密教美術

2019年6月 9日 (日)

「密教彫刻の世界」東京国立博物館・・・愛染明王、金剛薩埵の化身

Esoteric-buddism-2019 
Dainichi-koutokuji
大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』184回
風薫る五月、花の匂い漂う森を歩いて、博物館に行く。伝真言院「両界曼荼羅」は、朱色と緑色の彩色が美しいと変化仏の神殿である。東寺の金剛薩埵は繊細な美しい手をしている。金剛波羅密、金剛宝、金剛法、金剛業、五菩薩の手は繊細で優美である。
狩野之信「花鳥図屏風」の前を通って、密教彫刻室に行く。愛染明王(rāgarāja. mahārāga)、大日如来(光徳寺)、西蔵のYab-yum像を見る。大日如来(光徳寺)には、成身会37尊が描かれている。
愛染明王(rāgarāja)は、三目六臂、憤怒相、智慧の弓と方便の矢を以って、衆生に愛と尊敬を与え、幸運を授ける。霊験は、無病息災、敬愛、怨敵降伏、鈎招、延命。
愛染明王は、両界曼荼羅に描かれていない。だが、金剛薩埵(vajrasattva)の化身である。
人間の生は、真の愛を探求する旅である。象徴派の藝術家は、人生をかけて愛する人を探している。愛と美の探求の果てに、見いだす真の愛とは何か。
「金剛界曼荼羅」「理趣会」は、金剛薩埵(vajrasattva)を中心とする集会、甘美で妖艶なエロスと智慧の香りである。
美は真であり、真は美である。これは、地上にて汝の知る一切であり、知るべきすべてである。
美しい夕暮れ。美しい魂に、幸運の女神が舞い降りる。美しい守護精霊があなたを救う。美しい魂は、輝く天の仕事をなし遂げる。
*大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』
大久保 正雄『永遠を旅する哲学者 イデアへの旅』
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1、愛染明王
【愛染明王】『金剛峯楼閣一切瑜珈瑜祇経』が説く、獅子冠をかぶり3つの目と6本の腕をもつ愛染明王。真赤な身色も、経典に日が輝く如しと説くことを典拠とする。めらめらと燃えるように逆立つ焔髪、眉を吊り上げ睨みつける目、牙を出して開く口に憤怒相。金剛薩埵菩薩の化身。
【愛染明王】『金剛峯楼閣一切瑜伽瑜祇経』「愛染王品第五」。愛染明王の修法は、息災・増益・敬愛・降伏の『四種法』の利益、その功徳は「能滅無量罪 能生無量福」「三世三界中 一切無能越 此名金剛王 頂中最勝名 金剛薩埵定 一切諸佛母」教主である金剛薩埵がこの尊を定めて、一切の諸仏の母とした)とも讃えられていて、これに基づいて金剛界で最高の明王と解釈される。
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2、愛染明王真言
【愛染明王真言】「オーム、偉大なる愛染明王よ。金剛仏頂尊よ。決して破壊されない最高の仏智を備えた金剛薩埵よ。金剛薩埵と同一の、金剛鉤菩薩、金剛索菩薩、金剛鎖菩薩、金剛鈴菩薩よ。我々を仏智に導いてください。」oM ma hA raga vajro SHI Sa va jra satva jaH+jaH hUM vaM hoH
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3、成身会、理趣会
【「金剛界曼荼羅」成身会】37尊。金剛界五仏、十六大菩薩、四波羅蜜菩薩、内外の四供養菩薩、四摂(ししょう)菩薩の以上37尊より構成され、これを四大神と賢劫千仏と二十天が囲む。金剛界五仏とは中央の大日如来、東方の阿閦如来、南方の宝生如来、西方の阿弥陀如来、北方の不空成就如来の五仏。四摂菩薩は、金剛鉤菩薩(Vajrankusa)、金剛索菩薩(Vajrapasa)、金剛鎖菩薩(Vajraśṛṅkhalā)、金剛鈴菩薩(Vajravesa)。
【八供養菩薩】金剛界曼荼羅の中央部の成身会で、大日如来が四仏に供養するため現出した嬉・鬘・歌・舞の四菩薩(内の四供)と、その外側に配されて四仏が大日如来を供養する香・華・灯・塗の四菩薩(外の四供)。
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【「金剛界曼荼羅」⑦「理趣会」】全部で17人の菩薩。中央が、金剛薩埵。周りに、慾金剛菩薩、触金剛菩薩、慢金剛菩薩、愛金剛菩薩。その周りに、金剛香菩薩、金剛華菩薩、金剛燈菩薩、金剛塗菩薩。さらにその周りに、金剛嬉菩薩、金剛鬘菩薩、金剛歌菩薩、金剛舞菩薩。さらにさらにその周りに、金剛鉤菩薩、金剛索菩薩、金剛鎖菩薩、金剛鈴菩薩。 全部で17尊。
*大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』
大久保正雄『永遠を旅する哲学者 イデアへの旅』
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展示作品の一部
重文  愛染明王坐像  1躯  鎌倉時代・13世紀
重文 大日如来坐像  1躯  鎌倉時代・12~13世紀 栃木・光得寺蔵
重文 大日如来坐像  1躯  平安時代・11~12世紀
チャクラサンヴァラ父母仏立像  1躯 中国・チベットまたはネパール 15~16世紀
重文  十一面観音菩薩立像  1躯 中国 奈良・多武峯伝来 唐時代・7世紀
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4、無上瑜伽タントラ 慈悲と般若
Yab-yumは、男性尊格が蓮華座にて座し、伴侶がその腿に腰かける座位の構図。この交合の表現によって空性の智慧(女性原理、自利)と慈悲の方便(男性原理、利他)との一致を体現した仏陀の境地=大楽を表現。ヤブユムは無上瑜伽タントラと象徴主義が結びつき、男性像は「慈悲」(karuṇā) を与える男性原理である「方便」(upāya) 、その伴侶は女性原理である「般若」(prajñā) を象徴する。
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参考文献
大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』
「国宝 東寺-空海と仏像曼荼羅」東京国立博物館・・・空海、理念と象徴
https://bit.ly/2Ov53Hz
東寺『金剛界曼荼羅』『胎蔵界曼荼羅』西院本・・・知恵と戦いの叙事詩、生命の根源
https://bit.ly/315UPn8
密教経典『理趣経』・・・空海と金剛界曼荼羅
https://bit.ly/2H2diKc
田中公明『曼荼羅イコノロジー』1987
石田尚豊『曼荼羅の研究』全2巻、東京美術、1975年
関根俊一『仏尊の事典、壮大なる仏教宇宙の仏たち』1997
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愛染明王真言「オン・マカラギャ・バゾロシュニシャ・バザラサトバ・ジャク・ウン・バン・コク」
https://omajinai-navi.jp/aizen-myouou-mantra/ 
【不動明王、真言】【除霊や商売繁盛に効果抜群】「ノウマク サンマンダ バサラダン センダン マカロシャダ. ヤソハタヤ ウンタラタ カンマン」不動明王の真言は現世でご利益をもたらしてくれる。真言の意味は「憤怒の形相で強い力を持つ不動明王よ、私の迷いや厄を取り払い、願いを叶えてください」.。
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■密教彫刻の世界 、東京国立博物館
本館 14室 2019年3月19日(火) ~ 2019年6月23日(日)
https://www.tnm.jp/modules/r_exhibition/index.php?controller=item&id=5751
https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1957
愛染明王、東京国立博物館
https://albireo190.blog.so-net.ne.jp/2013-09-03

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2019年6月 3日 (月)

