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2013年11月13日 (水)

ターナー展 英国最高の巨匠・・・イタリアの黄昏、黄金の光

2013100801秋の夕暮れの光が、枯葉とともに舞う午後、美術館に行く。ターナーの絵を見ると、晩秋のイタリアの旅、ヴェネツィアの黄昏の黄金の光を思い出す。
ロマン主義の詩人バイロン、シェリーは、イギリスの階級社会の鬱屈に抗しロマンスを求めて、イタリアの美しい風光に旅立ち、詩魂を洗練し磨き上げた。官能と美の陶酔、限りある生命の儚さと美、宵闇迫る黄昏時の美。輝けるルネサンスの残影、沈みゆくヴェネツィアの輝きと闇の光。(大久保正雄『藝術家たちの地中海紀行』)
ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー(Joseph Mallord William Turner 1775 - 1851)は19世紀イギリスのロマン主義の画家である。西洋絵画史における有数の風景画家の1人である。詩人バイロンの物語詩『チャイルド・ハロルドの巡礼』(1818)に憧れて、44歳の時、イタリア旅行し、この時の作品とヴェネツィアを描いた絵画が頂点である。クロード・ロラン(Claude Lorrain 1600 - 1682)の影響を受け、美しいイタリアの黄昏の風景を描いた。
大英帝国の繁栄は、属国の苦しみの上に構築された。ヴィクトリア女王が統治していたヴィクトリア朝(1837年~1901年)の時代は、イギリス史において産業革命による経済が成熟したイギリス帝国の絶頂期である。ヴィクトリア女王の治世1837年から1901年は英国の黄金期であるばかりでなく、英国美術の黄金期、爛熟期であった。イギリス帝国のムガル帝国、インド帝国搾取の犠牲の上に、英国美術の黄金期は築かれた。「綿織物工の骨がインドの平原を白く染めている」(ウィリアム・ベンティンク)。(大久保正雄『藝術と文明-権力闘争の歴史-』、大久保正雄『国家は滅びても都市は滅びない』)
ヴァティカン回廊からサン・ピエトロ広場を見下ろすラファエロと恋人の幻影。バイロンの詩の主人公チャイルド・ハロルドは青春を浪費したことを悔い、異国の地に魂の救済を求め、イタリアの痛切な美に心を満たされる。藝術家のイタリアへの旅は、探求の旅である。バイロンの詩句の夢見るような憂愁。ローマ文明の衰退、イタリアの美しさに陶酔する。旅路の果てに、美と魂の救済を見出す。
「永遠の都市」ローマのまばゆい光。かつての美しく高貴なヴェネツィアが、優雅な趣を揺曳しながら衰微する姿。(大久保正雄『藝術家たちの地中海紀行』)
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主な展示作品
Ⅰ 初期
ターナー「月光、ミルバンクより眺めた習作」Moonlight, a Study at Millbank
[1797年ロイヤル・アカデミー展出品/油彩/板材/縦31.4cm x 横40.3cm]
Ⅱ 「崇高」の追求
ターナー「バターミア湖、クロマックウォーターの一部、カンバーランド、にわか雨」Buttermere Lake,with Part of Cromackwater, Cumberland, a Shower
[1798年ロイヤル・アカデミー展出品/油彩/カンヴァス/縦88.9cm x 横119.4cm]
Ⅲ 戦時下の牧歌的風景
ターナー「スピットヘッド:ポーツマス港に入る拿捕された二隻のデンマーク船」
[1808年発表 油彩、カンヴァス 171.4 x 233.7㎝]
Ⅳ イタリア
★ターナー「ヴァティカンから望むローマ、ラ・フォルナリーナを伴って回廊装飾のための絵を準備するラファエロ」1820 Rome, from the Vetican. Raffaelle, Accompanied by La Fornarina, Preparing his Pictures for the Decoration of the Loggia
偉大な画家ラファエロを讃える絵画で、ヴァティカンの名高い回廊を訪ねたのが制作の契機。サン・ピエトロ広場を見下ろす優雅な回廊は、16世紀にラファエロと弟子たちが装飾をほどこした。
[1820年ロイヤル・アカデミー展出品/油彩/カンヴァス/縦177.2cm x 横335.3cm]
★ターナー「チャイルド・ハロルドの巡礼―イタリア」1832 Childe Harold's Pilgrimage-Italy
