ジャコメッティ展・・・「夕日の影」の思い出
大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』より
ジャコメッティの細長い彫刻を見ると、2千年前のエトルリアの彫刻、「夕日の影」を思い出す。二千年の時の流れを超えるものは何か。
トスカーナを旅した日々。ピサ、フィレンツェ、サン・ジミニャーノ、シエナ、オルヴィエート、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ。エトルリアの彫刻「夕日の影」(ヴォルテッラ)には、孤独な人間の姿がある。
ジャコメッティは、エトルリアの彫刻から影響を受けていない。ジャコメッティは、独自に1945年から有名な細長い彫刻を生みだす。ジャコメッティが手に入れたまったく新しい彫刻の形。「人間の本質に迫る、虚飾を一切取り払って極端に細くなった像」。
*大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』より
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永遠を旅する哲学者、時を超え、黄昏の丘を超えて、美へ旅する。
美は真であり、真は美である。これは、地上にて汝の知る一切であり、知るべきすべてである。
美しい魂は、輝く天の仕事をなす。美しい女神が舞い下りる。美しい守護精霊が、あなたを救う。
*大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』より
*大久保 正雄『永遠を旅する哲学者 美のイデアへの旅』
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「夕日の影」ヴォルテッラ、トスカーナの思い出
エトルリア文明と20世紀文明、二千年の時の流れを超えるものは何か。
「オンブラ・デッラ・セーラ」(夕刻の影)紀元前3世紀、銅製。(ヴォルテッラ、グアルナッチ・エトルリア博物館)。夕日の影は、少年の像のようである。
「夕日の影」(Ombra della Sera)と名付けたのは、詩人ダヌンツィオである。男性の裸体、57、5センチの高さ。ミケランジェロ家が所有していた記録がある。紀元前5~1世紀作の石棺、骨壺など埋葬品多数展示(グアルナッチ・エトルリア博物館)。
ジャコメッティ彫刻「ヴェネツィアの女」「立つ女」に似ている。ヴェネツィアの女の立ち姿の夕日の陰のようである。
ヴィスコンティ『熊座の淡き星影』Vaghe stelle dell'orsa
ヴォルテッラVolterraはヴィスコンティの映画『熊座の淡き星影』の舞台の町である。ギリシア悲劇ソポクレス『エレクトラ』が原型である。ニューヨークに行く途中故郷ヴォルテッラに立ち寄る。女優クラウディア・カルディナ-レが、颯爽とスポ-ツカ-に乗ってエトルリア門前に登場する。かつてはピアニストで今は病む母親、姉弟の近親相姦、燃え尽きる小説「熊座の淡き星影」。
*大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』より
★参考文献
『エトルリア文明 古代イタリアの支配者たち』知の再発見双書
『ヴィスコンティ集成 退廃の美しさに彩られた孤独の肖像』1994
http://www.villasensano.it/blog/the-bronze-symbol-of-volterra/
国立新美術館『ジャコメッティ展図録』2017
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アルベルト・ジャコメッティの軌跡
Alberto Giacometti, (1901年10月10日 - 1966年1月11日)。1901年スイスに生まれる。1922年、20歳でパリに出たジャコメッティ。ルーヴル美術館で見た古代エジプトやエトルリア美術、民俗学博物館で出会ったアフリカやオセアニア彫刻の造形から影響を受ける。1930年、ジャコメッティの作品を見たサルバドール・ダリとアンドレ・ブルトンにシュルレアリスム運動に誘われ、シュルレアリスム展に参加。1933年の父の死後、頭部を作り始めるようになり、1934にはシュルレアリスムと決別。1935年、ジャコメッティはモデルに基づく彫刻を試みる。小さな像の時代。1945年からジャコメッティの代表作といえる細長い彫刻を作り始める。女性立像、歩く男、指差す男、倒れる男、群像。ジャコメッティ展、
*大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』より
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展示作品の一部
アルベルト・ジャコメッティ「歩く男Ⅰ」1960年、ブロンズ、183 × 26 × 95.5 cm、マルグリット&エメ・マーグ財団美術館、サン=ポール・ド・ヴァンス
「ヴェネツィアの女Ⅰ」1956年 、ブロンズ 、106 × 13.5 × 29.5 cm、マルグリット&エメ・マーグ財団美術館、サン=ポール・ド・ヴァンス
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★「ジャコメッティ展」国立新美術館、6月14日から9月4日まで
国立新美術館にて2017年6月14日(水)から9月4日(月)まで
豊田市美術館 2017.10.14(土)- 12.24(日)
http://www.nact.jp/
http://www.tbs.co.jp/giacometti2017/
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