『金剛界曼荼羅』『胎蔵界曼荼羅』西院本・・・知恵と戦いの叙事詩、生命の根源

Taizokai-toji-2019
Kongokai2019
大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』183回
風薫る五月、花の匂いただよう森、紫の躑躅咲き乱れる道を歩いて博物館に行く。1200年前からこの世に伝わる、両界曼荼羅。両界曼荼羅の前に立つと、朱色と緑色の彩の美しい絨毯のようである。1909体の仏尊が眩く輝く宇宙。
密教の香りが立ち昇る。胎蔵界灌頂、金剛界灌頂、伝法阿闍梨位灌頂、秘密の儀式の意味は何か、美術史家は沈黙する。両界曼荼羅は、愛と戦いの叙事詩、知恵の樹を昇る、知恵の探求、知恵からの下降、金剛界から現世との戦い。胎蔵界は、生命の根源から花開く愛。図像に秘められた金剛界の戦い、知の階梯。向上門は、知恵への道、向下門は、真理からの降臨、理念を探求する智者と現実との戦い。天人、人界、修羅と、餓鬼、畜生との戦い。
「人間の真の姿がたち現れるのは、運命に敢然と立ち向かう時である」シェイクスピア『トロイラスとクレシダ』
美は真であり、真は美である。これは、地上にて汝の知る一切であり、知るべきすべてである。
美しい夕暮れ。美しい魂に、幸運の女神が舞い降りる。美しい守護精霊が救う。美しい魂は、輝く天の仕事をなし遂げる。
*大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』 
大久保 正雄『永遠を旅する哲学者 イデアへの旅』
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【空海の密教】即身成仏。理念を現実に実現する世界観。法身=大日如来、報身=阿弥陀仏、応化身=釈迦牟尼仏。5世紀までにはその本質永遠性と現実即応の関連づけ、すなわち統一が問題となり、それが仏身論に及び、法身と色身(応身)を合せた報身が立てられ、三身説(法身、応身、報身)が成立した。
1、両界曼荼羅
【両界曼荼羅、「金剛界曼荼羅」】、成身会を中心に、三昧耶会、微細会、供養会、四印会、 一印会、理趣会、降三世会、降三世三昧耶会の九会からなる。知恵を表現する。
【両界曼荼羅、「胎蔵曼荼羅」】、中台八葉院を中心に、周囲に、遍知院、持明院、釈迦院、 虚空蔵院、文殊院、蘇悉地院、蓮華部院、地蔵院、金剛手院、除蓋障院が、同心円状にめぐり、すべてを囲む外周に外金剛部院(最外院)からなる。愛を表現する。
「真言秘蔵は経疏に隠密にして、図画を仮らざれば相伝すること能わず」(空海『請来目録』)
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【金剛界曼荼羅の基本となる成身会】は、金剛界五仏、十六大菩薩、四波羅蜜菩薩、内外の四供養菩薩、四摂菩薩の以上37尊より構成され、これを四大神と賢劫千仏と二十天が囲む。(智拳印)一仏のみで表す他は、中心となる成身会、羯磨会の1061尊を含め合計約1500尊を配する。
【金剛界曼荼羅】智拳印の大日如来を中心に、阿閃、宝生、阿弥陀、不空成就の五智如来をはじめとする金剛界三十七尊を含む1500体。
【胎蔵界曼荼羅】法海定印の胎蔵界の大日如来、宝幢如来、開敷華王(かいふけおう)如来、無量寿如来、天鼓雷音、胎蔵界五仏を中心に409体が描かれる。
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2、理趣会
【五秘密】五秘密は真言宗に於ける金剛界所立の秘法にして、金剛薩埵(中)、慾金剛(東)、触金剛(南)、愛金剛(西)、慢金剛(北)の五金剛菩薩の称なり。此慾触愛慢の四字は煩悩の名なれども仏徳を表わすが故に悉く秘密の名字を付するよりこの五尊を以て五秘密とは名づくなり。
【『金剛界曼荼羅』理趣会、金剛薩埵】金剛薩埵は、若くて美しい女。欲・触・愛・ 槾 、美しい菩薩によって囲まれている。欲金剛女菩薩、触金剛女菩薩、愛金剛女菩薩、槾金剛女菩薩。
【理趣会、四金剛女菩薩】『理趣経』に基づき煩悩即菩提を実現する金剛薩埵を主尊とし、初段「十七清浄句」を代表する欲金剛、触金剛、愛金剛、慢金剛の四金剛菩薩を東南西北に配し、欲金剛女、触金剛女、愛金剛女、慢金剛女の四金剛女菩薩を東南・西南・西北・東北に配する集会。
大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』より
*大久保正雄『永遠を旅する哲学者 イデアへの旅』
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3、空海と嵯峨天皇、空海と最澄、嵯峨天皇と平城上皇
【空海と最澄、第16次遣唐使】延暦23(804)年、第1船、遣唐大使・藤原葛野麿。空海は第1船に乗船。第2船、副使・石川道益(入唐後に没)乗船。最澄は第2船。最澄は、桓武天皇の勅命により遣唐僧、空海は私度僧。他の2船は遭難、沈没。
【乙訓寺、空海】弘仁2年(811)、嵯峨天皇により空海(弘法大師)が乙訓寺の別当に任ぜられた。翌年弘仁3年10月に最澄が立ち寄り、二人が初めて出会う。最澄46歳、空海36歳。
【空海、『理趣釈経』借覧拒否】最澄は、弘仁4年(813年)11月23日、『理趣経』の注釈書である不空の『理趣釈経』を借覧しようとしたが、空海は断る。空海『答叡山澄法師求理趣釈経書』(『遍照発揮性霊集』)
【空海、最澄と決裂】弘仁4(813)年、『理趣釈経』借覧拒否。最澄に答えた書簡。「古の人は道の為に道を求め、今の人は名利の為に求む。名の為に求むるは、道を求むる志にあらず。」「夫れ秘蔵の興廃は唯汝と我なり」空海『答叡山澄法師求理趣釈経書』
【嵯峨天皇、高野山勅許】弘仁7(816)年、七月八日 高野山開創の勅許を賜る。この年、『弁顕密二教論』(816)。弘仁14年(823)に嵯峨天皇より東寺を賜る。真言密教、真言陀羅尼宗の根本道場、教王護国寺とした。
【嵯峨天皇と平城上皇の戦い】810年(弘仁1)年9月10日に天皇は仲成を逮捕、佐渡権守に貶降、薬子を追放に処す。対して上皇は薬子とともに平城京から東国に向かい対抗、坂上田村麻呂らが迎撃態勢。平城京に戻り剃髪し、薬子は自殺。乱は3日間で終息。
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4、空海『秘密曼荼羅十住心論』
空海『秘密曼荼羅十住心論』(830)は、蛭牙公子の水準を第1住心、亀毛先生(儒)の水準を第2住心、虚亡隠士(道)の水準を第3住心とし、仮名乞児(仏)の水準を第4住心から第10住心までの7つに細分化している。7つのうち、第4(声聞)と第5(縁覚)は小乗仏教、第6から第10まで(法相・三論・天台・華厳・真言)は大乗仏教、第10の真言だけが密教で、他の6つは顕教とされている。『三教指帰』(797)と『十住心論』(830)はつながっている。(上山春平)
空海『秘蔵宝鑰』目次
第一、異生羝羊心
   凡夫狂酔して 吾が非を悟らず。但し婬食(いんじき)を念ずること 彼の羝羊の如し。
 第二、愚童持斎心
   外の因縁に由って 忽ちに節食(せつじき)を思う。施心萌動(ほうどう)して 穀の縁に遇うが如し。
 第三、嬰童無畏心
   外道天に生じて 暫く蘇息を得。彼の嬰児と 犢子との母に随うが如し。
 第四、唯蘊無我心
   ただ法有を解(げ)して我人皆遮す。羊車の三蔵 ことごとくこの句に摂す。
 第五、抜業因種心
   身を十二に修して 無明、種を抜く。業生、已に除いて 無言に果を得。
 第六、他縁大乗心
   無縁に悲を起して 大悲初めて発る。幻影に心を観じて 唯識、境を遮す。
 第七、覚心不生心
   八不に戯(け)を絶ち 一念に空を観れば、心原空寂にして 無相安楽なり。
 第八、一道無為心
   一如本浄にして境智倶(とも)に融す。この心性を知るを号して遮那という。
 第九、極無自性心
   水は自性なし 風に遇うてすなわち波たつ。法界は極にあらず。警を蒙って忽ちに進む。
 第十、秘密荘厳心
   顕薬塵を払い、真言、庫を開く。秘宝忽ちに陳じて 万徳すなわち証す。
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【空海】「現実に現身のままで大日如来になる。」(『即身成仏義』)空海は「法身仏、普遍的な存在が説法をする」と説く。釈迦牟尼の教えを超え、釈迦牟尼の悟りを成り立たせる真理そのものを仏(法身)として、教えの主体にした。『空海・生涯と思想』
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5、胎蔵界曼荼羅、金剛界曼荼羅の原典
【『大日経』】『大毘盧遮那成仏神変加持経』は、善無畏(Śubhakarasiṃha、637-735)と唐の学僧たちによって724年に漢訳された。しかし、サンスクリット原本はまだ発見されていない。【『金剛頂経』】不空三蔵(705-774)がサンスクリット原本から訳した『金剛頂一切如来真実摂大乗現証大教王経(大教王経)』がある。
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参考文献
大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』より
密教経典『理趣経』・・・空海と金剛界曼荼羅
https://bit.ly/2H2diKc
空海『即身成仏義』、大日如来の知恵 五智如来の知恵
https://bit.ly/2O8YtbU
関根俊一『仏尊の事典、壮大なる仏教宇宙の仏たち』1997
石田尚豊『曼荼羅の研究』全2巻、東京美術、1975年
東寺伝の曼荼羅図No273
https://blog.goo.ne.jp/yoshi_iltuki/e/e5881de0e90574b03369fd8125da0d7c
一印会 毘盧遮那如来
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展示作品の一部
国宝 両界曼荼羅図、金剛界、胎蔵界、(西院曼荼羅[伝真言院曼荼羅]) 平安時代・9世紀 京都・東寺蔵
展示期間:4月23日(火)~5月6日(月・休)
https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1938
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★「国宝 東寺-空海と仏像曼荼羅」、東京国立博物館、
2019年3月26日(火)~6月2日(日)

