は見えない。人は、肉体を失えば、魂のみである。
「金持ちが天国に入るのは駱駝が針の穴を通るより難しい。」(マタイによる福音書19章16-26節)
「たとえ、全世界を手にいれても、魂を失ったならばなんの益になろうか」(マタイ福音書16章26節)
愛とは与えることである。人が死んだ後に残るものは、集めたものではない。与えたものである。
大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』より
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展示作品の一部
オシリス神像、新王国時代・第20柄王朝 前1100年頃 木、彩色
ミイラマスク、プトレマイオス朝またはローマ支配時代、前1~後1世紀 カルトナージュ、彩色、金箔
グリーンフィールド・パピルス(ネシタネベトイシェルウの『死者の書』第3中間期・第21王朝後期~第22王朝初期(前950-前930年頃) パピルス、インク
動物の風刺パピルス 新王国時代・第19王朝~20王朝(前1295-前1069年頃) パピルス、彩色
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古代エジプト人を来世へ導いた『死者の書』とは?
古代エジプトでは、人は死後に冥界の旅をへて来世で復活すると考えられていました。『死者の書』とは様々な試練が待つ旅路で死者に守護の力を与える呪文集、未来への旅のガイドブックです。その多くは美しい文字や挿絵で彩られたパピルスの巻物として死者に捧げられました。本展は大英博物館が誇る『死者の書』コレクションから全37mの世界最長の『死者の書』、「グリーンフィールド・パピルス」の全容を日本初公開するほか、ミイラや棺、護符、装身具など約180点で、古代エジプト人が祈りを込めた来世への旅路を追体験する展覧会です。
本展覧会は、『死者の書』の記述をもとに、古代エジプト人の死後の世界観と、来世へいたる旅を4つの章で紹介します。第3章では、世界最長の『死者の書』(グリーンフィールド・パピルス)37mの全容を日本で初めて一堂に展示します。
死者の書とは
『死者の書』とは様々な試練が待つ旅路で死者に守護の力を与える呪文集、未来への旅のガイドブックです。その多くは美しい文字や挿絵で彩られたパピルスの巻物として死者に捧げられました。現存する世界最長全長37mの『死者の書』(グリーンフィールド・パピルス)は、テーベを中心に上エジプトを支配していたアメン大司祭パネジェム2世の娘で女性神官のネシタネベトイシェルウの『死者の書』であり、天と地の誕生を表した挿絵は特に有名です。
第Ⅰ章 古代エジプトの死生観
古代エジプト人にとって、現世は仮の世界であり、来世への準備期間であるとみなされ、埋葬のための準備がなされました。また、生前の行為によって、死者の判定が行われました。その結果、死者は、死後に再生・復活し、永遠の生命を得るものと信じられていました。
第Ⅱ章 冥界への旅
古代エジプトでは、死者は様々なものに姿を変えながら、危険に満ちた冥界での旅を続けました。行手には、さまざまな困難が待ちうけ、それらを克服し、再生・復活を果たすために、呪文を唱えることが必要とされました。『死者の書』には約200の呪文(章句)が記されています。
第Ⅲ章 世界最長『死者の書』グリーンフィールド・パピルス
第3中間期第21王朝後期あるいは第22王朝初期(前950-前930年頃)のパピルスで、現存する世界最長全長37mの『死者の書』。テーベを中心に上エジプトを支配していたアメン大司祭パネジェム2世の娘ネシタネベトイシェルウの『死者の書』であり、天と地の誕生を表した挿絵は特に有名です。本展会場では37mの全容を日本で初めて一堂に展示します。
第Ⅳ章 『死者の書』をめぐる研究
『死者の書』は19世紀のエジプト学者が命名したもので、実際には「日のもとに出現すること(の呪文)(ペレト・エム・ヘルウ)」と呼ばれていました。古代エジプトでは、『死者の書』だけでなく、『洞窟の書』や『冥界の書』などの数多くの葬送文書が存在しています。
http://egypt2012.jp/index.html
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★大英博物館 古代エジプト展、森アーツセンターギャラリー
2012年7月7日(土)~9月17日(月・祝) 会期中無休
10:00~22:00
http://egypt2012.jp/index.html
2012年10月6日(土)~11月25日(日)福岡市美術館へ巡回します。

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