バロック

2009年6月11日 (木)

ルーヴル美術館展、17世紀ヨーロッパ絵画・・・図像学の講義

Claude_lorrain_2009 芒種の日、雨の森を歩いて、美術館に行く。
美術ブロガーの会合があり、美術史家を招いて、展示室にて鑑賞する。17世紀ヨーロッパ絵画の実物を目のまえに見ながら、美術史家・池上英洋教授によるレクチュアである。ルーヴル美術館による展示構成は分かりにくいので「17世紀ヨーロッパ芸術のパトロネージ」という主題の下に、各部屋を回り講義をきく。
■17世紀の三大権力
バロック絵画をよりよく理解し楽しむために、17世紀の三大パトロン、資金源である「教会、宮廷、商人」によって、テーマを探求する。対抗宗教改革とは何か、そしてそれと連動した文化の特徴とはいかなるものだったか。
 1、教会(教皇庁、カトリック教会、イエズス会)イタリア。対抗宗教改革の時代。宗教改革に対抗するプロパガンダ図像。無原罪の御宿り、聖母、使徒。
 2、宮廷(絶対王政による君主専制国家、および貴族階級)フランス、スペイン。君主称揚主題、救済実現目的の主題、教育目的。肖像画、歴史画、神話画、宮殿壁画、礼拝堂。
 3、商人(17世紀から新たに登場した第3のパトロン)オランダ、イギリス。室内装飾用のニュートラルな主題。集団肖像画、静物画、風景画、風俗画。ヴァニタス(Vanitas)などの寓意図像。
■図像学の講義
 ムリーリョ「無原罪の御宿り」のマリアは、熾天使(Seraphim)によって、囲まれている。熾天使は、燃える天使であり、偽ディオニシウス・アレオパギタが定めた天使の九階級のうち最上の天使である。
 カラヴァッジョ「果物籠」にはじまるヴァニタスの寓意は「形あるものはすべて壊れる、生あるものは枯れる」、無常を意味する。
 ラトゥール「大工ヨセフ」は、一点光源でしかも手を透かしている。カラヴァッジェスキの影響が濃厚だが、カラヴァッジョは天井から光源が照らしている。
 カルロ・ドルチ「マリア」の唇と袖の赤はイエスの血の象徴である。
 クロード・ロランClaude Lorrain「クリュセイスを父親のもとに返すオデュッセウスOdysseus returns Chryseis to her father」の画中の女性クリュセイスを皆で探して夢中になる。本物の名画を目のまえに行う、図像学の実践的講義は、果てしなくつづく。
■深夜の宴
 夜の美術館で8時半閉館まで耽溺し堪能した。その後、先生と女子大生たちと一緒に宴に向かう。宴は深夜12時までつづいた。「酒杯を傾けて藝術談議をするのは至福の時間」と美術マニアの女性はいう。
★「ルーヴル美術館展 17世紀ヨーロッパ絵画」国立西洋美術館
2月28日(土)~6月14日(日)
http://mediterranean.cocolog-nifty.com/blog/2009/05/post-9bb1.html

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2009年5月24日 (日)