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2019年3月28日 (木)

「国宝 東寺-空海と仏像曼荼羅」・・・空海、理念と象徴

Taisyakuten-touji-839
Taisyakuten-touji
Touji2019-01

大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』第176回
桜の森を歩いて博物館に行く。白象にのる帝釈天騎象像、六面六臂六足の大威徳明王騎牛像、七頭の獅子に乗る大日如来、鳥獣にのる金剛界五仏、幻の密教空間が蘇る。東寺、講堂における立体曼荼羅の意味は何か。金剛界曼荼羅、『即身成仏義』『理趣経』に謎を解く鍵がある。空海(774-835)が追求した理念は何か。
【旅する思想家、美への旅】空海は理念を探求して旅した。空海の24歳の苦悩は『聾瞽指帰』に刻まれている。空海、プラトン、玄奘三蔵、李白、王羲之、嵯峨天皇、ロレンツォ・デ・メディチ、理念に向かって旅する旅人。理念を追求する人は、この世の闇の彼方に美を求める。

【東寺、講堂における立体曼荼羅】五智如来と明王の象徴は何を意味するのか。1、五智如来、大日、宝生、阿弥陀、不空成就、阿閦。2、五菩薩、金剛波羅密、金剛宝、金剛法、金剛業、金剛薩埵。3、五大明王、不動明王、降三世、軍荼利、大威徳、金剛夜叉。4、四天王、持国天、増長天、広目天、多聞天。5、二天、梵天、帝釈天。
*大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』
大久保正雄『永遠を旅する哲学者 イデアへの旅』
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【空海、理念と象徴、密蔵深玄翰墨難載。更仮図画開示不悟】密教の理念は、象徴によって表現される。「法は本より言(ごん)なけれども、言にあらざれば顕われず。真如は色(しき)を絶すれども、色を待ってすなわち悟る。(略)密蔵深玄にして翰墨(かんぼく)に載せがたし。さらに図画を仮りて悟らざるに開示す。種々の威儀、種々の印契(いんげい)、 大悲より出でて一覩(いっと)に成仏す。経疏に秘略にしてこれを図像に載せたり。密蔵の要、実にここに繋(かかれり)。伝授受法、これを棄てて誰ぞ。『御請来目録』
【物の興廃は必ず人に由る。人の昇沈は定めて道に在り。空海】物の栄えるか衰えるかは、それに関わる人の人柄と能力と智慧と努力による。また人の成功・失敗、浮き沈みは、その人が歩む道による。不正な道を歩いて栄える者には天罰が下る。口先、外面だけの人には、天罰が下る。「物之興廃必由人 人之昇沈定在道」空海『綜藝種智院式』『性霊集』
【空海、波瀾の遣唐船、謎の生涯】24歳で『聾瞽指帰』を書く。57歳で『秘蔵宝鑰』を書く。大学入学18歳から31歳、遣唐使、留学僧、入唐まで、大学中退、山林修行、謎の12年間。宝亀5年(774)6月15日生まれる。承和2年(835) 4月22日入定、62才。
24歳で『聾瞽指帰』797年を書く。57歳で『秘蔵宝鑰』830年
【空海、聖なる者は悪を滅ぼす】『理趣経』第三段。金剛手よ、もし理趣を聞きて受持し読誦することあらば、たとえ三界の一切の有情を害するも悪趣に堕せず。
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【密教は、法身、大日如来が説いた教え】【仏陀の身体には、三身(法身・報身・応化身)がある】法身、大日如来。報身、仏陀となるための因としての行を積み、その報いとしての完全な功徳を備えた仏身。仏陀釈迦牟尼、応化身。
「仏に三身(法身・報身・応(化)身)あり。教は二種(顕教・密教)なり。応化の開説を名づけて顕教という。ことば顕略にして機に逗えり。法仏の談話これを密蔵(密教)という。ことば秘奥にして実説なり。」空海『弁顕密二教論』
空海『即身成仏義』。六大、無碍にして常に瑜伽たり。 四種の曼荼羅、各々離れず。三密加持すれば速疾に顕わる。重々たる帝網、名付けて即身という。
【因陀羅網】インドラ、すなわち帝釈天の宮殿を飾っている網。その網の結び目には宝玉がついており、それぞれが互いに反映している。華厳宗の説く、すべての事物が無限に交渉し、通じあっているとする事事無礙法界の比喩としてよく用いられる。『華厳五教章』
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【空海と嵯峨天皇】大同4年(809)、4月3日神野親王が践祚、13日に即位式を挙げ嵯峨天皇となる。即位。7月16日、空海は、太政官符により高雄山寺に入住勅許。弘仁7年(816)嵯峨天皇から高野山を修行の地として賜り、金剛峯寺を開創した。空海は、弘仁14年(823)に嵯峨天皇より東寺を賜る。真言密教、真言陀羅尼宗の根本道場、教王護国寺とした。空海(774-835)は62歳で入定。嵯峨天皇(786-842)は、7年後世を去る。
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参考文献
大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』より
密教経典『理趣経』・・・空海と金剛界曼荼羅
https://bit.ly/2H2diKc
空海『即身成仏義』、大日如来の知恵 五智如来の知恵
https://bit.ly/2O8YtbU
関根俊一『仏尊の事典、壮大なる仏教宇宙の仏たち』1997
――
展示作品の一部
国宝「立体曼荼羅」東寺講堂、平安時代、承和6年(839)。2、五菩薩、3、五大明王、4、四天王、5、二天、
重要文化財 弘法大師像(談義本尊)賛 伝後宇多天皇筆 鎌倉時代・14世紀 東寺蔵
国宝 風信帖(第一、第二、第三通) 空海筆 平安時代・9世紀 京都・東寺蔵
国宝 空海撰「請来目録」最澄筆、平安時代9世紀、東寺蔵
国宝 金剛密教法具 中国 唐時代・9世紀 京都・東寺蔵
国宝 金剛密教法具 金剛盤、金剛五鈷鈴、金剛五鈷杵、中国 唐時代・9世紀 京都・東寺蔵
蘇悉地儀軌契印図 1巻 中国 唐時代 咸通5年(864年)東寺蔵
国宝 降三世明王(五大尊像)平安時代・大治2年(1127)東寺蔵
国宝 十二天屛風 平安時代・建久2年(1191) 京都・東寺蔵
国宝 両界曼荼羅図、金剛界、胎蔵界、(西院曼荼羅[伝真言院曼荼羅]) 平安時代・9世紀 京都・東寺蔵
国宝 兜跋毘沙門天立像 中国 唐時代・8世紀 京都・東寺蔵 平安京の羅城門に安置
重要文化財 五大虚空蔵菩薩坐像、金剛虚空蔵菩薩、法界虚空蔵菩薩 中国 唐時代・9世紀 東寺蔵
後七日御修法(ごしちにちみしほ)。1月8日から7日間、宮中真言院で行われた真言宗の重要な儀式。元日から7日までの節会の後、7日間の修法から後七日といい、真言院御修法、後七日法ともいう。834年(承和1)空海が勅命により大内裏中務省において始行、同年空海が上奏、唐の不空の例にならって宮中に真言院が造立された。慶応3年1867年以降、現在は、東寺、灌頂院において行われる。『国宝 東寺-空海と仏像曼荼羅』図録P65
――
★「国宝 東寺-空海と仏像曼荼羅」、東京国立博物館、
3月26日(火)~6月2日(日)
https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1938

