浮世絵

2012年6月 9日 (土)

葛飾北斎・・・波濤の美

Hokusai_the_great_wave_off_kanagawa 北斎の絵画は、いのちの輝き、不朽の美を湛えている。自然の奥に秘められた不滅の生命の美しさ、苦難に打ち克つ人間の精神のドラマ、森羅万象あらゆるものを形象化した。「人物を書くには骨格を知らなければ真実とは成り得ない。」とし、接骨家・名倉弥次兵衛のもとに弟子入りして、接骨術や筋骨の解剖学をきわめた。葛飾北斎は、九十歳で死ぬまで、美と藝術を追求した。
不屈の精神をもちつづけ、63才から73才まで描きつづけた『冨嶽三十六景』「神奈川沖浪裏」、74才の作『富嶽百景』。砕け散る波濤の美しさは、滅びゆく自然の美を永遠に止めている。歴史に残る傑作である。
葛飾北斎(1760年10月31日-1849年5月10日)。転居すること93回。生涯に30回、頻繁に改号した。「春朗」「宗理」「北斎」「戴斗」「為一」「卍」、「画狂人」「画狂老人卍」などと自称した。
■北斎の最後の言葉「天我をして五年の命を保たしめば真正の画工となるを得べし」
嘉永2年4月18日、北斎は卒寿(九十歳)にて臨終を迎えた。そのときこう言い残した。
『翁 死に臨み大息し「天我をして十年の命を長らわしめば」といい 暫くして更に言いて曰く「天我をして五年の命を保たしめば真正の画工となるを得べし」と言吃りて死す』
辞世の句は『人魂で 行く気散じや 夏野原』
★代表作
『冨嶽三十六景』「神奈川沖浪裏」北斎改為一筆1823年-1833年
『冨嶽三十六景』「凱風快晴」北斎改為一筆1823年-1833年
『富嶽百景』二編9丁より「海上の不二」画狂老人卍筆1834年
『千絵の海』「総州銚子」1833年頃、前北斎為一筆。
『諸国滝廻り』「下野黒髪山 きりふりの滝」1833年-1834年
『鳳凰図屏風』肉筆、紙本着色 八曲一隻 ボストン美術館所蔵
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■北斎展、ホノルル美術館所蔵、三井記念美術館
前期4月14日~5月13日 後期5月15日~6月17日
アジア美術の所蔵で世界的に知られるホノルル美術館には、約10,000点もの浮世絵版画が収蔵されており、そのクオリティの高さには定評があります。コレクションの中核をなすのは、ミュージカル「南太平洋」の作者、ジェームス・A・ミッチェナー氏の寄贈による約5,400点で、我が国では歌川広重の名品を中心とした里帰り展が幾度か開催されています。
しかし、幕末の浮世絵界にあって広重と双璧をなす偉大な浮世絵師、飾北斎の作品が、ここホノルルの地にまとまっていることはあまり知られていません。しかもそれらの作品群は、世界有数の優れた収蔵内容を誇っていたのです。
北斎は、2010年に生誕250年を迎えました。その記念事業の一環として、このたびホノルル美術館が所蔵する北斎の逸品を網羅した初めての「北斎展」を開催する運びとなりました。
本展は、北斎の魅力を160余点であますところなく体験する一大展覧会であり、大きく二つのセクションから構成されます。はじめに、北斎を代表する「冨嶽三十六景」、「諸国名橋奇覧」、「諸国瀧廻り」、「琉球八景」、「詩哥写真鏡」、「百人一首うばがゑとき」の6種の揃物を紹介してゆきます。次々と連続して湧き出る北斎のイマジネーションの泉は、尽きるところを知りません。そして、デビュー当時の春朗時代の作品から、最晩年の89歳の作品「地方測量之図」までの70年近くにおよぶ画業を概観するコーナーへと続きます。
http://www.mitsui-museum.jp/exhibition/index.html
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★『冨嶽三十六景』「神奈川沖浪裏」
★『諸国滝廻り』「下野黒髪山 きりふりの滝」
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2011年6月 8日 (水)

