犬派?猫派? 俵屋宗達、竹内栖鳳、藤田嗣治から山口晃まで・・・遣唐使船で経典を守る猫
大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』第371回
母の愛犬、トイプードル、守護精霊となって帰ってきた。学問僧を守るために。
【犬と藝術】縄文時代から猟犬として飼われて。弥生時代、番犬として飼われ、古墳時代、犬の埴輪も作られた。室町時代幕府による明との勘合貿易、ポルトガルとの南蛮貿易で唐犬、南蛮犬が珍重された。江戸時代、犬は放し飼いが一般的だったが、狆は愛玩犬として身分の高い女性や遊女に室内で飼われていた。喜多川歌麿『美人五面相 犬を抱く女』【愛犬家】円山応挙『雪中狗子図』1784長澤芦雪『菊花子犬図』18c、守屋多々志『慶長使節支倉常長』1981、川端龍子『立秋』
【日本の猫】奈良時代、遣唐使船で仏教経典を守るため、鼠を捕る猫を載せて渡来。弥生時代には人と猫が暮らしていた痕跡あり。平安時代、猫は貴族のペットとして紐で繋がれていた。道長の正妻・源倫子は猫を紐で繋いだ。源倫子は90歳まで生きた。『源氏物語』女三ノ宮の柏木が出会う場面に猫が出る。江戸時代、放し飼いされ鼠除けとして重宝される。猫好きの絵師・歌川国芳は猫を何匹も飼っている。近代の愛猫家・藤田嗣治はサインの代わりに猫を描いた。
*大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』より
大久保正雄『永遠を旅する哲学者 イデアへの旅』
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【菱田春草『黒き猫』永青文庫】1910第四回文展に出展された作品。しかし、最初は美人画を出品する予定だった。大きく曲がった柏の木の幹に1匹の黒猫がうずくまり、じっとこちらを見つめている。輪郭のぼかしによる、柔らかな毛並みの表現が見事である。思わず触れてみたくなる。一方、柏の樹や葉は平面的に表されているが、黒猫と調和している。猫の黒と柏の葉の金色の対比も鮮やか。写実と装飾が見事に一致した傑作と、発表当時から高い評価を得た。菱田春草は36歳の若さで早世したが、4点の作品が重要文化財に指定されており、近代の美術家として最多である。伝統的な美意識と、西洋絵画の色彩表現や空間表現とをいかに融合させていくか、一作ごとに新たな表現を開拓していった結果である。
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「動物に対して残酷な人間は、人間との取り引きにおいても厳しい存在になる。動物への扱いで人間の心を判断することができる。」カントの言葉
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展示作品の一部
長沢芦雪 《菊花子犬図》18世紀(江戸時代) 個人蔵
円山応挙《雪中狗子図》(1784年、個人蔵)
歌川国芳《猫飼好き五十三疋》1848
伊藤若冲 狗子図 18世紀(江戸時代) 紙本・墨画 個人蔵
竹内栖鳳 《班猫》 1924年 山種美術館蔵 【重要文化財】
川端龍子 立秋 1932(昭和7) 絹本・彩色 大田区立龍子記念館
速水御舟 《翠苔緑芝》 1928年 山種美術館蔵
藤田嗣治《Y 夫人の肖像》(株式会社三井住友銀行)1935は、女性と4匹の猫を描いた
古屋多々志「慶長使節支倉常長」1981
解説の山下裕二先生は、俄然猫派
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没後80年記念「竹内栖鳳」・・・竹内栖鳳「班猫」村上華岳「裸婦図」
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どうぶつ百景 江戸東京博物館コレクションより・・・歌川広重「名所江戸百景」1857
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犬派?猫派? 俵屋宗達、竹内栖鳳、藤田嗣治から山口晃まで・・・遣唐使船で経典を守る猫
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特別展:犬派?猫派? ―俵屋宗達、竹内栖鳳、藤田嗣治から山口晃まで―
会期:2024年5月12日~7月7日(前期:5月12日~6月9日、後期:6月11日~7月7日
会場:山種美術館
住所:東京都渋谷区広尾3-12-36
開館時間:10:00~17:00 ※入館は閉館30分前まで
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