バロック

2016年4月18日 (月)

カラバッジョ展、国立西洋美術館・・・光と闇の藝術

Caravaggio_20160301Caravaggio_2016花の蕾がふくらみ、羽化する春、桜の森を歩いて、美術館に行く。秘書は黒いドレスを着てやってきた。敵の首を切る美女、自己陶酔する美青年、エロティックで暴力的なバロック趣味の様式。闇と光の藝術をみて、彼女は興奮していた。
初夏、灼熱のローマを旅した日々の思い出。緑深い森、バロックの館、ローマのバルベリーニ宮殿(Palazzo Barberini)でみたカラヴァッジョ「ホロフェルネスの首を切るユディト」(1598)を思い出す。美しき壮絶。イタリアは、詩と藝術、恋愛とエロスの王国である。
敵将の首を切る美女、恍惚の聖者、自己の美貌に溺れる美青年『ナルキッソス』(1599)、いかさま師、朽ち果てる果実、犯罪者として殺される聖者と首を切る役人。この世の流血の惨劇。権威を装った詐欺師が世に溢れている。*カラバッジョ「いかさま師」(1595)、ラ・トゥール「いかさま師」1(635)。*ボス「いかさま師」(1505-15)から「価値観の逆転、権威の失墜」が、イメージ化された。
『エマオの晩餐』(1606)の深い闇の中の光、『果物籠をもつ少年』(1593-94)の朽ち果てていく果実。殺人、首切、いかさま、流血、涙、恍惚、陶酔。闇の中の美女。なんでもありのこの世。闇の中の光。カラヴァッジョは、殺人事件(1606年5月)後、コロンナ家に潜伏して『エマオの晩餐』を描き逃走資金を作った。
神から贈られた卓越した才能をもちながら、人を殺した理由は何か。カラヴァッジョの殺意の原因は何か。
*大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』より
*大久保正雄『永遠を旅する哲学者 美のイデアへの旅』より
■カラヴァッジョの破滅的生涯
カラヴァッジョ(Michelangelo Merisi da Caravaggio1571-1610)は、北イタリアで生まれ、6歳の時父が死に、13歳の時画家の修業を開始し、20代でローマに行く。作品が人気となり支援者を得る。25歳の時、デル・モンテ枢機卿が『女占師』(1596)を買い上げ、枢機卿の館に住む許可を与えられ、上流階級に紹介される。
35歳の時、人を殺害し死刑判決を受ける。絵を描いて逃走資金を作り、ナポリへ逃亡。支援者の援助を受けながら、マルタ島、シチリア島へ逃亡をつづける。恩赦を得るためローマへ戻る途中38歳で病死した。
*大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』より
■バロックの巨匠たち
ベラスケスの宮廷画、ルーベンス、レンブラントの闇、ラ・トゥールの蝋燭、フェルメールの静謐な空間。
暗闇の中に差し込む一条の光。蝋燭の光に照らされた顔。16世紀から17世紀、光と闇を描いたバロックの画家たち。徹底した写実主義で劇的な光の効果を描いたカラヴァッジオ、暗闇の中にともる光で宗教画を描いたラ・トゥール、深い闇と静謐な光を描いたレンブラント。カラヴァッジョは17世紀の画家に深い影響を与えた。
■ルネサンスの血とバロックの闇
メディチ家は、卓越した美的趣味、知性をもち理想主義(Idealism)を探求した。フィレンツェは対教皇庁戦争で包囲される(1474年-1480年)。ジュリアーノ・デ・メディチは25歳で暗殺され、ロレンツォは1492年43歳で死に、ルネサンスの詩人ポリツィアーノは40歳で毒殺され、思想家ピコ・デラ・ミランドラは31歳で毒殺され、フィチーノは1499年死んだ。メディチ家は、旧権力と戦い破れた。
カラヴァッジョは、ルネサンス藝術が追求しない残酷な現実を直視し、現実主義(Realism)を探求した。カラヴァッジョの深い闇は、ルネサンスの過酷な現実を100年の時をへて形象化した。
*大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』より
■緑陰深い森、バロックの館
緑陰深い森、バロックの館でみた絵画を思い出す。カラヴァッジェスキとカラヴァッジョの敵たち。カラヴァッジオ『愛は全てを征服する』(1601)は、敵対するジョヴァンニ・バリオーネ『肉体の愛と精神の愛』*によって批判され、カラヴァッジョ『ホロフェルネスの首を切るユディト』(1598)は、アルテミジア・ジェンティレスキ『ホロフェルネスの首を切るユディト』(カポディモンテ美術館)*に深い影響を与える。
Giovannni Baglione,Amor sacro e Amor profane(1602–1603)
Artemisia Gentileschi, Giuditta che decapita Oloferne(1614–20)

