死生学

2017年4月 2日 (日)

島薗進「死生学 ファンタジーと宗教の意味を考える」ソフィア文化芸術ネットワーク

Miyazawakenji_2島薗進「死生学 ファンタジーと宗教の意味を考える」
2017年5月28日、上智大学、1号館202教室、午後2時から4時
ソフィア文化芸術ネットワーク主催
―――――
島薗進 宗教学者、上智大学大学院教授、東京大学大学院名誉教授
生とは何か。死とは何か。人の心の痛みをどう癒すのか。死生学のテーマを、ファンタジー文学、宮澤賢治、古今東西の古典、仏教書、経典を通して考える。ファンタジーは生死の意味を問い、生と死を超えるメッセージを表現する。宗教は、生死の問いに何を教えるのか。ファンタジーと宗教の意味を考える。「宗教は、物語の形で、人が生きるうえで大切な何かを伝えてきた」(島薗進『こころをよむ 物語のなかの宗教』)。死生学(Thanatology)の根本にある問いは「死を迎える人の心の痛みにどう応えるべきか」。
【講演】島薗進、【解説、質疑】大久保正雄【司会】畑仲紀子【企画】大久保正雄
――――――――――
ソフィア文化芸術ネットワーク
【質疑応答】島薗進×大久保正雄『死生学 人の心の痛み』
http://mediterranean.cocolog-nifty.com/blog/2016/08/post-8607.html
★問い合わせ 上智大学ソフィア会 Tel.03-3238-3041
上智大学、四谷キャンパス地図 
http://www.sophia.ac.jp/jpn/info/access/map/map_yotsuya

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年8月13日 (土)

【質疑応答】島薗進×大久保正雄『死生学 人の心の痛み』

20160529022016052901【質疑応答】島薗進×大久保正雄『死生学 人の心の痛み』
島薗進『死生学 日本人の死生観を考える』上智大学5月29日
https://t.co/6w4A3WzvSe
私の体験を踏まえて、島薗先生に、死生学について質問しました。ある時、突然、病気が発症し救急車で運ばれ、生死を彷徨い三か月入院しました。虎の門病院分院で、退院する最後の日、ナースが部屋にやってきて「あなたの退院は私が担当します。あなたは、人の苦しみがわかる人だから、苦しかったでしょう」と言われ、涙があふれた。病院で過ごした日々を思い出した。生老病死、運命、幽明界につて病院で深く考えた。星空は金剛界曼荼羅、イデア界のように、私にみえた。
島薗先生への質問と回答の要旨は下記の通りです。
―――――
1、【他界からの訪問者】
大久保正雄「他界からの訪問者」の物語、「他界憧憬」について。(宮澤賢治『風の又三郎』。
「純粋な魂が、天界からやってきて、この世で苦難を経験し、天界へ帰って行く」という世界観がある。様々な文学、哲学にある。と考えられる。このような考えを現代人は、共感できない。これが現代人の魂の衰退の一つ現れだと思います。
例えば、サン・テグ・ジュペリ『星の王子さま』、プラトン、ウィリアム・ブレイク、ダンテ、空海。純粋な魂が、天界からやってきて、この世で苦難を経験し、天界へ帰って行く。藝術家、思想家は「生死の彼方から見た生の視点」がある。倫理的意識がある。異界からやってきて、異界に帰って行く。魂の物語。天界の魂が、何かの原因で、地上に降りてきて、地上で経験し、地上の苦難を経て、天界に帰って行く。*プラトン生と死の対話編『饗宴』『パイドン』『パイドロス』。空海『秘蔵宝鑰』生れ生れ生れ生れて生の始めに暗く、死に死に死に死んで死の終りに冥し。
島薗進「MortalなものとImmortalなものがある。近代人はImmortalなものを感じることができない。これに対して、ファンタジーが有効な方法である。宮澤賢治はアンデルセンから影響を受けた。」