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2019年3月 5日 (火)

密教経典『理趣経』・・・空海と金剛界曼荼羅

KouboudaisiKongokai2019Matsunagayukei大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』第174回
智慧によって、現実の世界と戦う。智慧を世界に実現する。これが金剛界のテーマである。 『般若理趣経』は、「般若の知恵に至るための道筋」、智慧の究極に至る道筋である。
『理趣経』の教主は、大日如来であり、その場所は、欲界、第六天、他化自在天である。三界(無色界、色界、欲界)のうち、欲界の支配者が第六天魔王。織田信長は、第六天魔王と自ら称した1573(元亀4)年。*六道輪廻の天道の最下天が他化自在天。
蓮華が泥から咲きいでて、花は汚れに汚されず、すべての欲もまた同じ。そのままにして人を利す。
不空が763年から771年に訳した、不空訳『大楽金剛不空真実三摩耶経』が読誦されている。サンスクリット語原典『般若波羅蜜多理趣百五十頌』(初会『金剛頂経(真実摂経)』『理趣広経』)の訳とされる。
自性清浄の思想を説く経典であるためこの理趣経をめぐって事件が起こった。(十七清浄句が問題とされた)。
空海と最澄
最澄は、弘仁4年(813年)11月23日、『理趣経』の注釈書である不空の『理趣釈経』を借覧しようとしたが、空海は丁重に断った。空海『答叡山澄法師求理趣釈経書』(『遍照発揮性霊集』)
――
1、五成就
序文、誰が《教主》、いつ《時》、どこで《住処》、誰のために《衆》、どのような内容《信》を説いたかという《五成就》が示される。
『般若理趣経』経典の《教主》は五智(大円鏡智・平等性智・妙観察智・成所作智・清浄法界智)を具えた大毘盧遮那如来であり、《時》はあるとき、《住処》は三界(欲界、色界、無色界)のうち欲界の最頂上にある他化自在天である。
そして、八大菩薩(金剛手、観自在、虚空蔵、金剛拳、文殊師利、纔発心転法、虚空庫、 摧一切魔)を筆頭に、《衆》すなわち数え切れないほど多くの菩薩衆に対して、一切法の清浄句門(現実の一切の世界は自他の対立を離れた清浄な世界である)という《信》が説かれる。
――
2、初段、「妙適清浄の句、これ菩薩の位なり」で始まり、慾箭・觸・愛縛・見・適悅・愛・慢・莊嚴・意滋澤・光明・身樂・色・声・香・味という男女の合体の経過になぞらえた16の清浄の句も菩薩の位である。*(妙適=男女合体の喜び)。
*17清浄句
初段、金剛手を相手に大毘盧遮那が説き、金剛薩埵が「吽」という種字にまとめる。密教の世界では、金剛手も大毘盧遮那も金剛薩埵も同一。
――
3、【『般若理趣経』第三段】「金剛手よ、もしこの理趣を聞きて受持し読誦することあらば、たとひ三界の一切の有情を害すも悪趣に堕せず」
空海【聖なる者は悪を滅ぼす】【『理趣経』「第三段」】の教説に関して不空訳『理趣釈』において三界の衆生とは三毒の煩悩と注釈されているが、当該注釈の方向性は空海にも継承され、空海は三界の衆生を害することとは三界の無明を断じることに他ならないとしている。*三毒。貪欲・瞋恚・愚痴。貪瞋痴。
「三界の一切の衆生を害しても、般若理趣の法門を奉じているならば、悪趣に墜ちることは無い」。

【『般若理趣経』】「たとひ広く積習するも必ず地獄等の趣に堕せず、たとひ重罪を作るとも消滅せんこと難からず(初段)」「たとひ現に無量の重罪を行ずとも必ず能く一切の悪趣を超越す(第二段)」【『般若理趣経』】「金剛手よ、もしこの理趣を聞きて受持し読誦することあらば、たとひ三界の一切の有情を害すも悪趣に堕せず(第三段)」
――
4、第十七段「百字の偈」
菩薩勝慧者乃至盡生死恒作衆生利而不趣涅槃
般若及方便智度悉加持諸法及諸有一切皆清浄
欲等調世間令得浄除故有頂及悪趣調伏盡諸有
如蓮體本染不為垢所染諸欲性亦然不染利群生
大欲得清浄大安楽富饒三界得自在能作堅固利
菩薩は勝れし知慧を持ち、なべて生死の尽きるまで恒に 衆生の利をはかり、たえてねはんに趣かず。
般若及方便、智慧の及ばぬものはなし。もののすがた[=有]も、そのもの[=法]も、一切のものは皆清浄し。
欲が世間をととのえて、よく浄らかになすゆえに、有頂天 もまた悪も、みなことごとくうちなびく。
蓮の体は本染にして、垢(く)の為に染せられざるが如く、諸欲の性も亦然(しか)なり。不染にして群生(ぐんじょう)を利す。
そのままにして人を利 大なる欲は清浄なり、大なる楽に富み饒う。三界の自在身につきて、固くゆるがぬ利を得たり
*五秘密菩薩の境地を詩で表現した。
――
5、五秘密の悟り、深秘の法門、五秘密の巻、『理趣経』17段、
五秘密の教え。金剛薩堙を欲触愛慢の金剛菩薩が囲む。欲金剛、触金剛、愛金剛、慢金剛の四金剛菩薩を東南西北に配し、欲金剛女、触金剛女、愛金剛女、慢金剛女の四金剛女菩薩を東南・西南・西北・東北に配する集会。
五秘密の教えを図解したのが金剛界曼荼羅「理趣会」である。
――
【欲界、六欲天の天人の楽しみ】第六天、他化自在天、他者を楽しませる事を楽しむ。化楽天、自ら楽しみを作り出す。兜率天、宇宙の法則を楽しむ。夜摩天、自然を楽しむ。忉利天、秩序を維持する事を楽しむ。四大王衆天、敵と戦って世界を守る事を楽しむ。
――
空海と真言密教 参考文献
空海の旅 旅する思想家、美への旅
https://t.co/HPPpp3e5iL
旅する思想家、孔子、王羲之、空海と嵯峨天皇
https://bit.ly/2zsD05T
金剛界曼荼羅の五仏、五智如来、転識得智、仏陀への旅
https://t.co/MIXigqe3xH
空海『即身成仏義』、大日如来の知恵 五智如来の知恵
https://bit.ly/2O8YtbU
無我説と輪廻転生、仏教の根本的矛盾・・・識體の転変、種子薫習。名言種子、我執種子、有支種子
https://bit.ly/2U9rO6s
――
「京都・醍醐寺-真言密教の宇宙-」・・・醍醐寺三宝院、織田信長のために祈祷する
https://bit.ly/2NHbWso 
六道輪廻、六観音菩薩
「京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ」東京国立博物館、・・・純粋な美しい魂に舞い降りる
https://bit.ly/2C0ZL2f
空海と密教美術展・・・理念と象徴
https://bit.ly/2Dygyvp
――
参考文献
金岡秀友『理趣経』世界古典文学全集、筑摩書房
宮坂宥勝『密教経典』『理趣経』講談社学術文庫
松長有慶『秘密の庫を開く―密教経典 理趣経』集英社
金剛界曼荼羅「理趣会」
http://www.mikkyo21f.gr.jp/mandala/mandala_kongoukai/07.html
http://blogyang1954.blog.fc2.com/blog-entry-1799.html
https://piicats.net/rishunaiyou.htm