カラヴァッジョ展、国立西洋美術館
2016年3月1日(火)~2016年6月12日(日)
http://www.nmwa.go.jp/jp/index.html

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2012年10月26日 (金)

リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝・・・虚飾の館

20121003虚飾の美は、真の美ではない。後期バロックの装飾過剰な美術は、退廃藝術である。バロックの過剰装飾、悪趣味な飾りは、限りなく醜い。バロックの美術について、イタリアのファッション・デザイナーが美しくないといっている。物欲と権力と虚栄に溺れた醜悪。ルーベンス(1577-1640)の脂肪のついた豊満な肉体の女は、バロックの堕落である。
貴族の美術蒐集も、薬物依存と同様、陶酔を生の至上とする物質への魂の奴隷状態である。金銭と地位と権力を集積すればするほど、精神は醜い。物質的に豊かで地位があればあるほど、精神は腐っている。腐臭を放っている。
では、魂の美しさとは何か。魂の醜さについては、プラトン『国家』第2巻、第9巻。魂の美しさについては、プラトン『国家』第4巻、第5巻に書かれている。(大久保正雄『プラトン哲学のエロスとタナトス』)
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■富と権力と虚飾について
「人間がこの世に存在するのは、金持ちになるためでなく、幸福になるためである。」スタンダール
「一生の終わりに残るのは、人が集めたものではなく、人に与えたものである。」ジュエラール・シャンドリー
「富に執着し、名誉、利欲に執着し、自分自身に執着する。この執着から苦しみが生まれる。」華厳経
「酒や薬物に頼って前後不覚の陶酔を生の至上のものとする悪癖を身につけてしまった人間に待ち構えているのは、ほかの何をもってしても軽減されない夥しい苦しみであり、ついで魂の没落であり、そして、この世からの早過ぎる敗退である。あらゆる誘惑の克服は不可能であっても、これはやめるべきだ。」丸山健二
■展示作品
アンソニー・ヴァン・ダイク《マリア・デ・タシスの肖像》1629/30年]
ペーテル・パウル・ルーベンス《クララ・セレーナ・ルーベンスの肖像》1616年頃
ペーテル・パウル・ルーベンス《占いの結果を問うデキウス・ムス》「デキウス・ムス」連作より 1616/17年
ペーテル・パウル・ルーベンス《マルスとレア・シルヴィア》1616/17年頃
レンブラント・ハルメンスゾーン・ファン・レイン《キューピッドとしゃぼん玉》1634年
フリードリッヒ・フォン・アメリング「夢に浸って」1835年
フランチェスコ・アイエツ「復讐の誓い」1851年
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「リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝」
オーストリアとスイスの間にあるリヒテンシュタイン侯国。同国の国家元首であるリヒテンシュタイン侯爵家は、優れた美術品収集こそが一族の栄誉との家訓のもと、500年以上にわたってヨーロッパ美術の名品を収集してきました。その数は3万点に及び、英国王室に次ぐ世界最大級の個人コレクションといわれています。本展では同コレクションから139点の名品を選りすぐり、日本で初めて公開します。世界屈指のルーベンス・コレクションからは、愛娘を描いた《クララ・セレーナ・ルーベンスの肖像》など10点が一挙に来日。ラファエッロ、クラナッハ、レンブラント、ヴァン・ダイクをはじめとする巨匠たちの名画や、華麗な工芸品が一堂に並びます。

