« 「京都・醍醐寺-真言密教の宇宙-」・・・醍醐寺三宝院、織田信長のために祈祷する | トップページ | フェルメール展・・・光の魔術師、オランダの黄金時代の光と影 »

2018年10月 7日 (日)

「京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ」・・・純粋な美しい魂に舞い降りる

Kaikeijoukei2018大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』第158回
金木犀の香る森を歩いて、博物館に行く。夕暮れの森、夕暮れの諧調、夕暮れの寺院、観音菩薩は純粋な美しい魂に舞い降りる。
六観音菩薩の思想、六道輪廻の思想が、800年前の仏像に顕現されていて、感銘を受ける。
観音菩薩の光背の透かし彫りが生みだす美しい影。
【六観音菩薩】如意輪観音菩薩は、神通力をもつ天人を救う。准胝(不空羂索) 観音菩薩は、四苦八苦の人道を救う。十一面観音菩薩は、怒りと争いの修羅道を救う。馬頭観音菩薩、弱肉強食の畜生道を救う。千手観音菩薩、飢えと渇きの餓鬼道を救う。聖観音は、地獄道を救う。

【六観音菩薩】聖観音菩薩は、地獄道の者を救う。千手観音菩薩、飢えと渇きの餓鬼道の者を救う。馬頭観音菩薩、動物の弱肉強食の畜生道の者を救う。十一面観音菩薩、怒りと争いの修羅道を救う。准胝観音菩薩(不空羂索観音菩薩)、四苦八苦の人道を救う。如意輪観音菩薩、神通力をもつ天人を救う。
この世は、競争社会である。弱肉強食の畜生、怒りと争いの修羅。強奪と詐欺と殺戮と裏切りの悪鬼に満ち充ちている。神通力をもつ天人を救うのは、如意輪観音である。
競争社会のフランスを逃れて、ポルトガルに移住するフランス人。金権社会のイギリスを逃れて、イタリアに移住するイギリス人。織田信長は、階級社会の日本を嫌悪、天下布武、既存の階級社会、価値観を拒否して、戦いと茶会を展開した。天道を追求した織田信長。
【信長の弟信行、病いの織田信長を殺しにやってくる】信行、弘治3 (1557)年11月2日、二度目の謀反を企て、清洲城へ信長の見舞いにくる。清洲城北櫓天主、次の間で信長の命を受けた河尻秀隆ら、あるいは池田恒興らによって返り討ち。復讐する信長24歳。
【織田信長、天下布武、茶会】織田信長は、1567(永禄10年) 天下布武から、戦いと茶会を展開する。1568(永禄11年)9月26日、信長、入京。1571年(元亀二年)、織田信長、東福寺にて茶会。
*大久保 正雄『戦う知識人の精神史』
――
【六観音菩薩】聖観音菩薩、千手観音菩薩、馬頭観音菩薩、十一面観音菩薩、准胝観音菩薩(不空羂索観音菩薩)、如意輪観音菩薩
六観音菩薩は、聖観音、千手観音、馬頭観音、十一面観音、准胝観音、如意輪観音。*六観音菩薩は、地獄道、餓鬼道、畜生道、修羅道、人道、天道。六道から生きものを救う。(天台智顗『摩訶止観』)
衆生がその業の結果として輪廻転生する6種の世界(境涯)、六趣、六界。
【六道輪廻】天道、人道、修羅道、畜生道、餓鬼道、地獄道、
【死生学】【六道輪廻】責め苦の地獄道、飢えと渇きの餓鬼道、弱肉強食の畜生道、争い殺し合う修羅道、四苦八苦の人間道、天人は神通力が使えるが苦に悩む天道。六道輪廻から生きものを救う観音菩薩。
*大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』
――
天台僧の義空(1172~1241)は、釈迦は永久にこの世に存在し法を説くという『法華経』の教えにもとづいて、1220(承久2年)大報恩寺を創建した。快慶作の十大弟子立像と、快慶の弟子、行快作の釈迦如来坐像は、法華経の世界を表現する。
運慶一門の慶派仏師、定慶作の六観音菩薩像が伝来する。貞応三年(1224)に、定慶が造ったと准胝観音の像内墨書銘にある。運慶の長男である湛慶より十歳ほど若い定慶は、運慶の弟子。
――
展示作品の一部
運慶の晩年の弟子、定慶が41歳の時に制作した「六観音菩薩像」。大報恩寺の秘仏本尊、快慶の弟子、行快作「釈迦如来坐像」、快慶作「十大弟子立像」、運慶の弟子、行快とほぼ同じ世代である肥後定慶作「六観音菩薩像」。
行快作「釈迦如来坐像」、鎌倉時代・13世紀 京都・大報恩寺蔵
快慶作「十大弟子立像」、鎌倉時代・13世紀 京都・大報恩寺蔵
阿難陀(あなんだ)、羅睺羅(らごら)、優婆離(うぱり)、阿那律(あなりつ)、迦旋延(かせんえん)、富楼那(ふるな)、須菩提(すぼだい)、大迦葉(だいかしょう)、目犍連(もくけんれん)、舎利弗(しゃりほつ)
肥後定慶作「六観音菩薩像」、聖観音、千手観音、馬頭観音、十一面観音、准胝観音、如意輪観音 鎌倉時代・貞応3年(1224)京都・大報恩寺蔵
――
★参考文献
「運慶」東京国立博物館・・魂の深淵
http://bit.ly/2xK3Hlr
法華寺「十一面観音」の美・・・純粋な魂に舞い降りる
https://bit.ly/2NKS5IP
「国宝 阿修羅展」・・・阿修羅像の謎、光明皇后、天平文化の香り
https://bit.ly/2zKYquU
「国宝 薬師寺展」・・・月光菩薩、日光菩薩、白鳳文化の美の香り
https://bit.ly/2Ovw4gs
「栄西と建仁寺」・・・天下布武と茶会、戦国時代を生きた趣味人
https://bit.ly/2OAhnsz
妙心寺展・・・禅の空間、近世障屏画の輝き
https://bit.ly/2OACxXq

「京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ」・・・純粋な美しい魂に舞い降りる

――
京都市上京区に所在する大報恩寺は、鎌倉時代初期に開創された古刹です。釈迦如来坐像をご本尊とし、千本釈迦堂の通称で親しまれています。本展では、大報恩寺の秘仏本尊で、快慶の弟子、行快作の釈迦如来坐像、快慶作の十大弟子立像、運慶の弟子で、行快とほぼ同じ世代である肥後定慶作の六観音菩薩像など、大報恩寺に伝わる鎌倉彫刻の名品の数々を展示いたします。
https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1914
――
特別展「京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ」、東京国立博物館、2018年10月2日(火) ~12月9日(日)
九州国立博物館、2019/4/23(火) ~ 2019/6/16(日)                            

|

« 「京都・醍醐寺-真言密教の宇宙-」・・・醍醐寺三宝院、織田信長のために祈祷する | トップページ | フェルメール展・・・光の魔術師、オランダの黄金時代の光と影 »

密教美術」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ」・・・純粋な美しい魂に舞い降りる:

« 「京都・醍醐寺-真言密教の宇宙-」・・・醍醐寺三宝院、織田信長のために祈祷する | トップページ | フェルメール展・・・光の魔術師、オランダの黄金時代の光と影 »