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2018年12月 3日 (月)

無我説と輪廻転生、仏教の根本的矛盾・・・識體の転変、種子薫習。名言種子、我執種子、有支種子

Kuukai_0Buddha_on_first_sermon大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』第165回
森林の樹下に瞑想する仏陀は月影に何を思うのか。
無我(anātman)説と輪廻転生(saṃsāra)は、根本的に矛盾する。この矛盾をどのように解決するのか。この問題は、婆羅門教のアートマンと仏教の無我説の対立に根源がある。仏教2千5百年、多彩な仏教の学派には、この問題を解く学派がある。
【中観派と唯識派の対立】空を説く中観派と阿頼耶識を説く唯識派が二大思潮を形成、6-7世紀頃から論争が行われた。
この問題について、島薗進先生に質問したことがある。島薗先生の解答は、十二縁起説(dvādaśāṅgika-pratītyasamutpāda)により輪廻転生が説明されるという回答である。
六観音菩薩の思想は、六道輪廻の思想に基づいている(*天台智顗『摩訶止観』)。十一面観音菩薩、怒りと争いの修羅道を救う。准胝観音菩薩(不空羂索観音菩薩)、四苦八苦の人道を救う。如意輪観音菩薩、神通力をもつ天人を救う。
大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』より
*大久保 正雄『永遠を旅する哲学者 イデアへの旅』
――
【識體の転変、第八識】識は転変する(転識得智)。前五識は、五感(眼、耳、鼻、舌、身)による感覚作用であり、これが成所作智、不空成就如来の智恵になる。第8識、阿頼耶識(大円鏡智)が転じて、有が生じ、輪廻転生が起きる。
*注 十二縁起。無明→行→識→名色→六処→触→受→愛→取→有→生→老死→(無明に繋がる)。
――
【識體の転変、種子薫習】阿頼耶識に薫じられて迷界を顕現する種子は3つある。名言種子、我執種子、有支種子。『摂大乗論』。
――
第六識、第七識、第八識、第九識
第六識は五感の感覚的情報に基づいて行動や判断する意識であり、妙観察智、阿弥陀如来の智恵に転じる。転識得智
第七識は第6識の意識下にある無意識、末那識で自我を形成する。これが平等性智、宝生如来の智恵に転じる。
第八識は意識されない潜在意識、阿騾頼耶識(ālaya-vijñāna)で、生死輪廻する業の主体である。これが大円鏡智、阿閦如来の智恵に転じる。
第九識、阿摩羅識(amala-vijñāna)唯識思想(法相宗)では、八識を説く。 すべては阿頼耶識より縁起するとし、主に迷いの世界であるが悟りも阿頼耶識より生じるとする。 一方、心は本来清浄であるとする如来蔵思想がある。 これらの思想を止揚するため、天台宗や華厳宗など諸派は、この阿摩羅識を加えて新たに九識を立てた。天台宗では、阿摩羅識をけがれが無い無垢識・清浄識、また真如である真我、如来蔵、心王であるとし、すべての現象はこの阿摩羅識から生れるとした。
――
■金剛界曼荼羅
中央に中心となる「成身会」があり、その下に「三昧耶会」、その左に「微細会」、その上に「供養会」、その上に「四印会」、その右に「一印会」、その右に「理趣会」、その下に「降三世会」、その下に「降三世三昧耶会」。成身会から下るのを向下門。降三世三昧耶会から上るのを向上門。金剛界曼荼羅を成身会へいかにして上るのか。
「成身会」「三昧耶会」「微細会」「供養会」「四印会」「一印会」「理趣会」『金剛頂経』金剛界品に、「降三世会」「降三世三昧耶会」が降三世品に拠る。
■金剛界曼荼羅、理趣会
即身成仏の思想が図示されている。
『理趣経』17段【深秘の法門 】五種秘密三摩地の章【五秘密尊】金剛薩埵の周りに、金剛欲明妃、金剛蝕明妃、金剛愛明妃、金剛慢明妃、4の明妃が囲む。
『理趣経』第一段、第一七段に理趣経の核心、密教の思想が集約されている。
『理趣経』1段、【大楽の法門】金剛薩埵の章、十七清浄句
『理趣経』17段、【深秘の法門】五種秘密三摩地の章【五秘密菩薩】
――
『金剛界曼荼羅』理趣会。五秘密菩薩。
金剛薩埵は、若くて美しい女、欲・触・愛・ 槾 、美しい菩薩によって囲まれている。欲金剛女菩薩、触金剛女菩薩、愛金剛女菩薩、槾金剛女菩薩。松長有慶『理趣経』P265
――
★参考文献
無着『摂大乗論』
世親『唯識三十頌』
松長有慶『理趣経』
――
金剛界曼荼羅の五仏、五智如来、仏陀への旅
転識得智、種子薫習
https://t.co/MIXigqe3xH
空海『即身成仏義』、大日如来の知恵 五智如来の知恵
https://bit.ly/2O8YtbU
【質疑応答】島薗進×大久保正雄『死生学』
https://bit.ly/2AeU3Hv 
空海の旅 旅する思想家、美への旅
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旅する思想家、孔子、王羲之、空海と嵯峨天皇
https://bit.ly/2zsD05T
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「京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ」東京国立博物館、・・・純粋な美しい魂に舞い降りる
https://bit.ly/2C0ZL2f
「京都・醍醐寺-真言密教の宇宙-」・・・醍醐寺三宝院、織田信長のために祈祷する
https://bit.ly/2NHbWso 
――
★空海、金剛峰寺
初転法輪の仏陀、Sarnath Buddha

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2018年9月25日 (火)

「京都・醍醐寺-真言密教の宇宙-」・・・醍醐寺三宝院、織田信長のために祈祷する

Daigoji2018_0大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』第157回
醍醐寺の黄衣の12人の僧侶が、法螺貝を吹いて来て「薬師如来、日光菩薩、月光菩薩」の前で、法要、読経した。サントリー美術館が寺院のようである。醍醐寺の枝垂れ桜を思い出す。桜満開の京都、仁和寺に滞在して花盛りの密教寺院、禅宗寺院をめぐり歩いた日々。醍醐寺三宝院、桃源郷の庭園。如意輪観音は如意宝珠を手にもつ密教変化観音である。如意宝珠は生きものの願いをかなえる。
密教僧は、開運招福、学問成就、健康長寿、怨敵調伏、大願成就、を祈る。高貴な精神は、聖なる目的を達成するために、敵を滅ぼさねばならない。真言密教の真言と秘法は、苦悩する人のために、祈祷、救済する。
空海は、大同元年(806年)10月、唐から帰国し真言密教の経典、秘法を日本に伝えた。だが中国においては、密教は滅びた。醍醐寺は、戦国時代、織田信長のために祈祷した。
*大久保 正雄『戦う知識人の精神史』
――
【醍醐寺三宝院 天正元(1573)年】織田信長のために真言密教の祈祷、修法を行う。「織田信長黒印状」醍醐寺三宝院における戦勝祈願の修法への礼状を信長より返信。「天下布武」印がある。
【織田信長 天正元年】三方が原の戦い、信長と家康は信玄を迎え撃つが敗退。だが、信長包囲網に参加すべく上洛する武田信玄、死す(1573)。信長包囲網、瓦解。
【醍醐の花見】1598年(慶長3)3月15日,京都の醍醐寺三宝院で豊臣秀吉が花見の宴を催した。この年8月に秀吉が61歳で病死した。
高貴な精神は、聖なる目的を達成するために、敵を滅ぼさねばならない。悪と戦い生き残らねばならない。遍在する悪と戦う、知的で革命的な精神は、知恵と愛が根源である。
*大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』
――
★展示作品の一部
国宝「薬師如来坐像」醍醐寺、平安時代10世紀
国宝「虚空蔵菩薩立像」醍醐寺、平安時代10世紀
「如意輪観音坐像」醍醐寺、平安時代10世紀
「織田信長黒印状」醍醐寺、安土桃山、16世紀、天正元(1573)年か。(醍醐寺文書聖教558函36号)醍醐寺三宝院における戦勝祈願の修法への礼状。「天下布武」の印が捺されている。三宝院から戦陣の信長に「祈祷の巻数」が送られ、それに対する返書。密教の祈祷を修法した「祈祷の巻数」は護符である。信長が出した礼状である。筆跡は、信長の祐筆を長年務めた武井夕庵のものと思われる。天正三年以降、祐筆は楠長諳に移行する。醍醐寺には、この他「織田信長朱印状」醍醐寺、安土桃山、1572年(醍醐寺文書聖教24函102号)がある。参考文献*『京都・醍醐寺-真言密教の宇宙-』図録
空海筆「大日経開題」9世紀。
「金天目・天目台」桃山時代・16世紀、醍醐寺第80代座主の義演が秀吉の病気平癒を祈願した褒美として与えられた品。
快慶「不動明王坐像」1203年
「醍醐花見短冊」安土桃山、慶長三年1598年
足利尊氏筆「理趣経」南北朝1357年
――
★参考文献
空海の旅 旅する思想家、美への旅
https://t.co/HPPpp3e5iL
旅する思想家、孔子、王羲之、空海と嵯峨天皇
https://bit.ly/2zsD05T
金剛界曼荼羅の五仏、五智如来、仏陀への旅
https://t.co/MIXigqe3xH