写楽・・・大胆なデフォルメ

20110501 五月晴、躑躅咲く午後、新緑の桜の森を歩いて博物館に行く。写楽は第一期「役者大首絵二十八枚」が圧倒的な迫力である。目のしわ、口の形、手の動き、見えを切る姿、大胆なデフォルメが強烈である。なぜ10ヶ月の後に筆を絶って忽然と消えたのか。
「ボストン美術館浮世絵名品展 錦絵の黄金時代 ― 清長、歌麿、写楽」の三人の絵師を比較してみると、歌麿の艶麗な長身美人、写楽の写実と演技性は瞠目に値する。
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寛政6年(1794)5月、豪華な雲母摺りの役者大首絵28枚を出版して浮世絵界に突然姿をあらわし、翌年1月までに140点をこえる浮世絵版画を制作しながら、その筆を断って忽然と姿を消した東洲斎写楽。
大田南畝は『浮世絵類考』で「あまりに真を画かんとして、あらぬさまにかきしかば、長く世に行なわれず、一両年にして止む」と書いている。『江戸風俗惣まくり』によれば、「顔のすまひのくせをよく書いたれど、その艶色を破るにいたりて役者にいまれける」。斎藤月岑『増補浮世絵類考』(1844年)に、写楽は俗称斎藤十郎兵衛で八丁堀に住む「阿州侯(阿波徳島藩の蜂須賀家)の能役者」であるという記述がある。
写楽全作品146点のうち142点の写楽作品が集結している。「謎の浮世絵師写楽」の全貌に迫る浮世絵展。写楽と同じ版元、蔦屋重三郎が扱ったもう一人の天才浮世絵師、喜多川歌麿の優れた作品も同時展示されている。
■主な展示作品
東洲斎写楽「三代目大谷鬼次の江戸兵衛」大判錦絵、寛政6年5月、アメリカ・メトロポリタン美術館蔵The Metropolitan Museum of Art, NY
東洲斎写楽「初代市川男女蔵の奴一平」大判錦絵、寛政6年5月、フランス・ギメ東洋美術館蔵Musee Guimet, Paris
東洲斎写楽「三代目瀬川菊之丞の田辺文蔵女房おしづ」大判錦絵、寛政6年5月、東京国立博物館蔵、個人蔵
東洲斎写楽「市川鰕蔵の竹村定之進」大判錦絵、寛政6年5月、オランダ・アムステルダム国立美術館蔵Rijksmuseum, Amsterdam
東洲斎写楽「三代目沢村宗十郎の大岸蔵人」、大判錦絵、寛政6年5月、アメリカ・ホノルル美術館蔵Honolulu Academy of Arts
喜多川歌麿「当時全盛美人揃」越前屋内唐土 あやの をりの、寛政6年(1794) 東京国立博物館
喜多川歌麿「婦人相学十躰 浮気の相」寛政5年(1793)頃東京国立博物館               喜多川歌麿「婦人相学十躰 ポペンを吹く娘」寛政5年(1793)頃 アメリカ・ホノルル美術館
喜多川歌麿「高島おひさ」寛政5年(1793)頃 フランス・ギメ東洋美術館
■展示構成
プロローグ
1章:写楽以前の役者絵
2章:写楽を生み出した蔦屋重三郎
3章:写楽とライバルたち
4章:版の比較
5章:写楽の全貌
写楽の全貌芝居絵 第一期:寛政6年(1794) 5月、都座・桐座・河原崎座に取材した役者絵 [28図すべてを出品]
写楽の全貌芝居絵 第二期:寛政6年(1794)7月、都座・河原崎座 8月、桐座に取材した役者絵 [38図のうち36図を出品]
写楽の全貌芝居絵 第三期:寛政6年(1794)11月、閏11月、都座・桐座・河原崎座に取材した役者絵、役者追善絵、相撲絵[64図のうち60図を出品]
写楽の全貌芝居絵 第四期:寛政7年(1795)正月、都座・桐座に取材した役者絵、相撲絵 [12図すべてを出品]
6章:写楽の残影
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寛政6年(1794)5月、豪華な雲母摺りの役者大首絵28枚を出版して浮世絵界に突然姿をあらわし、翌年1月までに140点をこえる浮世絵版画を制作しながら、その筆を断って忽然と姿を消した東洲斎写楽。
作品が登場した時代の人々にとっても多くの刺激を与えていた単純化され誇張された表現は、現代に生きるわれわれの目にも新鮮な魅力に満ちています。本展は、その造形の魅力を解きほぐし、芸術的な特徴を明らかにすると同時に、写楽作品創造の源を探ります。
 寛政6年(1794)5月、江戸三座の役者を個性豊かに描いた大判雲母摺りの豪華な作品28図を一度に出版するという華やかなデビューを果たした東洲斎写楽は、翌年正月忽然と姿を消しました。その間10ヵ月(寛政6年(1794)は、閏11月が含まれる)に残した146図の作品は、題材となった歌舞伎が上演された時期によって研究者により4期に分けられています。
本展覧会では、約140図、約170枚の作品によって、写楽版画の全貌を紹介します。その数と質においておそらく空前絶後となる展覧会です。
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★特別展「写楽」東京国立博物館 平成館(上野公園)2011年5月1日(日)~6月12日(日)
★「ボストン美術館浮世絵名品展 錦絵の黄金時代 ― 清長、歌麿、写楽」千葉市美術館2011年4月26日~6月5日
東京国立博物館「写楽」特別展http://www.tnm.jp/