侯爵家が所蔵するルーベンス作品は、30点余りを数え、世界有数の質と量を誇ります。本展では、その中から選び抜かれた10点を一挙に公開します。5歳の頃の愛娘を描いた《クララ・セレーナ・ルーベンスの肖像》は、父ルーベンスの愛情を感じさせる傑作。ほかにも、ルーベンス渾身の歴史画「デキウス・ムス」連作から、約3×4メートルの大作が来日します。
ウィーン郊外ロッサウの侯爵家の「夏の離宮」は、華麗なバロック様式を特徴とし、その室内には今もなお、いにしえの宮廷さながらに、侯爵家の所蔵する絵画、彫刻、工芸品、家具調度が一堂に並べられています。本展では、その室内装飾と展示様式にもとづいた「バロック・サロン」を設け、華やかなバロック宮殿の雰囲気を再現します。また、日本の展覧会史上初の試みとして、天井画も展示。総合芸術としてのバロック空間を体感していただけます。
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★「リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝」国立新美術館
2012年10月3日~12月23日 六本木・国立新美術館、
2013年1月5日~3月7日 高知県立美術館、
2013年3月19日~6月9日 京都市美術館.
http://www.asahi.com/event/liechtenstein2012-13/

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2011年5月26日 (木)

レンブラント 光の探求/闇の誘惑・・・闇の中の光

20110312 レンブラントは、黄金の世紀17世紀のオランダの画家であり「光と影の魔術師」と呼ばれる。「Rembrandt:The Quest for Chiaroscuro」「明(chiaro)と暗(scuro)の探求」をテーマとする美術展である。「黒い版画」の時代から「光の絵画」の時代へと、レンブラントの明暗表現を探求する。光と陰の対比ではなく、微妙な陰影、諧調を追求した。「深く力強い明暗表現」と「絵画性」とパンディヌッチに評価された。
【『夜警』 人生の果てに見たもの】19歳で工房独立、21歳でアムステルダムに行く。『夜警』(1642)を完成させたが人生は暗転。1642年30才の若妻サスキアが死に、女召使ヘールトヘも死去、子供も次々に死亡。50歳で破産。版画印刷機を売却。63歳で死去するまで、絵画制作を続けた。1663年7月20才若い愛人ヘンドリッキェ(38才)にも先立たれ、レンブラントが人生の果てに見たものは何か。
主要展示作品
《東洋風の衣装をまとう自画像》1631年パリ市立美術館Petit Palais/Roger-Viollet
《音楽を奏でる人々》1626年アムステルダム国立美術館Collection Rijksmuseum, Amsterdam
《石の手摺りにもたれる自画像》第2ステート、1639年アムステルダム、レンブラントハイスThe Rembrandt House Museum, Amsterdam
《病人たちを癒すキリスト(百グルデン版画)》第2ステート、1643-49年頃 国立西洋美術館
『ヘンドリッキェ・ストッフェルス』1652ルーヴル美術館
『3本の十字架』1653レンブラントハイス
『エッケ・ホモ 民衆に晒されるキリスト』1665レンブラントハイス
■展示構成
1、 黒い版画:レンブラントと黒の諧調表現
2、 淡い色の紙:レンブラントの和紙刷り版画
3、 とても変わった技法:レンブラントのキアロスクーロ
4、 2点の傑作版画:『3本の十字架』『エッケ・ホモ 民衆に晒されるキリスト』
■「レンブラント 光の探求/闇の誘惑」
レンブラント・ファン・レイン(1606-1669)は、黄金の世紀と呼ばれた17世紀を代表するオランダの画家であり、古くより「光と影の魔術師」「明暗の巨匠」と呼ばれ、光の探求や陰影表現、明暗法を終生追求した作家でした。
本展は、版画と絵画におけるレンブラントの「光と影」の真の意味を再検討しようとするもので、オランダ・アムステルダムのレンブラントハイスの協力のもと、アムステルダム国立美術館、大英博物館、ルーヴル美術館などが所蔵する世界中の重要なレンブラント作品で構成されます。レンブラントハイスはアムステルダム中心地にある、かつてレンブラントが住んでいた家を美術館に改築したもので、そこにはいまも当時のアトリエなど、画家の面影が残っています。レンブラントの明暗表現を考察する上で重要な役割を演じた版画と絵画を取り上げ、その初期から晩年にいたる作品まで、オランダの巨匠レンブラントがどのように明暗表現に取り組んだかを辿ります。約100点の版画を中心に、レンブラントの明暗表現の特徴を示す約15点の絵画と素描を加え、また版画作品のうち約30点は和紙に刷られたものを展示します。レンブラントは1647年頃から当時のオランダの東インド会社を通じてもたらされた和紙を使い始めました。遠い異国の地の日本の未知の紙がレンブラントの明暗表現にとってどのような役割を果たしたのかといった視点からもレンブラント芸術を解き明かします。レンブラントによる「光の探求」、そしてみるものを惹き付けてやまない「闇の誘惑」、レンブラントが追求した光と影の芸術の世界にどうぞご期待ください。「レンブラント 光の探求/闇の誘惑」資料より。
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「レンブラント 光の探求/闇の誘惑」
国立西洋美術館3月12日(土)~6月12日(日)
名古屋市美術館2011年6月25日(土)~9月4日(日)