空海『即身成仏義』、大日如来の知恵 五智如来の知恵
https://bit.ly/2O8YtbU
『京都・醍醐寺-真言密教の宇宙-』図録
――
第1章 聖宝、醍醐寺を開く
平安時代の貞観16年(874)、天智天皇の流れをくむ聖宝は、東大寺において諸宗を学んだのち、醍醐味の水が湧き出る笠取山を見出し、草庵を結んで准胝・如意輪の両観音菩薩像を安置しました。醍醐寺の始まりです。
その後、醍醐寺は醍醐天皇をはじめ歴代天皇の帰依を受け、笠取山上に薬師堂や五大堂を加えて伽藍(「上醍醐」)を整えながら、その山裾にも伽藍(「下醍醐」)を展開し、開創から数十年のうちに大規模な寺観を備えていきました。
本章ではまず、聖宝の肖像や伝記、縁起をはじめ、醍醐天皇御願として聖宝により造り始められた上醍醐の薬師堂本尊の国宝《薬師如来坐像および両脇侍像》や、日本における如意輪観音像の代表作の一つである重要文化財《如意輪観音坐像》の名品によって、醍醐寺の草創期を概観します。
第2章 真言密教を学び、修する
加持祈禱や修法(儀式)などの実践を重視した醍醐寺は、その効験によって多くの天皇や貴族たちの心をとらえました。真言密教の二大流派のうち小野流の拠点となり、多くの僧が集まる根本道場と位置付けられた醍醐寺には、修法の本尊として欠くことのできない彫刻や絵画、修法に用いる仏具、修法の手順や記録などを記した文書や聖教などが蓄積されていきました。今に伝わる寺宝の数々は、千年以上もの間、醍醐寺が人々の願いに応えて修法を続けてきたことを示しています。
本章では、仏像と仏画の名品を中心に、それらが本尊とされた場である修法と合わせてご紹介します。加えて、仏像仏画の研究および設計図ともいえる白描図を展示することで、有機的につながる密教美術の世界観をご覧いただきます。
第3章 法脈を伝える―権力との結びつき―
修法が多く行われるようになると、各密教僧の間で異なる修法次第が生まれ、醍醐寺内でもいくつかの法流が形成されました。その中で中心となったのは、第十四代座主の勝覚が創建した醍醐寺三宝院を拠点とする三宝院流です。同院の院主は醍醐寺座主を兼ねることも多く、足利尊氏の政権における賢俊や、足利義満以下三代の将軍に仕えた満済など、彼らが座主として時の為政者から帰依を受けることで、寺は繁栄を遂げてきました。
本章では、法脈を形成した祖師像や、師から弟子へ伝えられる諸尊の修法について編集した記録などによって、法脈の相承を紹介するとともに、天皇や時の為政者の文書・書跡によって、醍醐寺の繁栄の歴史をひもといていきます。
第4章 義演、醍醐寺を再びおこす
16世紀末に第八十代座主となった義演(1558~1626)は、豊臣秀吉などからの保護を受け、戦乱により荒廃した伽藍の復興整備を進めました。秀吉最晩年の慶長3年(1598)春に催された「醍醐の花見」は、安土桃山時代の華麗な文化を象徴的に表すできごととして広く知られます。また義演は、醍醐寺伝来の厖大な古文書・聖教の書写整理を行いました。『義演准后日記』には、近世初期の変革期の京都において、義演と醍醐寺が重要な役割を果たしていたことが克明に記されています。
本章では、秀吉による醍醐の花見に関連する作例から、慶長年間に移築、造営された三宝院障壁画の金銀に彩られた襖絵、俵屋宗達をはじめとする諸流派の絵師が描いた絵画など、当時の醍醐寺の繁栄を伝える華やかな美術をご紹介します。サントリー美術館
https://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2018_4/
――
★「京都・醍醐寺-真言密教の宇宙-」
サントリー美術館、2018年9月19日(水)~11月11日(日)
九州国立博物館 2019年1月29日(火)~3月24日(日)

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2018年1月28日 (日)

「仁和寺と御室派のみほとけ ― 天平と真言密教の名宝 ―」・・・空海『三十帖策子』

Ninnaji2018大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』第135回
桜満開のとき、仁和寺に、滞在した。空海『三十帖策子』を見ようとしたが、この時は修理中だった。空海が長安で筆写した梵語原文(805-6年)を含む。『三十帖策子』、東寺から守覚法親王が借用して返還しなかった。
空海は、三十一歳の時、遣唐使船で出港。三十二歳の時、青龍寺の恵果阿闍梨に面会する。「われ先より、汝の来れるを知り、相待つこと久し。今日、相見ゆること大いに好し。」(空海『請来目録』)。805(延暦24)年6月。12月15日、恵果阿闍梨、入滅、59歳。この時、空海三十二歳。『三十帖策子』の根幹は恵果の死後、書かれた。(805-6(延暦24-大同元)年)。
桜満開の京都、花盛りの密教寺院に滞在した。しばし憂いを忘れて、春爛漫、醍醐寺の桜満開の時から紅枝垂れ桜が咲き、花吹雪舞うまで、花めぐりする。死の相の下にみると、生命あるこの世のものが限りなく美しい。文明の滅亡を憂うる時、プロメテウスの火と神の怒り、千二百年の時を超えて伝えられる空海の書『聾瞽指帰』『秘密曼荼羅十住心論』、『金剛界曼荼羅』。
諸法無我と輪廻転生とは矛盾する。この仏教の根本的矛盾をどのように解決するのか。第八識は意識されない潜在意識、阿頼耶識(ālaya-vijñāna)で、生死輪廻する主体である。これが大円鏡智、阿閦如来の智恵に転じる。
空海は、諸法無我と輪廻転生との矛盾。この根本的矛盾をどのように解決するのか。
*大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』より
――
美は真であり、真は美である。これは、地上にて汝の知る一切であり、知るべきすべてである。
美しい夕暮れ。美しい魂に、幸運の女神が舞い降りる。美しい守護霊が救う。美しい魂は、輝く天の仕事をなす。
*大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』より
大久保正雄『永遠を旅する哲学者 イデアへの旅』
大久保正雄『藝術と運命の戦い 藝術家と運命の女』
――
展示作品の一部
国宝「三十帖冊子」空海ほか筆、平安時代9世紀 (805-6(延暦24-大同元)年)京都・仁和寺蔵 (展示期間:通期展示、2018年1月16日(火)~28日(日)限定全帖公開)
国宝「両界曼荼羅」子島曼荼羅、平安時代・10-11世紀、奈良、子島寺
国宝「守覚法親王消息」守覚法親王筆、平安時代・治承2年1178年 京都・仁和寺蔵
秘仏本尊
国宝「十一面観音菩薩立像」平安時代・8~9世紀、大阪・道明寺蔵 (通期展示)
国宝「千手観音菩薩坐像」奈良時代・8世紀 大阪・葛井寺蔵
(展示期間:2018年2月14日(水)~3月11日(日))
重要文化財「如意輪観音菩薩坐像」平安時代・10世紀、兵庫・神呪寺蔵 (通期展示)
国宝「孔雀明王像」、北宋時代(2月12日まで)
国宝「阿弥陀如来坐像」平安時代・仁和4年(888) 京都・仁和寺蔵(通期展示)
仁和寺「観音堂」33体の仏像を公開。非公開の観音堂の壁画を高精細画像で再現、空間を展示。
天平の秘仏、1041本の腕をもつ、現存最古の千手観音像、葛井寺「千手観音菩薩坐像」、東京国立博物館に展示される。
――
参考文献
旅する思想家、孔子、王羲之、空海と嵯峨天皇
http://platonacademy.cocolog-nifty.com/blog/2016/12/post-e107.html
http://bit.ly/2jcAF6D
空海『即身成仏義』、大日如来の知恵 五智如来の知恵
http://mediterranean.cocolog-nifty.com/blog/2016/06/post-0e2c.html
空海と密教美術展・・・理念と象徴
http://mediterranean.cocolog-nifty.com/blog/2011/07/post-d0bf.html
東寺・・・春爛漫の京都
http://mediterranean.cocolog-nifty.com/blog/2011/04/post-001d.html
――
御室桜で知られる仁和寺は、光孝天皇が仁和2年(886)に建立を発願し、次代の宇多天皇が仁和4年(888)に完成させた真言密教の寺院です。歴代天皇の厚い帰依を受けたことから、すぐれた絵画、書跡、彫刻、工芸品が伝わります。創建時の本尊である阿弥陀如来像(国宝)は、当時もっともすぐれた工房の作品です。また、高倉天皇宸翰消息(国宝)は皇室との深いかかわりを物語るものです。本展覧会では、仁和寺の寺宝のほか、仁和寺を総本山とする御室派寺院が所蔵する名宝の数々を一堂に紹介します。
――
特別展「仁和寺と御室派のみほとけ ― 天平と真言密教の名宝 ―」東京国立博物館 平成館(上野公園)
2018年1月16日(火) ~3月11日(日)
http://www.tnm.jp/

