ラファエロ展、ルネサンスの優美・・・ラファエロ、1505年、レオナルドに会う
大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』より
フィレンツェへの旅、美しい秋のトスカーナの思い出が蘇る。私がラファエロの絵を見たのは、フィレンツェ、ローマ、ミラノ、ウィーン、ドレスデン、マドリッドである。『アテナイの学堂』、『小椅子の聖母』、『ヴェールの女』、『キリストの変容』は、不滅の傑作である。ラファエロ・サンツイオ(1483~1520)が愛される理由はなにか。
『ヴェールの女』は、まるで現実に血が通い生きているかのような絵画の美しさである。ピッティ宮殿で再会すると、生きているような人間性を感じる。上品な美しさがある。『小椅子の聖母』(パラティーナ美術館)は、魅惑の美しさである。ラファエロは聖母子像が著名、多くの愛好家がいる。『システィーナの聖母』の天使が好まれている。
ヴァティカン宮殿ラファエロの間、署名の間『アテナイの学堂』は、文化史の奇跡、ギリシア文化の再生の象徴であり、遠近法によって構築された、ルネサンスの古典的調和がある。ルネサンス三大巨匠のなかで、ルネサンス的調和があるのはラファエロである。
ラファエロの生涯は3つの時代に分けらる。
ウルビーノ時代 1483〜1503年(20歳)
フィレンツェ時代 1504〜1507年(21〜24歳)
ローマ時代 1508〜1520年(25歳〜37歳)
ウルビーノ時代にはペルジーノに弟子入り、その後独立。フィレンツェ時代にはダ・ヴィンチに会い、影響を受けた。レダ、モナリザをデッサンしている。
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★ラファエロ、1505年。レオナルドに会う。
1505年、ラファエロ(22才)は、レオナルド(53才)を工房に訪ねて会った。レオナルドは『レダ』『モナリザ』を描いていた。レオナルドから、深い影響を受けた。ラファエロ『モナリザ』『レダ』1505、素描がある。
ラファエロが、遠近法を学んだのは、ピエロ・デッラ・フランチェスカである。ピエロ・デッラ・フランチェスカは15世紀の遠近法の最高の巨匠と分析されている。
サン・ピエトロ大聖堂の建築監督ドナト・ブラマンテが1514年に死去し、ラファエロがその後任についた。しかしラファエロもサン・ピエトロ建設中の1520年に死去。ミケランジェロによる設計が採用されている。
「ラファエロは偉大な剽窃家」若桑みどり。
才能きらめく青春のさなか、ラファエロは、ローマにて、37才で死ぬ。30歳代で死んだ藝術家、才人は歴史に名をとどめる。アレクサンドロス大王は33歳で死に、クレオパトラは39歳で死んだ。
*大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』
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「ラファエロ 、Raffaello」国立西洋美術館
「ルネサンスを代表する画家、ラファエロ。」
ラファエロ・サンツィオはレオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロと並び3大巨匠とも称されるイタリア・ルネサンス(15世紀~16世紀)の画家です。甘美で幸福感あふれる画風は、当時から絶大な人気を誇り、西洋では長年にわたって美術のお手本とされてきました。
「早熟の天才が送った、華やかな人生。」
1483年、イタリア中部の町ウルビーノでラファエロは生まれました。宮廷画家だった父らに絵を学んだ彼は、ペルージャのペルジーノ、フィレンツェのレオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロらの表現を吸収して腕を磨きました。1508年には教皇によってローマに招聘されます。卓越した才能、美しい容姿、社交的な性格が教皇や貴族に愛されました。そしてヴァチカン宮殿の壁画を制作するなど栄光を手にしますが、37歳という若さで生涯を閉じました。
「“聖母子の画家”、代表作を日本初公開。」
ラファエロといえば、聖母マリアとキリストを愛らしく描いた“聖母子像”が有名です。あらゆる画家が手掛けた主題ではありますが、ラファエロの描いた作品には深い愛情とやすらぎがあふれています。本展では、最高傑作に数えられる《大公の聖母》を初めて日本で公開します。18世紀にトスカーナ大公(現トスカーナ州の前身国家の君主)が愛蔵し、決して自分の手元から離さなかったことから、その名がつけられました。
「待望のラファエロ展、ついに実現!」
ラファエロの作品はその貴重さゆえに、ヨーロッパでも大規模な展覧会を開催するのが困難と言われてました。そのラファエロ展がヨーロッパ以外の地で初めて開催されます。イタリアの全面協力のもと、20点を超えるラファエロ作品が、同国各地とルーブル美術館、プラド美術館などから集まり、東京の春を優美に彩ります。
国立西洋美術館
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★「ラファエロ 、 Raffaello」国立西洋美術館
2013年3月2日(土)~6月2日(日)
http://raffaello2013.com/
★ラファエロ『大公の聖母』1505(パラティーナ美術館)
★ラファエロ『モナリザ』『レダ』1505、素描
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