マニエリスム

2010年9月17日 (金)

カポディモンテ美術館展・・・イタリア、マニエリスムの退廃美、パルミジャニーノ『聖カタリナの神秘の結婚』の思い出

20100626010aAltemisia_gentileschi_1612Parmigianino1524jpgParma2007大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』より 
夏の夕暮れ、蝉しぐれの烈しい上野の森に行く。
マニエリスムからカラバッジョ派、ナポリ・バロックの退廃藝術、反古典主義美術である。
パルミジャニーノは、イタリアの旅、東欧の世界遺産の旅でみた『長い首の聖母』(1535ウフィツィ美術館)、『凸面鏡の自画像』(1524ウィーン美術史美術館)、を思い出す。マニエリスムの歪んだ世界、ねじれた身体、超現実的な空間が現代につながっている。
マニエリスムの夭折した天才、パルミジャニーノ「貴婦人の肖像 アンテア」1537は、身体のねじれが退廃的。37才で夭折した画家パルミジャニーノ(1503‐40)、晩年の作品。
パルミジャニーノ(フランチェスコ・マッツォーラ 1503-1540)、パルミジャニーノ『聖カタリナの神秘の結婚』1524年頃、パルマ美術館、を思い出す。(『パルマ イタリア美術、もう一つの都』国立西洋美術館、2007)
――
アンニーバレ・カラッチ「リナルドとアルミーダ」。アルミーダはリナルドを見つめようとするが、リナルドは鏡に映った自分の姿を見つめ、視線は結ばれず遁走する。魔女アルミーダがリナルドを魔法の宮殿に引き止めている場面。第一回十字軍を描いたタッソの恋愛叙情詩『解放されたエルサレム』が出典。
グイド・レーニ「アタランテとヒッポメネス」。美貌のアタランテは競走で自分と勝負して勝った者と結婚するという条件を出す。アタランテと結婚するためにヴィーナスから授かった三つの黄金の林檎を競走中に投げるヒッポメネスと、走るのをやめ取りに向かうアタランテ。オヴィディウス『変身物語』10巻が出典。
――
アルテミジア・ジェンティレスキ「ユディトとホロフェルネス」は、ユディトは泥酔して眠っていた敵将ホロフェルネスの短剣をとって彼の首を切り落とす。召使いが首を押えている。旧約聖書外典「ユディト記」に基づく。赤と青の衣装が強烈な激情的絵画。アルテミジア(1593-1653)は歴史上最初の女性画家であり、カラヴァッジョ派。父オラツィオ・ジェンティレスキオ(1563-1639)はカラヴァッジョの友人である。強姦された体験が濃厚にあらわれている。
カラヴァッジョ(Caravaggio1571-1610)「ユディトとホロフェルネス」1598の影響が強く現れている。
――
★参考文献
『藝術新潮』カラヴァッジョ、聖なる人殺し画家2001.10
『カラヴァッジョ 光と影の巨匠、バロック絵画の先駆者たち』朝日新聞社2001
『パルマ イタリア美術、もう一つの都』国立西洋美術館2007
カポデモンティは、ブルボン家のカルロ7世(後のスペイン王カルロス3世)の美術コレクションから始まった宮殿であり、カルロの母エリザベッタ・ファルネーゼからファルネーゼ家の膨大な美術品コレクションを受け継いだ。ルネサンス、マニエリスムからバロック美術の宝庫である。次の作品は必見。
カポディモンテ美術館展・・・イタリア・マニエリスムの退廃美、パルミジャニーノ『聖カタリナの神秘の結婚』の思い出
http://mediterranean.cocolog-nifty.com/blog/2010/09/post-a5ad.html
――
★主な展示作品
ベルナルディーノ・ルイーニ「聖母子」1510-20、レオナルドの影響が濃厚。
パルミジャニーノ「貴婦人の肖像 アンテア」1535-37
ティツィアーノ「マグダラのマリア」1567、目に涙が光る。
アンニーバレ・カラッチ「リナルドとアルミーダ」1601-02、退廃的な快楽の匂い。
グイド・レーニ「アタランテとヒッポメネス」1622、死の匂いを感じる。
アルテミジア・ジェンティレスキ「ユディトとホロフェルネス」1612-13
フランチェスコ・グアリーノ「聖アガタ」、胸に血が滲む。
ベルナルディノ・カヴァッリーノ「聖カエキリアの法悦」
ルカ・ジョルダーノ「眠るヴィーナス、クピドとサテュロス」
――
■カポディモンテ美術館は、ナポリにあるイタリアを代表する美術館のひとつ。十八世紀に建てられた壮麗な宮殿には、ヨーロッパ史に名を残す大貴族ファルネーゼ家とブルボン家が収集した膨大な芸術品のコレクションが展示収蔵され、現在国立美術館として公開されています。本展では絵画、彫刻、工芸作品約八十点を選りすぐり、パルミジャニーノをはじめティツィアーノ、エル・グレコ、グイド・レーニなど、ルネサンスからバロックまでの巨匠の名品を紹介します。
ナポリを見下ろす丘の上に建つカポディモンテ美術館(「カポディモンテ」とは「山の上」の意味)は、イタリア有数の美術館のひとつです。1738年にブルボン家のカルロ7世(後のスペイン王カルロス3世)によって建造が開始された宮殿が、そのまま美術館となっています。そもそもこの宮殿は、美術品を収納・展示することを目的のひとつとして建てられたものでした。というのもカルロは母エリザベッタ・ファルネーゼからファルネーゼ家の膨大な美術品コレクションを受け継いでいたからです。
イメージコレクションが展示されるようになると、ナポリを訪れる文化人たちは競ってここを訪れるようになります。その中にはドイツの文豪ゲーテら、名だたる知識人、画家たちがいました。その後さまざまな変遷をたどった後、国立美術館として一般に公開されることとなりました。ファルネーゼ家およびブルボン家のコレクションを中核としながら、その後もコレクションの拡充を続け、現在の姿となっています。
(カポディモンテ美術館展資料より)
――
■カポディモンテ美術館展、ナポリ・宮廷と美、ルネサンスからバロックまでイタリア美術
国立西洋美術館 2010年6月26日(土)~9月26日(日)
京都府京都文化博物館 2010年10月9日(土)~1ま75日(日)
https://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/past/2010_222.html
http://www.tbs.co.jp/capo2010/index-j.html
★アルテミジア・ジェンティレスキ「ユディトとホロフェルネス」1612
カポディモンテ美術館展・・・イタリア・マニエリスムの退廃美、パルミジャニーノ『聖カタリナの神秘の結婚』の思い出
http://mediterranean.cocolog-nifty.com/blog/2010/09/post-a5ad.html

| | コメント (0) | トラックバック (0)