2、【輪廻転生】
大久保正雄「世界の宗教の中で、輪廻転生の思想をもつ人々がいる。他方もたない人々がいる。宗教学からみると、世界観はどのように違うのか。どのような原因、背景が考えられるますか。
輪廻転生の思想は、インド人の死生観、ギリシア人の死生観、古代エジプト人の死生観にある。仏教は、無我説であるが、同時に、輪廻転生説に立つ。これは仏教の根本的問題であるといわれる。空海は、即身成仏、速疾成仏であり、目標が高く困難である。(末木文美士『仏典をよむ』第九章210-212)「永遠の生」の思想は、死の思想である。(末木文美士『仏典をよむ』第九章214)。現代人は、仏教の輪廻転生説を考えることができない。
島薗進「沖縄人の死生観では、海の彼方に死者の世界がある。死後、融けた生命に帰ってくる。生命のプールがある。回帰的宇宙観がある。」

3、【人は、どのようにして、他の人の痛みを感じることができるようになるか】
大久保正雄「人は、どのようにして、他の人の痛みを感じることができるようになるか。」
日本人は、人に痛みに共感することができない、といわれる。日本人は、英国人、中国人よりはるかに下位。OECDのある調査で世界最下位。「自力で生きていけない人たちを助けるべきだとは思わない人、日本38%、米28%、英8%。」http://linkis.com/bit.ly/TiIW
死をむかえる人の心の痛みに応えることができるのか。「他人の痛みは、分かるのか。他人の痛みは、分からない」 (ウィトゲンシュタイン『哲学的探究』(Philosophische Untersuchungen)「私的言語論」「痛み」)
人の心の痛みを感じる心は、慈悲心が必要。非常に難しい。
島薗進「人の痛みを感じる心を教えるのは難しい。人の痛みを感じることができるためには、教養が必要です。教養よりも子供の時の経験が大切でしょう。日本人は臓器移植に否定的な人が多いが、背後には科学の力への過信への疑問がある。」

4、【ギリシア人の死生観】
大久保正雄「ギリシア人の死生観は「人間にとっては、この世に生まれてこないことが幸せであり、生まれてきたら早く死ぬことが幸せである。」。「宮澤賢治『よだかの星』に似ている。これは、現代人の考えと違うと思われる。宗教学者として、どのように考えますか。」「ギリシア悲劇、ソフォクレス『コロノスのオイディプース』(1224-1227)、ソフォクレスに先立つ前6世紀のエレゲイア詩人テオグニス『エレゲイア詩集』」
島薗進「この世に生まれ生きることは苦だという死生観がある。苦しい人生を生きるより、生まれないほうがよい、という考えは、日本人の死生観にある。」

5、【幸せとは何か】
大久保正雄「宗教学者が考える「幸せとは何か」。例えば「幸せとは何か。」ホセ・ムヒカの考えは、
幸せとは生きることに喜びを見出すこと。情熱を傾ける何かが必要。歩きつづけることが幸せ。目標に向かって戦う者は幸せ。希望があるから。貧しい人とは少ししか持っていない人ではない、もっともっといくらあっても満足しない人である。『知足』が大切。若い人でも、心が老いた人がいる。
我々は発展するために地球にやってきたのではありません。幸せになるために地球にやってきたのです。2016年4月8日。ホセ・ムヒカ「4つの教訓」 1. 消費主義に支配されるな 2. 歩き続けよ  3. 同じ志を持つ仲間を見つけて闘争せよ 4. 自分の利己主義を抑えよ 
http://news.livedoor.com/article/detail/11393035/
島薗進「私は、ホセ・ムヒカの考えは好きです。しかし、歩くのを止めて、立ち止まってもよいのでは。私は名前が進むですが」

