芸術論

2018年3月 4日 (日)

高貴な精神とは何か。失われた巨匠たち。悪質な詐欺師が跳梁する偽物の時代。

Romeo_and_juliet_01大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』第139回
高貴な精神とは何か。失われた巨匠たち。悪質な詐欺師が跳梁する偽物の時代。本物志向の時代の終焉。偽物を尊ぶ末人、畜群の時代。目先の利益と地位を追求する末人。理念と正義が崩壊した時代。千年、具眼の士をまつ。「われわれは幸福を発明した。末人たちはそう言ってまばたきする」『ツァラトスゥトラ』序
1、学問の劣化。現代では、偽物が跳梁跋扈する。末人、畜群の時代。
現代の学者のレベルは低い。三浦るり、井上達夫、藤原帰一、御用学者、末人の群れ。真理に仕えず、金と地位に仕える畜群(Herde)の先導者。末人は人をその外面、地位肩書きで判断する。1960年代から1990年代の学問の水準は高かった。
高貴な精神とは何か。
「人が本当に見ることができるのは心によってだけである。本質は、目で見えない。」具眼の士は外面、肩書き地位で判断せず、人をその中身で見る眼力をもつ。「千載具眼の徒を竢つ」伊藤若冲。孫崎享氏は、人の本質を見る。人を中身で見る眼力をもち、逆境の中にあって真実と美徳を追求する精神である。 正邪を一刀両断する破邪顕正の人。人間の中身とは、魂、人格、才能、識見、天に捧げる仕事である。建築家、梵寿綱師は「藝術、建築は、天に仕える仕事である」という。
この世の片隅で、世に埋もれながら、天の仕事をなす藝術家がいる。高島野十郎、不染鉄。若冲、蕭白。高貴な精神の持ち主である。一流の人間だけが一流の才能を評価する。
孤高の画家、蝋燭の画家、高島野十郎
高島野十郎(1890-1975)は、東京帝国大学農学部水産学の研究職を辞し、終生家族を持たず、師もなく、画壇とも関わらず、画壇や世に背を向け、売れもしない精密な写実画を黙々と描き続けた。世話になった人たちに、貧しくてお金がないので、蝋燭の絵を礼として描き贈った。30枚ほど残されている。*『傷を負った自画像』(1916)
幻の画家、不染鉄
不染鉄(1891-1976)。大正7年、京都市立絵画専門学校へ入学。同期の上村松篁と親交を深める。首席で卒業。不世出の才能。才能を高く評価されながら、戦後、画壇を離れ、晩年まで世の片隅、奈良で画業を続ける。*『山海図絵(伊豆の追奥)』大正14年、『南海之図』昭和30年頃 愛知県美術館、『廃船』昭和44年頃 京都国立近代美術館。
失われた幻の時代、人文科学の学問の巨匠が存在した。手塚富雄、清水純一、井筒俊彦、辻直四郎、長尾雅人、宮坂宥勝、宮崎市定、久保田淳。
永遠の書架に立ちて、千年、具眼の士をまつ
わたしが14歳の頃、読んでいたのは、プラトン、李白、中島敦。古典の世界に憧れた。17歳の時、詩の本を集め始めた。17歳の時、『エウリピデス』(Oxford Classical Text)を購入した。高校生の時、シャイクスピア全集、プラトン『饗宴』を愛読した。『世界古典文学全集』『世界の名著』を愛読しつづけて時の立つのを忘れた。永遠の書架に立ちて、千年、具眼の士を待つ。
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参考文献
清水純一『ルネサンスの偉大と頽廃 ブルーノの生涯と思想』1972、清水純一『ジョルダーノ・ブルーノの研究』1970
井筒俊彦『意識と本質』1983、井筒俊彦『イスラーム哲学の原像』1980