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2010年9月25日 (土)

カラヴァッジョ「ホロフェルネスの首を切るユディト」・・・バルベリーニ宮殿

Caravaggiojudithholofernes201009 枯葉舞い散る森を歩いて、美術館に行く。もう一度、カポディモンテ美術館展に行き、アルテミジア・ジェンティレスキ「ユディトとホロフェルネス」を見る。
10年前、ローマのバルベリーニ宮殿(Palazzo Barberini)で見たカラヴァッジョ「ホロフェルネスの首を切るユディト」1598を思い出す。
宴で酒を飲み眠っているホロフェルネスの首を剣で切るユディト。首から鮮血が噴き出す場面である。若くて美しい女が敵将を殺すところに美がある。若い美女と将軍と老いた召使い。光と闇、美と醜、老若の対比の中に、愛と憎しみがある。ユディトのモデルは十八才の娼婦フィリデ・メランドローニ、後に彼が殺害するラヌッチョ・トマッソーニの愛人である。カラヴァッジョ(Michelangelo Merisi da Caravaggio1571-1610)、27才の時の傑作。

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2010年9月17日 (金)

カポディモンテ美術館展・・・イタリア・バロックの退廃美

20100626010a 夏の夕暮れ、蝉しぐれの烈しい上野の森に行く。
マニエリスムからカラバッジョ派、ナポリ・バロックの退廃藝術、反古典主義美術である。
パルミジャニーノ「貴婦人の肖像 アンテア」は、身体のねじれが退廃的。37才で夭折した画家パルミジャニーノ(1503-40)晩年の作品。
アンニーバレ・カラッチ「リナルドとアルミーダ」。アルミーダはリナルドを見つめようとするが、リナルドは鏡に映った自分の姿を見つめ、視線は結ばれず遁走する。魔女アルミーダがリナルドを魔法の宮殿に引き止めている場面。第一回十字軍を描いたタッソの恋愛叙情詩『解放されたエルサレム』が出典。
グイド・レーニ「アタランテとヒッポメネス」。美貌のアタランテは競走で自分と勝負して勝った者と結婚するという条件を出す。アタランテと結婚するためにヴィーナスから授かった三つの黄金の林檎を競走中に投げるヒッポメネスと、走るのをやめ取りに向かうアタランテ。オヴィディウス『変身物語』10巻が出典。
アルテミジア・ジェンティレスキ「ユディトとホロフェルネス」は、ユディトは泥酔して眠っていた敵将ホロフェルネスの短剣をとって彼の首を切り落とす。召使いが首を押えている。旧約聖書外典「ユディト記」に基づく。赤と青の衣装が強烈な激情的絵画。アルテミジア(1593-1653)は歴史上最初の女性画家であり、カラヴァッジョ派。父オラツィオ・ジェンティレスキオ(1563-1639)はカラヴァッジョの友人である。強姦された体験が濃厚にあらわれている。カラヴァッジョ(Caravaggio1571-1610)「ユディトとホロフェルネス」1598の影響が強く現れている。
★参考文献
『藝術新潮』カラヴァッジョ、聖なる人殺し画家2001.10
『カラヴァッジョ 光と影の巨匠、バロック絵画の先駆者たち』朝日新聞社2001
『パルマ イタリア美術、もう一つの都』国立西洋美術館2007