詩の主人公チャイルド・ハロルドは青春を浪費したことを悔い、異国の地に魂の救済を求め、ついにイタリアの痛切な美に心を満たされる。。ターナーのイタリア訪問も、チャイルド・ハロルドと同じ探求の旅である。バイロンの詩句の夢見るような憂愁を捉え、ローマ文明の衰退を嘆きながら、イタリアそのものの自然の美しさに陶酔する。(『ターナー展図録』参照)旅路の果てに、美と魂の救済を見出す。
[1832年ロイヤル・アカデミー展出品/油彩/カンヴァス/縦142.2cm x 横248.3cm]
★ターナー「レグルスRegulus」1828
クロード・ロランの描いた名高い港の絵にインスピレーションを得ている。ターナーは「永遠の都市」を訪れる途上立ち寄ったフィレンツェで、この絵を再び目にした(『ターナー展図録』参照)
[1828年ローマで展示、1837年加筆/油彩/カンヴァス/縦89.5cm x 横123.8cm]
Ⅴ 英国における新たな平和
ターナー「夕べ、湖面の小船と遠方の塔」1827
ターナー「逆賊門、ロンドン塔」サミュエル・ロジャーズ『詩集』のための挿絵1832
Ⅵ 色彩と雰囲気をめぐる実験
ターナー「黄色い砂丘の上の青い月影」1824
Ⅶ ヨーロッパ大陸への旅行
ターナー「バッシー門より望むパリ」1833
Ⅷ ヴェネツィア
ターナー「ヴェネツィア、総督と海の結婚の儀式 サンマルコ広場」1835
★ターナー「ヴェネツィア、嘆きの橋」Venice, the Bridge of Sighs 1840
[1840年ロイヤル・アカデミー展出品/油彩/カンヴァス/縦68.6cm x 横91.4cm]
ターナー「ヴェネツィア、月の出」Venice,Moonrise
[1840年:「大運河、ジューデッカ島」スケッチブック/水彩/紙/縦22.0cm x 横31.9cm]
ターナー:黄昏時のプンタ・デッラ・ドガーナ(税関舎)とサンタ・マリア・デッラ・サルーテ教会をホテル・エウロパより望む The Punta della Dogana and Santa Maria della Salute at Twilight, from Hotel Europa
[1840年/鉛筆、水彩/紙/縦19.4cm x 横28.0cm]
Ⅸ 後期の海景画
ターナー「日の出」1840
Ⅹ 晩年の作品
ターナー「湖に沈む夕陽」
[1840-45年頃 油彩、カンヴァス 91.1 x 122.6㎝]
ターナー「平和―水葬」Peace-Burial at Sea
[1842年ロイヤル・アカデミー展出品/油彩/カンヴァス/縦87.0cm x 横86.7cm]
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26歳にして英国王立アカデミーの正会員に選出されたターナーは、生涯にわたって英国ロマン主義を牽引しました。近代西洋絵画における風景画の地位を飛躍的に高め、モネやピサロなど後の印象派の画家にも多大な影響を与えました。
ターナー作品約2万点を所蔵し、世界最大のターナー・コレクションを誇る英ロンドンのテート美術館から、油彩の代表作30点、水彩等約70点。西洋美術史上に輝く巨匠の足跡を辿る。
17世紀の画家クロード・ロランへの憧憬がよく表れている名作「レグルス」。「チャイルド・ハロルドの巡礼-イタリア」は、夏目漱石が「坊っちゃん」で言及した。
40歳、壮年期以降ターナーの心をとらえ続けたヴェネツィアの街を主題とした「ヴェネツィア、嘆きの橋」。光や大気まで描く独自の画風を展開する晩年の境地「平和-海上の儀式(水葬)」。後世の抽象画に通じる革新的な最晩年の作品まで。ターナーの画業の全貌を網羅する展覧会。
http://www.turner2013-14.jp/
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ターナー展 英国最高の巨匠 待望の大回顧展!
http://www.turner2013-14.jp/
2013年10月8日(火)~12月18日(水)
東京都美術館(東京・上野公園)
2014年1月11日(土)~4月6日(日)
神戸市立博物館(兵庫・神戸市中央区)
★ターナー「ヴァティカンから望むローマ、ラ・フォルナリーナを伴って回廊装飾のための絵を準備するラファエロ」1820
2013100802

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