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2021年2月22日 (月)

「筆魂 線の引力・色の魔力─又兵衛から北斎・国芳まで─」・・・画狂老人卍『鳳凰図屏風』の思い出

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大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』第236回

「江戸の誘惑 肉筆浮世絵展」、画狂老人卍『鳳凰図屏風』(1835)を思い出す。北斎の最高傑作である。晩年の北斎は肉筆浮世絵に沈潜した。葛飾北斎「合鏡美人図」「立美人図」「登龍図」。北斎が生涯、愛し求めたものは何か。岩佐又兵衛は、波乱の生涯の果てに何を見たのか。
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【岩佐又兵衛は、織田信長に謀反した戦国武将、有岡城主、荒木村重の末子】母方の姓を名乗り、数奇な運命をたどり絵師として活躍した。重要文化財「弄玉仙図」、桐木のもとで簫をふく弄玉は妖艶である。又兵衛の母の面影である。母、荒木村重の妻は、有岡城の戦い(天正7年1579年)で敗れ信長軍に処刑された。「百二十二人の女房一度に悲しみ叫ぶ声、天にも響くばかりにて、見る人目もくれ心も消えて、感涙押さえ難し。これを見る人は、二十日三十日の間はその面影身に添いて忘れやらざる由にて候なり。」『信長公記』。
岩佐又兵衛(1578-1650)「山中常盤物語絵巻」は、奥州へ下った牛若を訪ねて、都を旅立った母の常盤御前が、山中の宿で盗賊に殺され、牛若がその仇を討つ物語、これには岩佐又兵衛の体験が滲んでいる。
信長の息子・織田信雄に近習小姓役として仕える。大坂の陣(1614-15)の直後、40歳ころ、福井藩主・松平忠直に招かれ、20余年をこの地ですごす。寛永14年(1637年)2代将軍・徳川秀忠の招き、あるいは大奥の同族の荒木局の斡旋で、3代将軍・徳川家光の娘・千代姫が尾張徳川家に嫁ぐ際の婚礼調度制作を命じられ、江戸に移り住む。20年余り江戸で活躍した後、73歳で波乱に満ちた生涯を終える。
【荒木村重、信長に命を狙われる、有岡城の戦い】村重は単身で有岡城を脱出し、嫡男・村次の居城である尼崎城へ移ってしまった。天正9年(1581年)8月17日には、高野山金剛峯寺が村重の家臣をかくまい、探索にきた信長の家臣を殺害したため、全国にいた高野山の僧数百人を捕らえ殺害。肝心の村重本人は息子・村次と共に、親族の荒木元清がいる花隈城に移り(花隈城の戦い)、最後は毛利氏に亡命。天正10年(1582年)6月、信長が本能寺の変で自刃すると堺に戻りそこに居住。豊臣秀吉が覇権を握ってからは、大坂で茶人として復帰、千利休らと親交をもつ。秀吉が出陣中、村重が秀吉の悪口を言っていたことが北政所に露見。利休十哲の一人。天正14年(1586年)5月4日、堺で死去。享年52。
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【葛飾北斎、苦節五十年】北斎は、20歳で絵師となるが売れず、苦節50年、72歳『富岳三十六景』『神奈川沖浪裏』(1831)まで苦境。北斎は、九十歳で死ぬまで絵を描きつづける。
【不屈の画狂老人卍】74歳にして画狂老人卍『鳳凰図屏風』(1835)、88歳『弘法大師修法図』、89歳『八方睨み鳳凰図』(1848)、90歳『富士越龍図』(1849)。90歳にして「天我をして五年の命を保たしめば、真正の画工となるを得べし」「画工北斎は畸人なり。年九十にして居を移すこと九十三所。」飯島虚心『葛飾北斎伝』。
*大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』より
大久保正雄『永遠を旅する哲学者 イデアへの旅』
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肉筆浮世絵
江戸時代の浮世絵師60名が登場、黎明期から幕末に至る浮世絵の系譜を辿る。初公開作品含む「肉筆浮世絵」125点が展示。特に北斎晩年の作品群は瞠目。
浮世絵は、錦絵や刷り物の版画が想起されるが、絵師が絵筆をふるった肉筆画のほうが起源が古い。肉筆画とは、「肉」が「生身」を指すように、絵師が絵筆で紙や絹に描いた一点ものの作品であり、複雑で奥深い彩色技法や、描き手の自由な筆遣いを直接見ることができる。
肉筆画一点一点を通して、絵師たちの意志の赴くままの筆づかいや、面や点で表された色づかいを楽しみ、絵師が筆に込めた魂も感じることができる。
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主な展示作品の一部
岩佐又兵衛(1578-1650)
岩佐又兵衛「和漢故事説話図 浮舟」福井県立美術館蔵
重要文化財 岩佐又兵衛「弄玉仙図」笙で鳴き声を出して鳳凰を呼ぶ姿。
(旧 金谷屏風)摘水軒記念文化振興財団、千葉市美術館寄託
歌川国芳「文読美人図」摘水軒記念文化振興財団蔵、千葉市美術館寄託[後期]
浮世絵の先駆・岩佐又兵衛による重要文化財「弄玉仙図」・重要美術品「龐居士図」二幅
菱川師宣「二美人と若衆図」個人蔵、福井県立美術館寄託[前期]
東洲斎写楽「中山富三郎・市川男女蔵・市川高麗蔵図」摘水軒記念文化振興財団蔵、千葉市美術館寄託[後期]
葛飾北斎(1760-1849)
葛飾北斎「合鏡美人図」個人蔵[前期]
葛飾北斎「立美人図」個人蔵[後期]
晩年の北斎が数多く手掛けた龍の肉筆画
葛飾北斎「登龍図」個人蔵[前期]
葛飾北斎、勝川春英、歌川豊国、勝川春扇、勝川春周、勝川春好「青楼美人繁昌図」個人蔵、北斎「不仲」説の兄弟子と合作、(前期)
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参考文献
「筆魂(ふでだましい) 線の引力・色の魔力─又兵衛から北斎・国芳まで─」青幻舎
「新・北斎展」・・・悪霊調伏する空海、『弘法大師修法図』
https://bit.ly/2HAZJ5y 
「江戸の誘惑 肉筆浮世絵展」江戸東京博物館2006
【青楼美人繁昌図】北斎、「不仲」説の兄弟子と合作…肉筆画見つかる :読売新聞
https://www.yomiuri.co.jp/culture/20210114-OYT1T50185/
「奇想の系譜展 江戸絵画ミラクルワールド」・・・世に背を向け道を探求する、孤高の藝術家
https://bit.ly/2BUy4rl