カポデモンティは、ブルボン家のカルロ7世(後のスペイン王カルロス3世)の美術コレクションから始まった宮殿であり、カルロの母エリザベッタ・ファルネーゼからファルネーゼ家の膨大な美術品コレクションを受け継いだ。ルネサンス、マニエリスムからバロック美術の宝庫である。
次の作品は必見。
★主な展示作品
ベルナルディーノ・ルイーニ「聖母子」1510-20、レオナルドの影響が濃厚。
パルミジャニーノ「貴婦人の肖像 アンテア」1535-37
ティツィアーノ「マグダラのマリア」1567、目に涙が光る。
アンニーバレ・カラッチ「リナルドとアルミーダ」1601-02、退廃的な快楽の匂い。
グイド・レーニ「アタランテとヒッポメネス」1622、死の匂いを感じる。
アルテミジア・ジェンティレスキ「ユディトとホロフェルネス」1612-13
フランチェスコ・グアリーノ「聖アガタ」、胸に血が滲む。
ベルナルディノ・カヴァッリーノ「聖カエキリアの法悦」
ルカ・ジョルダーノ「眠るヴィーナス、クピドとサテュロス」
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■カポディモンテ美術館は、ナポリにあるイタリアを代表する美術館のひとつ。十八世紀に建てられた壮麗な宮殿には、ヨーロッパ史に名を残す大貴族ファルネーゼ家とブルボン家が収集した膨大な芸術品のコレクションが展示収蔵され、現在国立美術館として公開されています。本展では絵画、彫刻、工芸作品約八十点を選りすぐり、パルミジャニーノをはじめティツィアーノ、エル・グレコ、グイド・レーニなど、ルネサンスからバロックまでの巨匠の名品を紹介します。
ナポリを見下ろす丘の上に建つカポディモンテ美術館(「カポディモンテ」とは「山の上」の意味)は、イタリア有数の美術館のひとつです。1738年にブルボン家のカルロ7世(後のスペイン王カルロス3世)によって建造が開始された宮殿が、そのまま美術館となっています。そもそもこの宮殿は、美術品を収納・展示することを目的のひとつとして建てられたものでした。というのもカルロは母エリザベッタ・ファルネーゼからファルネーゼ家の膨大な美術品コレクションを受け継いでいたからです。
イメージコレクションが展示されるようになると、ナポリを訪れる文化人たちは競ってここを訪れるようになります。その中にはドイツの文豪ゲーテら、名だたる知識人、画家たちがいました。その後さまざまな変遷をたどった後、国立美術館として一般に公開されることとなりました。ファルネーゼ家およびブルボン家のコレクションを中核としながら、その後もコレクションの拡充を続け、現在の姿となっています。(カポディモンテ美術館展資料より)
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■カポディモンテ美術館展、ナポリ・宮廷と美
ルネサンスからバロックまでイタリア美術
国立西洋美術館 2010年6月26日(土)~9月26日(日)
京都府京都文化博物館 2010年10月9日(土)~12月5日(日)
http://www.tbs.co.jp/capo2010/index-j.html
★アルテミジア・ジェンティレスキ「ユディトとホロフェルネス」

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2009年6月11日 (木)

