「神護寺」密教の謎・・・五智如来、大日如来、阿閦如来、宝生如来、無量寿如来、不空成就如来
五智如来、5つの智慧は、法界体性智、大円鏡智、平等性智、妙観察智、成所作智である。
【空海、即身成仏義、仏身、法身、報身、応化身は一つである】【仏身論、三身説】「大日如来が釈尊と同じものか、違うものか千年かかって議論されてきた。『金剛頂経』に答えは書かれている。一切義成就菩薩はシッダールタをさす、目的を成就したという意味である」松長有慶『密教経典、理趣経』1984 P162
【瑜伽行唯識学派、世親】世親(Vasubandhu)「唯識三十頌」では八識説を唱え、種子は前五識から第6識・意識、第7識・末那識を通過して、第8識・阿頼耶識に飛び込んで、阿頼耶識に種子として薫習される。これが思考であり、外界認識である種子生現行。このサイクルを阿頼耶識縁起と言う。4世紀。
【梵我一如】「梵我一如」「宇宙原理の梵(ブラフマン)と個我(アートマン)は一つのものである」バラモン教聖典『ウパニシャッド』「伝家の宝刀、開けてはならぬ箱を開けてしまった」「梵我一如」という表現は膨大なインド哲学文献の中でまれにしか現れない。立川武蔵1995、P84
*大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』より
大久保正雄『永遠を旅する哲学者 イデアへの旅』
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美術探訪、美への旅、「神護寺」、空海の謎。大久保正雄
神護寺(高雄山寺)は、第16次遣唐使で唐から帰国した空海が活動の拠点としたことから真言密教の出発点となった。天長元年(824年)、高雄山寺と神願寺という二つの寺院が一つになり、神護国祚真言寺(神護寺)が誕生。それ以来、神護寺は真言密教の聖地として約1200年間の歴史を歩んできた。神護寺は、空海ゆかりの古刹とである。唐で密教を学んだ空海は、神護寺の前身で、平安遷都を提案した和気清麻呂の氏寺、高尾山寺を帰国後の活動の拠点とした。この神護寺で、最大の重要事は、空海と最澄の出会い、空海が最澄とその弟子たちに灌頂を授けたことである。「創建1200年記念、神護寺」東京国立博物館、が始まる。
国宝「両界曼荼羅(高雄曼荼羅)」「薬師如来立像」「国宝 五大虚空蔵菩薩坐像」「伝源頼朝像」、国宝17点をはじめ密教美術100件が展示される。日本史上至高の思想家、空海の謎、密教の謎を考えてみよう。
【空海の謎】空海は、なぜ大学寮明経科を退学したのか。なぜ山林修行の僧の道を選んだのか。なぜ第16次遣唐使で留学僧として長安に行き、青龍寺の恵果に就いて密教を授けられたのか。空海と最澄は、なぜ決別したのか。なぜ空海と嵯峨天皇は、交友関係を結んだのか。【密教の謎】金剛界曼荼羅、胎蔵界曼荼羅は何を表現するのか。密教の奥義・即身成仏はどのように到達できるのか。なぜ空海の密教は民衆に魅力的なのか。空海の書は貴族たちに所望されたのか。
【遣唐使船、沈没】延暦22年(803)4月、第16次遣唐使は船出した。このとき、最澄はいたが、空海はいなかった。瀬戸内海で難破、翌年に延期された。4艘の船のうち沈んだ船に乗船していた留学僧は再度の乗船を許されなかった。欠員を補充するため空海は選ばれた。(西山厚)
【最澄と空海、遣唐使】延暦23年(804)第16次遣唐使。7月、五島列島の奈留島を船出して唐に向かったが、難破、第三船と第四船は沈没。遣唐使船の第二船に、38歳の還学生・最澄、第一船に、31歳の留学生(るがくしょう)20年の長期留学生の空海が乗船。最澄はエリート官僚で、訳語・義真が従事。空海は、最澄と雲泥の差、私度僧。どのようして留学生に選ばれたか不明〈伯父の阿刀大足が桓武天皇の皇子・伊予親王の師であったことが関与か〉
【空海、灌頂暦名】812年(弘仁3)と翌年,高雄山寺(神護寺)で空海が、求法の人々に真言の灌頂を授けた折の受法者名簿。大部分は空海の書。素紙の巻子本。受法者名の下に、各人が学んだ寺名・得仏名が注記される。166人が記され、そのなかに最澄や和気真綱(わけのまつな)・仲世兄弟の名があり注目される。唐の顔真卿(がんしんけい)の影響が強くみられるものの、にわかの間に書かれ空海風の真髄が発揮されている。神護寺蔵。
