日本画

2009年11月27日 (金)

速水御舟展、新山種美術館・・・炎と闇

20091001 40歳で夭折した画家、速水御舟は、「炎舞」「名樹散椿」他、不朽の名画を残した。「炎舞」の舞い飛ぶ蛾と炎と闇は何を象徴するのか。「名樹散椿」の枝を広げる樹木と舞い散る花弁は、何を意味するのか。御舟の絵画空間は美しく深い。
御舟は1930(昭和5)年、大観らとローマ日本美術展覧会美術使節として10ヶ月間渡欧、13か国48都市を訪れて、ヨーロッパ美術を見た。エルグレコ、ジョットに影響を受けて、人物画を模索し死に至るまで画境を追求した。未完の「婦女群像」1934が残されている。御舟の見果てぬ夢を辿る展覧会である。

御舟はこれまでくりかえし観てきたが、何度みても見飽きない美しさと深さを秘めている。*
*「速水御舟展」山種1976、「日本美術院創立100年記念展 近代日本美術の軌跡」1998東京国立博物館、「速水御舟展」山種2004年、「速水御舟展」平塚市美術館2008、「琳派から日本画へ」山種2008年。
■展示作品
≪炎舞≫(重要文化財)1925、≪名樹散椿≫(重要文化財)1929、 ≪山科秋≫、≪桃花≫、≪春昼≫、≪百舌巣≫、 ≪昆虫二題葉蔭魔手・粧蛾舞戯≫1926、≪翠苔緑芝≫1928、 ≪紅梅・白梅≫、≪豆花≫、≪オリンピアス神殿遺址≫1931、 ≪暗香≫、≪牡丹花(墨牡丹)≫1934、≪あけぼの・春の宵≫、 ≪秋茄子≫他 特別出品 ≪婦女群像≫1934、「渡欧日記」1930、他120点。
展示構成
第1章:画壇からの出発
第2章:古典への挑戦
第3章:渡欧から人物画へ
第4章:挑戦者の葛藤
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大正から昭和を駆け抜けた日本画家・速水御舟。40年の短い生涯におよそ700余点の作品を残しましたが、その多くが所蔵家に秘蔵されて公開されることが少なかったため、「幻の画家」と称されていました。
 初期の南画風の作風から、細密描写、象徴的作風、写実と装飾を融合した画風、そして水墨画へと、御舟はその生涯を通じて、短いサイクルで次々と新しい試みに挑み続け、常に挑戦者であろうとしました。
 新「山種美術館」開館記念特別展では、当館所蔵の≪炎舞≫≪名樹散椿≫(重要文化財)を始めとする120点の御舟作品に加え、本邦初公開となる未完の大作≪婦女群像≫(個人蔵)および1930(昭和5)年の 渡欧日記(個人蔵)などを出展します。
 これらの新出資料を通じて、1935昭和10年40歳の若さで急逝した御舟が新たに目指していた方向性が明らかになることでしょう。本展では、山種美術館所蔵の御舟作品をすべて展示し、皆様にいま一度、御舟作品の凄みを体感していただきたいと思っています。
■新山種美術館開館記念特別展「速水御舟-日本画への挑戦-」
会期:2009年10月1日(木)~11月29日(日)
山種美術館 〒150-0012 東京都渋谷区広尾3-12-36
http://www.yamatane-museum.or.jp/

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2009年7月31日 (金)

村上華岳「裸婦図」・・・崇高なヌード

2009 霊と肉の調和
「肉であると同時に霊でもあるものの美しさ」である。肉体と精神性、妖艶と聖性、官能美と知性の覚醒の境地という相反する要素、対立する要素の不思議な調和がある。
幽玄な森を背景に、一人の薄絹をまとった女。女性は耳飾、胸飾、首飾、臂釧、腕釧などの装身具を身につけていて、印度の仏像彫刻のようである。豊麗な体は、透明な衣の繊細にして強い描線で縁取られている。
■美の根源のエロス
女は艶麗でありかつ、清純な姿である。たたたずまいに立ち上る仄かな色香。肌理細やかな肌に、幽かな朱色。艶然として仏像のようなまなざし。美の根源にはエロスがある。
縦163 cm、横109 cm、現身の等身大の作品である。
近代日本画を作り上げた画家、村上華岳1888-1939(明治21-昭和14)。51才で亡くなった画家、32才の作品。
村上華岳「裸婦図」1920(大正9)第3回国画創作協会展、絹本・彩色・額(1面)163.6×109.1cm
山種美術館所蔵、「上村松園、美人画の粋」山種美術館にて、7月26日。