ルーヴル美術館展、17世紀ヨーロッパ絵画・・・図像学の講義

Claude_lorrain_2009 芒種の日、雨の森を歩いて、美術館に行く。
美術ブロガーの会合があり、美術史家を招いて、展示室にて鑑賞する。17世紀ヨーロッパ絵画の実物を目のまえに見ながら、美術史家・池上英洋教授によるレクチュアである。ルーヴル美術館による展示構成は分かりにくいので「17世紀ヨーロッパ芸術のパトロネージ」という主題の下に、各部屋を回り講義をきく。
■17世紀の三大権力
バロック絵画をよりよく理解し楽しむために、17世紀の三大パトロン、資金源である「教会、宮廷、商人」によって、テーマを探求する。対抗宗教改革とは何か、そしてそれと連動した文化の特徴とはいかなるものだったか。
 1、教会(教皇庁、カトリック教会、イエズス会)イタリア。対抗宗教改革の時代。宗教改革に対抗するプロパガンダ図像。無原罪の御宿り、聖母、使徒。
 2、宮廷(絶対王政による君主専制国家、および貴族階級)フランス、スペイン。君主称揚主題、救済実現目的の主題、教育目的。肖像画、歴史画、神話画、宮殿壁画、礼拝堂。
 3、商人(17世紀から新たに登場した第3のパトロン)オランダ、イギリス。室内装飾用のニュートラルな主題。集団肖像画、静物画、風景画、風俗画。ヴァニタス(Vanitas)などの寓意図像。
■図像学の講義
 ムリーリョ「無原罪の御宿り」のマリアは、熾天使(Seraphim)によって、囲まれている。熾天使は、燃える天使であり、偽ディオニシウス・アレオパギタが定めた天使の九階級のうち最上の天使である。
 カラヴァッジョ「果物籠」にはじまるヴァニタスの寓意は「形あるものはすべて壊れる、生あるものは枯れる」、無常を意味する。
 ラトゥール「大工ヨセフ」は、一点光源でしかも手を透かしている。カラヴァッジェスキの影響が濃厚だが、カラヴァッジョは天井から光源が照らしている。
 カルロ・ドルチ「マリア」の唇と袖の赤はイエスの血の象徴である。
 クロード・ロランClaude Lorrain「クリュセイスを父親のもとに返すオデュッセウスOdysseus returns Chryseis to her father」の画中の女性クリュセイスを皆で探して夢中になる。本物の名画を目のまえに行う、図像学の実践的講義は、果てしなくつづく。
■深夜の宴
 夜の美術館で8時半閉館まで耽溺し堪能した。その後、先生と女子大生たちと一緒に宴に向かう。宴は深夜12時までつづいた。「酒杯を傾けて藝術談議をするのは至福の時間」と美術マニアの女性はいう。
★「ルーヴル美術館展 17世紀ヨーロッパ絵画」国立西洋美術館
2月28日(土)~6月14日(日)
http://mediterranean.cocolog-nifty.com/blog/2009/05/post-9bb1.html

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2009年5月24日 (日)