手塚富雄『世界の名著 ニーチェ』1966『ツァラトゥストラ』、西尾幹二『ニーチェ』第1部、第2部1977、西尾幹二『ニーチェとの対話』1978、手塚富雄『手塚富雄全訳詩集』1971、辻直四郎『インド文明の曙―ヴェーダとウパニシャッド』1967、宮坂宥勝『沙門空海』1967、長尾雅人、服部正明『世界の名著第1巻『バラモン教典/原始仏典』1969、塚本邦雄『戀 六百番歌合―《戀》の詞花對位法』1975、塚本邦雄『花隠論』1973『定家百首 良夜爛漫』1973、久保田淳『新古今歌人の研究』1973、 『王朝の歌人藤原定家 乱世に華あり』1984
ディミトリー・セルギェーヴィチ・メレシコフスキー『ユリアヌス 神々の死』(1894年) 米川正夫訳 1986、『レオナルド・ダ・ヴィンチ 神々の復活』(1896年)米川正夫訳1935年岩波文庫1987河出書房、『ピョートル大帝 反キリスト』(1902)
アンドレ・シャステル桂芳樹 訳『ルネサンス精神の深層-フィチーノと芸術-』1989
清水純一『ルネサンス 人と思想』1994、ケネス・クラーク『レオナルド・ダ・ヴィンチ』1981、高階秀爾『ルネサンスの光と闇』1971、辻惟雄『奇想の系譜 又兵衛--国芳』1971『奇想の図譜 からくり・若冲・かざり』1989、佐藤康宏「プライス本鳥獣花木図の作者―辻惟雄氏への反論」『國華』1432号、2015
宮坂宥勝、梅原猛『生命の海<空海>』角川書店1968、松長有慶『理趣経 秘密の庫を開く 密教教典』集英社1984、松長有慶『空海-無限を生きる』集英社1985、宮崎忍勝『私度僧 空海』1991
宮崎市定『史記を語る』1979、井波律子『奇人と異才の中国史 』2005、矢代幸雄『美しきものへの思慕』1984
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2、虚偽の権力が栄える国、理念を追求する人は弾圧される。
権力が栄える国、思想家が弾圧される。思想家、北一輝、二・二六事件で処刑された、昭和11年1936年。大逆事件の幸徳秋水処刑1910年、甘粕事件の大杉栄1923年9月16日、治安維持法1925年、二・二六事件で、思想家、北一輝処刑。昭和11年1936年、小林多喜二の獄中死1933年。近衛文麿失脚1941年。
http://bit.ly/2qVd6oU
孫崎享×大久保正雄『国家権力の謎』第11回
http://bit.ly/2vO4qzC
検察は権力の奴隷、マスコミは追及せず。独裁政権、止めるシステムなし。孫崎享
孫崎享×大久保正雄『国家権力の謎』第10回
https://t.co/UV5VZGgQ5G
偽物志向の国、日本の商品の質が著しく低下
日本の製造業「壊れつつある」−米紙が分析、日刊工業新聞
https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00460670
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3、逆境の時代においても理想を追求して努力する人。運命は勇者に微笑む。
現代、医学の稀少な分野で、命を救うために、高度な真理の探究が行われている。光免疫治療法の小林久隆研究医(NCI)、がん抑制遺伝子治療法の上久保靖彦研究医(京都大学大学院医学研究科教授)。
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世界を変える奇跡のガン最新治療法「光免疫治療」
http://omoronews.whdnews.com/p/1802/08KA6Xsl1.html
羽生結弦「容姿は宝石の如く、姿は松の如し。軽さは大白鳥の如く、美しさは舞う龍の如し」「運命は勇者に囁きました、あなたは嵐に対抗できません。勇者は言い返しました、私が嵐ですと」中国CCTV
2018年3月4日
★ Franco Zeffirelli,Romeo and Juliet, 1968