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2009年7月27日 (月)

上村松園、美人画の粋・・・緑陰の午後

20090726_2 蝉しぐれの午後、イタリア糸杉が佇む千鳥ヶ淵公園を歩いて、美術館に行く。夏の日盛り、千鳥ヶ淵の緑陰、木漏れ日が眩しい。山種美術館閉館日である。
上村松園「春のよそをひ」1936「つれづれ」1941「春芳」「牡丹雪」他。女性の品は、目、口元、手に現れる。松園は女性の気品が漂う美しさを目ざした。
最後の展示室に飾られている一枚の絵に惹きつけられた。過去に何度もみた絵だが、強く魅かれる。村上華岳「裸婦図」1920、真夏の生命の季節のなかで鈍色に輝いている。「肉であると同時に霊でもあるものの美しさ」(華岳『画論』)がある。
【作品リスト】
1:鈴木春信「梅の枝折り」
2:鈴木春信「柿の実とり」
3:鳥居清長「当世遊里美人合 橘妓と若衆」
4:鳥居清長「風俗東之錦 大名と若殿と乳母、侍女と若衆」
5:鳥居清長「社頭の見合」
6:喜多川歌麿「青楼七小町 鶴屋内 篠原」
7:喜多川歌麿「美人五面相 う満相」
8:武内桂舟「秋草『文藝倶楽部』」
9:水野年方「号外(口絵木版)」
10:寺崎廣業「花見『文藝倶楽部』」
11:和田英作「黄衣の少女」
12:上村松園「蛍」
13:上村松園「桜可里」
14:上村松園「新蛍」
15:上村松園「盆踊り」
16:上村松園「タベ」
17:上村松園「春のよそをひ」
18:上村松園「苫」
19:上村松園「春芳」
20:上村松園「春風」
21:上村松園「折鶴」
22:上村松園「つれづれ」
23:上村松園「詠哥」
24:上村松園「娘」
25:上村松園「夏美人」
26:上村松園「牡丹雪」
27:上村松園「庭の雪」
28:上村松園「杜鵑を聴く」
29上村松園「夕照」
30:尾竹竹坡「リボン(口絵木版)」
31:鏑木清方「小杉天外『魔風恋風』」
32:鏑木清方「伽羅」
33:今村紫紅「大原の奥」
34:池田輝方「夕立」
35:小林古径「河風」
36:土田麦僊「舞妓」
37:村上華岳「裸婦図」
38:奥村土牛「舞妓」
39:奥村土牛「舞妓(スケッチ)」
40:奥村土牛「舞妓(スケッチ)」
41:小倉遊亀「舞う(舞妓)」
42:小倉遊亀「舞う(芸者)」
43:林武「少女」
44:山川秀峰「芸者の図」
45:伊東深水「紅葉美人」
46:伊東深水「雪中美人」
47:伊東深水「春」
48:伊東深水「婦人像」
49:伊東深水「吉野太夫」
50:小早川清「美人詠歌図」
51:橋本明治「秋意」
52:杉山寧「少女Y(スケッチ)」
53:石本正「のれん」
54:石本正「舞妓座像」
55:三輪良平「舞妓」
56:平山郁夫「トルコ・ベリシラマ村の女」
57:平山郁夫「トルコ・ベリシラマ村の女」
58:青山亘幹「舞妓四題のうち11月」
59:青山亘幹「舞妓四題のうち 正月」
★「没後60年記念 上村松園、美人画の粋」山種美術館
2009年5月23日(土)~7月26日(日)

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2009年2月17日 (火)