ルーヴル美術館展 17世紀ヨーロッパ絵画、国立西洋美術館・・・バロックの世紀

Louvre_2009_image_12 緑深い五月、森の緑陰を歩いて、美術館に行く。17世紀ヨーロッパ絵画は、イタリア・バロック、カラヴァッジョの影響の下に展開した。
イタリアは、カラヴァッジョ、カラッチの時代である。
■17世紀ヨーロッパの巨匠は、スペイン:ベラスケス、フランドル:ルーベンス、ヴァン・ダイク、ロレーヌ:ラ・トゥール、オランダ:レンブラント、フェルメール、ハルス、ロイスダール、フランス:プッサン、クロード・ロラン。オランダ絵画の黄金時代を迎えた。
■カラヴァッジョ(Michelangelo Merisi da Caravaggio:1571-1610)、カラヴァッジョ派の特徴は明暗の対比、闇の様式である。その影響が、ジョルジュ・ド・ラ・トゥール、レンブラント、初期フェルメールに濃厚に存在する。クロード・ロランは、イタリア・バロック古典主義アンニバーレ・カラッチ(Annibale Carracci:1560-1609)の風景画に影響を受けた。
フェルメール「レースを編む女」は、静かな室内で手紙を読み、物思いに耽る女性を描いたフェルメールの一連の作品、17世紀オランダ風俗画の代表作。右手下に置かれた小さな書物は聖書であり、レース編みが女性の勤勉さを象徴する。光のある空間、一瞬の中の永遠を表現している。
ジョルジュ・ド・ラ・トゥール「大工ヨセフ」幼子キリストがもつ蝋燭がただ一つの光源である。炎の光はキリストの顔を照らし出し幼子の左手を透かして観る者に届く。光と闇の空間が、一本の蝋燭によって照らされる。静寂と神秘にみちた世界である。
カルロ・ドルチ「受胎告知 天使」は天使の甘美な美しさを湛えている。閉館後の美術館、時のたつのを忘れて若い女性がうっとりと見惚れている。魂を魅せられている。
■展示作品
Ⅰ.「黄金の世紀」とその陰の領域
フランス・ハルス「リュートを持つ道化師」1624年頃
ル・ナン兄弟「農民の家族」
フェルメール「レースを編む女」1669年−1670年頃、油彩・カンヴァス(板に貼付)24cm × 21cm
フランス・プルビュス(子)「マリー・ド・メディシスの肖像」1610年
Ⅱ.旅行と「科学革命」
クロード・ロラン「グリュセイスを父親のもとに返すオデュッセウス」1644年
ディエゴ・ベラスケスとその工房「王女マルガリータの肖像」1654年
ペーター・パウエル・ルーベンス「ユノに欺かれるイクシオン」1615年頃
ヨアヒム・ウテワール「アンドロメダを救うパルセウス」1611年
Ⅲ.「聖人の世紀」、古代の継承者
シモン・ヴェーエ「エスランの聖母」1640-50年頃
カルロ・ドルチ「受胎告知 天使」1653-55年頃
カルロ・ドルチ「受胎告知 聖母」1653-55年頃
ジョルジュ・ド・ラ・トゥール「大工ヨセフ」1642年頃
バルトロメ・エステバン・ムリーリョ「6人の人物の前に現れる無原罪の聖母」1662-65年頃
ウィレム・ドロスト「バテシバ」1654年
ヤーコプ・ヨルダーンス「4人の福音書記者」1625-30年頃
グェルチーノ「ペテロの涙」1647年
■17世紀は、肖像画、風俗画、静物画、風景画、あらゆる分野の絵画が豊饒に実る黄金の世紀である。
とらさんの「Art & Bell by Tora」によると「黄金の世紀は、革命の時代であり、経済の革命、芸術の革命、信仰の革命(キリスト教内部)が同時に進行し、ヨーロッパに均衡と調和を齎した古典時代であったが、20世紀以降の現代は、変動・紛争・対立の時代である。その両者を比較し、考察することがこの展覧会の目的」である。
http://cardiac.exblog.jp/10424751/
――――――――――
「黄金の世紀」と呼ばれる17世紀ヨーロッパは、レンブラント、ベラスケス、フェルメール、ルーベンス、プッサン、ラ・トゥールといった優れた画家を、綺羅星のごとく輩出しました。本展ではこれらの画家の作品をはじめ、ルーヴル美術館が誇る17世紀絵画の傑作を展示いたします。
華やかな宮延文化が栄えた17世紀は、貧困や飢餓といった陰の領域、大航海時代、科学革命と富裕な市民階級の台頭、かつてないほどの高まりをみせた聖人信仰など実に多様な側面をもっています。それらは画家たちの傑出した才能と結びつき、数々の名作を生みました。本展は17世紀の絵画を通じ、様々な顔をもつこの時代のヨーロッパの姿を浮かび上がらせようという意欲的な試みでもあります。フェルメールの名作《レースを編む女》をはじめ、出品される71点のうち、およそ60点が目本初公開。さらに30点あまりは初めてルーヴル美術館を出る名品です。まさに「これぞルーヴル」、「これぞヨーロッパ絵画の王道」といえる作品群を堪能していただく貴重な機会となることでしょう。
★「ルーヴル美術館展 17世紀ヨーロッパ絵画」国立西洋美術館
2月28日(土)~6月14日(日)
http://www.ntv.co.jp/louvre/

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