【空海、最澄と決別】弘仁4(813)年、『理趣釈経』借覧拒否。最澄に答えた書簡。「古の人は道の為に道を求め、今の人は名利の為に求む。名の為に求むるは、道を求むる志にあらず。」「夫れ秘蔵の興廃は唯汝と我なり」空海『答叡山澄法師求理趣釈経書』
【密教の奥義、即身成仏】二頌八句に書かれている。【空海『即身成仏義』819-820】六大無碍にして常に瑜伽なり(体)四種曼荼各離れず(相)三密加持すれば速疾に顕はる(用)重重帝網なるを即身と名づく(瑜伽)法然に薩般若を具足して、心数・心王、刹塵に過ぎたり、各五智・無際智を具す、円鏡力の故に実覚智なり(成仏)
【奥義の意味】最重要なのは、瑜伽(Yuga相即融一)と成仏(仏陀になることである。法身・報身・応化身の相即融一、仏身と人の身体・言葉・心の三種の形態、身密・口密・意密が、感応しあっているので、速やかに法身、大日如来、仏陀の悟りの世界があらわれる。あらゆる身体が、インドラの持つ網につけられた宝石のように、幾重にもかさなり合いながら映しあうことを、「即身」という。(瑜伽)あらゆるものは、あるがままに、すべてを知る智を備えていて、すべての人々には、心そのもの(心王)と心の作用(心教)が備わって、無数に存在している。心そのものと心の作用のそれぞれには、五智如来の智慧と、際限ない智慧が備わっている。それらの智慧をもって、明らかな鏡のようにすべてを照らしだすから、真実をさとったものとなる。
【五智如来とは何か】大日如来、阿閦如来、宝生如来、無量寿如来、不空成就如来【五智(法界体性智、大円鏡智、平等性智、妙観察智、成所作智)【五つの知恵】第9識(阿摩羅識)、第8識阿頼耶識、第7識末那識、第6識意識、成所作智=前五識(眼識、耳識鼻識、舌識、身識)
金剛界曼荼羅と胎蔵曼荼羅の意味【金剛界曼荼羅】智拳印の大日如来を中心に、阿閃、宝生、阿弥陀、不空成就の五智如来をはじめとする金剛界三十七尊を含む1500体。【胎蔵曼荼羅】法海定印の胎蔵界の大日如来、宝幢如来、開敷華王如来、無量寿如来、天鼓雷音、胎蔵界五仏を中心に409体が描かれる。
金剛界曼荼羅は、大日如来の智慧への上昇と原理から下降して地上界の現実を克服すること。胎蔵曼荼羅は、大日如来の慈悲への回帰と慈悲からの誕生。智慧への上昇と慈悲への回帰。宇宙原理への帰一。
【金剛界曼荼羅、胎蔵界曼荼羅、密教美術はなぜ、表現されるのか】「密蔵、深玄にして、翰墨(かんぼく)に載せがたし。かわりに図画をかりて、悟らざるに、開示す」「真言秘蔵は経疏に隠密にして、図画を仮らざれば相伝すること能わず」(空海『請来目録』)
密教美術を見る意義は、ここにある。密教のシンボリック・イメージの意味を解読することによって、密教の智慧と慈悲を学ぶことは、日本文化の根源を学ぶことにほかならない。空海の足跡をたどり、密教の思想の旅に出よう。
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展示作品の一部
国宝 両界曼荼羅(高雄曼荼羅)のうち金剛界 平安時代・9世紀 京都・神護寺蔵 後期展示
国宝 両界曼荼羅(高雄曼荼羅)のうち胎蔵界 平安時代・9世紀 京都・神護寺蔵 前期展示
国宝 伝源頼朝像 鎌倉時代・13世紀 京都・神護寺蔵 前期展示
国宝 灌頂暦名 空海筆 平安時代・弘仁3年(812) 京都・神護寺蔵 7月17日(水)~8月25日(日)
重要文化財 大般若経 巻第一(紺紙金字一切経のうち)(部分) 平安時代・12世紀 京都・神護寺蔵 通期展示
金銅梵釈四天王五鈷鈴 高麗時代 京都・神護寺蔵 通期展示
国宝 薬師如来立像 平安時代・8~9世紀 京都・神護寺蔵 通期展示/日本彫刻史上の最高傑作ともされる、重量感あふれる仏像
国宝 五大虚空蔵菩薩坐像、金剛虚空蔵、業用虚空蔵、法界虚空蔵菩薩 蓮華虚空蔵、宝光虚空蔵、平安時代・9世紀 京都・神護寺蔵 五大虚空蔵菩薩像は、承和3年(836年)から承和12年(845年)の間に、仁明天皇の御願により、弘法大師の高弟真済僧正が建立した宝塔院の本尊として安置された。
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創建1200年記念 特別展「神護寺―空海と真言密教のはじまり」
会場:東京国立博物館 平成館