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2010年1月 1日 (金)

新年明けましておめでとうございます・・・火の鳥のように

01 新年明けましておめでとうございます。
様々な場所で、出会った皆さま、ご協力頂いた皆さま、ありがとうございました。感謝しています。今年もよろしくお願いします。
■火の鳥・・・死と再生の象徴
その身を炎に焼かれても灰の中から蘇ると言い伝えられる不死鳥。火の鳥、フェニックス、鳳凰。
いかなる逆境にあっても決して絶滅することのない生命力の象徴、
肉体が滅びようとも精神は生き残るという強い意志、不屈の魂の象徴。死と再生の象徴である。
■不屈の魂
北斎の不屈の意志のように、逆境の時代を生きたレオナルドのように、絶望の中を生きる不屈の魂がある。
世界は逆境の時代である。しかし、死の灰の中から蘇り、創造する魂は美しい。「人は幸運の時には偉大に見えるかもしれないが、真に向上するのは不運の時だけである。」(Friedrich Schiller)

いかなる状況下でも、私は学問と藝術を探求して行きたいと思います。
2010年がみなさまにとって素敵な年になりますように。
新しい年が、良い年でありますように、祈ります。
★北斎「鳳凰図屏風」1835ボストン美術館蔵cf.『江戸の誘惑』朝日新聞社2006

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2009年1月 1日 (木)

新年明けましておめでとうございます・・・不死鳥のように

Boston0102 2008年は、素晴らしい人たちと出会うことができ感謝しています。Net上で出会った人、現実世界で出会った人、御交流いただき、ありがとうございます。
■蘇る不死鳥のように
苦難のなかにあっても、苦難を超えて、火の中から蘇る不死鳥のように、美と真実を求めて、生きて行きたいと思います。
■北斎の不屈の意志のように
北斎(1760-1849)は、31回改名、92回転居し、90歳で亡くなりますが、死ぬまで画業を追求しました。最高傑作『冨嶽三十六景』(1831-1835)を刊行したのは、72歳の時である。不屈の意志をもった北斎のように、私は自らの学問を探求して行きたいと思います。
今後とも、ご支援、ご教示賜りますよう、お願い申し上げます。
2009年がみなさまにとって素敵な年になりますように。
本年もよろしく御願いいたします。
★北斎『鳳凰図屏風』1835ボストン美術館所蔵 肉筆浮世絵
Boston_edonoyuuwaku_200611

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