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2013年6月 4日 (火)

貴婦人と一角獣展・・・五感と「我が唯一の望み」

20130424_2新緑の美しい晴れた午後、美術館に行く。
若き貴婦人と一角獣が織り込まれてた赤いタピスリー。16世紀から、リムーザン地方の古城、ブサック城に伝来し秘かに埋もれていた、タピスリー(つづれ織り)。花や動物を鏤めた千花文様(ミルフルール)。「アンヌ・ド・ブルターニュのいとも小さき時祷書」の画家によって描かれた図案。赤い織物が、古色蒼然たる中世の館から蘇る。
貴婦人と一角獣のタピスリーが、五感と「我が唯一の望み」の主題の下に描かれたのは何故か。「我が唯一の望み」(Mon Seul Désir)とは何か。
若き貴婦人が、手を触れる、お菓子を口に入れる、花冠の匂いを嗅ぐ。音楽を聴く、鏡に映る自らの姿を見る、一角獣。眼耳鼻舌身意(六識)は、人を楽しませるものであり、また迷わせるものである。若き貴婦人が、五感では付けていた首飾りが、「我が唯一の望み」では外され、宝石箱に仕舞われようとしている。若き貴婦人は、富を捨てて、愛を選んだのだろうか。
『貴婦人と一角獣』は、19世紀、作家プロスペル・メリメによって再発見され、ジョルジュ・サンド、マルセル・プルースト、ライナー・マリーア・リルケ『オルフェイスに寄せるソネット』『マルテの手記』、ジャン・コクトー、様々な作家、詩人の霊感を駆り立てた。
「詩は人間精神の最も、崇高な活動である。詩は美の完成である。詩は文学の極致であり、目的である。文学の王座は詩である。
詩人の通行にあっては、散文作家はその道を譲らなければならぬ。」モーム『お菓子と麦酒』*
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■主な展示作品
タピスリー連作 『貴婦人と一角獣』1500年頃 羊毛、絹
The Lady and the Unicorn
《貴婦人と一角獣「触覚」》触覚/Touch 373×358cm
《貴婦人と一角獣「味覚」》味覚/Taste 377×466cm
《貴婦人と一角獣「嗅覚」》嗅覚/Smell 368×322cm
《貴婦人と一角獣「聴覚」》聴覚/Hearing 369×290cm
《貴婦人と一角獣「視覚」》視覚/Sight 312×330cm
《貴婦人と一角獣「我が唯一の望み」》我が唯一の望み/Mon Seul Désir 377×473cm
この言葉は何を意味しているのか。貴婦人は、侍女が捧げ持つ小箱から、宝石を選んで身につけようとしている、あるいはまた逆に箱に宝石を戻しているようにも、見える。この最後の画面が何を意味しているか。 五感を統べる第六の感覚である、心、知性、精神であるとも言われ、銘文からは、愛や結婚という意味が導き出される。 宝石が象徴するものに対する貴婦人の身振りも、どちらとも解釈することができる。最後に残された謎である。
連作タピスリー『聖母の生涯』より 下絵パリ1490-1500年頃 羊毛、絹
「受胎告知」「聖母マリアのエリザベト訪問」「聖母マリアを咎めるヨセフ」
連作タピスリー『領主の生活』より「恋愛の情景」ネーデルラント1500-1520年頃 羊毛、絹
『放蕩息子の出発』1510‐1520年頃、高さ362cm×幅668cm。
The Department of prodigal son.
出発した放蕩息子を若い女たちが迎えている。
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6点の主要な構成要素は「木と紋章が立つ藍色の“島”に、貴婦人と侍女、一角獣と獅子」。
「6連作のうち5点は人間の五感を表している。しかも五感には序列があり、触覚、味覚、嗅覚、聴覚、視覚の順に、物質的なものから精神的な感覚へと高まってゆく」(クリュニー中世美術館エリザベット・タビュレ=ドゥラエ館長)
三日月の紋章は、リヨン出身でパリ法曹界の有力者だったル・ヴィスト家の紋章であり、タピスリーの注文者は16世紀初頭に同家当主となったアントワーヌ2世とする説が有力である。
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貴婦人と一角獣展
フランス国立クリュニー中世美術館の至宝《貴婦人と一角獣》は、西暦1500年頃の制作とされる6面の連作タピスリーです。19世紀の作家プロスペル・メリメやジョルジュ・サンドが言及したことで、一躍有名になりました。
千花文様(ミルフルール)が目にも鮮やかな大作のうち5面は、「触覚」「味覚」「嗅覚」「聴覚」「視覚」と人間の五感を表わしていますが、残る1面「我が唯一の望み」が何を意味するかについては、“愛”“知性”“結婚”など諸説あり、いまだ謎に包まれています。
本作がフランス国外に貸し出されたのは過去にただ一度だけ、1974年のことで、アメリカのメトロポリタン美術館でした。 本展は、この中世ヨーロッパ美術の最高傑作の誉れ高い《貴婦人と一角獣》連作の6面すべてを日本で初めて公開するもので、タピスリーに描かれた貴婦人や動植物などのモティーフを、関連する彫刻、装身具、ステンドグラスなどで読みといていきます。
クリュニー中世美術館の珠玉のコレクションから厳選された約40点を通して、中世ヨーロッパに花開いた華麗で典雅な美の世界を紹介します。
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「フランス国立クリュニー中世美術館所蔵 貴婦人と一角獣展」
The Lady and the Unicorn from the Musée de Cluny, Paris, France
http://www.lady-unicorn.jp/
国立新美術館 4月24日(水)~7月15日(月・祝)
http://www.nact.jp/
国立国際美術館 2013年7月27日(土)-10月20日(日)

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