会期:2024年7月17日(水)~9月8日(日)
休館日:月曜日(ただし8月12日は開館)、8月13日(火)(総合文化展は8月13日開館)
開館時間:午前9時30分~午後5時
※金曜・土曜日は午後7時まで ※入館は閉館の30分前まで
料金:一般 2,100円(1,900円)/大学生 1,300円(1,100円)/高校生 900円(700円)東京国立博物館公式サイト
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著者 大久保正雄 プラトン哲学、美学、密教の比較宗教学、宗教図像学。著書『ことばによる戦いの歴史としての哲学史』理想社。上智大学大学院、北海道大学大学院博士後期課程修了。
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http:// mediter ranean. cocolog -nifty. com/blo g/2024/ 05/post -f6ef9c .html
学問僧、空海・・・空海の生涯と思想
http:// mediter ranean. cocolog -nifty. com/blo g/2024/ 05/post -964d84 .html
空海『秘密曼荼羅十住心論』・・・大日如来は、法界体性智、自性清浄心(阿摩羅識)をもつ
http:// mediter ranean. cocolog -nifty. com/blo g/2024/ 06/post -2f9322 .html
「神護寺」密教の謎・・・五智如来、大日如来、阿閦如来、宝生如来、無量寿如来、不空成就如来
http:// mediter ranean. cocolog -nifty. com/blo g/2024/ 07/post -d32220 .html
創建1200年記念 特別展「神護寺―空海と真言密教のはじまり」東京国立博物館公式
https:/ /www.tn m.jp/mo dules/r _free_p age/ind ex.php? id=2649
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河野 元昭「古川さんは神護寺薬師をもともと神願寺の本尊であったという説に立っているようですが、神願寺が宇佐八幡神の神託によって建立された寺院であったことを特筆大書されているのです。僕は拝読して快哉を叫びたいような気持ちになりました。
神護寺薬師は弘仁貞観時代を象徴する仏像です。もっとも最近、なぜか「弘仁貞観時代」はまったく使われなくなり、「平安時代前期」などという味も素っ気もない名称になっちゃっています。
しかし尊敬する蓮実重康先生『弘仁貞観時代の美術』(東京大学出版会 1962年)というすぐれた編著書があります。『広辞苑』だって、チャンと「弘仁貞観時代」という項目を立てています。時代区分には無味乾燥なる「平安時代前期」なんかじゃなく、美しい響きをもつ「弘仁貞観時代」を用いるべきです!! https://jozetsukancho.blogspot.com/2024/07/blog-post_27.html
「空海 KŪKAI ― 密教のルーツとマンダラ世界」・・・大日如来、法界体性智、自性清浄心(阿摩羅識)参考文献
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学問僧、空海・・・空海の生涯と思想
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空海『秘密曼荼羅十住心論』・・・大日如来は、法界体性智、自性清浄心(阿摩羅識)をもつ
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「神護寺」密教の謎・・・五智如来、大日如来、阿閦如来、宝生如来、無量寿如来、不空成就如来
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創建1200年記念 特別展「神護寺―空海と真言密教のはじまり」東京国立博物館公式
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