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2022年9月25日 (日)

「アーツ・アンド・クラフツとデザイン  ウィリアム・モリスからフランク・ロイド・ライトまで」・・・いちご泥棒 Strawberry Thief

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大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』289回

「すべての人の生活に美を」ウィリアム・モリスは、ラファエル、D.G.ロセッティ、J.E.ミレイ、エドワード・バーン=ジョーンズらと生涯にわたる交流から藝術作品を生み出した。
【ウィリアム・モリス(William Morris,1834- 1896)】19世紀イギリスの詩人、デザイナー、マルクス主義者。モダンデザインの父と呼ばれる。職人はプロレタリアートになり、労働の喜びや手仕事の美しさも失われた時代にあって、中世に憧れ、プロレタリアートを解放し、生活を芸術化するために、根本的に社会を変えることが不可欠だと考えた。マルクス主義を熱烈に信奉し、エリノア・マルクスらと行動をともにし、社会主義協会を結成した。叙事詩『地上の楽園』、『世界の果ての泉』などの著書がある。
【アーツ&クラフツ】思想家ジョン・ラスキン(1819-1900)と、デザイナーで思想家、詩人でもあったウィリアム・モリス(1834-96)でした。ラファエル前派のD.G.ロセッティやエドワード・バーン=ジョーンズらが参加したモリス・マーシャル・フォークナー商会(のちにモリス商会)を中心に、装飾芸術をめぐって活発な活動がロンドンで繰り広げられました。1880年代末には運動の名称ともなったアーツ&クラフツ展協会が創設され、各地で意欲的な展覧会が開かれたり、工房が作られた。
【ラファエル前派、愛の迷宮、運命の女】
ロセッティとジェーン・バーデン、ロセッティと4人の女、
ジェーン・バーデンは、ロセッティ「プロセルピナ」のモデルである。ロセッティ、モリス、ジェーンの間には、不思議な三角関係がある。ウィリアム・モリス
1859年、25歳のウィリアム・モリス(1834-96)は、19歳のジェーン・バーデン(1839-1914)と結婚する。ロセッティは、エリザベス・シダル(1829-62)と1860年に結婚したが、彼女は1862年亡くなる。エリザベスは、ミレイ「オフィーリア」のモデルである。ロセッティの次のモデルは、ファニー・コンホース、その次のモデルは、アレックス・ワイルディングである。ロセッティ(1828-82)は、ジェーンを愛しつづけ、多彩な愛と藝術の果てに、53歳で死ぬ。エリザベス・シダルは32歳の若さで死ぬが、
ミレイ67歳、モリス62歳の死後、ジェーン・バーデンは、74歳まで生きる。
*大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』
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「アーツ・アンド・クラフツとデザイン  ウィリアム・モリスからフランク・ロイド・ライトまで」
【産業革命、19世紀後半】産業革命で大きく変化した19世紀後半のイギリス。便利になった反面、自然が失われ、人々の生活も機械的になっていった。これを危惧したモリスは「すべての人の生活に美を」と暮らしのデザインに踏み出す。会場ではモリスが手がけた様々なデザイン全20点から、彼の哲学を紐解く。粗悪品が許せないモリスは、素材や製法にもこだわった。
有名な「いちご泥棒」はそのひとつ。この作品には当時は大変な手間がかかったインディゴ染めが用いられている。モリスの美意識は、壁紙や布、そしてブックデザインに至るま で貫かれた。
【アーツ・アンド・クラフツ展覧会協会】モリスの理念に共感した若い世代の建築家やデザイナー達は「アーツ・アンド・クラフツ展覧会協会」を設立、さらなる啓蒙と芸術と工芸の向上に努めた。ウォルター・クレインやC・F・A・ヴォイジーなど主要メンバー5人の作品を通して協会の活動を紹介。
アーツ・アンド・クラフツ運動は次第に商会やメーカーにも波及していく。「リバティプリント」で知られるリバティ商会などが参入、より多くの人々に美しい商品を提供することに成功する。モリスの掲げた「すべての人の生活に美を」の理想が、次第に現実的になっていく。
【ティファニー・スタジオ、フランク・ロイド・ライト】イギリスで興ったデザインの革命は、アメリカへと広がる。「すべての人に美を」という民主的な芸術は、アメリカの風土に合った美意識だった。終盤ではティファニー・スタジオやフランク・ロイド・ライトら、アメリカにおけるアーツ・アンド・クラフツ運動の旗手へ。
【機械で大量生産】「多くの人に手頃な価格で供給=機械で大量生産」
「すべての人に美を」を理念に掲げたモリスは「良質なものを職人の手仕事で」それを成し遂げたかったのだが、そのやり方ではどうしても廉価で生産できないため、「すべての人に美を」が不可能になってしまうことに悩んでいた。
@art_ex_japan https://twitter.com/art_ex_japan/status/1573306683782496256
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★展示作品の一部
ウィリアム・モリス《いちご泥棒》 1883年 個人蔵
ウィリアム・モリス、ケルムスコット・プレス、D.G.ロセッティ『ソネットと抒情詩』
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★参考文献
「ラファエル前派の軌跡展」・・・ロセッティ、ヴィーナスの魅惑と強烈な芳香
https://bit.ly/2Coy0jB
「生活と芸術 アーツ&クラフツ展」ウイリアム・モリスから民芸まで・・・いちご泥棒Strawberry Thief
https://bit.ly/2CHeS25
「アーツ・アンド・クラフツとデザイン  ウィリアム・モリスからフランク・ロイド・ライトまで」・・・いちご泥棒 Strawberry Thief
https://bit.ly/3LOqWzq

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近代化、工業化の進む19世紀のイギリスで、丁寧な手仕事による日常品で人々の暮らしを美しく彩ることを目指したウィリアム・モリス。その理念を受け継いだアーツ・アンド・クラフツ運動は、やがて世界各地に広がりました。家具、テキスタイル、ガラス器、ジュエリーなど、約150点によって、その世界をご覧いただきます。
https://city.fuchu.tokyo.jp/art/tenrankai/kikakutenkaisai/index.html
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「アーツ・アンド・クラフツとデザイン  ウィリアム・モリスからフランク・ロイド・ライトまで」、府中市美術館、9月23日から12月4日まで

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