「琵琶湖をめぐる、近江路の神と仏、名宝展」三井記念美術館・・・十一面観音と大日如来
大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』より
枯葉舞う午後、十一面観音、大日如来(快慶)をみる。運慶の大日如来は容姿端麗な美しさだが、快慶の大日如来は雄渾である。快慶、若き日の作品である。美術館から歩いて日本橋を渡って、銀座に行く。銀座で渡り蟹のパスタを食べる。密教仏は、波乱の貴族文化の匂いが漂う。
近江は、天智天皇の近江大津宮、壬申の乱の戦場で、聖武天皇の紫香楽宮の故地であり、飛鳥時代、寧楽時代から権力抗争を離れて、離宮が営まれた地である。最澄は788年、比叡山寺一乗止観院を開創。最澄没後823年、延暦寺の号を勅許された。近江には十一面観音が多い。十一面観音は密教仏であり、変化身仏である。
■白洲正子『十一面観音巡礼』は、聖林寺の十一面観音をはじめに、羽賀寺、薬師寺、智識寺、月輪寺を辿って、最後に渡岸寺に到る。
「十一面観音」渡岸寺観音堂を、仏像展、東京国立博物館でみたのを思い出す。渡岸寺観音堂(向源寺)「十一面観音」は、貞観期(平安初期)の作。日本全国に七体ある国宝十一面観音の中でも美しい日本彫刻史の最高傑作の一つ。端麗な容姿、優美なくねる腰が美しい。本面の左右に瞋怒面と狗牙上出面を大きく表し、天冠台上には菩薩面、瞋怒面、狗牙上出面を各2面、背面に大笑面を表す。
■展示作品の一部
重文 善水寺「誕生釈迦仏立像」奈良時代。 釈迦の誕生直後の姿を表した金銅仏。
国宝 神照寺「透彫華籠」平安~鎌倉時代。散華供養において、散華を入れる器として用いる華籠。宝相華唐草文透し彫り。
重文 長命寺「透彫華鬘」鎌倉時代。
国宝 延暦寺「金銅経箱」平安時代。
重文 石山寺「如意輪観音半跏像」平安時代。
重文 園城寺「不動明王坐像」盛忠(じょうちゅう)作、平安時代 長和3年(1014)。
重文 葛川明王院「千手観音立像」平安時代。
重文 石山寺「大日如来坐像」快慶作、鎌倉時代。
鎌倉時代初頭に建立された石山寺多宝塔の本尊として安置される。面部裏に著名な仏師快慶の墨書銘がある。快慶の早い時期の作重文 飯道寺、十一面観音立像、平安時代
石部神社「厨子入薬師如来坐像」平安時代。重文
県文 百済寺「紺紙金字妙法蓮華経、開結経共」平安時代。
国宝「聖衆来迎寺、六道絵」 [等活地獄図]鎌倉時代
重文 安楽律院「弥陀三尊二十五菩薩来迎図」鎌倉時代
――
近江国一国をおさめる滋賀県は、現在の京都府、福井県、岐阜県、三重県に隣接し、日本一大きな湖・琵琶湖を中心に、その周囲を鈴鹿、伊吹、比良山系などの山並みが連なっています。そして、古くから交通の要衝の地であり、宗教を基盤にした文化が開かれていました。この展覧会は、琵琶湖をめぐる近江の古社寺に伝えられた秘仏、名宝を一堂に展示する、東京で開催される初めての大展覧会です。延暦寺、園城寺(三井寺)、石山寺他、42の古社寺から、仏像、神像、仏画、垂迹画、絵巻物、経巻、工芸品など、国宝6点、重要文化財56点、滋賀県指定文化財21点を含む約100点の名宝が出品されます。近江の豊かな風土と歴史を背景にした「祈りとロマンの世界」に、至極の美術品の数々が誘います。特に絵画は、文化財保護の精神に沿い、会期を3回に分けて、全作品を3回展示替えする贅沢な企画ですので、展示プランに合わせて、再度ご来館いただきたいと存じます。
なお、本展覧会は、東京の三井記念美術館だけで開催するもので巡回しませんので、この機会に是非ご覧いただきたいと思います。
――
★ 「琵琶湖をめぐる、近江路の神と仏、名宝展」、三井記念美術館
9月8日~11月25日
http://www.mitsui-museum.jp/exhibition/index.html