6、【仏教の根本前提】
大久保正雄 「『仏教の根本前提』は、何であると考えられますか。プラトン哲学の根本前提は、『魂の不死不滅、輪廻転生、イデアの存在、想起説』。この4つの思想である。と考えらえる。プラトン『パイドロス』魂のミュートスは、4つの前提の上に成り立つ。魂は、一組の馬とその手綱を取る馭者からなり、翼をもち宇宙をかけめぐる。魂が神の行進について行けなくなると、地上に落ち肉体のうちに誕生する。何かを認識することは、かつて魂が見たイデアを思い出す(想起する)ことである。
島薗進「仏教の根本前提のなかで重要なものは縁起説だと思う。原因に縁って結果が起きる。」*
*注 縁起説「原因に縁って結果が起きる」。
*注 十二縁起。無明→行→識→名色→六処→触→受→愛→取→有→生→老死→(無明に繋がる)。
*仏陀は、人生を苦とみた。苦の原因は、十二縁起。

7、【空海のことば『答叡山澄法師求理趣釈経書』】
大久保正雄 「古の人は道の為に道を求め、今の人は名利の為に求む。」空海『答叡山澄法師求理趣釈経書』。(真理の道を究めるために道を探求したが、現代の人は、地位名誉と利益のために道を探求する。) 空海の言葉は、現代の学問の世界にも当てはまる。地位と名誉と利益のために行動する御用学者が極めて多い、例えば原子力安全委員長、斑目春樹氏。宗教学者として、どう思われますか。
*古の人は道の為に道を求め、今の人は名利の為に求む。名の為に求むるは、道を求むる志にあらず。
空海『答叡山澄法師求理趣釈経書』(叡山の澄法師、理趣釈経を求めたるに答うるの書)
島薗進「その通りです。日本人は、狭い道、専門家の道を考える、茶道、書道など。中国の道はより根源的。本質的な人間の道がある。」

8、【比叡山焼き討ち】
大久保正雄 「島薗先生は、比叡山の高僧と交流されていますが、【織田信長、比叡山延暦寺、焼き討ち(元亀二、1571年 】根本中堂焼き討ちはなかった、と戦国史研究者が分析している。比叡山延暦寺は、現在どのような見解ですか。最澄空海の時代から7百年後、比叡山は利権団体化した。信長の「天下布武」は、臨済宗妙心寺派の僧沢彦宗恩(たくげんそうおん)の教示による。公家寺家の利権を攻撃することが目的である。浅井朝倉に与する比叡山を明智光秀が攻撃。(*比叡山焼き討ちに関する考古学的調査、滋賀県による、小和田哲男『集中講義 織田信長』)
島薗進 「織田信長は、一向宗(浄土真宗)を徹底的に攻撃した。世俗権力と合体して大衆を動かしたからである。比叡山焼き討ちは、大規模ではなかったと思う」

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年4月27日 (水)

島薗進『死生学 日本人の死生観を考える』上智大学5月29日

Sugiyama_1986島薗進『死生学 日本人の死生観を考える』上智大学5月29日2016年 
午後2:00-4:00  上智大学1号館204教室
島薗進 宗教学者、東京大学大学院名誉教授、上智大学大学院実践宗教学研究科教授
死生学(Thanatology)とは何か。死生学の根本にある問いは「死を迎える人の心の痛みにどう応えるべきか」。「魂とは何か」「善い生きかたとは何か」「死にゆくことには如何なる意味があるのか」「生老病死とは何か」。病院の医師や看護師に死生学を教える授業がある。
【講演】島薗進、【解説、質疑】大久保正雄、【司会】畑中紀子、【企画】大久保正雄
――――――――――
*島薗進『日本人の死生観を読む』朝日選書、『死生学1死生学とは何か』東京大学出版会、『宗教学の名著30』ちくま新書、他。
*大久保正雄『ことばによる戦いの歴史としての哲学史』理想社、「美の奥義 プラトン哲学におけるエロス(愛)とタナトス(死)」、「プラトン哲学と空海の密教」、「魂の美学 プラトン対話篇における美の探求」、「幻の花の都、京都」、「花盛りの京都、幻の都へ」他。
――――――――――
ソフィア文化芸術ネットワーク
★問い合わせ 上智大学ソフィア会 Tel.03-3238-3041
上智大学、四谷キャンパス地図
http://www.sophia.ac.jp/jpn/info/access/map/map_yotsuya

| | コメント (0) | トラックバック (0)