« マリー・アントワネット・スタイル・・・ハプスブルク家とヴァロワ家の戦争 | トップページ | クリストファー・ノーラン監督「オデュッセイア」・・・叙事詩の謎、神々の企みは何か »

2026年8月23日 (日)

大英博物館日本美術コレクション 百花繚乱~海を越えた江戸絵画・・・談山神社と狩野宗眼「秋冬花鳥図襖」「春景花鳥図襖」の謎

British-2026
British-museum-a-2026
British-museum-b-2026
British-18051806-2026
大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』第445回

なぜ、狩野宗眼(そうげん)重信による一連の襖絵、奈良の談山(たんざん)神社にあったのか。
「襖は17世紀初頭の談山神社再建時に制作されたと考えられる。襖絵4面の表と裏は分けられた。四季花鳥図(秋冬景)は大英博物館のコレクションに収蔵され、残りの襖絵は1951年にシアトル美術館に収蔵された。作者の比定は時代とともに変化し、狩野山楽から狩野孝信、そして最近では狩野宗眼重信へと変わってきた。これは狩野派の作者についての議論を反映している。」狩野宗眼重信筆 琴棋書画仙人図(國華1569号〈特輯 宮越家詩夢庵の襖絵とステンドグラス〉要旨)
江戸幕府が開かれた直後の1612年、徳川家康の命によって「賢盛法印(けんじょうほういん)」という僧侶が初代学頭(山内の最高責任者)に任じられました。これにともない、多武峰妙楽寺(現在の談山神社)の本格的な再建・復興プロジェクトが始動。学頭の住まいであった屋敷「竹林坊」を格調高く飾り立てるために、当時の一流絵師集団であった狩野派へ襖絵の制作が依頼された。
多武峰は、京都の最高級公家である九条家と深い結びつきがありました。この一連の襖絵は、九条家が談山神社の再建・復興を支援するために、お抱え、あるいは縁のあった実力派絵師の狩野宗眼重信に描かせ、寺へ寄進。
襖絵には「琴棋書画仙人図」や「名所風俗図」などが描かれていましたが、中には富士山を望む名所(駿府など)が描かれた「富士の間」の襖絵もありました。駿府は家康ゆかりの地であり、家康の命で始まった多武峰復興の象徴、そして幕府への敬意を表すためである。
――
第2部には、浮世絵が展示されている。
喜多川歌麿《文読む遊女》江戸時代・1805~1806年 大英博物館蔵
葛飾北斎《万物絵本大全図》版下絵 江戸時代・1820年代~1840年代 大英博物館蔵
葛飾北斎《万物絵本大全図》版下絵 江戸時代・1820年代~1840年代 大英博物館蔵
コピーライト The Trustees of the British Museum
版下絵とは版画にするための原画のこと。本の挿絵として描かれたが、本が出版されなかったため貴重な版下絵103点が残りました。長く行方不明になっていましたが、2020年に大英博物館が103点をまとめて購入し、世界的に話題に。本展ではうち8点を展示。
円山応挙《虎の子渡し図屏風》江戸時代・1781~1782年 大英博物館蔵
コピーライト The Trustees of the British Museum
母虎が三匹の子を産むと、必ず一匹は彪(ヒョウ)である、という古代中国の伝説に着想を得た応挙中期の作品。
*大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』より
大久保正雄『永遠を旅する哲学者 イデアへの旅』
――
展示構成
展示作品の一部
東京都美術館
https://www.tobikan.jp/exhibition/2026_britishmuseum.html
1章:華やかな江戸絵画の世界へ」
狩野宗眼(そうげん)重信による一連の襖絵です。これらはかつて奈良の談山(たんざん)神社にありましたが、明治以降の廃仏毀釈(きしゃく)のあおりをうけて流出し、世界各地に離散してしまいます。
狩野宗眼重信「春景花鳥図襖」(17世紀初、個人蔵)
このうち「秋冬花鳥図襖」が大英博に、「春景花鳥図襖」が青森・津軽の旧家に分かれて所蔵されていましたが、最近の研究により、これらの花鳥図が一連の作品であることが判明。本展の開催をきっかけに、じつに150年ぶりの再会を果たし、隣り合っての奇跡の展示が実現しています。
いずれも狩野宗眼重信による「秋冬花鳥図襖」(左)と「春景花鳥図襖」(ともに17世紀初め)
このほか、大英博所蔵の花鳥図とかつて一組(両面仕立ての片側)だった襖絵があり、現在は花鳥図と分かれてアメリカのシアトル美術館所蔵となっていますが、今回この作品も特別出品されています。
かつて同じ場所に収められていた襖絵が、150年の時と場所を越えて日英米から集結。元々の襖絵の配置を再現した立体的な展示で、じっくりと味わうことができます。
展示されている2点の花鳥図の反対側に回ると、さらに同じ談山神社伝来の、狩野宗眼重信による襖絵が。左は「名所風俗図襖(三保松原・清見寺)」(17世紀初、個人蔵)、右は「琴棋書画仙人図襖」(17世紀初、シアトル美術館蔵)。かつて神社の屋敷にあった実際の配置を再現する形で展示され、当時のようすに思いをはせることができる
朝日新聞
https://www.asahi.com/and/w/article/16788324