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2018年3月 1日 (木)

失われた巨匠たち。悪質な詐欺師が跳梁する偽物の時代。映像の魔術師の死。

Romeo_and_juliet_5大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』第138回
失われた巨匠たち。悪質な詐欺師が跳梁する偽物の時代。本物志向の時代の終焉。偽物を尊ぶ末人、畜群(Herde)の時代。目先の利益と地位を追求する末人たち。理念と正義が崩壊した時代。「われわれは幸福を発明した。末人たちはそう言ってまばたきする」『ツァラトスゥトラ』序
1、映画の巨匠、映像の魔術師たちの時代の終焉。劣化する文化。
大学事務局上層部と会合で意見交換した。「映画業界で人材育成が失敗した。監督、脚本家、撮影監督、映画制作者の質が低質化、劣化している。これと同じく大学教員、研究者の質が致命的に劣化した」
『シンゴジラ』などの駄作が持て囃される時代。現代で時代を超えて残る映画監督は、ギレルモ・デルトロ『パンズ・ラビリンス』2006『シェイプ・オブ・ウォーター』であるか。
イタリア映画の巨匠たちの時代は終焉した。ヴィスコンティ『ルドヴィヒ 神々の黄昏』『山猫』、フェリーニ『サテリコン』『フェリーニのアマルコルド』『魂のジュリエッタ』、パゾリーニ『王女メディア』。アメリカ映画の巨匠たちの時代も終焉した。
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映像の巨匠たち 1960-2000年
フェデリコ・フェリーニ(Federico Fellini, 1920—1993)イタリア・リミニ生まれの映画監督、脚本家。「映像の魔術師」。
フェリーニ『フェリーニのアマルコルド』1973『魂のジュリエッタ』1964『サテリコン』1969『カサノバ』1976『オーケストラ・リハーサル』1979『そして船は行く』1983『道』1954『カビリアの夜』1957
ピエロ・パオロ・パゾリーニ(Piero Paolo Pasolini, 1922-1975)。イタリアの映画監督、脚本家、小説家、詩人、劇作家、評論家、思想家。パゾリーニ『王女メディア』1969『アポロンの地獄』1967『デカメロン』1971『カンタベリー物語』1972『アラビアンナイト』1974『奇跡の丘』1964
イングマール・ベルイマン(Ingmar Bergman, 1918-2007)。スウェーデンを代表する世界的な映画監督。
イングマール・ベルイマン『叫びとささやき』1972『第七の封印』1957『野いちご』1957『処女の泉』1960『鏡の中にある如く』1961『秋のソナタ』1978。映画藝術の神髄。「神の沈黙」「愛と憎悪」「生と死」のなかに人間の精神の闇を見つめた。
ルキノ・ヴィスコンティ(Luchino Visconti, conte di Modorone, 1906-1976)。イタリアの貴族ヴィスコンティ家の傍流で、父は北イタリア有数の貴族モドローネ公爵、ヴィスコンティは14世紀に建てられた城で、幼少期から芸術に親しんで育った。
『ルードヴィヒ 神々の黄昏』1972『山猫』1963『神々の黄昏』1969『ベニスに死す』1971
フランコ・ゼフィレッリ(Franco Zeffirelli, 1923年2月12日— )ヴィスコンティの弟子。フィレンツェ出身の映画監督・脚本家・オペラ演出家。
『ロミオとジュリエット』1968『ブラザー・サン シスター。ムーン』1972
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アメリカ映画 アルフレッド・ヒッチコック『めまい』1958、ジャック・クレイトン『華麗なるギャツビー』1974、フランシス・フォード・コッポラ『ゴッド・ファーザー』1972『コットンクラブ』1984『ゴッド・ファーザーPARTⅢ』1990、リドリー・スコット『ブレードランナー』1982、スティーヴン・スピルバーグ『レイダース 失われたアーク』1981『インディ・ジョーンズ 最後の聖戦』1989、ブライアン・デ・パルマ『アンタチャブル』1987、クリント・イーストウッド『ミリオンダラー・ベイビー』2004
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★参考文献