枯葉舞う午後、十一面観音、大日如来(快慶)をみる。運慶の大日如来は容姿端麗な美しさだが、快慶の大日如来は雄渾である。快慶、若き日の作品である。美術館から歩いて日本橋を渡って、銀座に行く。銀座で渡り蟹のパスタを食べる。密教仏は、波乱の貴族文化の匂いが漂う。
近江は、天智天皇の近江大津宮、壬申の乱の戦場で、聖武天皇の紫香楽宮の故地であり、飛鳥時代、寧楽時代から権力抗争を離れて、離宮が営まれた地である。最澄は788年、比叡山寺一乗止観院を開創。最澄没後823年、延暦寺の号を勅許された。近江には十一面観音が多い。十一面観音は密教仏であり、変化身仏である。
■白洲正子『十一面観音巡礼』は、聖林寺の十一面観音をはじめに、羽賀寺、薬師寺、智識寺、月輪寺を辿って、最後に渡岸寺に到る。
「十一面観音」渡岸寺観音堂を、仏像展、東京国立博物館でみたのを思い出す。渡岸寺観音堂(向源寺)「十一面観音」は、貞観期(平安初期)の作。日本全国に七体ある国宝十一面観音の中でも美しい日本彫刻史の最高傑作の一つ。端麗な容姿、優美なくねる腰が美しい。本面の左右に瞋怒面と狗牙上出面を大きく表し、天冠台上には菩薩面、瞋怒面、狗牙上出面を各2面、背面に大笑面を表す。
■展示作品の一部
重文 善水寺「誕生釈迦仏立像」奈良時代。 釈迦の誕生直後の姿を表した金銅仏。
国宝 神照寺「透彫華籠」平安~鎌倉時代。散華供養において、散華を入れる器として用いる華籠。宝相華唐草文透し彫り。
重文 長命寺「透彫華鬘」鎌倉時代。
国宝 延暦寺「金銅経箱」平安時代。
重文 石山寺「如意輪観音半跏像」平安時代。
重文 園城寺「不動明王坐像」盛忠(じょうちゅう)作、平安時代 長和3年(1014)。
重文 葛川明王院「千手観音立像」平安時代。
重文 石山寺「大日如来坐像」快慶作、鎌倉時代。
鎌倉時代初頭に建立された石山寺多宝塔の本尊として安置される。面部裏に著名な仏師快慶の墨書銘がある。快慶の早い時期の作重文 飯道寺、十一面観音立像、平安時代
石部神社「厨子入薬師如来坐像」平安時代。重文
県文 百済寺「紺紙金字妙法蓮華経、開結経共」平安時代。
国宝「聖衆来迎寺、六道絵」 [等活地獄図]鎌倉時代
重文 安楽律院「弥陀三尊二十五菩薩来迎図」鎌倉時代
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近江国一国をおさめる滋賀県は、現在の京都府、福井県、岐阜県、三重県に隣接し、日本一大きな湖・琵琶湖を中心に、その周囲を鈴鹿、伊吹、比良山系などの山並みが連なっています。そして、古くから交通の要衝の地であり、宗教を基盤にした文化が開かれていました。この展覧会は、琵琶湖をめぐる近江の古社寺に伝えられた秘仏、名宝を一堂に展示する、東京で開催される初めての大展覧会です。延暦寺、園城寺(三井寺)、石山寺他、42の古社寺から、仏像、神像、仏画、垂迹画、絵巻物、経巻、工芸品など、国宝6点、重要文化財56点、滋賀県指定文化財21点を含む約100点の名宝が出品されます。近江の豊かな風土と歴史を背景にした「祈りとロマンの世界」に、至極の美術品の数々が誘います。特に絵画は、文化財保護の精神に沿い、会期を3回に分けて、全作品を3回展示替えする贅沢な企画ですので、展示プランに合わせて、再度ご来館いただきたいと存じます。
なお、本展覧会は、東京の三井記念美術館だけで開催するもので巡回しませんので、この機会に是非ご覧いただきたいと思います。
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★ 「琵琶湖をめぐる、近江路の神と仏、名宝展」、三井記念美術館
9月8日~11月25日
http://www.mitsui-museum.jp/exhibition/index.html
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