2章:スター絵師、大集合 浮世絵の傑作が競演
展示作品の一部
尾形光琳「松島図屏風」円山応挙「虎の子渡し図屛風」、葛飾北斎「『万物絵本大全』版下絵」
肉筆浮世絵、葛飾北斎「為朝図」、喜多川歌麿「文読む遊女」、
――
★★★★★
参考文献
大英博物館日本美術コレクション 百花繚乱~海を越えた江戸絵画・・・段山神社と狩野宗眼「秋冬花鳥図襖」「春景花鳥図襖」の謎
http://mediterranean.cocolog-nifty.com/blog/2026/08/post-bac856.html
ボストン美術館 日本美術の至宝、東京国立博物館・・・美の宴2012
https://bit.ly/2C5NsU6
ボストン美術館の至宝展、東京都美術館・・・陳容「九龍図巻」2017
https://bit.ly/3Of7s6v
ボストン美術館、肉筆浮世絵「江戸の誘惑」江戸東京博物館2006
ボストン美術館展 芸術×力・・・増山雪斎「孔雀図」、「平治物語絵巻」三条殿夜討
https://bit.ly/3cMgcUC
――――
1753年に創立したイギリス・ロンドンの大英博物館は、世界を代表するミュージアムのひとつです。同館の日本美術コレクションは、海外では最も包括的なもののひとつと評されるほど量・質ともに充実しています。そのコレクション形成を支えてきたのは、ジャポニスムが流行した19世紀後半以来、海を隔てた異国の地・日本の文化に魅了された人々でした。
数々の収集家や学芸員が築いたつながりは、国境や時代を越えて広がり、今日まで受け継がれています。
本展では、4万点に及ぶ同館の日本コレクションから、江戸時代の屏風、掛軸、絵巻の絵画作品と、歌麿、写楽、北斎、広重など代表的な8人の浮世絵師による版画を中心に、優れた作品を厳選してご紹介いたします。さらに、近年の調査成果や収集の背景にも光をあてることで同館が日本美術の収集・研究・保存の第一線で果たしてきた役割をたどります。それは、国際的な文化交流の歴史を振り返ると同時に、大英博物館に受け継がれてきた日本美術の名品と、今日を生きる私たちとのあいだに新たな対話をひらく機会ともなるでしょう。
https://www.tobikan.jp/exhibition/2026_britishmuseum.html

――
世界有数の規模を誇る大英博物館の日本コレクションは約4万点。そのうち日本絵画だけでも4,000点を超える。本展では、江戸時代の作品を中心に、屏風、掛軸、絵巻、浮世絵版画、肉筆画などが幅広く紹介される。
尾形光琳「松島図屏風」円山応挙「虎の子渡し図屛風」、葛飾北斎「『万物絵本大全』版下絵」等、イギリスから初めて里帰りした作品、多数。
青森県中泊町の宮越家、大英博物館、シアトル美術館に分かれていた狩野宗眼重信の襖絵が、約150年ぶりに再会した。別々の土地で守られてきた作品が並ぶことで、本来ひとつの空間を飾っていた頃の姿が偲ばれる。
浮世絵版画は、肉筆浮世絵、葛飾北斎「為朝図」、喜多川歌麿「文読む遊女」、鈴木春信、鳥居清長、喜多川歌麿、東洲斎写楽、初代歌川豊国、葛飾北斎、歌川広重、歌川国芳の8人を作家ごとに展示。非常に状態がよく、鮮やかな色彩や繊細な彫り、摺りまで観察できる。作品に合わせて壁の色を変え、展示方法にも細やかな工夫が施されている。
名高い絵師の傑作から、知られていない絵師の優品まで、大英博物館の歴代収集家や学芸員が作品そのものの価値を見極めてきたことが伝わりました。海を渡った日本美術がどのように集められ、守られ、研究されてきたのか。
――
東京都美術館開館100周年記念
大英博物館日本美術コレクション 百花繚乱~海を越えた江戸絵画
会期2026年7月25日(土)~10月18日(日)

|

« マリー・アントワネット・スタイル・・・ハプスブルク家とヴァロワ家の戦争 | トップページ | クリストファー・ノーラン監督「オデュッセイア」・・・叙事詩の謎、神々の企みは何か »

日本美術史」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« マリー・アントワネット・スタイル・・・ハプスブルク家とヴァロワ家の戦争 | トップページ | クリストファー・ノーラン監督「オデュッセイア」・・・叙事詩の謎、神々の企みは何か »