加山又造展、国立新美術館・・・虚空に煌く美

2009012111年前に、加山又造展、東京国立近代美術館1998、をみた。11年ぶりの回顧展である。加山又造は、琳派と運命的な出会いをする。24才の時「宗達光琳派展」昭和26年(1951)東京国立博物館である。
初期の動物絵画に見られる西洋絵画の手法、琳派や大和絵など伝統美への傾倒、古典を踏まえ、革新的で現代感覚あふれる解釈によって繰り広げられるその創造的な絵画世界。水墨画、京都天龍寺の天井画を完成させ、死に至るまで新たなテーマを展開しつづけた。
加山又造の多岐に渡る活動を集大成、その軌跡をたどる回顧展である。
■古典への傾倒
キュビズム、アルタミラの壁画、ブリューゲル『雪中の狩人』、俵屋宗達、本阿弥光悦、尾形光琳、速水御舟、金剛寺『日月山水図屏風』。加山又造が影響を受けた藝術の痕跡をみることができる。
10年前に、加山又造展「やまと絵の心 加山又造展~華麗なる装飾美の世界~」東京国立近代美術館1998、をみた。この時の図録には作家自身の作品解説があり、発想の源泉が解き明かされている。必見。
■線の美しさ
「無駄な線を一本も描いてはならない。祈るように線を引け」とわが子に教えたといわれる。厳しい線のなかに求道的な美しさが見られる。現代の琳派、現代日本画家、屈指の名匠である。
★展示作品
「冬」1957東京国立近代美術館
「千羽鶴」1970
「春秋波濤」1966
「雪月花」1967個人蔵
「牡丹」四曲一雙屏風1979富山県水墨美術館
「夜桜」四曲一双屏風1982光美術館
「華と猫」1991
「倣北宋水墨山水雪景」1989多摩美術大学美術館蔵
「倣北宋寒林雪山」1992個人蔵
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現代日本画を代表する画家の一人である加山又造の回顧展を開催します。
加山又造は1927(昭和2)年、京都市に生まれました。初め、京都市立美術工芸学校絵画科に学んだ後、上京して東京美術学校日本画科に入学、1949(昭和24)年に卒業しました。そして、戦後まもなく創立された創造美術に、西洋絵画の影響を強く窺わせる動物画を発表して注目されました。
戦後になって日本画滅亡論が声高に唱えられ、日本画家は新しい日本画のあり方をもとめて模索を続け、新たに流入してきた欧米の美術思潮へ接近しました。それは明治以降の近代日本画を基盤としつつ、戦後の社会に適応させていくための一つの手法であったようにみえます。
画壇に登場した頃の加山の制作も、同じ方向性を示していたのは確かです。しかし加山の場合、一度、近代日本画の流れの外に出ることで、自覚的に日本絵画それ自体の本質を問い、それを現代という時代に表現したところに大きな違いがありました。そのことは、初期の一連の動物画においてさえその強烈な様式性が伝統的な日本画の特質に深く根ざしていることに明らかです。戦後に出発した日本画家としての加山の姿を、そこに見ることができます。
そうした時、室町時代の装飾的な屏風や琳派など日本の古典に繋がる作品、浮世絵の線描表現の美しさに触発された裸婦像、日本や中国の水墨に学んだ作品など、描かれた作品は単なる模倣ではなく、日本の美術が本来もっている装飾性に深く倣ならいながら、それを今日的な表現に解釈し直したものであることが理解できます。
加山又造が2004年に亡くなってからまもなく5年の歳月がたちますが、その作品は今も高く評価されています。ほぼ60年にわたるその革新的な画業は、やや行き詰まりの感のある現代の日本画の世界にあってなお示唆的です。この展覧会は絵画作品だけでなく、加山が絵付けをした陶器、着物、デザインによる装飾品など工芸品を含む約100点で構成されます。全体を6章に分けてその芸術の歩みを辿るとともに、戦後の日本画の展開において加山が果たした役割と、その意味をあらためて探ろうとする試みです。
第1章 動物たち、あるいは生きる悲しみ―様式化の試み
第2章 時間と空間を超えて―無限の宇宙を求めて
第3章 線描の裸婦たち―永遠のエロティシズム
第4章 花鳥画の世界―「いのち」のかたち
第5章 水墨画―色彩を超えた「色」
第6章 生活の中に生きる美
★加山又造展、虚空に煌く美、国立新美術館
2009年1月21日(水)~3月2日(月)
http://www.kayamaten.jp/
Kayama20090121

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