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2016年6月14日 (火)

空海『即身成仏義』、大日如来の知恵 五智如来の知恵

Kuukai
Dainichinyorai_unkei
Dainichinyorai_kongoubuji大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』より
空海、即身成仏の奥義。空海『即身成仏義』、二頌八句の即身成仏頌。偈頌に曰く。
六大、無碍にして常に瑜伽たり。 四種の曼荼、各々離れず。三密加持すれば速疾に顕わる。 重々たる帝網、名付けて即身。
法然具足するは薩般若。 心数・心王、刹塵に過ぐ。
各々に五智・無際智を具す。 円鏡の力ゆえに、実覚の智なり。
この二頌八句は以て即身成仏の四字を歎す。
即ちこの四字は無辺の義を含む。 一切の仏法、この一句を出でず。故に略して両頌を樹て、無辺の徳を顕わす。





――
『即身成仏義』現象と存在の両世界の存在要素である六大(地・水・火・風・空・識)は、遮るものなく永遠に融合している。四種の曼荼羅(大、三昧耶、法、羯磨)は、それぞれそのまま離れることはない。
仏陀と我々の身体・言葉・心の三種の行為形態が、感応しあい速やかに悟りの世界が現れる。あらゆる身体が、帝釈天の持つ網の宝石のように幾重にも重なり合い移しあことを即身と名づける。

――
■大日如来の知恵 五智如来の知恵
金剛界五智如来、智拳印を結ぶ大日如来、阿閦如来、宝生如来、阿弥陀如来(無量寿如来)、不空成就如来。
密教において、大日如来が宇宙の根本原理であり、至高の存在である。この大日如来の5つの智慧(法界体性智、大円鏡智、平等性智、妙観察智、成所作智)を象徴する五智如来がある。大日如来の知恵、法界体性智は、自性清浄なる大日如来の絶対智であり、他の四智を統合する智恵である。
*大久 保正雄『旅する哲学者 美への旅』より
*大久保正雄『永遠を旅する哲学者 美のイデアへの旅』
――
★五智如来、五智
大日如来は、法界体性智を持っている。
法界体性智は、自性清浄なる大日如来の絶対智であり、他の四智を統合する智恵である。
*法界体性智=自性清浄心と呼ばれる第9識(阿摩羅識)
阿閦如来は、大円鏡智【鏡の如く法界の万象を顕現する智】を持っている。
*大円鏡智=阿頼耶識 第8識
宝生如来は、平等性智【諸法の平等を具現する智】を持っている。
*平等性智=末那識 第7識
無量寿如来は、妙観察智【諸法を正しく見極め、追求する智】を持っている。
*妙観察智=意識 第6識
不空成就如来は、成所作智【自他のなすべきことを成就せしめる智】を持っている。
*成所作智=前5識(眼識、耳識鼻識、舌識、身識)、五感(眼、耳、鼻、舌、身)による感覚作用である。
★転識得智 9識は、金剛頂経の説く瞑想法(五相成身観)によって各々五智に転じる。
★五智如来、印相
大日如来は、智拳印を結んでいる。
無知や迷妄を退ける堅固な智慧を象徴するものであり、右手は仏界、左手は人間界を表している。
阿閦如来は、右手を下に伸ばす触地印を結んでおり、これは降魔印ともいい、誘惑や恐怖に打ち勝つ不動の心を表している。
宝生如来は、左手を膝の上に置き、右手は下に伸ばして手のひらを前に向ける与願印を結んでいます。伸ばした五指の間からどんな願いでも意のままにかなうという如意宝珠を降らし、人々の願いを成就させることができる。
無量寿如来は、またの名を阿弥陀如来といい「アミユータス」または「アミターバ」。西方極楽浄土の主催者であり、人々を極楽浄土に迎える仏です。定印を結んでおり、結跏趺坐の上に両手を重ねて大指と頭指で倭を作る。
不空成就如来は、サンスクリット語では「アモーガシッディ」。左手は腹前で衣を掴み、右手は胸の高さに上げて掌を前に向けた施無畏印を結んでいる。
釈迦像には「五印」と呼ばれる代表的な印相があり、次のように説明される。
1.説法印(転法輪印)・・釈尊が最初の説法をしたときの印
2.施無畏印・・・・・・・人々のを安心させるときの印
3.与願印・・・・・・・・人々の願いを聞き入れ、望むものを与えようとするときの印
4.定印・・・・・・・・・悟りを開いたときの釈尊の印
5.触地印(降魔印)・・・悟りを開いた釈尊が、悪魔を退けたときの印
*五智・五仏 http://www.sakai.zaq.ne.jp/piicats/gochigobutsu.htm
*転識得智 成身会の構造(金剛界五仏と五智)
http://www.ermjp.com/j/temple/mandara/manda/oshie/oshie7.html
瑜伽行唯識派
http://morfo.blog.so-net.ne.jp/2012-02-13
*大日如来 五智如来、印相 
http://barbarossa.red/five-tathagata/
★運慶「大日如来」、金剛峰寺「大日如来」、金剛峰寺「弘法大師坐像」

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2012年10月13日 (土)

