飛騨の円空―千光寺とその周辺の足跡―・・・木に宿る木霊
大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』より
円空は、旅する僧侶である。旅の中で仏像を刻んだ。一刀両断する形の美。神秘と美といのちが木の中にある。一刀彫で切断した断面に、自然界の美が現れる。微笑みを湛えた木の仏像の美。木のなかに眠る木霊を掘り起すのが、円空の彫刻の技である。
美濃国竹が鼻の人、幼より出家して寺にあったが、二十三歳の時遁走して、大峰山等に籠もって、法隆寺、園城寺で修行を修め、東国を巡って蝦夷地に渡った。後、飛騨の千光寺に寓した。北海道、青森から、南は三重県、奈良県までおよぶ旅に出たのはなぜか。北海道、東北に残るものは初期像が多く、岐阜、飛騨地方には、後期像が多い。30代から諸国を遍歴した円空。なぜ遍歴の生涯を送ったのか。孤独と強い意志は、何ゆえか。
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展示作品
「護法神立像」円空作 2躯 江戸時代・17世紀 岐阜・千光寺
「護法神立像」円空作 1躯 江戸時代・17世紀 岐阜・千光寺
「三十三観音立像」(円空作 江戸時代・17世紀 岐阜・千光寺蔵)
「両面宿儺坐像」円空作 江戸時代・17世紀 岐阜・千光寺蔵
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■東京国立博物館140周年 特別展「飛騨の円空―千光寺とその周辺の足跡―」
各地の霊山を巡り、生涯で12万体の仏像を彫ったという円空(1632-95)。円空は訪れた土地の山林の木を素材にして、あまり手数を掛けずに仏像を造りました。表面には何も塗らず、木を割った時の切断面、節や鑿跡がそのまま見える像が多くあります。木の生命力を感じさせ、素朴で優しい円空の仏は江戸時代以来村人に親しまれ、今も多くの人の心をひきつけます。この展覧会では、「両面宿儺坐像(りょうめんすくなざぞう)」など、岐阜・千光寺所蔵の円空仏61体を中心に岐阜県高山市所在の100体を展示します。穂高岳、乗鞍岳など円空が登った山の名前を書いた像もあります。 林立する飛騨の円空仏。展示室に飛騨の森の空気が満ちることでしょう。
円空が彫った仏像は、表面には何も塗らず、木を割った時の切断面、節や鑿跡がそのまま見えるのが特徴です。本展覧会では、木の生命力を感じさせ、素朴で優しい円空仏100体を展示。個性豊かな作品の中でも印象的なのが、白洲正子が著書『十一面観音巡礼』で美しいと記した「三十三観音立像」(円空作 江戸時代・17c 総高61.0~82.0cm 岐阜・千光寺蔵)です。もとは50体以上あったともいわれていますが、現在残っているのは31体のみ。近隣の人々が病になった時などに貸し出しているうちに戻って来なかったものもあるからだといわれています。1体ごとに異なる表情にご注目ください。
http://www.tnm.jp/
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東京国立博物館 本館 特別5室
2013年1月12日(土)~2013年4月7日(日)
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