「筆魂 線の引力・色の魔力─又兵衛から北斎・国芳まで─」・・・画狂老人卍『鳳凰図屏風』の思い出

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浮世絵といえば版画が連想されますが、絵師が絵筆をふるった一点ものの肉筆画のほうが発生は古く、複雑で奥深い彩色技法や、描き手の筆づかいを直接感じることができます。本展では、浮世絵の先駆とされる岩佐又兵衛をはじめ、浮世絵の始祖である菱川師宣、喜多川歌麿、東洲斎写楽、葛飾北斎、歌川国芳などの60人に及ぶ浮世絵師の肉筆画約125点を展観します。なかには重要文化財、重要美術品、新発見、再発見、初公開作品約40点を含む見どころ満載の展覧会です。浮世絵の源流である肉筆画を通して、300年に及ぶ浮世絵の歴史を体感いただくとともに、それぞれの絵師の巧みな線の引力、色の魔力、そして絵に宿る筆魂をご堪能ください。
肉筆画の「肉」とは「生身」を意味し、錦絵や摺物といった浮世絵版画とは異なり、絵師が絵筆で直接紙や絹に描くことを示します。本展は浮世絵の中でも肉筆画のみを約125点あつめ、以下の構成で浮世絵の歴史を縦覧します。
https://hokusai-museum.jp/fudedamashii/
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「筆魂 線の引力・色の魔力─又兵衛から北斎・国芳まで─」すみだ北斎美術館
2021年2月9日(火)~4月4日(日) 前後期で一部展示替えを実施予定
[前期 2月9日(火)~3月7日(日) / 後期 3月9日(火)~4月4日(日)]

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