『ヴィスコンティ集成 退廃の美しさに彩られた孤独の肖像』1981
篠山起信『ヴィスコンティの遺香―華麗なる全生涯を完全追跡』1982
岩本憲児編『フェリーニを読む 世界は豊饒な少年の記憶に充ちている <ブック・シネマテーク11>』フィルムアート社1994
川本英明『フェデリコ・フェリーニ 夢と幻想の旅人』鳥影社2005
三木 宮彦(著)『ベルイマンを読む―人間の精神の冬を視つめる人 <ブック・シネマテーク8>』1986
2018年2月3日
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2、美術書の終焉。カタログ時代。技術と物、軽佻浮薄を求める人々。末人は、精神の美を求めない。
秋の午後、代官山のカフェで、美術書の女性編集者と企画会議をした。
美術編集者の説明によると「美術書の出版社で、売れるのは、画集、カタログ、作品集、ガイドブック、その類。美術の表面的な皮層を解説する商品が限界。商品が売れないと出版社は生きていけない。美術書は、売れない。」美術編集者は、憂い嘆く。
「美術書は、なぜ売れないのか」
この国の読者は、美術の表面的な皮層のみを見ていて、深い真実を見ない。「エリーザベトはカネと地位のあるハプスブルグ家のフランツ・ヨーゼフに嫁入りして幸せだと大衆は思っている」「ゴッホのアルル時代の作品は色彩豊かで華やかで美しい。なぜ作品を生みだしたのか大衆は考えない」「メディチ家はカネと権力があるからルネサンスを生みだしたと大衆は思っている」と私は答える。
美術編集者は「なぜその作品が生まれるのか、を問う書はあまり存在しない」と指摘する。人気があるのは、『怖い絵』「ネコ展」「カワイイ展」などである。と美術編集者はいう。
大衆に圧倒的な人気があるのは、若冲、北斎、運慶、阿修羅像、印象派、これは群衆を瞬殺する必殺技である。
美術史家が、研究し解説するのは、技術と物と歴史的事実。書物の内容は、物カタログと案内書が主である。大衆とは別の意味で、皮層である。
ルネサンスの美の深層まで探求する美術史家は、アンドレ・シャステル、ケネス・クラーク、清水純一、僅かの学者である。
塩野七生の「ルネサンス、ローマ帝国史」は、誤謬が多いが、何を以って、真偽を判断するのか。それを指摘する人は少ない。早稲田大の古代史教授は、黙殺する。
このような現代の状況の中で、朝井まかて『眩くらら』(2016)は、傑出している。葛飾応為。北斎の三女、お栄。北斎の工房で絵を描いていたお栄は、二十二歳の時に、水油屋の次男で町絵師の吉之助と結婚する。家事も夜の相手もせず、只管、絵を描くお栄は、吉之助と衝突し、家を飛び出す。出戻って、工房に復帰したお栄は、才能豊かな善次郎(渓斎英泉)への密かな恋に悩む。葛飾応為は、光と影の世界を描く。*葛飾応為『月下砧打美人図』『吉原格子先之図』『‎夜桜美人図』『三曲合奏図』
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魂の深淵、美の精神史 
美術編集者は「なぜこの書物の構想を計画したのですか」と私にたずねる。
「私は、藝術家の魂の深淵、理念を探求する精神史のドラマを、描きたい」と答えた。
思想の歴史は、戦いの歴史である。物質主義と本質主義の思想の戦いの歴史である。*大久保 正雄『ことばによる戦いの歴史としての哲学史』
2017年12月18日
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参考文献
思想の歴史は、戦いの歴史である。物質主義と本質主義の思想の戦いの歴史である。*大久保 正雄『ことばによる戦いの歴史としての哲学史』
大久保 正雄『ことばによる戦いの歴史としての哲学史 理性の微笑み』理想社
http://bit.ly/2BGiuwX
孫崎享×大久保正雄『国家権力の謎』第11回
http://bit.ly/2vO4qzC
*大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』より
大久保正雄『永遠を旅する哲学者 美のイデアへの旅』
大久保正雄『藝術と運命との戦い、運命の女』
Franco Zeffirelli,Romeo and Juliet, 1968

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