ルーヴル美術館展 17世紀ヨーロッパ絵画、国立西洋美術館・・・バロックの世紀

Louvre_2009_image_12 緑深い五月、森の緑陰を歩いて、美術館に行く。17世紀ヨーロッパ絵画は、イタリア・バロック、カラヴァッジョの影響の下に展開した。
イタリアは、カラヴァッジョ、カラッチの時代である。
■17世紀ヨーロッパの巨匠は、スペイン:ベラスケス、フランドル:ルーベンス、ヴァン・ダイク、ロレーヌ:ラ・トゥール、オランダ:レンブラント、フェルメール、ハルス、ロイスダール、フランス:プッサン、クロード・ロラン。オランダ絵画の黄金時代を迎えた。
■カラヴァッジョ(Michelangelo Merisi da Caravaggio:1571-1610)、カラヴァッジョ派の特徴は明暗の対比、闇の様式である。その影響が、ジョルジュ・ド・ラ・トゥール、レンブラント、初期フェルメールに濃厚に存在する。クロード・ロランは、イタリア・バロック古典主義アンニバーレ・カラッチ(Annibale Carracci:1560-1609)の風景画に影響を受けた。
フェルメール「レースを編む女」は、静かな室内で手紙を読み、物思いに耽る女性を描いたフェルメールの一連の作品、17世紀オランダ風俗画の代表作。右手下に置かれた小さな書物は聖書であり、レース編みが女性の勤勉さを象徴する。光のある空間、一瞬の中の永遠を表現している。
ジョルジュ・ド・ラ・トゥール「大工ヨセフ」幼子キリストがもつ蝋燭がただ一つの光源である。炎の光はキリストの顔を照らし出し幼子の左手を透かして観る者に届く。光と闇の空間が、一本の蝋燭によって照らされる。静寂と神秘にみちた世界である。
カルロ・ドルチ「受胎告知 天使」は天使の甘美な美しさを湛えている。閉館後の美術館、時のたつのを忘れて若い女性がうっとりと見惚れている。魂を魅せられている。
■展示作品
Ⅰ.「黄金の世紀」とその陰の領域
フランス・ハルス「リュートを持つ道化師」1624年頃
ル・ナン兄弟「農民の家族」
フェルメール「レースを編む女」1669年−1670年頃、油彩・カンヴァス(板に貼付)24cm × 21cm
フランス・プルビュス(子)「マリー・ド・メディシスの肖像」1610年
Ⅱ.旅行と「科学革命」
クロード・ロラン「グリュセイスを父親のもとに返すオデュッセウス」1644年
ディエゴ・ベラスケスとその工房「王女マルガリータの肖像」1654年
ペーター・パウエル・ルーベンス「ユノに欺かれるイクシオン」1615年頃
ヨアヒム・ウテワール「アンドロメダを救うパルセウス」1611年
Ⅲ.「聖人の世紀」、古代の継承者
シモン・ヴェーエ「エスランの聖母」1640-50年頃
カルロ・ドルチ「受胎告知 天使」1653-55年頃
カルロ・ドルチ「受胎告知 聖母」1653-55年頃
ジョルジュ・ド・ラ・トゥール「大工ヨセフ」1642年頃
バルトロメ・エステバン・ムリーリョ「6人の人物の前に現れる無原罪の聖母」1662-65年頃
ウィレム・ドロスト「バテシバ」1654年
ヤーコプ・ヨルダーンス「4人の福音書記者」1625-30年頃
グェルチーノ「ペテロの涙」1647年
■17世紀は、肖像画、風俗画、静物画、風景画、あらゆる分野の絵画が豊饒に実る黄金の世紀である。
とらさんの「Art & Bell by Tora」によると「黄金の世紀は、革命の時代であり、経済の革命、芸術の革命、信仰の革命(キリスト教内部)が同時に進行し、ヨーロッパに均衡と調和を齎した古典時代であったが、20世紀以降の現代は、変動・紛争・対立の時代である。その両者を比較し、考察することがこの展覧会の目的」である。
http://cardiac.exblog.jp/10424751/
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「黄金の世紀」と呼ばれる17世紀ヨーロッパは、レンブラント、ベラスケス、フェルメール、ルーベンス、プッサン、ラ・トゥールといった優れた画家を、綺羅星のごとく輩出しました。本展ではこれらの画家の作品をはじめ、ルーヴル美術館が誇る17世紀絵画の傑作を展示いたします。
華やかな宮延文化が栄えた17世紀は、貧困や飢餓といった陰の領域、大航海時代、科学革命と富裕な市民階級の台頭、かつてないほどの高まりをみせた聖人信仰など実に多様な側面をもっています。それらは画家たちの傑出した才能と結びつき、数々の名作を生みました。本展は17世紀の絵画を通じ、様々な顔をもつこの時代のヨーロッパの姿を浮かび上がらせようという意欲的な試みでもあります。フェルメールの名作《レースを編む女》をはじめ、出品される71点のうち、およそ60点が目本初公開。さらに30点あまりは初めてルーヴル美術館を出る名品です。まさに「これぞルーヴル」、「これぞヨーロッパ絵画の王道」といえる作品群を堪能していただく貴重な機会となることでしょう。
★「ルーヴル美術館展 17世紀ヨーロッパ絵画」国立西洋美術館
2月28日(土)~6月14日(日)
http://www.ntv.co.jp/louvre/

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