法華寺「十一面観音」の美・・・純粋な魂に舞い降りる

Hokkeji9c2012100101Juuichimen大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』より
観世音菩薩は、純粋な美しい魂を護り救う。傷つき血と涙を流しながら、この世を生きている人。孤独な戦いの日々。いつ夜明けはくるのか。美と理想を追求する、純粋な魂に、観世音菩薩が舞い降りる。この世は血に塗れた、殺し合いの競争の修羅場。人間は日々殺し合いに明け暮れる。観世音菩薩は、苦しむ人々の声なき声を観じて救うために舞い降りる。観世音菩薩、守護精霊は、傷ついた純粋な魂に舞い降りる。聖なる精神は、聖なる目的を達成するために、敵を滅ぼさねばならない。
法華寺「十一面観音」は、第52代嵯峨天皇橘嘉智子皇后の容姿を表している。橘嘉智子は美貌の皇后として名高い、手が異常に長いという伝説がある。嘉祥三年(850年)5月4日、65歳でこの世を去る。観世音菩薩となった檀林皇后は何を守るのか。
■十一面観音
十一面観音は、その深い慈悲により衆生から一切の苦しみを抜き去る功徳を施す菩薩である。観音菩薩の変化身の一つである。
十一面観音(ekadaśamukha)の容姿は、通例、頭頂に仏面、頭上の正面に菩薩面(3面)、左側に瞋怒面(3面)、右側に狗牙上出面(3面)、背面に大笑面(1面)をもつ。右手を垂下し、左手には蓮華を生けた花瓶を持っている。(玄奘訳『十一面神咒心経』に基づく)。
『十一面観自在菩薩心密言念誦儀軌経』によれば、
10種類の現世での利益(十種勝利)と4種類の来世での果報(四種功徳)をもたらすと言われる。病気にかからない、一切の怨敵から害を受けない、毒薬や虫の毒に当たらず、悪寒や発熱等の病にならない、一切の凶器によって害を受けない、不慮の事故で死なない。
*大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』より
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観世音菩薩(観自在菩薩Avalokiteśvara)は、生けるものの苦しみを観ている。観世音菩薩はあまねく衆生を救うために相手に応じて、仏身、梵王身、比丘尼身、天身、声聞身、など、三十三の姿に変身する(『法華経』「観世音菩薩普門品、第二十五」観音経)。
 観世音菩薩の海潮音が聞こえる。「妙音、観世音、梵音、海潮音は、かの世間の音に勝る。この故にすべからく常に念ずべし。」「妙音観世音 梵音海潮音 勝彼世間音 是故須常念」(『法華経』「観世音菩薩普門品」第二十五)
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十一面観音の美
十一面観音はその深い慈悲により衆生から一切の苦しみを抜き去る功徳を施す菩薩であるとされ、女神のような容姿にデザインされる。
2つの仏像が、美しい。十一面観音 法華寺(平安時代、国宝)。十一面観音 向源寺(渡岸寺)(平安時代、国宝)
近江、十一面観音。
近江には、十一面観音が多いことが知られている。高野山の寺院に泊まった時、滋賀の十一面観音をめぐる旅をしている人に出会った。白洲正子『十一面観音巡礼』は、聖林寺の十一面をはじめに、羽賀寺、薬師寺、智識寺、月輪寺と辿って、最後に渡岸寺に到る。
■「十一面観音立像」法華寺(平安時代) 比類なき美しさ。
艶麗な容姿は、光明皇后を表すといわれ、光背は、蓮の未開の花と葉、他に例をみない形式である。
「天竺の仏師・問答師が光明皇后の姿を模してつくった」という伝承をもつが、実際の制作は平安時代初期、九世紀前半、弘仁貞観時代。空海と嵯峨天皇の文化である。伝承は『興福寺濫觴記』にみられる。法華寺は、聖武天皇の創建、総国分尼寺である。
仏の三十二相八十種好の一つである「正立手摩膝相」を表し、顔貌表現、胸部と大腿部の量感を強調したプロポーション、太いひだと細く鋭いひだを交互に刻む翻波式衣文は平安初期彫刻特有の様式。和辻哲郎『古寺巡礼』、亀井勝一郎『美貌の皇后』はこの像を豊満な女体に例えて絶賛している。
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秘仏 法華寺 国宝十一面観音立像特別開扉
法華寺の本尊、木造十一面観音立像(国宝)の特別開扉が行われます。光明皇后がモデルとされ、はっきりした目鼻立ち、長い右手や動きのあるポーズ、特徴的な光背など、仏教彫刻としても優れた評価を得ています。慈光殿では国宝の阿弥陀三尊像と童子像が同時公開されるほか、国史跡名勝庭園も特別公開中です。
2012年10月25日~11月12日 9:00~17:00
奈良市 法華寺  0742-33-2261
http://event.jr-odekake.net/event/122765.html
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〒 : 630-8001奈良市法華寺町882 TEL : 0742-33-2261
URL : http://www.hokkeji-nara.jp/
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★「十一面観音立像」法華寺(平安時代 9世紀)

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2012年9月28日 (金)

「琵琶湖をめぐる、近江路の神と仏、名宝展」三井記念美術館・・・十一面観音と大日如来

20120908_2大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』より
枯葉舞う午後、十一面観音、大日如来(快慶)をみる。運慶の大日如来は容姿端麗な美しさだが、快慶の大日如来は雄渾である。快慶、若き日の作品である。美術館から歩いて日本橋を渡って、銀座に行く。銀座で渡り蟹のパスタを食べる。密教仏は、波乱の貴族文化の匂いが漂う。
近江は、天智天皇の近江大津宮、壬申の乱の戦場で、聖武天皇の紫香楽宮の故地であり、飛鳥時代、寧楽時代から権力抗争を離れて、離宮が営まれた地である。最澄は788年、比叡山寺一乗止観院を開創。最澄没後823年、延暦寺の号を勅許された。近江には十一面観音が多い。十一面観音は密教仏であり、変化身仏である。
■白洲正子『十一面観音巡礼』は、聖林寺の十一面観音をはじめに、羽賀寺、薬師寺、智識寺、月輪寺を辿って、最後に渡岸寺に到る。
「十一面観音」渡岸寺観音堂を、仏像展、東京国立博物館でみたのを思い出す。渡岸寺観音堂(向源寺)「十一面観音」は、貞観期(平安初期)の作。日本全国に七体ある国宝十一面観音の中でも美しい日本彫刻史の最高傑作の一つ。端麗な容姿、優美なくねる腰が美しい。本面の左右に瞋怒面と狗牙上出面を大きく表し、天冠台上には菩薩面、瞋怒面、狗牙上出面を各2面、背面に大笑面を表す。
■展示作品の一部
重文 善水寺「誕生釈迦仏立像」奈良時代。 釈迦の誕生直後の姿を表した金銅仏。
国宝 神照寺「透彫華籠」平安~鎌倉時代。散華供養において、散華を入れる器として用いる華籠。宝相華唐草文透し彫り。
重文 長命寺「透彫華鬘」鎌倉時代。
国宝 延暦寺「金銅経箱」平安時代。
重文 石山寺「如意輪観音半跏像」平安時代。
重文 園城寺「不動明王坐像」盛忠(じょうちゅう)作、平安時代 長和3年(1014)。
重文 葛川明王院「千手観音立像」平安時代。
重文 石山寺「大日如来坐像」快慶作、鎌倉時代。
鎌倉時代初頭に建立された石山寺多宝塔の本尊として安置される。面部裏に著名な仏師快慶の墨書銘がある。快慶の早い時期の作重文 飯道寺、十一面観音立像、平安時代
石部神社「厨子入薬師如来坐像」平安時代。重文
県文 百済寺「紺紙金字妙法蓮華経、開結経共」平安時代。
国宝「聖衆来迎寺、六道絵」 [等活地獄図]鎌倉時代
重文 安楽律院「弥陀三尊二十五菩薩来迎図」鎌倉時代
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近江国一国をおさめる滋賀県は、現在の京都府、福井県、岐阜県、三重県に隣接し、日本一大きな湖・琵琶湖を中心に、その周囲を鈴鹿、伊吹、比良山系などの山並みが連なっています。そして、古くから交通の要衝の地であり、宗教を基盤にした文化が開かれていました。この展覧会は、琵琶湖をめぐる近江の古社寺に伝えられた秘仏、名宝を一堂に展示する、東京で開催される初めての大展覧会です。延暦寺、園城寺(三井寺)、石山寺他、42の古社寺から、仏像、神像、仏画、垂迹画、絵巻物、経巻、工芸品など、国宝6点、重要文化財56点、滋賀県指定文化財21点を含む約100点の名宝が出品されます。近江の豊かな風土と歴史を背景にした「祈りとロマンの世界」に、至極の美術品の数々が誘います。特に絵画は、文化財保護の精神に沿い、会期を3回に分けて、全作品を3回展示替えする贅沢な企画ですので、展示プランに合わせて、再度ご来館いただきたいと存じます。
なお、本展覧会は、東京の三井記念美術館だけで開催するもので巡回しませんので、この機会に是非ご覧いただきたいと思います。
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★ 「琵琶湖をめぐる、近江路の神と仏、名宝展」、三井記念美術館
9月8日~11月25日
http://www.mitsui-museum.jp/exhibition/index.html

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