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2012年10月26日 (金)

リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝・・・虚飾の館

20121003大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』より
虚飾の美は、真の美ではない。後期バロックの装飾過剰な美術は、退廃藝術である。バロックの過剰装飾、悪趣味な飾りは、限りなく醜い。バロックの美術について、イタリアのファッション・デザイナーが美しくないといっている。物欲と権力と虚栄に溺れた醜悪。ルーベンス(1577-1640)の脂肪のついた豊満な肉体の女は、バロックの堕落である。
貴族の美術蒐集も、薬物依存と同様、陶酔を生の至上とする物質への魂の奴隷状態である。金銭と地位と権力を集積すればするほど、精神は醜い。物質的に豊かで地位があればあるほど、精神は腐っている。腐臭を放っている。
では、魂の美しさとは何か。魂の醜さについては、プラトン『国家』第2巻、第9巻。魂の美しさについては、プラトン『国家』第4巻、第5巻に書かれている。
*大久保 正雄『プラトン哲学のエロスとタナトス』
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■富と権力と虚飾について
「人間がこの世に存在するのは、金持ちになるためでなく、幸福になるためである。」スタンダール
「一生の終わりに残るのは、人が集めたものではなく、人に与えたものである。」ジュエラール・シャンドリー
「富に執着し、名誉、利欲に執着し、自分自身に執着する。この執着から苦しみが生まれる。」華厳経
「酒や薬物に頼って前後不覚の陶酔を生の至上のものとする悪癖を身につけてしまった人間に待ち構えているのは、ほかの何をもってしても軽減されない夥しい苦しみであり、ついで魂の没落であり、そして、この世からの早過ぎる敗退である。あらゆる誘惑の克服は不可能であっても、これはやめるべきだ。」丸山健二
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■展示作品の一部
アンソニー・ヴァン・ダイク《マリア・デ・タシスの肖像》1629/30年]
ペーテル・パウル・ルーベンス《クララ・セレーナ・ルーベンスの肖像》1616年頃
ペーテル・パウル・ルーベンス《占いの結果を問うデキウス・ムス》「デキウス・ムス」連作より 1616/17年
ペーテル・パウル・ルーベンス《マルスとレア・シルヴィア》1616/17年頃
レンブラント・ハルメンスゾーン・ファン・レイン《キューピッドとしゃぼん玉》1634年
フリードリッヒ・フォン・アメリング「夢に浸って」1835年
フランチェスコ・アイエツ「復讐の誓い」1851年
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「リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝」
オーストリアとスイスの間にあるリヒテンシュタイン侯国。同国の国家元首であるリヒテンシュタイン侯爵家は、優れた美術品収集こそが一族の栄誉との家訓のもと、500年以上にわたってヨーロッパ美術の名品を収集してきました。その数は3万点に及び、英国王室に次ぐ世界最大級の個人コレクションといわれています。本展では同コレクションから139点の名品を選りすぐり、日本で初めて公開します。世界屈指のルーベンス・コレクションからは、愛娘を描いた《クララ・セレーナ・ルーベンスの肖像》など10点が一挙に来日。ラファエッロ、クラナッハ、レンブラント、ヴァン・ダイクをはじめとする巨匠たちの名画や、華麗な工芸品が一堂に並びます。
侯爵家が所蔵するルーベンス作品は、30点余りを数え、世界有数の質と量を誇ります。本展では、その中から選び抜かれた10点を一挙に公開します。5歳の頃の愛娘を描いた《クララ・セレーナ・ルーベンスの肖像》は、父ルーベンスの愛情を感じさせる傑作。ほかにも、ルーベンス渾身の歴史画「デキウス・ムス」連作から、約3×4メートルの大作が来日します。
ウィーン郊外ロッサウの侯爵家の「夏の離宮」は、華麗なバロック様式を特徴とし、その室内には今もなお、いにしえの宮廷さながらに、侯爵家の所蔵する絵画、彫刻、工芸品、家具調度が一堂に並べられています。本展では、その室内装飾と展示様式にもとづいた「バロック・サロン」を設け、華やかなバロック宮殿の雰囲気を再現します。また、日本の展覧会史上初の試みとして、天井画も展示。総合芸術としてのバロック空間を体感していただけます。
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★「リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝」国立新美術館
2012年10月3日~12月23日 六本木・国立新美術館、
2013年1月5日~3月7日 高知県立美術館、
2013年3月19日~6月9日 京都市美術館.
http://www.asahi.com/event/liechtenstein2012-13/

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